迷弓愛歌   作:マーグナー

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タイトルに特に意味はありません。ノリと勢いでつけました。


6話:ギャル!

 部屋にアラームが響き渡る。絶妙に不快感を刺激するそいつは僕の意識を、睡眠世界から現実世界へと引きずり出す。そのタイミングでカーテンがひとりでに、ゆっくりと開き始める。差し込んでくる朝日は、寝ぼけた意識を覚醒へと導く。日光に当たるとサーディアンリズム?というやつがリセットされ、生活のリズムが良くなるのだそうだ。流れてきたショート動画でそれを知り、即買いした機械はカーテンが設定した時間にカーテンを開けてくれる。おかげで、弱かった朝が少し改善された気がする。上半身を起こし、伸びをする。時刻はまだ6時を迎えて少ししか立っていない。正直眠いが、春休み明けに地獄を見るくらいなら、習慣を崩さないほうが良いことは、ここ数年で学んだ。実行してはや2日、このまま継続して見せようじゃないか!寝起きでテンションが狂っている。失敬失敬。

 自室を出てリビングに向かう。扉を開けても誰もいない。もう慣れた光景だ。静寂が嫌なので、テレビをつける。アナウンサーが朝のニュースを報じている。ニュースは環境音だ。ニュースを左から右へ聞き流しながら、冷蔵庫から浄水容器を取り出して水を飲む。

 

「そういえば、また見たな。あの夢…。」

 

 よく夢をみる。夢の中の自分は今よりずっと小さくて、目線も今よりずっと低い。視界には昔住んでいた家のリビングの扉が映っている。扉の向こうで、父と母がお互い大きな声で言い争っている。内容は覚えていない。言い争いが始まったのは、両親が離婚する一年くらいからだった。2人の声が、別人のように荒々しくて、その声がいつも怖くて僕は泣いていた。いつも僕が泣いている夢。そんな夢をよく見る。

 

 喧嘩が始まると、いつも姉が別のお部屋で遊ぼうと誘ってくれた。僕を怖い場所から遠ざけてくれた。そんな、優しい姉が大好きだった。しかし両親が離婚した。姉は母親について行き、僕は父についてきた。だから姉とはそこで離れ離れに。まぁ定期的に会っているから今生の別れというわけではないのだが。

 父も母も、お互い仕事人間で家族を築くのが向いてない性格だったんだと思う。離婚してからはたまに会っても喧嘩はしていなかったし、なんなら、楽しそうに会話をしていた。結婚していた頃より仲が良くなったのではないかとすら思う。だが、それに子供を巻き込んで欲しくはなかった。今、立派なマンションに住めているのも、何不自由なく生活できているのも、父のおかげだ。だが、父親として何かしてもらった記憶はほとんどない。今も大半が長期の出張、帰ってきてもすぐにまた別の仕事で遅くまで会社に残るし、朝早くに家を出る。そしてまた長期の出張。そんな生活がここ何年か続いている。わかっている。望みすぎなのかもしれない。あぁ、寂しいな。

 

「ダメだ、考えすぎた。とりあえず、ご飯食べよ。昼はバイトで、夕方から姉さんに会うんだし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日はスタジオにRoseliaの5人が集まることになっていた。スタジオの扉を開けると、クラッカーがの音が軽快に響いた。

 

「キャッ、何事ですか!?」

 

「「「「「紗夜(さん!)(氷川さん…)、

お誕生日おめでとう!(ございます…)」」」」」

 

時間通りに来たつもりだったが、4人はもう来ていたみたいだ。スタッフさんも含めて、盛大なドッキリだ。非常にびっくりしてしまった。

 

「サプライズですか、びっくりしました。」

 

「テッテレ〜⭐︎ドッキリ大成功〜!」

 

「フッフフー、我が計略に狂いなどない!やったねーりんりん」

 

「そうだねあこちゃん。氷川さん、これ…、4人で選んだ…。プレゼントです。どうぞ。」

 

「皆さん、ありがとうございます。中身はあとで確認しますね。」

 

「紗夜もこれで20歳ね。4人でまたどこか行きましょうか」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと友希那さん!あこも一、あこも一緒連れていってくださいよ〜!」

 

「冗談よ」

 

「それはそうと今井さん、手に持ってるカメラはいったい?」

 

「公式SNSにアップする用の動画をとってるだ〜。いいリアクションだったから多分載せると思うよ〜☆」

 

「もう、恥ずかしいです。皆さんの時も覚悟してくださいね。全身全霊で皆さんに恥をかかせます。」

 

「喜ばせるんじゃないんだ!?」

 

「みんな、そろそろいいかしら、時間は限られているわ。練習に移るわよ。」

 

「「「「はい」」」」

 

 その後は5人で何曲か合わせを行い。各々の新曲、既存曲のレコーディング。次のライブのセットリストと衣装、演出についての打ち合わせ。グッズ展開についてのお話などが行われた。ぎっしりと詰まった、密度の高い時間が過ぎていった。朝から始めたのだが、気がづけばもう夕方だった。

 

「それでは今日は終わりになりまーす。皆さんお疲れ様でしたー。」

 

「「「「「お疲れ様でした。」」」」」

 

 マネージャーさんの一言で今日は解散する運びになった。

 

「どうしますかー?今日は打ち上げ行きますかー?」

 

「ごめんなさい。用事があるので今日は欠席させてください。」

 

「あこ、ごめん!アタシも今日ちょっと用事あるんだ〜。」

 

「ぜんぜん!そんなことないですよ〜。また今度行きましょう〜!」

 

「そうなのね。じゃあ今日はそのまま解散にしましょう。皆、気をつけて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スタジオを出て、メンバーと別れてから、私は居酒屋に来ていた。今回のお店は前回の大衆居酒屋とは違い、おしゃれ居酒屋に分類されるお店なんだそうだ。女性でも入りやすいおしゃれな外観で、可愛らしく、おしゃれな料理や飲み物が楽しめるらしい。予約していた旨を伝えると個室に案内された。しばらく待っていると待ち人が個室に入ってきた。

 

「お待たせ〜紗夜〜。どうしたの?昨日連絡きた時はびっくりしたよ〜。2人で飲みたいって。しかも、皆んなには内緒ってさ〜。」

 

 待ち人である今井リサが到着した。

 

「いえ、相談したいことがありまして。今日はわざわざありがとうございます。」

 

「イイよーぜんぜん。予定は入れてなかったしー。ナニナニ?恋バナ?もしかして惚気話かなー?」

 

「そういう話といえば、そういう話ですかね。とりあえず飲み物頼みませんか?」

 

「それもそうだね。んー、アタシはこのゴロゴロイチゴチューハイにしよ〜っと。」

 

「美味しそうですね。…それでは、私はギッシリみかんチューハイにします。」

 

「こっちの携帯でQRコード読み取るね」

 

 テーブルのQRコードを読み取り、ドリンクと適当なお料理をオーダーする。そういうシステムのお店らしい。なかなか便利だとか考えていると、先にドリンクとお通しが届いた。

 

「えぇ、このドリンク可愛いー!写真撮ってもいい?」

 

「構いませんよ。」

 

 写真を撮る今井さん。パシャパシャと数枚写真を撮る音がする。

 

「ねぇ、紗夜。お酒こう持ってー。」

「こ、こうですか?」

「違う、そうじゃなくてこう!」

「はい。」

「OK、そのままねー。撮るよー。よしOK。」

 

 今井さんは、インカメに切り換え、私たち2人が画角に入るように器用に写真を撮る。取れた写真が送られてくる。流石は今井さんだ、手慣れている。

 

「紗夜ーこれ、SNSにあげていい?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ。」

 

「ごめん、ありがとうね、それじゃあ食べよっか!カンパーイ!」

「乾杯。」

 

「いやー紗夜と2人でお酒を飲むなんて、ぜんぜんイメージしてなかったな〜。」

 

「えぇ、私もです。」

 

 なんなら、解禁されてから皆勤賞である。

 

「でー、2人きりの理由は〜?彼氏くん絡み?そうだ!ネイル!どうだった?褒めてもらえた?」

 

「そうですね。その節はお世話になりました。ネイルは褒めてもらえなかったです。」

 

「えぇー、それへこむやつだー。折角、頑張って上手にできたのに〜。」

「本当にそうです。」

 

「あのネイル塗る時の顔、あ、写真撮ってたんだ。見てみてーめっちゃ顰めっ面〜。」

 

「ちょっと、消してください。恥ずかしい。それはそうと本題に行きますね。」

 

「うん、ナニナニー?」

 

「彼と別れました。」

 

「えっ⁉︎マジ⁉︎いつ別れたの!?」

 

「一昨日です。」

 

「一昨日って誕生日じゃん…。ヤバー…辛かったよね?」

 

「でもこれは正直おまけですね。」

 

「いや、結構びっくりしちゃってるよ。これ超えちゃうのあるの!?」

「本題はこっちです。」

 

「え、ナニ!?全然想像つかない。ワンナイトでもやった!?」

 

「正解です。」

 

「ごめん、ワンナイトなわけ…えっ?」

 

「正解です。」

 

「嘘でしょ?あっ、あれ?一晩で狼をあてる。」

 

「ワンナイト人狼ではありません。」

 

「それじゃあ、ネットで登録する時に送られてくる。」

 

「ワンタイムパスワードでもありません。」

 

「ワンナイトLOVE?」

 

「はい、ワンナイトLOVEです。」

 

 謎にラブの発音がよいのはなんなのだろうか。沈黙が流れる。私はみかんチューハイに口をつける。なかなか、美味しいですね。見た目だけかと思っていたが、果肉が口の中で美味しさを際立てている。追加でチューハイだけ入れると安く飲めるんですね。一回でこの果実の量は多いと思ってたので助かります。

 

「紗夜…。私でもやったこと、ないよ?」

 

「ゴミを見る目をするのはやめてください。見てください私の目を。光が灯ってないでしょ。」

 

「こりゃ、2人で飲みたいって誘ってくるわけだねー。他の3人には話せないよ。他に話した人はいるの?」

 

「いえ、今井さんだけです。」

 

「んー、信頼されてるんだろうけど、リアクションに困るなー…。」

 

「ちなみにまだあります。相手が中学生でした。」

 

「紗夜?」

 

「安心してください。この春、高校生になる子です。」

 

「紗夜?全然安心できない。本当にどうしちゃったの?私そんな悪い子に育てた記憶ないよ?。」

 

「その日の記憶は私もありません。」

 

「そこ、ドヤるとこそこじゃないよ!?え、Roselia大丈夫なのこれ!?」

 

 ここで店員さんが、料理を持ってくる。頼んでいた、追加チューハイも届いた。

 

「お料理も届きましたし、食べましょう。お酒を入れて話さないとやってられません。最初のところから、徐々に話しますから。」

 

「あはは…。紗夜がどんどん変わっちゃう….。あーもう、付き合うよー!私も多分飲まないとメンタルやばい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこからは、お酒と勢いも手助けしてくれて、ほぼ洗いざらい全部話すことができたと思う。元彼に対しては怒ってくれたし。それ以降のやらかしを聞いている今井さんは、顔色がコロコロ変わって、見ていて面白かった。1人でかかえ込んでいたのを話すことができて、だいぶ心が軽くなった。今井さんには感謝しかない。

 だから、今隣で千鳥脚になっている彼女を家まで送り届けるのは、私の使命だと割り切ることにした。

 

「今井さん、しっかりしてください。」

 

「紗夜〜、2件目!2件目いこ〜!!!」

 

「行きません!!ほらお水飲んでください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は数刻前に遡り、場面はそら宅に切り替わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい、姉さん。少し遅かったね。」

 

「ごめんね、バンドの練習がちょっと長引いちゃった。立希ちゃんあのんちゃんに厳しいんだもん。それと姉さん、じゃなくて、昔みたいにお姉ちゃんって呼んで欲しいな。」

 

 なんて言いながら少し拗ねている彼女は、僕と同じ髪色、同色の瞳をしている。今は母の旧姓を名乗っている彼女は長崎そよ。MyGO!!!!!のベーシストであり、僕の姉である。




紗夜さんお酒強過ぎ問題。かつ酒クズルートまっしぐら。
そよりんの口調をインプットしてきます。合ってるのか、全然わからんです。
追記、アニメの離婚前らしきシーン見てきたんですけど、ハイスペママと父親の2人働であの家だと仮定すると、今作の僕の設定、父親超絶強化しないと成り立たなくないですか?んー、独自設定って書いてるしスルーします。
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