異世界緋想天 ~天子と衣玖の異世界旅行紀~   作:火也(かや)

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毎日更新とか言いつつ三日も遅れる恥知らずな私。

本当に申し訳ありませんでした。


-追記-

大変申し訳ありません!前話と内容がくっついていましたので修正しました。

修正内容:最新話が前話と一部重複→前話に補足する形で修正

指摘してくださった方、どうもありがとうございました。2015/2/1


53話 エルフの里

 アルバート・フェルゼッティ。

 きちんと言えるようになるまで数回はかかりそうなややこしい名前がアルの名前である。アルとはアルバートの略称で、愛称だ。

 その当のアルバートはフィオナの無茶な要求に従って、現在エルフの里に戻っている最中である。顔を真っ赤にした彼がきちんと説明できるのか、拭いきれない不安要素は多々あるが。

 天子たちはアルバートが戻って来るまで現在の場所で適当にくっちゃべながら待機していた。フィオナの悪女(?)の面を見た天子と衣玖は少しだけフィオナに気圧されつつあるが、それでも元来に明るい性格のフィオナはそんな壁を無視するかのようにお喋りしていた。

 

 

「フィオナもさ、なかなかに悪いわよねー」

「え、何が?」

「色仕掛けで無理難題吹っかけてたじゃない」

「あれは流石に少し同情しましたが……」

「せっかく利用価値のあるものがあるんだから、使える手札は有効に活用しないとね」

「それは自分の容姿について? それともアルについて?」

「ふふふ……」

 

 

 天子の質問に答えずに怪しく笑うフィオナは、底知れない何かが腹の中に蓄えられているようで、彼女だけは敵にしたくないという思いを強くさせた。

 口元を引き攣らせる二人をよそに、フィオナは悪戯っぽくニヤリと笑う。

 

 

「ま、実際の話アルは弄るといちいち反応が面白いのよねー。いつまで経ってもさっきに見たいに顔真赤にしてさ、いい加減成長しなさいよって感じなのよね」

「弄られるアルが凄く可哀想なんですがそれは」

「いーのよ。どうせ向こうも悪い気はしてないでしょ」

「ん? それはどういう意味で?」

「アルは昔から私にゾッコンだからね」

 

 

 刹那の瞬間、天子と衣玖は言葉を失った。

 いきなりの爆弾発言である。

 

 

「お、おおう……この子言いきっちゃったよ」

「まあ見ていてなんとなく分かりましたが……それでも確信してるとは、まあなんというか……」

「私とアルは年が同じだから小さい頃からよく一緒に遊んでたんだけど、ずっと私の後ろばかり付いて回る臆病な子でね。私がいないと何にもできないのよあの子は」

「惚気ですね分かります」

「一応、私の許婚なんだけどね」

「許婚!? ってことはもう結婚が決まってるってこと?」

「エルフは気が長いからいつになるかは分からないけどね」

 

 

 アルフは長寿族である。寿命が長ければ、それほど時間に焦るということがなくなる。百年も生きない人間とは時間の概念が違うのは、既に人外である天子と衣玖も理解している。

 とは言っても許婚である。結婚すると言われても所詮親同士が決めた子供には自由意思の選択権の無い結婚だ。

 許婚と言うと恋愛系の物語では、許嫁ではなく別の人に恋するが結局願い叶わずといったような悲恋話が多い気がするが、その辺りフィオナはどう思っているのだろうか。

 

 

「許婚については、どう思ってるの?」

「ん、別にいいんじゃない? 気心知れた仲だし、特に不満があるわけでもないしね。変な奴と結ばれるよりはいいわ」

「さ、さいですか」

 

 

 淡々と答えるフィオナは許婚とかどうでもいいと感じているようだ。

 こういった手前は大抵女性の方が盛り上がるような気もするのだが、フィオナは結婚に関してはかなり淡白な様子だ。

 いや、むしろ結婚に関して冷静な視点から見ているともいえるか?

 

 

「そんなことより今は人間について研究したいしね!」

 

 

 訂正、単に自分の趣味を優先にしたかっただけのようだ。顔を輝かせるフィオナの瞳の奥には一際輝く夜空の一等星が見えるほどで、天子と衣玖は呆れの溜め息を吐く他なかった。

 そんな感じで一刻ほど待ち続けていると道の向こうからアルバートが走ってきた。その様子は戻って行った時とは随分と異なり、冷静さを取り戻した―――いや、むしろそれ以上の冷たさを感じられる。

 フィオナもその雰囲気を感じたのか、アルバートをからかうのは止めにしたようだ。これまでの会話でアルを散々弄る発言をしまくっていたから、そのノリで口走るのではないかと内心ひやひやしたが、その心配は不要だったようだ。

 

 

「説得できた?」

「ああ。……とりあえず話を聞くそうだから連れて来いとのお達しだ」

「分かったわ。それじゃついて来てもらえる?」

「ドスランポスはどうすればいい?」

「下手にここに置いて騒がれたり他のやつらに見つかったりしたら面倒だ。一緒に連れて来い」

「了解しました。行きますよ」

「クア」

 

 

 フィオナが先行し、その次にアルバートが天子と衣玖の間に入って万が一にフィオナに攻撃されないよう警戒する配置となった。少しフィオナが渋ったが、二人は特に異論もないし、むしろ妥当だと言ったのでフィオナは大人しく引き下がった。

 アルバートは常に二人を監視し続けて手を剣の柄から離さずにいる。時折厳しい視線を二人に投げかけてくるので悪戯とばかりに微笑みかけてやると、「ふん」と視線を戻すが、監視役なので二人を見ているしかなく苦虫を噛んだような顔で再び見てくるのが面白い。

 クソ真面目に返してくることがちょっとした嗜虐心をそそるのだ。

 フィオナの気持ちが少しだけ分かるような気がする。

 

 道に沿って歩くこと五分。既に辺りの景色は黒く染まり始めている中で、頭上高く葉を広げる樹木が徐々に開かれていった。夜空に瞬く満天の星空が闇の向こう側で一際存在感を放ち、星と星が合わさって星座を形作っていた。

 丁度森で見えなかったが、既に星のきらめきが明確になるほど夜の帳は進行していた。

 大森林を進んでかなりの時間になる。そろそろ足下も覚束なくなるな、と思い始めた頃、目の前に明かりがポツポツと見え始める。

 

 

「あの光は……」

「着いたぞ―――歓迎はしないがな」

 

 

 まず目に飛び込んでくるのは里の各所に設置された照明灯だ。ガラスをはめ込んだ籠のようなものが樹木のあちこちに吊り下げられており、その中で橙色の暖かな光が宵闇を照らしている。ポツポツと照明灯が点在するこの光景は幻想的で得も言われぬ感動が込み上げてくる。

 里の入り口近くにある広場の中央には、魔力らしき光を帯びながら水を湧出する青い水晶で作られた噴水がある。噴水には幾何学模様が描かれた意匠が施されており、年代物らしい風格がある。

 巨大樹一本一本には光が漏れている窓が何カ所も存在し、それが家屋だと気づかされる。高さで部屋を割り切っているのだろう、樹木の幹には螺旋を描くように階段が設置されていて、樹木間を繋ぐ蔦で出来た空中渡り廊下も高低差を利用しながら全ての樹木残すことなく網羅している。

 もう日も沈んでいることから人の姿はほとんどない。その代わりに、空中をふわふわ浮く精霊の姿はあちこちで見られる。大小それぞれの光の玉が浮遊するその光景はまるで蛍の大群に出会ったようだ。

 

 

「……綺麗」

「気に入った?」

「うん、凄く、綺麗……まるで別世界に来たみたい」

「別世界、か。普段暮らしてる私から見れば、何の変哲もない里の夜景なんだけどね」

 

 

 噴水の横を通り過ぎながらそんなことを呟いてみる。

 ふわりふわり、とたゆたう精霊の下を通る。心なしか、精霊たちがこちらに集まっている気がする。一行が歩いている場所だけ密集率が高いような……。

 

 

「精霊に好かれてるのね、貴方たち」

「そうなの……? いや、これってフィオナとアルに寄ってるだけじゃないの」

「軽々しく略称で呼ぶな。貴様らに許した覚えはない」

「ぜひ呼んであげてね。私たちはもう長くいるから今更近寄られないよ」

「……ふん、大方招かれざる人間に興味を持っただけだろ。精霊は純粋だからな」

「その理屈なら、その純粋な精霊が近寄る天子と衣玖は同じく純粋な心を持ってるから安全というわけね」

「……ふん」

「「(純粋な心……?)」」

 

 

 「コイツが純粋? ハハッ」と心の中で互いを笑った天子と衣玖は、どう見たところで心は純粋には見えない。

 おそらく言葉の綾か何かだろう。そう信じたい。

 

 噴水広場を抜けると整備された道路に出る。町のような石畳ではないが、道端に人工的に植樹されているなど自然が非常に多いのが里の特徴のようだ。

 緩やかな坂道を上がりながら、一行は里を進んで行く。それはいいのだが、行き先が分からないのは二人にとっては少し落ち着かない。天子と衣玖は互いに顔を見合わせて首を傾げたあと、フィオナの背中に訊ねた。

 

 

「ねえフィオナ―――」

「フィオナッ!」

「!」

 

 

 訊ねようとしたその瞬間に、別の声が道の先から聞こえてきた。

 アルバートとは違い、野太い男性の声だ。照明灯の明かりの下に立っていた人物は、がっしりとした貫禄のある男性だった。

 

 

「お父様!」「族長!」

「お父様!?」

「族長? ということは……」

 

 

 二人の同時の声で衣玖は気づいた。

 アルバートが呼んだのは「族長」という言葉。族長と言うからには族―――エルフ全体か、それとももう少し小さな集まりなのか規模は分からないが、少なくとも相当の地位のいることは分かる。アルバートがあの男性を見ただけで姿勢を正したことも証拠だ。

 それとフィオナの「お父様」と発した言葉。つまりフィオナは、族長の娘というかなり重要なポストを持つお嬢様だったというわけだ。

 逆光で顔の仔細までは分からないが、フィオナを呼び止めた際の声の質からそれが決して喜ばしいものではないらしい。まあ、理由はなんとなく分かるのだが。

 

 

「フィオナ、外の人間を連れてきたとアルバートから聞いたが?」

「はい。私がハイツの町で人攫いに遭った際にこの二人に助けられ、ここまで来るのも二人に護衛してもらいました。ですから、相応の礼を申し上げなければ失礼に当たると思い、私たちの里に招待したのです」

 

 

 詰問調で問うフィオナ父に、フィオナは毅然と答える。天子と衣玖の前に見せていた悪戯っぽい笑みは完全に消え去り、凛とした表情で己の父に向かい合っていた。

 

 

「人間を里に入れてはならない規則、そしてエルフが人間をどう思っているか知らないわけではあるまい?」

「当然です。エルフでそれを知らない、ましてや感じていない者など皆無でしょう」

「ならば何故」

「ここで礼儀を尽くさず、偏見だけで恩義を無碍にするようであれば、それはエルフが蔑視し続けている人間以下の蛮族に成り果てます。そうならないよう、エルフとしての誇りをもって彼女たちを迎えたいと考えたのです」

 

 

 薄い橙色の光に照らされたフィオナ父に表情は依然と険しいままだ。そんな表情をフィオナは一瞬たりとも瞳を逸らすことなく凝視し続けている。

 両者の間には青い火花が散っていた。肉眼では見ることのできない仮想上のラインが両者線上に引かれているのが見えた。

 一体どれくらいの時間が経ったか。交錯していた二人の視線が、ついに交わらなくなった。

 

 

「まったく……言葉だけは達者になりおって。また周りの目線が一段と厳しくなるぞ? 人間を入れたとなれば、娘であっても全て擁護できん」

「もとより覚悟の上です。それに……今更だわ、周りの視線なんて」

「………」

 

 

 こめかみを押さえつつ溜め息を吐く父と対照的に、フィオナはふんすと胸を張ってどこか誇らしげだ。

 いや、誇らしげじゃダメだろう。反省と言う言葉を知らないのかね、と心の中でツッコミを入れる天子と衣玖であった。アルバートも姿勢を正すことも忘れて大きく溜め息を吐いた。

 

 

「……もういい。こんな時間だ、外で大声を出していたら近所迷惑になる―――来なさい」

「ありがとうございます! 天子、衣玖、行こ!」

「あ、うん……」

「妙に罪悪感たらたらなのは何ででしょうね……」

 

 

 根負けしたフィオナ父はフィオナを促してその場を翻した。ニッ、と笑うフィオナの笑顔は純粋で赤るく輝いているが、少々明るすぎて弊害をもたらしてしまう太陽のような存在だと二人は気づいた。

 フィオナ父は樹木に張りつく蔦のような巨大な階段を上り、その後三メートルほど間隔を空けて一行は続いて行く。階段は優に三人分通れるスペースがあり、しかもご丁寧に手すりまで付いているので落ちる心配はまずない。

 七階建てビルの高さほどまで上り、樹木に直接据え付けられた扉を開いて中に入った。中は木製の直径三メートルの円卓が中央に置かれた広い部屋だ。教室二個分くらいあるのではないだろうか。

 四角に切り取られた窓の外には森の闇が広がり、その直下には照明灯や精霊の光がまばらに見える。

 

 

「座りたまえ」

「失礼します」

「ありがとう」

 

 

 フィオナ父に促された天子と衣玖は丁度反対側になるように座った。フィオナは父の隣に座り、アルバートは監視役とばかりに天子と衣玖の真後ろに立つ。

 着席した途端に、アルバートが天子の隣で右手を差し出してきた。

 

 

「おい貴様、その剣は預かる。外せ」

「……いいけど、横領しないでよ?」

「するわけないだろう! いいからとっとと外せ!」

「おお怖い怖い。怖いので従いますよ、っと」

 

 

 ベルトから外した緋想剣をアルバートに手渡す。渡した緋想剣をジロジロ見るアルバートに天子はニヤニヤしながら言う。

 

 

「そんな物欲しそうな目で見てもあげないわよ?」

「いらん! 貴様は少々黙っていろ!」

「黙れと言われたら喋りたくなるのが私の性格なのよねえ」

「貴様……!」

「アルバート!」

 

 

 剣を抜きそうになったアルバートをフィオナ父は口で制した。族長としての威厳がこもった声に、アルバートは冷静さを取り戻した。

 

 

「……申し訳ありません」

「総領娘様、貴方も戯れが過ぎます。私たちは歓迎されていない立場なのですから軽率な言動は控えてください」

「…そうね、悪かったわ」

 

 

 両者共々落ち度を認めあったところで、フィオナ父が咳払いを一つ吐く。それに一同反応して厳格な雰囲気が部屋に広がった。

 

 

「さて……私がエルフ族の長を任されているオリヴァー・ベルナルディーニだ」

「永江衣玖と申します。冒険者をしております」

「同じく冒険者の比那名居天子よ」

「既にこれまでの会話から分かっているだろうが、フィオナは私の一人娘だ。……確認をとるが、本当にフィオナは人攫いに遭ったのか?」

「ええ、私の目の前でね。その後すぐに追いかけて助け出したわ。犯人は捕まえられなかったけど」

 

 

 今にして思えば犯人を捕らえられなかったのは結構な痛手である。少なくとも顔ぐらいは確認しておきたかったが、深いフードのせいでそれすらもできずに逃げられてしまった。

 ひっ捕らえてたら二度と外で歩けなくなるぐらいにボコボコにしてやったのに。

 

 

「……それでそのお礼、か。アルバートから人間を連れてきたから許可が欲しいと聞いたときには流石に気でも狂ったのかと勘繰ったぞ。最初は断ろうとしたぐらいだ」

「それでも、許してくれたのよね?」

「アルバートに必死に嘆願されたからな……まったく、お前という奴は……入って来た挙句には有無を言わさない物々しい口調。要らぬ知恵ばかり身につけおって」

「ああすれば誠意と真剣さが伝わるでしょ?」

「誠意以前にお前の気がしれんわ。この不良娘が……」

 

 

 フィオナの口調は、外でオリヴァーと対面したときとは打って変わって気さくなものだった。それこそ、彼女の言う通り誠意と真剣さを見せつけるための演技だったのだろう。

 オリヴァーからはフィオナに苦労している雰囲気が、衣玖の能力に頼らずともバンバンと伝わってくる。しかも、それをフィオナは理解して尚自分の知的探求心を抑えていないのだから始末が悪い。オリヴァーが不良娘と呼ぶのも無理はなかった。

 なお不良娘という言葉に天子が同族の香りを感じたことは余談である。

 

 

「アルバートも苦労をかけるな」

「いえ、いつものことですから……」

「君ら二人も、こんな不肖の娘だが助けてもらってありがとう。そのことは、一人の親として感謝申し上げたい―――が、エルフの長としては、その限りではない」

「お父様!」

「それとこれは話が別だフィオナ。規則は規則である以上、たとえ族長である私だとしても―――いや、族長である私こそ規則を厳格に遵守しなければならない。それはお前も分かっているだろう?」

「………」

「それに規則云々以前に我々エルフの人間に対するイメージがそもそも悪い。人間を招き入れたという事実を認めてしまえば私の族長としての立場、ひいてはエルフ族のそのものが危ぶまれる。君らも、我々と人間の関係がどういうものなのか知らないわけではないだろう?」

「え、ええ。まあ」

 

 

 ついさっき知ったばかりだが。

 

 

「でもお父様、二人は精霊を見ることができる未知の存在なのよ!? 今までの常識をひっくり返す二人を、何もせずに放置しておくって言うの?」

「それこそ藪蛇だ。何が起こるか分からない以上、それをわざわざ引き寄せるなど被害の可能性の幅を広げるだけだ。突いたものが蛇ならまだしも、我々では対処できないものだった場合どうするつもりだ」

「………」

 

 

 オリヴァーの言葉にフィオナは反論できず押し黙った。理解はできるけど納得はできない、といった複雑な表情だ。

 

 結局のところ、着地点は価値観の違いなのだ。

 

 フィオナの立場は言うならば改革派だ。既存の価値観の打破を訴える、ここで言うならば「二人へのお礼を兼ねた人間とエルフの関係の再検討」と言ったところだろうか。

 精霊を可視できる存在の天子と衣玖を対象に、その関係を構築することで新たな地平を見出す。学者肌のフィオナらしい学問的知見の考えである。

 反対にオリヴァーは保守派である。エルフ単一民族の安定した基盤を揺るがす出来事を嫌い、その出来事を里から排除する。つまりとっとと帰ってくれと言っているようなものだ。

 二人の立場は両方間違っていない。ただ意見が真っ向からぶつかって相容れないだけである。

 

 天子と衣玖は二人の言い争いに参加することができず、ただ親子のやりとりを眺めていることしかできなかった。

 しばらく言い争いが続いた後、全く意見を曲げようとしないオリヴァーに、フィオナは怒り気味にいい放った

 

 

「もういいわ。お父様に許されなくたって私には、ばば様がいるもの! ふん!」

「……ばば様?」

「天子、衣玖、行こ!」

 

 

 急に席を立ったフィオナはずんずんと足音を強調させながら勢いよく扉を開けて部屋から出て行った。

 

 

「ちょっ、フィオナ、どこ行くのよ?!」

「し、失礼しました!」

 

 

 一足先に行ったフィオナを追うようにして二人は部屋を出て行く。出て行く際にはオリヴァーへの礼節も忘れずに行った。

 ただでさえ印象が良くないのに、さらに下げては連れてきてもらったフィオナに申し訳ない。彼女は二人のために争っていてくれたのだから。

 

 バタン、と木製の扉が閉められ、階段を勢いよく下る足音が小さくなっていく。空疎になった部屋の静寂の中でオリヴァーは深い溜め息を吐いた。

 

 

「……アルバート、すまないがついてやって行ってくれないか」

「はい。……しかし、行かせてよろしかったのですか。この時間となると長老は今あそこに……」

「……あいつは目利きだけは本物だからな。本当に害悪をもたらす奴ならそもそも連れてきたりせんよ。お前もよく知っているだろう?」

「はい」

「私も人間が入ることを許したわけではないが、あの二人は白だと睨んでおる。お前は納得いかないだろうがな」

「………」

「そういうわけだ、あそこに行かせるのは問題ではないだろうが、万が一のための保険としてお前があの二人とフィオナをよくよく監視しておいてくれ。長老ならばこの里にとっての最良の判断をしてくださるだろう」

「……分かりました」

 




毎日更新は厳しいことが発覚。主にモチベーションの停滞が原因。集中力が持続しません……

更新は週に二回に戻します……重ね重ね申し訳ないです;;

ついでに言うなら二月の第一週は私用で更新できません。ユルサレマセンね分かりますごめんなさい。
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