迷弓愛歌   作:マーグナー

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5話:私の太陽

 あの後、一ノ瀬くんと連絡先の交換だけをして帰宅することになった。

 酔った流れで起こったことだから仕方がないことなのだと、また今回のことは一切他言しないから、安心してほしいと彼は言ってくれた。私を責め立てることもなく、そればかりか、自分の意思が弱かったせいだと反省すらしていた。

 まぁ、全く何も覚えていないのは彼も予想外だったそうで、そこだけはとても悲しそうに、ガックリと項垂れていた。それもそうだろう、本気の愛の告白をしたのに、全てが無かったことになっているのだから。私なら当分相手と顔を合わすことすらできないと思う。

 しかし彼が項垂れていたのを一瞬で、自分の頬をたたいた。そして高らかに私に宣言してきた。

 

 「ガンガンアタックするんで覚悟してくださいね。絶対に好きにさせますから。」

 

 普段の優しい雰囲気とは異なる、ギラついた笑顔だ。こうした直球さも、若さゆえだろうか。本当に(したた)かだ。

 ギャップに少しときめいてしまう。…あれ、これ押されたら一気に持ってかれてしまうのでは?元々一ノ瀬くんには好印象を抱いていましたし。加えて、なかなかな、優良物件である。とりあえず私は、考えることをやめることにした。そうして、私は彼のマンションを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家に帰宅すると、ロケから帰宅した、日菜が迎え入れてくれた。

 

「おねーーちゃん!おかえり〜。あとお誕生日おめでとう〜!!」

 

 そう言って日菜は抱きついてくる。

 

「ただいま、日菜。誕生日は昨日、お互いに通話で祝いあったでしょ?」

「直接は、まだ何だもん!おねーちゃんはわかってないなー」

 

 そう言う日菜は頬をパンパンに張らせて、ムスーとしてくる。今にもプンプン私怒ってますということが伝わってくる。思わず頬が緩んでしまう。

 

「そうね。日菜、誕生日おめでとう。少し意地悪をしてしまったわ。」

 

「えぇ〜、お姉ちゃん、ひっどーい」

 

もう、ひなちゃんおこだぞーなんて言いながら、日菜は頬を摘んでくる。

 

「ふふ、ごめんなはい。らから、ほほをひっはっるの、やめへくれなひかひら?」

 

「もぉー、仕方ないなー。そうだお姉ちゃん。デパートで美味しそうな、お料理買ってきたんだ〜!だから、お酒と一緒に食べよ〜?」

 

「助かるわ日菜。ありがとう。」

 

「うん、お酒も美味しそうなの選んだんだー!あっ!スープ温めてるの忘れてたー!ごめんお姉ちゃん先にいくねー。」

 

キッチンに、パタパタと戻っていく日菜

 

「もぉ、日菜ったら。」

 

 日菜は本当に忙しない子である。私は、荷物を自室に置き、上着をかけ、部屋着に着替える。いつも来ているジェラ○ケの部屋着は、元彼からもらったものだ。相当可愛いから気に入っているのだが、着るのを一瞬躊躇ってしまう。しかし物に罪はないと言い聞かせて、そのまま着ることにした。

 リビングに入ると、キッチンで日菜が盛り付けをしていたので、手伝うことにした。手を動かしていると、報道番組のあるニュースが耳に入ってくる。

 

 『先ほど、都内の大学生の男が中学生の女子をホテルに連れ込み、わいせつな行為を行ったとして、慶鵬大学に通っている中田ショウ、20歳の男を逮捕しました。男はSNSで女子生徒と知り合い、そのままホテルに行き、わいせつな行為を行ったとのことです。男はー』

 

 「えー、そんな下の子に手を出すなんて最低だねー。お姉ちゃん。」

 

 日菜の何気ない、ごく当たり前の言葉がグサリと刺さる。

 

「そうねぇ、でもお互いに愛し合っていたとしたら、男性側も可哀想ね。」

 

 平静を装いながら、私は無難な答えを返す。少し弁護してあげたのは、自身の罪悪感からではない、決して。決して。

 

「しかも、私たちと同じ大学だったよー。案外他にもそういう人がいるのかなー?」

 

「サー、ワカラナイワー。」

 

「お姉ちゃん棒読みすぎー!。おもしろーい!」

 

 全く面白くない。こっちの気も知らないで。冷や汗が止まらない。心臓バックバクである。

 

「さぁ、盛り付けも、もう少しよ。さっさと終わらせて、食べましょう。お腹が空いたわ。」

 

「そうだねー。」

 

 盛り付けの話をすることで、無理やり話題を切り替えた。感の鋭い日菜なら、怪しまれてしまう恐れがある。気をつけないといけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 盛り付けも終わり、テーブルに食事が並ぶ。ローストビーフ、唐揚げ、大盛りのポテト、カルパッチョ、チーズ盛り合わせ、シーザーサラダ、最後に日菜作のミネストローネ。豪華なラインナップである。

 

「本当に、美味しそうね。」

 

「えへー、だってあたしが選んだもん、絶対に美味しいよ〜。」

 

 日菜と私は、ほ○よいのカシスオレンジで、缶をあけ、乾杯をする。

 

「それじゃあ、1日遅れだけど、あたし達姉妹の誕生に、かんぱ〜い!」

 

「ええ、乾杯。」

 

 カチンッとアルミ同士がぶつかる音がする。2人合わせてほろ○いを口にする。

 

「ぷはー、これ美味しいねお姉ちゃん。でもほとんどジュースみたーい。」

 

「えぇ、美味しいわね。でも油断してはいけないわ、すぐに酔いが回ってくるかもしれないもの」

 

「えぇー、大袈裟だよー。明日はお休みだし、今日はいっぱい飲むぞー。お姉ちゃんも付き合ってよね〜」

 

「はいはい。とりあえず料理もいただきましょう?ほらこのローストビーフもとても柔らかくて、美味しいわ」

 

「本当だ!すっごくるんっ☆てする!お姉ちゃん、お姉ちゃん!こっちのポテトも美味しいよ!」

 

 楽しい楽しい夕食が始まった。

 

 1時間後、あんなにいっぱい飲むぞと息巻いていた、日菜は結局ほろよ○3本で、がち酔いになってしまっている。頬は火照り、いつも活発な姿は嘘のように、しおらしくなっていた。常にえへへとお口ゆるゆる状態である。

 

 「おねぇちゃーん…、大好きぃ、えへへ」

 

 何この可愛い生き物。私は無言でカメラを向けていた。カメラを向けるとこの妹、職業病なのか、多彩なポーズを決めてくれる。でも残念ながら動画なので、そのポーズ達が最大ポテンシャルを発揮することはないのだが。しかしこの日菜をみていると心配になる。職業柄、外で飲むこともあるだろう、こんなの他の男に見せては危険だ。白鷺さんあたりに動画とメッセージを送っておかなければ。

 

「いいなぁ、彼氏さんは、お姉ちゃんを独り占めできるなんて…」

 

 日菜がそんなことを言ってきた。まだ話していないことをすっかり忘れていた。日菜にはきちんと話しておかないと。

 

「そんなことないわよ。それと日菜少しお話があるの。」

 

「どおしたの?お姉ちゃん?」

 

「私、あの人と別れたの。」

 

 日菜は目を見開き、前のめりなり、こちらがわに乗り出してきた。酔いが一気に覚めたのだろう。日菜の目には怒りが宿っていた。

 

「いつ?」

 

「昨日よ。」

 

「原因は?」

 

「あの人の浮気。少し倦怠期気味だったけど、もう私に興味なかったみたい。」

 

「ちょっとあいつ殴ってくる。」

 

「そんなことしないで日菜。夜も遅いし、そもそも連絡先知らないでしょ。大丈夫よ。もう終わったことだから。」

 

「でもぉ!お姉ちゃんアイツのことすごく大事にしてた。なのに、他に女作ってバイバイなんて。ひどいよ。」

 

日菜は目に涙を浮かべていた。

 

「お姉ぢゃーん。1人で辛かったよね?寂しかったよね?昨日いっじょに入れなくてごめんねー…。うぁーーん」

 

 日菜は泣きながら私に抱きついてきた。私も日菜を抱きしめる。

 

「仕事だったのだから、仕方ないわよ。日菜が怒って、泣いてくれるだけで、私は嬉しいわ。」

 

「うぁーーん、おねぇちゃーーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日菜は、そのまま私の胸の中で泣き続けた。泣き止んでからも私のことを離そうとはしなかった。今日は久しぶりに、一緒にお風呂に入った。お互いに洗い合いっこして、一緒に湯船に浸かった。髪もお互いのを乾かしあった。そして一緒の布団で抱きしめあいながら眠りについた。

 ありがとう日菜、あなたが妹でよかった。突き放したこともあったのにこんなにも慕ってくれてる。感謝してもしきれない。

 

 

 

愛してる私の太陽。




さよひないいですよねー。2人の関係性違うかもしれないし、日菜ちゃんのキャラこれであってるかわかりませんが。
あと、ガルパの慶鵬は女子大から、普通大学になってます。この世界の○應ですね。紗夜の元彼も同じ大学に通っている設定にしてます。前話の愚痴でギャンブルとか書きましたが、慶○生が積極的にするイメージがありませんね。まぁいいでしょ。
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