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西暦2×××年
後に「大破壊」と呼ばれる大戦が勃発した。
核兵器或いはそれを上回る大量破壊兵器によって地上は汚染し尽くされ、生き残った僅かな人々は生活の場を求め地下へと逃れていった。
「大破壊」の後、権威を失った国家は解体され、代わって企業が世界の舵取りをする事となる。
企業連合の発足である。
企業連合は地下都市計画を推し進め人類は徐々に種としての活力を取り戻してゆく。
その際、大きな役割を担ったのがMT(マッスルトレーサー)と呼ばれる人型作業機械である。
地下世界というフロンティアを開拓するべくMTの研究は世界中で進められ、各部位をパーツ化してジョイント部分の規格を共通化する事で汎用性を高めたCS(コアシステム)へと発展する事となる。
しかし未来への希望に溢れた時代は長くは続かなかった。
新たに世界の支配者となった企業連合が各々の利権を巡り激しく対立していったのだ。
連合は分裂し、都市の管理権を企業が奪いあう血みどろの争いが始まった。
それに伴い人類再生の象徴でもあったMTも本来の目的を奪われ兵器として改造された。
改造を施されたMTはやがてAC(アーマードコア)と呼ばれ、戦場の主役となった。
そして世界は今、クロームとムラクモという二大企業に分割統治され、両者の争いの中で多くの血が流される暗黒時代へと突入していた。
都市の老朽化と治安の悪化によってスラムは無秩序に拡大し、利権を欲しいままにする企業に対してテロ行為が頻発し始めた。
多くの地下市民が住居と食料を得る為だけの労働に従事し、地下世界開拓当初に人々が思い描いていた理想の未来は幻となって消えた。
そんな中、かつて企業の管理下にあった警察組織は金次第でいかなる勢力にも手を貸す傭兵組織へと姿を変えていた。
企業による全体管理の社会にあって何者にも束縛されず、自らの意思で生き方を決める自由な者達。
人々は彼らを鴉(レイヴン)と呼んだ。
一丁の銃があった。
製作者の名前を取り『WGー1-KARASAWA』と名付けられたその銃は多くのレイヴンを魅了し、稀代の名銃と呼ばれるまでに至った。
そんな鴉達を人々は一つの道を極めんとする求道者として或いは、大きな力に魅せられた惰弱な者としてこう呼んだ。
『カラサワ使い』
これはそう呼ばれた一羽の鴉の物語である。
その銃口から放たれる光の先に彼は何を見たのだろうか?
戦いに身を染め、技を磨き、その手で撃ち抜いた屍を敷き詰めた道程の果てにあるものは何なのか?
それは彼自身まだ知る由もない。
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