それが獣の抑止力たる彼の迎えた運命なのだ
でも、そんなのってあんまりじゃないですか……?
◼️◼️。
この特異点ウルクハワイを歩き回って分かったことがある……一つ野良サーヴァントには出会ったがみんなオレを……藤丸立香を覚えているのだ……英霊は自分が召喚された記録は持つが記憶は持たない……その理屈が機能してでおらず……偶然再開したキヨヒメ(水着)には
「好き!!!!」
と、このように出会った瞬間飛びついてきり……(皆んなにすごい顔で見られた)
メルトリリス(水着)に会ったら
「この、バカッ!!」
と、ペンギン帽子でお腹を突かれたり(可愛い)
他にもマイフレンドに出会って
「お久しぶりっす……マスター」
と申し訳なさそうな顔をした彼にケバブを奢ったり(もちろん便利屋の分も買った)
他にもジークフリート夫妻(水着霊基)に出会い
「……大きくなったな……背も随分と伸びた……」
と泣きそうな顔をするシグルド(一番最初の星5キャラ)
「そうね……せっかくの海なのだし楽しまないとね……水着くらいなら奢るわよ人数分(一番お世話になったバーサーカー)」
「なんと……なら彼女たちの分をぜひ、とびきり可愛いやつで!!」
「ちょっと待ちなさいよ先生!!」
と……便利屋メンバーの水着姿を拝み……(選んだのはクリームヒルト)
何故か自分も着替えさせられたり(選んだのはジークフリート)
何故か迷い込んでいた美食研究部の面々が昨日呼び出したエミヤん(夏霊基)に説教されていたり……
器用な人というヒントを頼りに黒幕の生徒を探していると図書館の掃除をしている紫式部(水着)と会った。
「!……お待ちしていました……マス……いいえ今は藤丸先生でしたね……大きくなりましたね……」
「お久しぶりです、紫式部さん」
藤原カオルコ……真名紫式部。源氏物語の作者であり、カルデアでは書斎の管理人を務めていた癖の強い源氏の中で1番の常識人である。
「……?彼女たちは……ああ!例の何でも屋さんの!……始めまして私は紫式部と申します。」
「あの、何でも屋では無く……オホン……便利屋68の社長陸八魔アルといいます……こちらが社員たちの」
「初めまして、室長の浅黄ムツキだよ!よろしくねシキブちゃん」
「えっシキブちゃん?」
「課長の鬼方カヨコです……先生共々お世話になります。」
「平社員の伊草ハルカです……その、お邪魔します……」
「あらあら……皆様丁寧にありがとうございます……それでは皆様、中で教授がお待ちしております……館内は他のお客様もいらっしゃるので私話厳禁でお願いますね……」
「!教授ってひょっとしてあの」
「はい、藤丸様がよく知られている御仁です」
「誰か分かるの?先生」
カルデア内で教授と呼ばれる男は一人しかいない……犯罪界のナポレオン、シャーロックホームズの永遠のライバル……オレのダディーでありフランのパパのアラフィフ……名を
「モリアーティ……って知ってる?」
《図書館内にて》
5人でシキブさんの案内で教授の元へ向かった。
「……き、緊張する……!!どうしましょう……本当に?本当に彼と対峙するの!?
「シー!社長声大きい……」
「だ、だって……世界で一番有名なアウトローなのよ!?……犯罪界のナポレオンなんて呼ばれてる男にこれから会うのに緊張するなってほうが難しいわよ……」
アルに同意……オレもマシュも初めはテンションめちゃくちゃ上がったもん……アラフィフだけれど狡猾で頭のキレる男……しばらくしたら若返った姿で出てきた自称パパ……あの人丸くなりすぎじゃない?
「あ……先生……」
「シミコ?どうしてここに……?」
「来てしまったんですね……モリアーティ様でしたら2階の事務室にいらっしゃると思います。ここの管理者様は大変手先が器用で本の修繕も得意な方です……先生がよく知っている方ですよ」
本の修繕が得意……それにシミコのこの態度は、何かを隠している……
もし、私の推理が当たっているのであれば……なぜ彼女が特異点……しかもウルクを、バビロニアを、舞台に選んだんだろう……
「………」
「先生?……大丈夫?」
「ごめん、犯人の目星がついたけど理由が分かんなくて……」
「凄い顔してるわよ、一旦深呼吸をして頭を整理しなさい。」
「そうする……スゥー ハァァー スゥー ハァァー……よし」
もしかすると……オレの自意識過剰でなければ……一人の人間のために作られた特異点……記憶を保持したカルデアの英雄たち……つまり、その人間って……オレのこと……なのか?
「カオルコさん、シミコ……Fate/Grand Order……って小説……あるよね」
「!……はい」
「……」
「それを読んでしまったから彼女はこんな事を?」
「あの物語を読めば……先生をよく知っていれば……誰だっておんなじ事をすると思います……こちらへ……教授と委員長がお待ちです」
「先生……?」
アルが、みんなが不安そうにこちらを見つめてくる……作者マシュ・キリエライトが書いた最初の作品。
Fate/Grand Order。
そこに記された一文。
《貴方は世界を救ったのに、
世界は貴方を救わなかった》
この言葉にどれだけの感情が込められているか
オレにはわからない
《黒幕は……》
誰かがこちらに向かってくる……きっと先生たちだ……私の大好きな
でも、目を逸らしても彼に会うたび「世界は彼を救わなかった」というあの一文が頭をよぎる……
この本からは作者の憎しみが、怒りが伝わってくるようだ……助かったのは彼以外の人々なんて笑えない。
そんなのはあんまりだ……彼はこんなに苦しんだのに……彼はこんなに頑張ったのに……多くの英霊が、人が彼に感謝して生きてほしかったと言っているのに……世界はそれを許さなかった……
それは今も変わらない……人理がある限り先生はずっと使い潰されてしまう……いつも先生は私たち生徒の為に時間を削っている……彼は生き方が変わっていない……
だからこれは私から彼へのお礼。もう少しくらいは良いじゃないか……ほんのちょっとの時間くらい彼と彼ら彼女らを会わせてあげたって……藤丸立香に幸福で癒されてほしい……
あの人が楽しかったと言ったこの場所で少しでも救われてほしい……だから聖杯を使った。
……無論それに何が宿ってるかを知っていてる……それでも私は先生に
「ですので、新宿のアーチャー。裏切らないで最後まで力貸して下さいよ……」
「私は構わんよ……聖杯を過信しないほうがいいよ、古関ウイさん」
「ほんの少し特異点の維持を長引かせるだけでいいんです……どうしても先生に会わせてあげたい方々がいますから……」
「怒られてしまうよ?」
「……嫌われてしまっても構いません……好きな人の悲恋ほど見ていて辛いものはないですから……」
静かに……彼と彼女は男を待つ……
次回、授業を始めます!
お楽しみに
驚くほど反響大きくて驚いています。
皆様本当にありがとうございます。
感想などありましたらぜひ書いてくれると嬉しいです。
次回でこの章は終わり、短編を書いていく予定です。