異世界緋想天 ~天子と衣玖の異世界旅行紀~   作:火也(かや)

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モンハン4G楽しいっすね!!


30話 昇格、宴会、そして暗雲

 卵運びの試験も終わり、天子と衣玖はランデルの町へと帰って来た。もう何度も見た砂漠からの門の姿を脳に刻み、門番のアレックスと軽い会話を交わした後に門をくぐった。

 石造りの砦は巨大で立派なものだったが、もう見慣れたせいか特になんの感慨も抱かなくなった。そう感じるほどに、二人はこの町に慣れ親しんだ。

 町へと帰ってきたことでなお一層試験の達成感が身に染みるようになり、活気溢れる町の喧騒に開放感を感じた。今まで砂漠という音の少ない地帯にいたため、短い間だったとはいえ人の賑やかさが爽やかに感じられたのだ。

 さて余韻に浸るのもそこそこに、二人はギルドへと足を運ぶことにした。まだ成功報告は済んでいないため、厳密にはまだ依頼は継続中であるのだ。

 

 

「家に帰るまでが依頼という名台詞はあまりにも有名。このまま気を抜かないでギルドまで行くべきなのは火を煮るよりも明らか」

「“見る”ですからね。何堂々と間違ってるんですか」

「それほどでもない」

 

 

 二人がくぐった門には巨大な両開きの扉がある。この扉は昼には常時開放されており、夜になると閉じられる。鋼鉄でできた高さ七メートル、厚さ十センチの重厚な扉は人間の力で到底どうにかできる代物ではない。そのため、扉の開閉には科学技術である蒸気機関の力が使用されており、噴き上がる蒸気の力を利用してピストン運動起こし巨大な歯車を回転させて重い扉を動かしているのだ。

 そして蒸気機関を動かすためのエネルギーとなっているのは魔力。すなわち魔法だ。

 この砦の扉の開閉装置は、魔法という神秘の力と科学技術という人類の叡智を合わせて生まれたものなのだ。

 そんな説明を以前にアレックスから聞いていたが、天子としてはふーん、というくらいの感動しか生まれなかった。蒸気機関など幻想郷にも存在していなかったし、天界にもなかった。未知の代物と言えばそうなのだが、別に天子は機械マニアでも何でもないので特別に何も感じないのだ。ただこの複雑な機械がモンスターなどの脅威から守っているということが理解できれば十分だった。

 

 そんな複雑な構造を持つが故に一般にはあまり理解されていない砦をくぐった二人は、砦から中央広場へと直通している大通りへと足を踏み入れた。ここは砂漠から大量の砂が入り込んでくるため中央のような石畳で舗装されておらず、土がむき出しのままだ。

 しかしここらはアプトノスで入町してくる人たちが多いエリアであるため、むしろその方がいい。野生動物であるアプトノスには自然のままの地面の方がいいからである。

 

 

「ん、何あの集団…?」

 

 

 砦の近くには簡単な木の柵が引かれているアプトノスの厩舎がある。砂漠からやって来た人たちは一様にここの厩舎にアプトノスを預けていくのだが、その事務所と思われる煉瓦造りの建物の前には大量のアプトノス、さらにそれに繋がれた荷車がもの凄い数が止まっていたのだ。

 そこにはアプトノスだけではない。御者と思われる人たちがタオルでアプトノスの背中を洗っていたり、御者同士雑談を広げていたりしていた。

 その中に、天子と衣玖は見知った顔を見かけた。

 

 

「……あれ。あれってロビンじゃない?」

「そう…ですね、確かにロビンさんです」

 

 

 天子が指さした先には、ロビンの高身長が映っていた。姿は白色のシャツ一枚で、かつて冒険者だった頃の鍛えられた体がよく映えて見える。彼はアプトノスにバケツに入った水を掛けながらタオルで体を拭いていた。

 いつも家にいるか商会の方で仕事をしているロビンにこんなところで会うなんて珍しい。というか、あの砂漠で助けられたときに乗っていたアプトノスにハーネスを繋いで荷車を繋いでいる時点で、二人はある予想をつけていた。

 

 

「おーいロビン!」

「ん? 何だ、お前らか。こりゃまたタイミングのいい時に会ったもんだ」

 

 

 声をかけた天子と衣玖に、ロビンは振り向いて答えた。

 

 

「タイミングのいい、って?」

「ああ。実は今日この町を出て行くことになってな」

「出て行くって……一体また急にどうしてです?」

「帝都に向かううちの商会に属する商隊がつい先日北からやって来てな。本当はもっと遅くなる予定だったんだが、北の方で天気が崩れたらしくて早めに出てきた結果この町に予定より早く着いちまったんだ。まあ元々俺はその商隊に参列する予定だったから良かったんだがな」

「それで、タイミングがいいというのはこれから私たちのところにそれを伝えに行くつもりだったというわけですね?」

「そーゆーこと。んで、お前らが最後ってわけ」

 

 

 この大量のアプトノスと荷車は帝都へ向かう商隊の集団だったのだ。木で組み立てられた荷車には食料や日用品、剣や盾などの武器。さらには諸所の特産物など商業に必要な商品が詰め込まれている。

 特に食品には氷魔法による保存の魔法が掛けられるなど工夫が盛られた商品も多い。商人にとっては、これらの品物は時に命より大事な商売道具になるのだ。

 ロビンはアプトノスの背中をポンポンと叩きながら話す。

 

 

「帝都までは徒歩で一か月。往復で二か月、滞在期間も合わせて三か月近くはお前らともお別れだな」

「家族には言ったの?」

「当たり前だ。言わないわけがねえだろ」

「ベティとか駄々をこねないの? なんか、すっごい想像できるんだけど…」

 

 

 ロビンを溺愛しているベティのことだ、ロビンがいなくなると分かるとしがみついてでも引き留めようとする姿が容易に思い浮かぶ。

 そう口にした天子にロビンは溜め息を吐いた。

 

 

「あのなあ……アイツだって俺の仕事くらい理解してる。引き留めるような野暮はしねえよ」

「ホントかしら…」

「確かにアイツはあんなんだが、俺の仕事に迷惑がかかるようなことは絶対しないんだよ」

 

 

 迷惑を掛けない。その言葉に、衣玖は天子とロビンが決闘したときにベティが言っていたことを思い出していた。

 冒険者であったロビンに、ただ見ていることしかできなかった自分。そう言っていたベティには、ロビンに迷惑をかけたくないという思いが込められていたのかもしれなかった。

 

 

「お互い信頼してるんですね」

「幼馴染だからな。長い間一緒にいたから、大体アイツの考えてることは分かる」

「おぉ? 惚気ですか?」

「茶化すなよ。天子の嬢ちゃんだっていつかそんな相手ができるだろうよ」

「総領娘様が、ねえ……(チラッ」

「何こっちチラ見してんだ。おい、紀伊店のか」

 

 

 天子に信頼できる、パートナーのような存在。そんなのできるのだろうか、と衣玖は考えたが、どうもそんな相手が想像できない。こんな性格がひん曲がっている不良天人に、将来を共に支えあえる相棒ができるなど、考えもしなかったことなのだ。

 天子もそんな将来のことなど考えていなかったし、自分の性格を鑑みて相応しい人物がいるとも思っていなかった。自分のこの無茶苦茶な性格は自分自身が一番よく理解していたのだ。

 若干微妙な空気になったので、ロビンは話題を変えようと話を切り出す。

 

 

「と、ところでお前らは依頼の帰りだったんだよな?」

「ええ、丁度、ランクアップ試験の帰りだったところです」

「ああ、そういや聞いたぞ。FランクからいきなりCランクだって? 前代未聞のことらしいじゃないか」

「ふふん、なんたって私たちだからね。当然よ!」

「お前さんたちは何かずば抜けたもんがあると思っていたが、これ程とはな……。で、試験の方はどうだったんだ?」

「達成条件を満たして、これからギルドに報告に行くところです。内容は、草食竜の卵四個納品でした」

「ああ、卵運びか。そりゃ難儀だったな」

「難儀なんてもんじゃないわよ! 二人同時で運べとか飛ぶの禁止とか、有り得ない制限がつけられて無茶苦茶厳しかったのよ! ジャギィに卵を割られるわ、挙句にはクルペッコまで出くわすわ、もう散々だったわよ……」

「ま、それがこの世界の掟みたいなもんさ。一々難癖つけたってしょうがねえ、広い度量で受け止めることが大事なんだぜ?」

「……むぅ」

 

 

 ロビンの言葉は真実なので何も言い返せない。大自然に文句を言うなど、物言わぬ機械に愚痴を言うことくらい意味のないことだ。

 

 

「ま、何にせよ……しばしの別れだ。ベティとアリアをよろしく頼むな」

「分かったわ。アンタは精々商品が売れるように頑張ってきなさいよね」

「お前に言われるまでもねえっつーの。…またな」

「はい、またお会いしましょう」

「じゃあね」

 

 

 天子と衣玖はロビンに別れを告げ、手を振った。

 彼とはしばらくの間会えなくなる。親しい人との別れは、いつの時代でも、どこの世界でも同じく悲しい。

 けどまた会える。二人がいつまでここにいるのか分からないけれど、二人はそんな予感めいたものを感じていた。

 別れを告げ、二人は報告へと向かうべくギルドへの道を急いだ。

 

 

 

 

 

 

「お、来た来た」

 

 

 ギルドに入った瞬間、二人は多くの視線を浴びた。その中には「琥珀のブローチ」の面々も含まれている。

 

 

「どうしたのよアンタら」

「いや何、お前らのCランク昇格が見たくてな。暇な面子がここに集まってるのさ」

 

 

 酒場兼ギルドのこの場所にはいつもより少し多い冒険者たちが揃っていた。それぞれ思い思いに過ごしていて酒を飲んでいたりゲームに興じていたりなど様々である。

 

 

「お前らが受かるか落ちるかを出汁に賭けをやってる奴らもいるぞ」

「…何勝手に私たちを賭けの対象にしてんのよ」

「まあまあお前らに実害はねえし大目に見てやれ」

 

 

 ハハハ、と高らかに笑うダニエル。確かに実害はないのだが、自分たちが賭けの対象になるというのは何か一種の不快感を覚えるのだ。自分のことについて自分が与り知らぬところで何かが進行しているというのは。

 そんな風に感じながらも、段々と冒険者の持つ荒くれっぽい雰囲気に慣れつつある自分がいることに気づいて二人は何とも言えない気持ちになった。

 

 

「…どうせ止めたって意味ないんでしょ。それに、落ちた方に賭けた奴の悔し顔を眺めるのも一興だろうし?」

「お? それじゃ……」

「はいはーい皆さんちゅうもーく! 皆さんお待ちかね、天子さんと衣玖さん両名のランクアップ試験の結果報告ですよ!」

 

 

 ガヤガヤと騒いでいた中にアンナの声がギルドの中に響き渡る。大人になりきっていないまだ若い女性の高い声に反応してギルドにいた冒険者が全員アンナの方へ向いた。カウンターで一枚の用紙を持っているアンナは、そんな全員の視線が集まっても臆することなく泰然としていた。

 

 

「結果は、合格! おめでとうございます! これでお二人は晴れてCランク冒険者ですよ!」

「うおっしゃあ勝ったあ!!」

「くっそ、負けた……ちっくしょう!」

「今日の酒はお前持ちな」

「へーへー」

「あー、全財産が消えた…」

「ちょ、何でも言うこと聞くからって『全裸でク○ーク像』はねえだろ!常識的に考えて!」

 

 

 アンナの声がかき消されるほどの喧騒がギルド中を包み、冒険者たちの歓喜の叫び声と悲嘆の姿勢で阿鼻叫喚な絵図と化した。賭けで負けたのか知らないが数名ほどとんでもない行動に出そうだったので、そういった人たちはギルドの職員(男 マッチョ)たちに実力行使で奥に連行されていった。

 そんな周りの様子を見て天子と衣玖はポカンとしていることしかできなかった。

 

 

「当事者の私たちを差し置いてもの凄い盛り上がってるわね」

「賭けは一種の競技だからな。帝都まで行けば競技大会なんかで国営で執り行ってるトトカルチョなんかもあるぜ」

「国が主催なの?」

「投資された莫大な金額が国庫に入るわけだから儲かるんだよ。一等とか二等とかで適当に振り分けて懐が痛まず民衆も文句を言わない金額を設定すれば残りは全部国のもんだからな」

「よく考えられているんですね」

「今の帝国は慢性的な金不足なんだ。無駄に広い領土を持ってるし、最近は北方征討も盛んだからなあ…」

 

 

 つまり金不足を補っているわけだ。国も色々大変なんだな、と天子は特に興味も抱かずに適当に聞き流していた。

 

 

「そんな難しい話はどうだっていいでしょ。今は私たちの昇格の話でしょうが」

「おお、そうだったな! 何はともあれランクアップおめでとさん! とりあえず飲もうじゃないか。今日は宴会だ!」

「お、いいわねえ! 衣玖、アンタも飲みなさいよ!」

「前回みたく馬鹿に飲み明かさないくださいね」

「分かってるわよ! アンナ、お祝いの酒を一本!」

「分かりました」

 

 

 丸椅子に座った天子たちは運ばれてきたガラス瓶に注がれた酒を掲げて宴会を始めた。天子も衣玖も開放感に溢れていたので、酔いつぶれない程度に酒を飲んだ。干し肉を炙って作った簡単な料理も運ばれてきて周りの勢いに揉まれてかなり盛り上がった宴会となった。

 冒険者登録をして仲良くなった「琥珀のブローチ」以外の面子とも親しくなっていたので彼らとも楽しんだ。元々冒険者たちはノリがいい豪儀な性格の者が多いので仲良くなるのにさほど苦労はなかった。

 夜も近づいて宴会がお開きになって宿に戻るとアリアが私服姿で出迎えてくれた。

 

 

「Cランク昇格おめでとう、天子さん、衣玖さん! お二人の噂は宿でも噂になってましたよ」

「ありがと、アリア」

「ありがとうございますアリアさん。そんな持ち上げられるほどじゃありませんよ」

「謙遜しないでください。前代未聞の偉業を成し遂げた二人の友人ということで私も鼻が高いですから。…それでですが、今晩ウチの家の方でささやかながらお祝いのパーティーをしましょうよ! 実はお母さんも今日は休みを取って家で支度をしてるんです」

 

 

 悪い笑みを浮かべたアリアは、天子と衣玖の手を取って催促する。先程ギルドで宴会をした二人だが、思ったよりも酔っていないし何よりちょっとした料理しか食べてないので腹を空かせていたのだ。

 なにより、既に家でベティをスタンバイさせているところがニクい。

 

 

「…私たちはどこにも逃げられないプレッシャーを背負うことになった。せっかくベティがスタンバってくれてるんだから、断るなんて失礼に値するわね」

「その意見にはどちらかと言うと大賛成ですね。是非ごちそうになりましょう」

「やった! それじゃ行きましょう!」

 

 

 そして再びエインズワース家で祝いのパーティーが開かれた。ロビンは商隊に付き添って既に出ているので面子は天子と衣玖とベティとアリアの女だけだ。比較的男が多かったギルドとはまた違う雰囲気を味わった。

 大通りにある有名喫茶店のケーキなどの甘味を食し、夜の女子会を二人は楽しんだ。

 

 こうして二人はランクアップ試験を終え、そのあとの祝いの席で多くの人たちと交友を深めあった。二人としても、幻想郷(むこう)では味わうことのなかった新鮮な雰囲気や感情に触れて素晴らしい経験となった。

 二人の夜は、騒がしく、そしてあっという間に過ぎていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、一週間半が経ち。

 二人のもとに、ある知らせが届く。

 

 

「商隊が、壊滅……?」

 

 

 帝都へ向かっていた商隊の消息が絶った。

 いつまで経っても現れない商隊に隣町の駐屯兵団が迎えを派遣したところ、大破した荷車や事切れているアプトノスの死体、そして、大勢の人間の死体が惨たらしく散らばっていたのを発見した。

 そう、その商隊は―――

 

 ロビンがついて行った商隊だ―――

 




これからシリアルになっていく(予知夢)



ゴアマガラ 思ったよりも 強くない 後ろに張りつき 安全に狩りを (字余りが酷い)

ナイトはジョブを選ばないからな盾がない武器も余裕で使う。空気の読める狩 猟 笛と常識に囚われないスラックスが主要武器なんだがどこもおかしくはないな。盾のある武器は使えない!使いにくい!(リアル話)
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