シャーレの藤丸立香先生   作:アズカバー

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こんにちは。
掲載再開と同時に初歩的なミスをやらかした主です。修正しましたが教えてくれた方ありがとうございます。
今回は便利屋回です。
遅くなってすみません。


第四話:便利屋68と妖精王

 

 

 

 

???

 

 

 

 

夜のオフィスに男が二人机を挟み、睨み合う。

 

「……全く、そこらへんのごろつきなら兎も角、君ほどの傭兵が尻尾を巻いて逃げるなんて……どういうつもりだ、ランサー」

 

 カイザー主任……アビドスに圧力をかけヘルメット団に武装の提供を行っていた、いわば黒幕である。

 

空の前にいるのは先日アビドスと藤丸立香を襲撃したサーヴァント、クー・フーリン。

 

「どうもこうも、オレのマスターからはこういう指示だったはずだぜ?『藤丸立香がどれほどのものかテストせよ』ってな……」

 

 どこか愉快そうに言葉を発する彼に、カイザー主任は不愉快な様子を隠すことなく嫌味を発した。

 

「で?……成果の方は?君ほどの男が撤退を余儀なくするほどの相手だ……よほどの武芸の達人か……それとも戦場を自在に制御する軍師か?……まさか君主(ロード)レベルで魔術を使えるのか?……違うだろう?相手は何の力もないただの凡人だ……多少便利な礼装を持とうと、トンチンカンな曲技(忍術や八極拳)を出そうと……我々の軍事力には何もできまい……出来るはずがない!」

 

哀れに思えるほど見えすぎた虚勢をはる機械人の彼はランサーを睨みつけ、目線で肯定するように訴えていた。

 

「……ハッ、そうかよ……お前らがどう動くかは知ったこっちゃねぇが、俺の知ってるアイツの怖さは── お前らの想像をはるかに超える…それだけは覚悟しとくんだな」

 

「な、何か知っているなら話したらどうなんだ!君はどの男があんな凡人に怯えているのか?……そ、そんなはずはないだろう?クー・フーリン…!クランの猛犬!…あの男が何だというのか!たかが死にたいの一教員に過ぎない……それとも我々が致命的な見落としをしていると!?」 

 

先ほどまでの虚勢が消えて、焦り始める。

 

彼にとってクー・フーリンが撤退する事態は想定していなかった。彼一人いればアビドスが居ようが居まいが、関係ないと……そう踏んでいた。

 

「まぁアレだ……流石、二度も世界を救っただけのことはあるよな」

 

「……運が……運が良かっただけだろう……!あんな凡人がッ!」

 

「まぐれで世界が救えたら英雄なんていらねぇよ……今のアンタらじゃ相手するだけ時間の……いや金の無駄だな。しばらくは傍観に徹した方が無駄金使わずに済むと思うぜ?……俺たちとの戦争も残ってるんだからよ」

 

「くっ……わかっている!!……あの願望器を……()()を手にするのは我々だ……!今はあのイレギュラーとアビドスを片付ける……その後が貴様らだ、()()()()()!」

 

「へいへい、うちのマスターに伝えとくよ……じゃあな」

 

煙のようにクー・フーリンは姿を消し、主任だけが静かな部屋に残された……安心したかのように大きく息を吐き、電話をかけ始めた。

 

「私だ…例の便利屋に連絡を回せ…返事があり次第こちらで取り合う」

 

ピッとイラつきながら通話を切る。どうやらよほど腹を立てている様子だ。

 

「……いつまでそこに隠れて笑っているつもりだ!アサシン!」

 

クスクスクスっと鈴のような声をあげて、ケモ耳の美人秘書が笑う……本当に愉快な男。金払いもよく、揶揄い甲斐もあるとは……取引相手としては当たり(カモ)の部類ですね……悪くない引きをしました。

 

「そう怒鳴らないで下さいな♪……それに彼女たちは所詮使い捨てのコマと、資金を渋り安物で済ませたのは貴方様でしょう?……どうです、今度こそ。私のイチオシ、今ならお安くしておきますよ?」

 

「魔獣などという後で何が起こるか分からんもの誰が買うものか!!……だいたい貴様自らが戦えば良いだろう!?仮にも私のサーヴァントなのだから!」

 

「最初はそのつもりでしたが、期待していた[暁のホルス]があのザマとはおもいませんでした……今の彼女は私の求めるものとは違いまして……あれは爆発寸前の鯨、私には何の価値もありませんわ……むしろ私は貴方たちが探している例の」

 

「それ以上は喋るな化け物がッ!……何故よりにもよって我々はこんなハズレの英霊を……!」

 

と、主任は何故か悔しそうに咽び泣く。

 

「なんて失礼な!今の私は仮にもアサシン。立派な7基の一人だというのに……悲しいですわ、マスター様……オヨヨ」

 

「チッ!……ハァ……ピッピッ……私だ、便利屋68……例の件を……ああ、武器も弾薬も必要な分だけ手配する……いいか?失敗は許され無い……君たちを信頼しての依頼だからね……よろしく頼むよ……」プチッ

 

 このヤロウ、さりげなく舌打ちまでしやがりましたわ……それにしても便利屋68……あのコメディアンたちか……また、愉快な事になりそうですね……貴方もそう思うでしょう?

 

藤丸立香さん(私の神官)

 

 

 

 月明かりに映る影が不気味に歪んだ。

 

 

 

 

アビドス対策委員会部室

 

 

 

「〜〜〜!!??」ブルブルブル

 

おっ悪寒がした!?なに?なんなの?毒入りケーキを食わされそうな予感がする……怖い!赤兎馬とロボ、あとアステリオスを呼ばないと、何故だかまともに戦えない気がする!

 

「どうかしたの先生?顔色悪いわよ?」

「いや、ちょっとトラウマが……」

 

 いろんな世界にカルデアはあるってドラコーは言ってたけど、他の世界の俺はどんなパーティで乗り越えたのかな。

 

「......体調悪いなら今日の会議休んでもいいわよ?みんなには私の方から言っておくから」

 

「ううん、大丈夫。」

「それよりも会議ってどんなこと話すの?」

 

「アビドスの借金返済のための解決策を各々言っていくのよ。」

 

 

 

「……では、これよりアビドス定例会議を始めます!司会は私、奥空アヤネが努めさせてもらいます。」

「今日は先生も居ますから、真面目に、真・面・目にお願いします!」

 

「お、おお」

 

凄い気合……アヤネ、随分気合い入ってるなぁ。

 

「はい!」

「はい黒見さん、お願いします!」

「黒見さんって……ねぇアヤネ、普通に行かない?なんかやりずらい」

「セリカちゃん、今日は先生もいるんですからたまには真剣に考えないと……」

「……私、いつも本気なんだけど……まぁいいや……私の案は、コレよ!」

 

バシッ!と勢いよく一枚の紙を机の上に叩きつけたセリカは、演説を始める。

 

「アビドスの財政状況を振り返ると、月の利息だけで788万クレジット!アビドスの会計としてはっきり言わせてもらうけど、破産寸前よ!みんなわかってるよね!?」

 

「うん」

「そりゃ〜ね〜.」

 

「私たちだって必死に稼いでいるけど、利息の返済にすら追いつけていない!そこで、ここはでっかく一気に稼げる方法を用意したわ!」

 

「でっかく、ですか?」

「それは一体!」

 

みんながセリカに期待を込めた視線を送る……何だか机の上の紙に不安の残るフレーズが陳列しているが……セリカほどしっかりしてる子がまさかこんな詐欺に引っかかるはず……

 

「このチラシをよく読んでちょうだい!」

 

ダメだったか〜!!

 

「どれどれ〜……『ゲルマニウム変飯石ブレスレットであなたも一攫千金』?」

 

「そう!これでがっぽり稼ごうよ!この前、街で声かけられてね、何でも幸運を呼び込む効果があるんだって!身につけるだけでも効果があってね、これを後3人に売れば」

 

「……誠に言いづらいことなのですが」

 

「な、何よ先生……急にかしこまって……」

 

「えっとねセリカ……これは典型的なネズミ講の手口だよ

「え゛」

「そんな馬鹿な!?」とでも言いたがな表情を浮かべるセリカに、頭を抱えるホシノ。

 

「どうみてもこれはマルチ商法ですよ!却下です却下!」

「儲かるわけがない」

 

と、アヤネとシロコの全力否定が入り、セリカは崩れ落ちた。

「嘘でしょ、私このブレスレット3.つも買っちゃったんだけど……?」

 

「なんて惨い……!」

 

 もしかしてセリカって騙されやすいのか?……今度からセリカがチラシ持ってきた時はついていこう……不安だ。

 

「……えっと、セリカちゃんの件は後で何とかするとして、次はおじさんの意見だね〜」

 

「では、ホシノ委員長、お願いします!」

 

「ホイホイ……ズバリ!他の学校の生徒のバスをジャックしてアビドスへの転校届けにサインをさせちゃおう!」

 

「何言ってるんですか!?」「何言ってるの!?」

 

アヤネとツッコミがハモる……流石に冗談だよね?

 

「……いいね、狙うならどこにする?ゲヘナ?トリニティ?……どの学園を狙うかによって計画を考えないと……!」

 

「……何でシロコは乗り気なの?」

「……ええっと?」

 

ホシノも困ってるし……

 

「論•外です!そんなのだめに決まってるしゃないですか!?シロコ先輩も!襲うのも計画を立てるのもダメです!ダ・メ!!」

 

 肩で息をしながら全力で拒否するアヤネ……不憫だ。

 

「……では、次は私の番ですね!」

「では、ノノミ先輩」

 

「はい!」と元気よく返事をしてホワイトボードに可愛らしい丸文字でこう書いた。

 

「……アイドル?」

「はい!みんなでアイドルをやりましょう!」

 

勘弁して……

 

「おお〜先生が露骨に嫌そう」

「安心してください、先生!先生にはプロデューサーの方を」

「勘 弁 し て」

「本当に嫌そう……なんかあったの?」

 

思い返すはカルデアの日々……でも、なんやかんや楽しかったな

 

「……とにかく、やめとこう」

「え〜みんなのアイドル衣装見たくないんすか?」

「見たいけど……お金を稼ぐのは難しいと思うよ。」

「私たちならいけます!」

 

すごい自信だ。

 

「……意見出しはここまでかな?」

「まともな意見が一つもありません……」

「……銀行強盗は?」

「シロコ!?さっきから物騒がすぎるよ!?」

 

 みんなはあまり気にしてなさそうだし……ひょっとしてオレが異常なの?……それともキヴォトスなら普通なのか?

 

「もう先生に決めて貰えば〜?」

「ホシノにまで丸投げされた……じゃあアイドルで」

「やったー!」

「……ぃ……いい加減にしてください!!」

 

ガッシャーン!!!とアヤネの怒りが頂点に達し、机をひっくり返した事により、本日の会議は幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんってアヤネちゃん〜ほら、チャーシューあげるから」

 

「……貰います」ムスッ

「ほら、私からはナルトあげるよ」

 

アヤネの怒りをおさめるために、私たちは柴関ラーメンにきてアヤネにそれぞれのトッピングを渡すことで、怒りを鎮めてもらおうとしていた。

 

「ありがとうございます……先生って悪ノリするタイプだったんですね……」モグモク

「あはは……チャーシューもあげるね」

「……次からはちゃんと止めてくださいね?」

 

 止め切れるかな……なんにしてもアヤネの機嫌が戻ってくれたようで安心である。

 

「というか何でまたウチの店なの?」

「安いし」

「近いし」

「可愛いですし」

「美味しいですから」

「以下同文」

「アンタらねぇ……」

 

 そのとか、ガラガラと戸を開ける音と共に黒い制服と黒い帽子を被った生徒が入ってきた。

 

「あのっ……この店で一番安いメニューはいくらでしょうか?」

 

「いらっしゃいませ!一番安いメニューですと500クレジットになります!」

 

 値段を聞くと帽子を被った生徒は花が咲いたような笑顔になり、「ありがとうございます!アル様!ありました!」と戸の外へ声をかけた。

 

「よくやったわハルカ!」

「やっと食事にありつける……」

「いや〜こんなところにラーメンがやってるなんて知らなかった、さすがアルちゃん!」

 

と3人の生徒が来店してくる。

 

「いやぁ…ほんとほんと…かなり歩いてきたけどようやく食事だ…!僕もお腹が空いちゃってさぁ……みんな好きなの頼んでいいよ。なぁに、気にしなくていいよ。ここは僕…の友人が奢ってくれるからね」

 

少し遅れて聞き覚えのある男の声が聞こえてきた。

 

「……!?ゴホッゴボッ!!??」ドンドンドン

「先生!?大丈夫ですか!?……これ、お水です!」

「ゴクゴクゴク……プハァ……ごめん、助かっ「そうだろう立香!ひっさしぶりだね…!!また会えて本当に嬉しいよ!……本当に」あっはい」

 

……もう少し引っ張れよオベロン……

 

「……今さ、とある生徒たちに助けてもらってそのお礼にご馳走したいんだけど……どうかな?」

 

と、周りに聞こえないくらいの声量で耳元で囁いてくる……背筋が凍るような感覚が襲ってきた。

 

「……た、大将!彼女たちにラーメンを!私の奢りで!」

「お、先生太っ腹だねぇ〜セリカちゃん、オーダーよろしく!」

 

「はい!…空いてる席に案内しますね!」

 

「……いいのかしら」

「……いいんじゃない?オベロンさんの知り合いみたいだし……」

「ど…どれを頼んでいいのでしょう?」

「好きなのでいいってさ……気にせずに食べよう!」

「あの大人の人、オベロンさんのお友達?」

「…大親友だとも」ニッコリ

ダウト!!心にも無いことを!会って早々一番高いメニューを遠慮なく人数分頼むとか人の心とかないのか!?

 

アイツ、妖精だった。

 

「…災難だね〜先生」

「……今更だよ……うん」

 

ホシノに慰められている……再会する戦友たちよりも生徒たちの方が暖かい……というか…オベロンか…

 

 

……どうやって顕現した?

 

 

 

 

 

 

 

 柴関ラーメンを通してゲヘナの生徒たちと交流し仲良くなった。彼女たちは便利屋68という会社を経営していて、オベロンは行き倒れしていたところを拾われたことで行動をともにしているとのこと。

 

……何だか既視感のある話だ。

 

「……さてと……会計してくるね」

 

「僕も付き添いで行くよ……アル社長のことだ…後でお金を用意するつもりだろ?ならレシートが必要なんじゃないかな?」

 

「ええ、もちろん!便利屋は一度受けた恩は必ず返すわ!……その、今すぐ用意することは難しいけれど…必ず!必ず返すから!」

 

「そんな気にしなくても……」

「そんなのダメよ!……奢られっぱなしなんて真のアウトローじゃないわ!必ず返すから…」

 

律儀な子だな……真のアウトロー…か…ビリーとかよく自分でアウトローって言ってたっけな

 

「……それじゃ先生…行こうか」

「はいはい」

 

この時、こちらを見つめる視線を感じ、振り向くと

 

「「………」」

 

 無言でこちらを見つめるホシノとカヨコ……その二人の目には警戒の色がはっきりと見えていた。

 

「毎度あり!」

 

「帰る前に少しいいかな、立香」

「わかった……話をするならこっちにいい場所がある」

 

店を出て裏路地に入ると

 

「………!!」

 

背後から殺気を感じ、咄嗟に避ける

 

ザンッ!!

 

と、先ほどいた場所に鋭い爪が空を切った。

 

「…全く…相変わらず察しがいいのか悪いのかわからないやつだな…人が親切心で楽に殺してやろうとしたってのに」

 

「ありがた迷惑だよ……オベロン……それで、どうやってここに来た……?お前は呼ばれても無視するタイプだろ?オベロン・ヴォーティガーン……」

 

「わざわざフルネームで呼ぶ必要ある?…長い名前とかいちいち呼ぶの面倒だと思うんだけど……」

 

「いいから答えろ」

 

「はいはい……呼ばれた理由だっけ?そんなの聖杯戦争に決まってるだろ?……聖杯を取り合って殺し合ういつものやつ……今回俺は知っての通りの弓兵(アーチャー)だ…ほら、マスターの欲望を叶えてやるのもサーヴァントの務めだろ?」

 

「嘘をつくならもっとまともな嘘をつけよ」

 

「……何だ、こと妖精に関しては察しが良くなってるじゃないか……でも、肝心なところで鈍いののも、変わってないみたいだな…ご愁傷様」

 

「肝心なこと?」

 

「そんなのお前が考えろ……それで?君はまたくだらない使命感で変わらず働いているのかな…先生?…この世界もあと少しで破滅を迎えるってのに……相変わらず優しいなぁ〜……君は……どうせろくな死に方しないんだ……いっそのこと丸ごと全部奈落のそこに連れてってやろうか?」

 

「少なからずオベロンには無理かな……オレが絶対に止めるから」

 

「ハッ…随分強気になったな…ひょっとしてその腕のオモチャのせ

い?……会った時から聞いてみたかったんだが、自分の死因を常に身に付けてるのってどんな気分?」

 

「……今のオベロンと同じ気分かな」

 

「あっそ……俺からも質問なんだけど…クー・フーリンと戦った時、どうしてサーヴァントを呼ばなかった?……まさか今更合わせる顔が無い…とか言うつもり?」

 

「………悪いとは思ってる」

 

「……そうか…本心からの後悔が聞けて嬉しいよ立香……なら最初からすんなって話になるけど…もう終わったことだ…気にしなくていい…」

 

……青筋浮かべてる……キレてる…どうしようかな

 

 

「……元サーヴァントのよしみで言っとくがその義手、早いところ廃棄した方がいい……死の概念なんてものは人の身には余るものだ…付けているだけでありとあらゆる死を引き寄せる…仮にもこの俺に一度勝ったんだ…くだらない終わりは迎えるな」

 

「わかってる……オベロンのマスターは誰?」

 

「は?言うわけないだろ馬鹿か?」

「なんだ、ケチ…じゃあこれ」

 

オベロンに一枚の紙を渡す。

 

「は?」

「請求書…アルたちに渡しといてね…じゃあ俺アビドスに戻るから」

「いや、おい!……嘘だろあいつ、マジで帰ったぞ……普通なんかもっと聞くことあるだろ……」

 

裏路地に一人残されたオベロンはレシートを睨みつけている。

 

「アイツらにまた会わないといけないのか……気が滅入る……ラーメン食ってさっさと帰ればよかった……」

 

……さて…と……一度いつもの姿(妖精王)になって…

 

「そこの人たち出てきたら?僕に用があるんだろ?」

 

藤丸が去った後、二人の生徒がオベロンの前に立つ。

 

「……なんだ、ホシノにカヨコか…なんか用?」

 

「いや〜ちょっと気になってね……オベロンさんもサーヴァントなんだね〜おじさん驚いたなぁ〜」

 

「…先生に対してだけ態度がおかしかったから念の為見張ってたけど……オベロンさんは何の目的で私たちに近付いたの?」

 

「……めんどくさ……これだから察しのいい奴らは嫌いなんだ…君らこそアビ…なんだっけ…ああ、そうだ…アビドスを襲うようにカイザーから依頼受けたんだろ?いいの?俺なんかに構ってて」

 

 

「えっ!?そうだったの!?」

「依頼よりも私は仲間たちの身の安全を優先する……特にアンタみたいな危険人物が近づいてきたとなったらね」

 

「それもそうか…そっちは?別の要件みたいだけど…似たもの同士のよしみだ….何でも聞いてくれて構わないよ。」

 

「…貴方はどこまで聖杯について知ってる?」

 

「…何って…全て知っている……どうやって誕生したかも、どんな力があるかも…どんな代償があるかも……中に何が詰まってるかも…全部」

 

「聖杯と僕はよく似ているからね……特に生まれた理由とかさ……いい機会だ二人とも……どんな願いも叶えられる万能の聖杯があったとして……君たちはどんな願いを叶えてもらう?」

 

「!」

「……?そんなのあるわけないでしょ?御伽話じゃあるまいし」

 

「そうだね…その通りさ……でも、そっちの子は違うみたいだね…小鳥遊ホシノ」

 

「……」

 

「……お節介だけど…聖杯は君が通ってるような奇跡は起こしてはくれない…早々にその夢は諦めた方が君たちのためになると思うよ……じゃあ僕はこれで……あっそうだった…カヨコ課長…これ社長さんに渡しといてね…それじゃ…ご馳走様」

 

オベロンはレシートを手渡し、小さな妖精の姿となって空の彼方に消えていった。

 

「……行っちゃった…じゃ私も戻るから……次会った時はこちらは容赦しない」

 

「うん…わかった…こっちも容赦しないよ」

 

そう、ホシノは力なく返し、カヨコはその言葉を受け取って帰路に着いた。

 

誰もいなくなった路地裏でホシノは項垂れる。

 

「……ユメ先輩

 

……囀るような小さな声で彼女は誰かの名前をつぶやいた。

 

ユメという人が彼女にとってどれだけ重いか…それを知ることになるのはもっともっと先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





オベロンとコヤンスカヤが揃ってるキヴォトスとかマジでどうしようもなさそう…と書いてて思いました。
 まぉ何とかなるでしょう!というわけでかなり遅いペースでの更新ですがこれからも頑張って書いていきます。
よろしければこれからも応援お願いします。
※誤字多くてごめんなさい。
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