序盤で死ぬ当て馬モブの俺、インフレ激しい百合エロアニメにて最強を目指す 作:霧夢龍人
「知らない天井だ・・・」
───『何言ってるのマスター?そのまま永眠してて』
「え、酷くない?」
目が覚めた俺はよく見知った天井を見上げ、お決まりのセリフを放つ。
何故倒れたかはうろ覚えだが、ステータスちゃんの容赦ない貶しに涙が出そうだ。
「てか、なんで我が家のベッドにいるんだ俺。コハルと一緒にデートして・・・?」
───『その女にほっぺにチューされて、頭地面にガンガン打ち付けて気絶したの』
「やばぁ」
え、マジ?俺ヤバいやつじゃん。
しかも百合の間に挟まってるし・・・〇玉とチ〇コ捥げば許されたりしないだろうか。
そもそもだぞ?モブでも女の子なら良かったものを、なぜ俺がトオル君に転生してしまったのか、疑問が尽きないんだが。
それに現状は俺が身体を動かしているが、トオル君の記憶と知識、そして俺の知識が混じってるはずなのに、トオルの意識がどこにいってしまったのかも分からない。
そこであくまでも仮説だが、俺がトオル君の意識を乗っ取ってしまった可能性がある・・・考えたくもないけどな。
───『何をそんなに気に病んでるか知らないけど、マスターが変人なのは前からだから気にしないで』
「なっ、失敬な!!」
───『本当のことよ。それと、倒れたマスターを頑張って家まで転移させたお礼はないのかしら?』
「はい、すみません」
俺がステータス様に勝てるわけがないのである。
でも確かにステータスの言う通り、今考えても仕方ないのは間違いない。
「君かわいいねぇ、俺と彗星でハネムーンあげない?」とか言って主人公を口説いてたトオルくんの代わりに、暫くは俺が頑張ろう。
あと何故トオルくんが、それでナンパ出来ると思ったのかも聞きたいしな。いけ好かないが、イケメンフェイスだからナンパ出来るとでも思ったのだろうか?
全然無理だったけどね!
───『それで、結局【才覚】は取れたの?』
「【才覚】?・・・あぁ、ランニングのやつか」
ステータスの一言に、そういえば今日は体力作りのために外に出てたなと思い出す。完全にコハルとのお出かけで薄れてたが、サラカと会ったその日から筋トレやらの幾つかの【才覚】は、勿論入手しましたとも。
後は面倒なランニング系統だけだが・・・確認してみるか。
───《個体名:
【識別ID:M08dd.esu】
《身長 1788mm》《性格 屑》 《体温:異常なし》《体調:異常なし》
【
・“
『気持ちの悪い笑み。笑みを浮かべるだけで対象は自身に対して、良い感情を抱かなくなる。確率で吐く』
・“
『吐き気を催す声。話しかけるだけで対象は自身に対して、良い感情を抱かなくなる。確率で吐く』
・“
『自身の存在感を無くす。対象に話し掛けるか微笑むことによって、このスキルは解除される』
【
・【一閃】
『自身の技術と気持ちによって威力が上下する【才覚】。才能の原石ともいえる者に発現し、自身が強くなるとこの【才覚】は進化する』
【
強化系
・『体幹強化・中』
・『筋肉強化・中』
・『視覚強化』
・『肉体強化』
・『斬撃強化』
・『スタミナ強化』
技能系
・『斬撃』
・『斬鉄』
・『反撃』
・『受け身』
・『庇い立ち』
・『逃走』
・『観察』
ううむ、なかなか壮観である。
強くなるために努力してから数日しか経過してないが、成長具合はかなりのものだと思う。
特に体幹強化と筋肉強化が中に上がったことによって、今ならあのオークとも互角・・・いや、余裕を持って倒せそうな気がする。
それと筋肉強化と肉体強化の二つがあると思うが、これは似ているようで少し違う。
筋肉強化はその名の通り、全身の筋肉を強固にして運動能力を底上げするという能力であり、肉体強化は肌や関節、筋肉も含めた骨などの全ての部位を強化することで敵の攻撃を防御し、運動能力をあげる能力だ。
簡単に言えば、(素の肉体+筋肉強化)肉体強化=運動能力になってくるわけである。そこから更に【身体強化】という全ての運動能力を上げるぶっ壊れ【才覚】もあるため、ただの強化系と馬鹿に出来ない。
とはいえ、身体強化の【才覚】が手に入る特殊建造物《ダンジョン》は現時点で封鎖されているため、入ることは出来ない。
まぁ今の俺じゃ例え挑めても、難易度高すぎて入手出来ないんですけどね(血涙)
───『マスター、進化出来る【才覚】あるけどどうする?進化させる?』
「あぁ、『斬撃』と『斬鉄』だろ?勿論頼む!」
───『はいはい、すぐに終わらせるからちょっと待って』
ステータスとやり取りした後に数秒ほど沈黙したかと思うと、ステータスとは違う機械音声が脳内に響いた。【才覚】を所得した時に響いた声色と全く一緒のヤツである。
───『斬撃』及び『斬鉄』を統合し、『
よしよし、目的通りの【天賦】ゲットだ。サラカの【
後は飛ぶ斬撃の飛距離と切れ味も桁並み上がるしな。
【
「着々と強くなれてるな、この調子ならサラカにもワンチャンあるかもしれねぇ」
───『えぇ?あの凄く強かった子相手に?』
「疑う気持ちも分かるけど、少しは信用してくれよ」
───『だってあんな大きな怪獣倒してる女の子に、マスターが勝てると思えないもの』
ステータスに言われて思い出すのは、馬鹿でかい怪獣とそれを放り投げたサラカの構図。
・・・勝てるは言い過ぎたな、うん。でも引き分けには持ち込める自信がある。
何故なら、サラカの持っている【天啓】、【天賦】、【才覚】の全てを俺は知っているからだ。
誤解を恐れずに言うなら、現時点のサラカは確かにクソ強い。だが、入念な準備を重ねれば序盤のサラカになら勝てると思っている。
これが、現時点で一部を除いたら最強格であるコハルだったり、“覚醒”したサラカだったら万に一つも勝ち目がない。
つまり今が一番、モブの俺が“勝てる”時期だ。
「へっへっへ、楽しみになって来たじぇい・・・ッ!!」
───『マスターきも』
「あっ、はい」
そんな締まらない罵倒を受けつつ、入学当日に向けて俺は修練を重ねた。
掲げる目標は打倒主人公、ノータッチ百合。
はっきりいって、この四日間は地獄のような日々だった。
腕立てと腹筋を毎日三百回を三セット、ランニングを二十キロこなし、剣の素振りも、朝昼夕で百回ずつやった。完全なオーバーワークだが、技術が進んだ世界のため薬を服用することで筋肉を急速に回復出来るのである。
だがそれでもキツかった。本当にキツかった。
ミカにも姉さんにも止められたし、ステータスにも『あんたばかぁ!?』とドクターストップが掛かった程である・・・まぁ、流石に雨の中で逆立ちしながら、五十キロの重りを持って五キロ進むのはやり過ぎたと反省してるけど。
そんな努力も全て、この時のためである。
「“オキザリス”学園来たァ〜〜〜ッ!!!」
白い大聖堂のような校舎と、人工では無い花が咲き誇る校内。紫の
ここは『とある世界を願って』の舞台の中心地であり、あらゆる生徒達の思惑と百合が咲き誇る
いやね、もう最高ですよ。
あっちを見ればイチャイチャしてる女の子達がいて、こっちを見れば頬を染めて恋人の距離感で写真を撮ってる女の子達がいて・・・嗚呼、もう悔いはない!
・・・いや待てよ、何故俺はカメラを持ってこなかったんだ?
折角ならこんなに美しい景色、神棚に飾って崇めるべきだろ!(盗撮は犯罪です)
「くぅ・・・悔いしかない」
『?どうしましたトオルさん?』
「いや、世の中は悔いばかりだなと」
───『頼むから普通にしててよマスター?貴方って、顔は良いのに変人よねっ!て言われたくないでしょ』
「もう諦めた」
───『マスター!?』
慌てるステータスをよそに、俺はミカと一緒にオキザリス学園の校門を跨いだ。
自然が少ないサイバーパンク世界としては珍しく、緑溢れる校内で実に空気が美味しい。美少女達のイチャイチャも見れて二度美味しい。
俺はその光景を目に焼き付けるべく、目を凝らして足を進めていく・・・が、誰かとぶつかってしまった。
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
『大丈夫ですか!?』
周りを見渡しながら歩いていたせいだろう、完全に俺の落ち度である。
「あ、あぁ大丈夫だ。それより、君は怪我してない?」
「っえぇ、私も大丈夫です」
「オーケー。それなら良かッ!?───」
「・・・あの、どうかしました?」
ぶつかって尻もちを着いてしまった女子生徒に手を伸ばして、立ち上がらせた。その顔を見た瞬間、俺は驚きのあまり二の句を告げることが出来なかった。
───この子、メインヒロインじゃねぇか!?
それもそのはず、俺がぶつかってしまった女の子は『とある世界』においてメインヒロインの扱いを受けている美少女であり、人気投票ランキング二位の実力者。
「『
「あれ、私の名前知ってるんですか?」
「い、いや!受験票で名前を見てさ。珍しい名前だなって覚えちゃって」
思わず呟いた名前を拾われて、咄嗟に言い訳を返した。
我ながらかなり無理があると思うが、レイアはその返しにふふっと優雅に笑いを零し、「面白い人ですね!」と微笑んでくれた。
───天使ですやんこの子。
でもやばい、罪悪感がやばい。あと浄化されそう。
「あぁそうだ、お近付きの印にこちらをどうぞ」
「これは・・・カタバミか?」
「えぇ、この学校の紋様にもなっている花です!」
昇天しかかっている俺を引き止めた
どこかで見たことがある形からカタバミだと推測すれば、レイアは再び嬉しそうに笑った。
「では、そんな“トオルさん”に問題です!」
「も、問題!?いきなりすぎじゃない!?」
「拒否権はありませんよー?では問題です!───この綺麗なカタバミの“花言葉”を答えてください!」
いきなり過ぎんかこの子!
唐突にカタバミの花を渡されて花言葉を答えろ!って言われても分かるわけがないんだが・・・そもそもあんまり植物は詳しくないので、カタバミだと分かったのも奇跡に近い。
断言するが、原作ではなかった展開である。
「んー分かりませんか?」
一頻り悩んでも思い付かなかった俺はミカに、分かるか?と問い掛けるが、遠くから半身出して「友達作り頑張ってくださイ!」とガッツポーズしてるミカを見て、力にならないと判断。
次にステータスを呼んだが、“何故か”反応しなかった。どうやらこんな大事な時に寝てるらしい。
「そう言われても分からないんだけど・・・」
「む、それは“悲しい”です。正解は───あ」
「あ?」
「・・・ごめんなさい、今日はお預けです!また会いましょう“トオルさん”!」
あ、と呟いたと思ったら足速に去っていく
だが一つ気になる点がある。
「にしても俺、レイアの前で“トオル”って自己紹介したか?」
思い出すのはあの態度。
天使級に優しいメインヒロインとは言え、見下されがちな男子とぶつかってもあんなに優しく出来るだろうか?・・・いや、彼女なら出来るか。
だって俺の
恐らく俺の名前を知っていたのも、優しい彼女のことだからクラスメートの名前を覚えていたのだろう。だってサラカとレイアと俺、同じクラスだし。
───でも俺の【天賦】も効いてなかったよな?
なんて一人考えていたところで、俺の思考は完全に中断された。自身の背後に、濃密な殺気を感じたからである。
そして俺は、この殺気に見覚えがあった。
「・・・久しぶりだな」
「うん、本当にね」
メインヒロインがいるのだから、勿論“ヤツ”も入学式に来ている訳で・・・しかも名前も顔も、完全に覚えられてしまっている。
───遂に来たか、この時が。
「会いたかったよ、トオル君?」
「俺は遠慮したかったなぁ」
そう言って後ろを振り返れば、案の定そこには───。
「じゃあ、殺ろうか♪」
───笑顔で殺意を迸らせている