迷弓愛歌   作:マーグナー

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思いつきで描きました。作者のガルパのやり込みが足りてないかつ、最近ストーリーを読めていないので原作との矛盾を生じることがありますが、ご容赦ください。

タイトルの読み方はめいきゅうラブソングです。嵐さんの曲からMyGO!!!!!ちっくにしてみました。


1話:酒は飲んでも呑まれるな

 会話のノイズにはならないが、静寂をうまないようにクラッシック音学が流れているカフェの店内。時刻はやつどきということもあり、店内は満員である。

 プリンのプレートがSNSで映えると有名だそうで、客層は自分と同年代の若い女の子や、恋人同士の客ばかりである。かくいう私も、向かい合わせで座に座り、スマートフォンを弄る彼とは恋人同士であり、客観的に見ると、大勢の客達のうちの1組でしかないのだが。

 しかし、周りの恋人たちとは違い、沈黙が続いている。会話で盛り上がる彼らには、音楽は単なるBGMとして、脳で判断され、認識すらされていないだろう。しかし私にとっては、気まずい空間を気やすめ程度に中和してくれるありがたい存在となっている。

 付き合ってちょうど一年。これが倦怠期かと感じていたが、最近どうも様子がおかしい。沈黙自体はよくあることだと思う。ずっと喋りっぱなしの関係は私も辟易としてしまう。この一年という交際期間は、沈黙すらも心地いい関係を築けていたはずだ。ただ、ここ最近の彼の雰囲気には少し違和感をおぼえていた。向こうは割と話してくれる性格だったのに、自分の話をしなくなったことだったり、返事にそっけなさが出てきたり。まぁ、交際期間が延びれば、そういうものなのかと考えすぎないようにはしている。

 人気のプリンプレートとコーヒーのセット。彼は5分もかからずそそくさと平らげてしまった。あとは私が食べ終わるのを待つだけの時間となっている。美味しいですねと問い掛けても、一瞬だけ視線をこちらに向け、そうだねと淡白な返事だけを返し、すぐに視線を手の中の金属の板に戻す。それ以降、彼はこちらを見向きもしないで電気の流れる板にお熱である。最近は彼とゆっくりカフェの商品を食べながら会話を交わすことも減ったように感じる。悲しい。人気店なだけあって味は非常に美味しいものであったから、もっと感想を話し合いたいのに。

 あとは私がコーヒーを飲むだけである。そこそこの時間長居していたため、冷め切ってしまったコーヒーを啜り、やはり羽沢珈琲店のブレンドの方が美味しいなとそんなことを考えていたりした。ふと彼がスマートフォンから顔を挙げ、ポケットに入れた。彼は覚悟を決めたのか、少し息を吐いた。そして真剣な表情でこちらに向き、口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、紗夜。俺たち別れよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 は?彼は何を言っているのだろうか。

 

「すいません、もう一度言ってもらってもいいですか?」

 

 私は聞き間違えたのではないかと思い、もう一度問う。

 

「俺たち、別れよ。紗夜。」

 

 やはり聞き間違いではなかったようだ。彼の一言で私は、先ほどまで聞こえていた周囲の音がノイズキャンセルされたかのように聞こえなくなった。そして何故?という思考がぐるぐると回る。涙が込み上げてきそうになったが、堪えながら彼に理由を問う。

 

「好きな子ができた」

 

 端的に彼は答える。そこからの会話の内容は、きちんとは覚えていない。彼曰く、成人式で再開した中学の同級生と恋仲になったから、もう私の方は好きではないとのことだ。確かにそのタイミングあたりからだった。私たち2人の関係がギクシャクし始めたのは。私自身気づきかけていた。でも気づきたくなかった。気のせいだろうと感じていた。

 最後に彼の頬にビンタと、最低と捨て台詞を残して、カフェを退店した。周りの客たち全員が静まり返りこちらを向いていたと思う。我ながら自分らしくないことをした。そう思いながら帰路へ着く。途中料金を支払っていないことに気づいたが、もういいだろう。それくらい許してほしいし、彼が支払う義務があると思うことにした。

 せっかくの記念日だったのに。髪もいつも以上にに丁寧に巻いた。メイクも普段の倍以上時間をかけた力作だった。今井さんにも協力してもらい、ネイルもしてみた。服も新しいものをおろして、着飾った。それなのに、これはないだろう。そういえば、今日、褒めてもらえませんでしたね、全部。思い返すと余計に悲しくなる。うすうす察してはいたのかもしれない。彼の気持ちが離れていることを。別れてしまうことを。それでもせめて今日だけはやめて欲しかった。悲しさを通り越して怒りすら湧いてくる。とりあえず連絡先とSNSはブロックしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3/20、私、氷川紗夜は、20歳の誕生日に恋人に振られた。人生最悪の誕生日だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元彼と別れてから、家に帰ろうかとも思ったが双子の妹であり、同居人である日菜が今日は仕事でいないことを思い出す。1人で家にいる方が苦痛だと悟ったため、帰宅はしないことにした。今井さんに相談したかったが、今日は湊さんと2人で旅行に行っていることを思い出しやめた。白金さんも家族旅行。巴さんや羽沢さんもAfterglowのメンバーで旅行中。桐ヶ谷さんに相談するのも高校生に相談するのは気が進まない。ダメだ孤独で泣きそうだ。

 そこに赤い提灯が光始めた飲屋街が視界に入る。もう今日はお酒とやらを飲んでみることにしましょう。飲んで記憶を飛ばしてやりますよ。もうどうにでもなりやがれです。普段なら決してしないであろう覚悟を、危なすぎる精神状態で決め、私は飲屋街に向かった。

 適当に気になったお店に入店した、店員さんが元気よくいらっしゃいと声をかけてくれる。1人であることを伝えるとカウンター席に案内される。店内はまだ16時ということもあり、学生か、常連さんらしき人が数組いるだけだった。彼らはもうすでに出来上がっており、声のボリュームは上がり、笑い声をあげながら、盛り上がっていた。

 そんな彼らを横目で見ながら考える。そういえば、1人で居酒屋に入ることなどこれまでなかった。これまでもRoseliaのメンバーとの打ち上げか、元彼と一緒にしか訪れたことがない。それも数えるほどでしかない。周りは大学に入ってすぐの頃から新歓やら、サークルやらで飲んでいたと思う。しかしお酒は20歳から、私は律儀にその法律を守っていた。お酒に魅力を感じていなかったというのも多いだろう。だから居酒屋の良さは正直わからなかった。

 メニュー表と睨めっこをしていると店員さんがオーダーを聞いてきた。何もわからなかったが、最初の1杯はビールという風習があることを思い出し、右も左もわからない私は生中一つを店員さんに頼んだ。あとはおすすめのメニューをいくつか紹介された。口が上手で見事に乗せられてしまいそのおすすめも頼んだ。ポテト大盛りも忘れずに。

 お通しとビールが届いた。黄金に輝く液体にキメの細かい白泡が7:3の黄金比でジョッキ注がれたビール。よく見るやつだと謎の感動を胸にビールを口に含む。ニガい…。正直あまり美味しくは感じない。世の大人や同級生たちはこのようなものを飲んでいたのか。だが、喉を通っていく感じは心地よくはある。ビールは慣れというし今後美味しくなっていくのだろう。そんなことを考えていると1杯目が飲み干していた。

 2杯目はレモンサワーを頼んだ。レモンの酸味が心地よくポテトとの組み合わせも素晴らしいの一言に尽きる。個人的にビールよりはこちらの方が好みだ。この組み合わせ止まらない。2杯目、3杯目、4杯目とお酒が進む。そこにおすすめされていた他の商品も届いてくる。唐揚げ、だし巻き卵、天ぷら、お刺身。どれも非常に美味しい。お酒とも組み合わせが良い。なかなかに、悪くないですね。もはや口調が誰ですか状態である。

 次第に頭もフワフワしてきて、沈んだ気持ちも晴れ、気持ちよくなってきた。こんな時間に飲んでいるのはダメな人間かもしれないと、最初は罪悪感を感じていたが、なんだ、こんなにも楽しいことを今まで私は知らなかったのかと後悔すら湧いてきた。私、氷川紗夜はお酒の魔力にどっぷりである。そんなことを考えながら、お酒を口に運んでいく。空のジョッキがどんどんたまっていく。

 

 店員は心配していた。最初、入ってきた時は死にそうな目をしていた彼女が徐々に光を取り戻す様を好ましく思っていた。しかし、その、あまりにも飲みっぷりが良すぎるのである。料金は取らないからとこっそりチェイサーの水にすり替えて、提供するほどには。誇張気味に言うと運動部の夏の水分補給か?と疑うほどのペースをずっと続けているのである。不安である。そんな心配はよそに彼女は止まらない。しかし、ベロンベロンに出来上がっていく様を店員は眺めることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒ポテトお酒

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなループを繰り返していると、周りには仕事終わりのサラリーマンたちが入店してきており、先ほどまでとは打って変わって店内は大盛り上がりであった。仕事の愚痴をこぼす者、恋愛話で盛り上がる者、色んな人がお酒という飲み物で気を高揚させ、人々に活力を与えている様子を直は見ていて非常に楽しかった。まぁたまに声をかけてくる人がいたが、適当にあしらう必要があったことだけが不満だが。居酒屋も悪くない。なんなら印象は大分好転した。いい経験だったまた飲もう。その想いを抱き、最後にお会計をし、店を後にした。何故か店員さんが安心した目で見てきたことは謎だったが。私の記憶はここで途絶えている。

 

 

 

 

 

お会計

生中ハッピーアワー    ×1 290円

レモンサワーハッピーアワー×10 2000円

レモンサワー       ×12 4800円

ポテト大盛り       ×3 1500円

唐揚げ          ×1 500円

天ぷら盛り合わせ     ×1 600円

だし巻き卵        ×1 400円

お刺身盛り合わせ     ×1 990円

 

合計           11,080円(税込)

退店時間20時14分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭が痛い。身体もダルい。気持ち悪い。これが二日酔いというものなのでしょう、なかなかしんどいですね。流石に飲みすぎました。とりあえず水を…。そんなことを考えながら目を開くと、私は血の気が引いた。

 

「ここは何処ですか…、それになんで私は裸なんですか!?」

 

全く知らない部屋に私の叫びが響いた。




多分紗夜さんって、お酒にハマると思う。そんなイメージからこの一話の構想ができました。流石にこんなお酒の失敗は絶対しないけど。
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