『海祇島の防人』   作:珊瑚宮専属の下っ端

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気付いたら去年の心海様生誕日からちょうど1年経ってしまった……!!誕生日おめでとう心海様!!2時間遅れは許してください!!!
仕事の方がかなりギリギリですが一段落ついて、もう後は自分が担当するものがないのでなるべく投稿できるように頑張りたいと思います…。
例のごとく拙いかもなので、温かい目で見守るなりこっそり誤字等を教えていただければ幸いです…!


2巻

珊瑚宮心海様……もとい望月様の言葉を受けて点検を中断し、フライムの暴走しているという場所まで崖をひょいひょいと降りて迅速にフライムの管理先の1つである水辺へ行くと、巫女様の言う通り十数匹で集まっているフライムがフワフワと浮いていた。

その内の1体がこちらに気付いた後、そのモノアイをまるでこちらを嘲笑う人の表情のように変えながらふわふわと浮いてこちらを向いていた。

 

通常のフライムは全体的に大人しく、多くて3〜4匹ほどの少数の群れで決まった場所をフワフワと動き回っている。

フライムの管理先等とは言いつつも、要はこれまでの観察でわかってきた特定の個体のフライムの活動範囲をそう呼称しているというだけなのだ。

よって、柵などでその範囲を覆ってないため傍から見れば人の手の入ってない自然そのままと言える。

外敵などの考えがないわけではないが、この方がより自然な形での観察が望める上に元々フライムは他の群れと合流したり衝突する事はほぼない──理由は現在でも不明だが──ため、これで問題ないのだ。

 

それ故に、目の前の光景はそれとは全く異なる異分子であると言えるだろう。

十数匹という通常では有り得ない数、本来はない他の群れとの合流。

 

そして何よりも、畏れ多くも偉大なる珊瑚宮心海様に管理される魔物の分際でそれに逆らいながらも、その下っ端である俺を馬鹿にするような目線を向ける下等生物!

 

(へえ、随分と調子に乗ってやがる…!)

 

額に青筋が浮かびそうな程に内心の苛立ちが膨れ上がっていくのを抑えつつ、俺は移動時から手元に出していた法器に元素を込めながら臨戦態勢に入り、フライムの行動を伺う。

 

すると、不意に足元から奇妙な元素の反応を感じた。

目線だけを一瞬下に向けると、水辺にしては不可解などに大きくブクブクと音が立つように気泡が飛び出して今にも破裂しそうな程に元素が溜まり続けていた。

 

「(…!!)」

 

何が起こるかを悟ってすぐにバックステップで後退、その直後に先程まで俺がいた場所に水元素の通常の人なら怪我は免れないであろうそれなりの規模の爆発が発生していた。

 

今のはフライムが敵対行動を取る際によく行う攻撃の一つ、通称「噴水攻撃」というもの。

通常時の大人しいフライムなら使う事はまずない物の一つで、その上威力もせいぜい致命傷を与えるほどのものではないのだが、こうも当たり前のように使ってきた。

と、言う事は…

 

「(野郎、既に殺る気か…!)」

 

元々確定していたようなものだが…これでフライムの敵対行動、それによる正当防衛が成立する。

珊瑚宮心海様の虎の巻第十二巻第百五十四項にも概ね同じ事が書かれている。

そして…、珊瑚宮心海様の膝元とも言えるこの地でのその蛮行、最早一分一秒生かしておくのも胸くそ悪い!

 

「上等だ!てめえら全員揃ってボコボコにしてやる!」

 

怒りのままに自身の草元素を漲らせ、俺はフライムの群れに駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

〓〓〓〓

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか…ありがとうございます、下がって大丈夫ですよ。」

 

「はい、では失礼します珊瑚宮様。」

 

ぺこりと丁寧に頭を下げてから下がる巫女の後ろ姿を見送ってから、私は自身の事務の机に向き直ります。

 

「本当に仕事が早いですね、彼は…」

 

報告書に目を通しながら思い浮かべるのは、先程遣いを出した相手である湊音さんの事。

 

彼が海祇島の業務の半分ほどを携わってくれるようになってから、この島は大きく変わることができました。

自然を更に豊かにしてくれた事から始まり、島内の作物があまり育たない事や高低差の激しい崖や足場の少なさといった地形の問題の解決、幕府軍に対抗する為の兵士たちの訓練の質の強化や外交に魔物の管理等々……挙げ始めるとキリがありませんが、たくさんの内政に取り組んでくれて本当に助かっています。

いるのですが……。

 

「私の事となると過度に感情的になるのは、嬉しいやら困ったものやらで複雑ですね…」

 

如何なる事であれど…それが私に関係する事となると、まるで飢えたホホジロザメの如く相手が相手が誰であろうとも容赦なく噛み付いていくのは少し…まあ少し困ってしまいますね。

さすがにある程度は弁えているのか単身で本島(鳴神島)の雷電将軍に殴り込みに行く、という無謀な事はしないでくれていますが…いつまでもそうしてくれる、という保証があるわけでもありません。

 

「私も…覚悟を決める時ですね。」

 

内政の方はだいぶ落ち着いてきましたし、そろそろ本格的に本島の幕府軍との衝突もとい戦闘を行っていく事を考えて動かなければなりませんね…。

 

執務室の周りの泡たちが、パンっと弾けた音がしました。

 

 

 

 

 

 

 

〓〓〓〓

 

 

 

 

 

 

 

「っし、これで珊瑚宮心海様に二度と逆らうなよ雑種風情が。

 ……ん?雑魚風情、か。」

 

無駄に抵抗してきやがったフライムたちに()()()を済ませてから大人しくさせた後、俺はそう呟いた。

一応はこれで任務完了なんだが、ただこれだけを報告する為に珊瑚宮心海様の大事な御時間を取らせてしまうのも申し訳ないな…。

ふーむ……、…!

そういえば、ちょうど戦闘中にこの島にファデュイが懲りずにやってきたという()()が来てたな……。

 

「…よし。喜べ雑魚共、お前らに初の仕事をくれてやる」

 

「 !  ! !」

 

フライムたちが嬉しそうに飛び上がってからファデュイの一拠点へと進む俺の後ろをフワフワ浮いて付いてくる。

 

 

この後しっかりフライムたちと初ながらそこそこ上手く連携できてしっかりファデュイたちを撲滅したのだが、珊瑚宮心海様にそれを含めて報告すると何故か怒られてしまった。

誠に申し訳ありませんでした、珊瑚宮心海様……

 

 




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