異世界緋想天 ~天子と衣玖の異世界旅行紀~   作:火也(かや)

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28話 ランクアップ試験 中編

 天子と衣玖の二人は現在のFランクからCランクへと格上げするためのランクアップ試験を受け、砂漠へと赴いた。もはやお馴染みとなったこの場所で、二人は更なる実力を測るために草食竜の卵を運ぶという依頼を受けたのだ。

 卵といってもサイズは鶏のそれとは雲泥の差があり、さらに凶悪なことには卵とはかなり重いのだ。鶏のを持ってみても分かるが卵とは見た目に反して結構な重さがある。それが両腕で抱えるほどの大きさがあるのだから尚更である。

 リアルな話こんな依頼が何故舞い込むのかというと、何でも草食竜の卵は珍味だということで貴族など上級階級には一定の需要があるのだ。あんなデカい卵を食うなんてどうかしてると思うのは庶民の意見である。

 

 そして、肝心の二人だが。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああーーー!!!」

「いやあああああああああああああああーーー!!!」

 

 

 絶賛逃亡中である。

 

 

「こんなのっ、む、りぃいいいいいいいいいーーー!!!」

 

 

 砂埃を巻き上げ、スイカよりもずっと大きくて重い卵を両腕で抱えて懸命に後方の敵から逃げていた。そして後ろにいるのはこれまたお馴染みのジャギィだ。

 ギャアギャアと二人を嘲笑うかのような鳴き声を漏らすジャギィは二人の持つ卵を食いつかんとガチガチとその鋭利な牙を突き出して噛みついてくる。

 二人はそれをギリギリで躱し続けているのだ。

 躱すというにはあまりに動きがあれだが…。

 

 

 ギャアッ!

 

 

 ガチン!

 

 

「ひぃぃいいいいいいいい!!!???」

 

 

 天子のすぐそばを牙と牙がかみ合わさる空気音が伝わった。ほんの数センチ近かったら服を食い千切られていたかもしれない。

 天子はそのことを考える余裕もなく、ただひたすらジャギィの群れから逃げるだけである。

 

 

「くそっ、何で、こんなことにーーー!!」

 

 

 草食竜に限らず、卵というのは大量の栄養分が含まれている。これは、いずれ生れ出る命が卵の中の栄養を当面の食料代わりとするためである。卵の中にいる赤ん坊は当然外界から栄養を取ることはできず、必然と卵の中の栄養に頼らざるを得ないからだ。

 しかし、それは他の生き物にとっては格好の獲物となる。食料が常に得られる保証がない野生の世界では、卵というのは栄養価が高い素晴らしい食材なのだ。これを逃す手はない。

 その上、モンスターは卵が発している僅かな臭いを敏感に察知して嗅ぎ寄せる。従って、モンスターが近くに寄ってくる羽目になる。これが、天子と衣玖を取り囲う実情である。

 

 

「総領娘様なんとかしてくださいよーーーっ!!」

「できるかアホーーーっっ!!!;;」

 

 

 両手を塞がれていては天子も衣玖も攻撃することができない。天子が剣を振れないのは当然のこと、衣玖も電撃を放つことができないのだ。

 卵は非常に繊細で割れやすく、少しの衝撃で殻が砕けてしまう。そんな中で電撃を放てば最悪割れることもあり得る。電撃は衣玖の能力だが、そこまで器用に操ることはできない。電気とはなかなか御し難いものなのだ。

 

 ジャギィの攻撃を掻い潜りながら全力疾走する二人は、いつも以上に地形を考える必要があった。普段なら何気なく越える僅かな段差でも、重い卵を抱えての逃走となれば躓く可能性も格段に上がるからだ。

 

 

「はあっ、はあっ……!」

 

 

 泣き言を叫びながら必死の形相で走る天子の顔には、次第に疲労の面影が色濃く浮き出てきた。全速力で走り続ければ息が切れるのは道理で、それは天子とて同じである。

 その上悪いことにジャギィの攻撃をスレスレで躱していて精神も急激に摩耗している。これまでヒヤリと背筋が凍った場面が何度あったことか。

 疲労が頂点に達し、天子は走る速度が意図せず緩んでしまう。

 

 

「もう、無理ぃ……」

「そ、総領娘様……っ!?」

 

 

 速度が緩んだ瞬間を、野生の狩人たるジャギィが見逃すはずがなく、そいつは天子の身体に向けて体当たりを行ってきた。

 

 

「うあっ!?」

「あ」

 

 

 ドン、と天子と同じくらいの大きさのジャギィの体当たりでバランスを崩した天子は前のめりになって倒れた。

 

 

「あ……」

 

 

 体当たりは大した威力じゃなかったため、体にダメージは無い。

 しかしバランスを崩し、前に転倒した拍子に卵は天子の腕から離れ、そのまま地面に勢いよく落下して割れた。パリンというような景気のいい割れ方でなく、ぐちゃっ、という木に生っていた果実が地面に落ちたような音が天子の耳に届いた。

 

 割れた。

 割れてしまった。

 

 呆然と、割れた卵を見つめる天子。周りにジャギィがいることなど、彼女の頭からはとうに消えていた。

 透明の卵白が垂れ流れ、中心の黄金色の黄身が地面に染み込んでいく。カラカラの大地は、卵の中の水分まで吸い取ってしまおうと貪欲なまでに吸収を続ける。

 そんな自然の摂理を、何も考えられない頭でぼうっと見つめる天子の姿は、あまりにも切なすぎる。

 

 

「総領娘さ―――」

 

 

 そんな光景に気づいた衣玖は、彼女も油断してしまった。ジャギィは決して彼女の持つ卵を諦めていなかった。

 天子が落した卵はもう食べることは叶わないが、衣玖の持つ卵はまだ残っている。豊富な栄養源を見過ごす彼らではない。

 抱える卵を奪わんと、衣玖の身体に体当たりをした拍子に、衣玖の持つ卵も同様に地面に落下して割れた。中身がぶちまけられて水分を含んだ地面へと成り変わってゆく。

 

 

「………」

「………」

 

 

 開いた口が塞がらない、とはこのことか。目の前で起きた出来事に順応できず物事の整理に脳が奔走していた。

 そして二人が現実へと回帰したのは奇しくもジャギィの歓喜とも悲嘆ともいえぬ鳴き声だった。卵を二人の手から引き離したはいいものの、それは既に砕けて地面へと溶け込んでしまい到底食べられるものではない。彼らジャギィが不満を訴え出た先は当然天子と衣玖になる。

 

 

「………(スッ)」

「………(スッ)」

 

 

 ギャアギャアと叫ぶジャギィたちをよそに、天子と衣玖はゆらりと起き上がる。その背中にはゆらりと揺らめく覇気が透けて見え、機械のごとく動く体はまるで幽鬼のようだ。

 天子は緋想剣を抜き放ち、衣玖は腕に羽衣を纏い始める。二人は終始無言で、言い得ぬ不気味さと恐ろしさを感じられる。

 

 

「「………………生きて―――」」

 

 

 本能で生きるジャギィたちは、このとき気づいた。

 自分たちは、決して開いてはならないパンドラの箱を開けてしまったのだと。

 

 

「「生きてぇ………帰れると思うなよこのクソトカゲがあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」

 

 

 目が血走り般若の形相を浮かべる二人は、憎き怨敵への殺戮を開始した。

 

 

 

 

 

 

「……怒りのままやっちゃったのはいいけど」

「根本的な解決になっていませんからね……」

「結局やり直しなわけよね」

 

 

 卵を落としたあと、天子と衣玖は元凶であるジャギィを完膚なきまでに叩きのめした。それはもう素材として価値を見いだせないほどズタズタのボロボロに引き裂いて焼き尽くした。その殺戮現場はおそらくテレビの報道規制がかかってしまいかねないほどのスプラッタな地獄と変化した。

 その場所だけ別世界に思えるほどの変化である。

 しかし、ジャギィたちをボコボコにして怒りが収まっても、問題は一向に解決されていない。むしろ振り出しに戻っただけである。

 結局もう一度草食竜の巣に戻って卵を運び直すしかないのだから。

 

 

「はあ…なんか疲れた………」

「それを言わないで下さいよ、現実を直視しちゃうじゃないですか」

 

 

 二人は先程通った道を再び戻り、巣がある砂漠の岩場まで歩いている。

 草食竜は砂漠に佇んでいる岩場の隙間、小さな洞窟のような場所に巣を作っていた。洞窟といっても岩の切れ目があってそこから微かに太陽の光と上で溜まった砂が時折降ってきていた。

 洞窟の中だから砂漠のように暑くないし、光も入り込んでいるから食物とする草は少しは生えている。水は無いのだが、元々砂漠に生息する生き物なのだから暑さと水分補給に関してはある程度耐えられる生体をしているに違いない。どちらにしろ、二人に分かるような代物ではない。

 

 天子と衣玖は砂漠を横切り、岩場の中の草食竜の巣へとたどり着いた。縦に七メートル近くある切れ目は人間も悠々と通過できる高さで、横幅も巨大な草食竜が通れるほど幅広い。

 風の影響か、入り込んだ砂はきめ細やかでブーツ越しにザクザクと音を鳴らす。澄んだエメラルド色した海岸の砂浜は歩いた拍子にキュッキュッと音が鳴るらしいが本当だろうか、と衣玖は風に乗って流れてきた噂を思い出していた。

 

 

「あと四個か……」

「もう失敗はできませんね。もし落としたら違う巣を探しに行って手間になりますから」

「巣を守っていたこいつにも、悪いしね」

 

 

 天子の言葉通り、空洞の中の中心で守られるようにして卵が鎮座している。そこら辺の草を寄り集めたのであろう緩衝材代わりの草が下に敷かれ、その上に卵が四つ並んでいる。

 そして卵を守ろうと天子の目の前で倒れているモンスター。錆びた鉄のような色合いで背中には亀のような甲羅らしき体表をしたモンスターである。

 衣玖が言うには、それはアプケロスといって草食竜の一種らしい。縄張り意識が強くテリトリーに入って来たものには容赦なく威嚇行動を移して近づいてくる。しかも地味にしぶとく、苦労したとまではいかないがさくっと倒すことはできなかった。

 このアプケロスは、おそらくこの卵の親で卵を守っていたのだろう。最初に来たときに天子と衣玖が運搬の邪魔という理由で殺したのだ。食物連鎖の摂理、依頼だから仕方ないとはいえ、何度も落として無駄にすれば無意味な殺戮となってしまう。なるべくそれは避けたいのだ。

 なお、ジャギィについては愚問だ。奴らに慈悲は無い。

 

 

「さあて……今度こそ、ね」

「もう失敗したくないですね」

「次また落としたらもう私立ち直れる自信ないわ…」

 

 

 倒れる巨体の横をぐるりと回り、岩の隙間から覗きこむ光を反射してキラキラと輝く卵を二人は一つずつ持ち上げる。ずしり、と本当にこれが卵なのかと疑うほどの質量。中身が入っていることで余計にバランスが取りづらく、勢いをつけすぎると落下してしまいそうだ。

 

 

「よいしょっと……相変わらず重いわね」

「本当ですね。これだけあれば目玉焼き何人前作れることか」

「黄身は一つしかないから超巨大目玉焼きが一個作れるだけよね。……それはそれで見てみたいけど」

 

 

 そんな冗談を交えながら、二人はポーチの中からクーラードリンクの瓶の蓋を開けて中身を呷った。卵を抱えている間は両手が塞がれているため物の出し入れができない。故にしなければならないことは今するのだ。

 空の瓶をポーチに入れ直し、卵を抱えて外へ出る。空洞の中と砂漠の気温の違いにムッとしながらもクーラードリンクの効き目を実感して砂漠を歩く。風のない穏やかな砂漠は平常運行だ。

 現在砂漠地帯にはモンスターの影は見られない。砂漠にはガレオスやデルクスなどが回遊していることがあるのだが、今日はその姿はない。別のところでも泳いでいるのだろうが、何にせよ幸運だった。

 

 動く者のいない砂漠を警戒しながらいつも以上に慎重に歩き、何の音沙汰もなく砂漠地帯はクリアした。ここからは岩山のエリアとなる。

 卵は試験用に急遽設けられた納品箱に入れることになっている。その箱は岩山を登る途中の細い道の先にあり、そこは道が細い上周りを巨大な岩で覆われていて大型モンスターはおろか小型モンスターでさえも近寄れないという好立地となっている。

 故にそこはハンターが一時的に休憩を挟むための場所にもなっていて簡単な野営地になっているのだ。

 

 その岩山に入ってからが最もの難所だった。先程もここで落としてしまったのだ。

 ここはジャギィたちの巣窟になっていて至る所にジャギィたちが小規模のチームを組んで屯っているのだ。まあ、チームなんて意識はなくただただ屯っているだけなんだろうが…。

 二人は低い草木が目立つ地帯を抜け、本格的に岩肌だけの場所へとやって来た。ここには比較的大きな岩が辺りでごろごろしていて、周りは大きな岩で囲まれている。

 

 

「さっき出会った場所よりは登って来たわね。このまま上手く行く―――」

 

 

 ギャアッ、ギャッ―――

 

 

「―――わけないよねえ!」

「総領娘様、走って!」

「分かってますよ、っと!」

 

 

 囲まれた岩の隙間から一体どこから湧いて来たのか、ジャギィたちが現れ出した。

 その数は四匹。常なら何の脅威にもなり得ない彼らだが、今この瞬間は悪魔の象徴へと変貌するのだ。

 

 

「ホントこいつらどこでも湧いてくるわね!」

 

 

 そんな愚痴をこぼしながら天子と衣玖は岩場を疾走する。今回は捕まるもんかと意気込む気負いが見て取ることができた。

 しかし、所詮は卵を抱えてのダッシュ。もとより身軽で動きの速いジャギィはそれに簡単に追随してくる。気づいたときには、既に後ろに奴らは追いすがっていた。

 

 

「うわっ、ちょ、危なっ…!」

 

 

 早速来た噛みつきを天子は危なげに左に体を捻じらせて回避する。ガチンと牙が擦れあう音にヒヤリと背筋を凍らす。

 天子はジャギィの動きを少しでも翻弄するようにジグザグに進んでいた。直線に無策で進むよりは効果があると判断してのことだ。

 

 

「くっ!」

 

 

 衣玖もジャギィの攻撃をジグザグに走り回ることで回避していた。彼女の空気を読む能力はジャギィの動きを大まかに捕捉することはできるが、それを知ったところでそれを回避に回せるほどの余裕のある状況ではない。

 とどのつまり、対抗策は無いわけでひたすら逃げるだけしかできないのだ。

 

 

「こんなの、無理ゲーでしょ…!!」

「喋る暇があったら―――」

「体を動かせでしょ! 分かってるわよチクショー!」

 

 

 二人は必死に無我夢中で逃走し、とにかく後ろの奴らから逃げきることだけを目標としていた。故に、今走っている場所がどんな場所で、その先が何なのかをきちんと把握していなかった。

 

 

「げっ、しまった……!」

 

 

 目の前は崖になっていた。慌てて立ち止まり、下を見やると地面まではおおよそ十メートルといったところだ。

 

 

「ま、マズい」

 

 

 後ろからはジャギィが迫っている。今にも二人に襲いかからんと、いたぶるかのようにじりじりと距離を縮めてきていた。その分二人も崖の端っこに寄る必要があった。

 

 

「うぅ……い、いたいけな美少女二人を追い回すなんて、どこの不審者よ……」

「さ、最終的にはどうなりますかねえ……?」

「そりゃ、汚されるのでしょ…エロ同人みたいに、エロ同人みたいに!」

「こんなトカゲ相手とか死んでも嫌です!!>_<」

「私だってこんなカップリングはご免よ!;;」

 

 

 追い詰められて無茶苦茶なセリフを放っている間も、ジャギィたちは詰め寄ってくる。じりじりと、嬉々とした鳴き声を上げながら。

 切羽詰まった天子は、チラと後ろを見て決心を固めた。

 

 

「こうなったら、ヤケクソよ!!!」

 

 

 嫌な想像ばかりが膨らんでいた天子はもうなりふり構うもんか、とくるりと後ろを向いて崖先に向かって、

 

 

「うおりゃああああああああ!!!」

 

 

 飛んだ。

 

 

「ちょ、総領娘様ぁ!? くそっ、もうどうにでもなれ―――!!」

 

 

 落下していく天子を見やり、衣玖もこの状況じゃどうにもならないと判断して卵を抱えたまま飛んだ。

 能力を使って飛ぶことは許されないため、衣玖は一切の飛行手段を講じることができない。このまま地面に向かって卵が割れないことを祈って着地するしかない。

 

 

「うわああああああああ!?」

 

 

 思わぬ高さからジャンプした天子はもの凄く長い浮遊感を味わった。流石に、十メートルからの大ジャンプは経験したことがなかった。

 数秒もしないうちに地面に近づき、天子は衝撃に備えて足腰に全ての力を回した。

 

 

「どりゃあっ!!」

 

 

 ドゴオォォン!!!

 

 地面を陥没するほどのもの凄い力が大地を伝わり、一部地面が崩壊した。それと同時に天子の身体にも電気に似た振動が伝わり足の裏から頭の天辺にかけてじーんと痺れていった。

 

 

「うぐぐぐぐぐ…」

 

 

 歯を食いしばり全身を駆け抜ける痛みを何とか堪える。おそらく人外の身体じゃなかったら大怪我は免れなかっただろう。

 天子が痛みに耐えている間、同じように衣玖が空から降ってきて大音量の爆音と砂埃を撒き散らして着地した。天子と同じような症状になっているようで体を強張らせて苦痛に耐えているようだった。

 

 

「衣玖、大丈夫?」

「大丈夫、じゃないですよ……いきなり飛ぶなんてどんな神経してるんですか!」

「だって、あのままじゃどうにもならなかったし、なんか嫌な想像したらとにかく何でもいいから逃げたくなって」

「無茶苦茶過ぎますよ! 私たちは今飛ぶことが禁じられているんですよ! 下手すれば卵どころか私たちまで怪我しかねなかったのに……」

「まあまあ…でも、上手くいったじゃない?」

 

 

 天子は腕の中にある卵を見せてにやりと笑った。そう、卵は無事だったのだ。それは、衣玖の持つ卵も同じだった。

 着地の衝撃が凄まじいなら、こちらからも同等の衝撃を与えればそれは相殺される。そんな無茶苦茶な理論を二人は力技で実行したのだ。

 

 

「結果的に上手くいったし結果オーライでしょ? 見てよ、上。ジャギィが悔しそうに私たちを睨んでるわよ」

 

 

 崖の上では、降りることができないジャギィたちが悔しそうに二人に向かって吠えかかっていた。いかなモンスターと言えどこの崖は飛び降りることができないらしい。

 

 

「それに、ゴールまで近道できたからいいじゃない?この先を進んだらもう見えるわ。」

「……はあ。偶然に偶然が重なっただけです」

「運も実力の内、ってね」

 

 

 にかっと笑う天子にこれ以上何を言っても無駄か、と衣玖は判断して溜め息を吐いて卵を抱え直す。

 どのみち結果的にあの状況から抜け出せたことに変わりはないのだ。形はどうであれ、無事であった以上衣玖は強く諌めることはできない。

 もっとも、天子の機転(?)がなければもしかしたらまたやり直しだった、なんてこと衣玖は口が裂けても言うつもりはないのだが。癪だから。

 

 

「……まあいいです。とにかくゴールはすぐそこですから、上の奴らが躍起になって飛び降りて来ないうちにさっさと行きましょう」

「おっとと、そうね」

 

 

 二人は再び卵を抱えて納品箱の置いてある場所を目指した。ようやく折り返しが見える地点までたどりついたのだ。

 




MHG時代の飛竜の卵3個納品依頼……あれは本当に鬼畜だった。ジャギィって実際あまり怖くないんですが、ランポスは長距離ジャンプをしてくるから油断できないんですよね。
やつには何度苦汁をなめさせられたことか。

そんなことよりモンハン4G楽しいぃぃぃぃぃぃぃ!!
ああ、小説に手がなかなか出せなくなる……
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