銀色の閃光   作:テクノクラート社員

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上手く書けたかな~?


mission-1 始まり

Mission area-ザムシティ東地区旧第3工場施設-

 

 

薄暗い工場の中、古びたアクチュエータの駆動音だけが不気味に響き渡る。非常電源の明かりによって照らされた敷地内に不恰好な鉄人形が佇んでいた。

 

二足歩行型MT『ビショップ』

世界で最も普及しているMTの一つで、稼働域の大きい逆間接型脚を採用することでいわゆる高機動化戦車を目指して開発された機体であるが、脚部の積載量が低く重火器を搭載出来なかった為、現在はかなりの数が民間に払い下げられている。

所属している組織や用途によって独自の改造が行われる事が多い機体だが、今工場にいるのはなんのチューンアップもされていない量産品であり、機体全体に擦り傷や汚れが目立つことから恐らく中古の機体であると推測出来た。

 

そのビショップの2機の内、1機のパイロットが殺風景な景色に退屈したのかもう一機のパイロットに話しかけた。

 

「暇だな、いつまでこうしてりゃいいんだ?」

話しかけられたパイロットが返す。

「さあな、まあ居座っているだけで金が貰えるんだ。多少暇でも我慢するんだな」

二人がそんな話をしていると、作業用MTを武装化させた機体に乗る者達が割り込んできた。

「おい、本当にこの仕事が終わったら組織に入れるんだろうな?」

「これで貧乏暮らしともおさらばだぜ」

「もう充分だろう、ガードが来る前に逃げよう!」

「ビビってんじゃねぇ!どうせガードは手出しできねえよ」

「うるせぇぞ!指示があるまで大人しくしてろ!」

MTのパイロットが一喝するとあたりをまた沈黙が支配し始めた。

 

そう、彼らはある組織から依頼を受けてこの工場を不法占拠しているのである。本来であればこの工場は再開発によって新たな居住区となるはずだったのだが、工場の管理者と付近住人の話し合いが終わった途端に何処からか数機のMTが侵入し不法に占拠したのだ。

この事態に民間の治安維持組織であるガード部隊が解決に乗り出そうとしたのだが、相手は再開発に不満を持つ市民であると名乗っており、下手に手が出せない状況になってしまった。

と言ってもこれは建前であり、ザムシティを管理するクロームに対するムラクモの妨害行為であると容易に予想出来ることであった。

二機のビショップのパイロットはムラクモ配下の武装組織の末端構成員、改造作業用機械に乗っているのは組織への参入をエサに集められたスラムのゴロツキと言ったところだろう。

暴力が支配する現在の地下社会において、企業傘下の武装組織へ入ることは底辺からの脱出を意味する訳だが、当然それには相応のリスクが付き物である。

彼らはまもなく自分達の行動を後悔する事となる。

 

 

-ザムシティ近郊ガード駐屯所-

 

通信機越しに中年の男の声が聞こえて来る。

「レイヴン、依頼の最終確認だ。ターゲットは6機、いずれもMTだ。奴等は市民を名乗っているが、実際はムラクモの差し金だろう、遠慮は無用だ。きっちりと社会のルールを教えてやってくれ」

ガードの隊長は俺にそう言った。

「嘘でも市民を名乗ってる人間に手は出せないか?ご苦労なこった」

俺の皮肉にガードの隊長は意外にも楽しげに返して来た。

「その為に君のような人間がいるのだろう?活躍を期待するよレイヴン」

企業と市民の板挟みにあるガードにこの程度の皮肉は日常茶飯事かもしれない、まあどうでもいい事だが。

「さて、仕事を始めるとするか」

『戦闘モード起動します。』

俺は愛機を立ち上げ、件の工場施設へと向かった。

 

一方、工場内では男達が機体を壁に隠し待ち伏せていた。

つい先程ガードが自分達を排除する為にレイヴンを雇ったと連絡が入ったのだ。

しかもこの工場は出入口が一つしかなく、それをガードが固めているため逃げることも出来ない。

各なる上はレイヴンを倒し戦闘の混乱に乗じて逃げるしかないとビショップのパイロット達は判断した。

「そういう訳だ。死にたくなかったら俺達に続いて攻撃を仕掛けろ、生き残ったらお前らも晴れてテロリストだ」

「畜生、やってやる!やればいいんだろ!」

「死にたくねぇ、死にたくねえよ!」

「レイヴンがなんだってんだ、囲んで袋にしてやるゼ!」

「来たぞ!」

 

そう言われ全員が機体を出入口の方へ向ける。

そこには鈍く銀色に輝く巨人が頭部のアイパーツを青く光らせこちらを見据えていた。

左肩には白い雲に一粒涙を流す瞳が描かれており、そのデザインからどこか浮いた印象を受ける。

全体が平面の多いパーツで構成されており、バランスが取れているように見えが、その右手には不自然な程大きな銃が握られていた。長大な銃身には大きな砲口がついており、ライフルであると推測できる。特徴的な銃床は機体の腰部分まで伸びていた。

「なんだ、あの銃は?」

誰かがそう呟いた、次の瞬間ACは此方に真っ直ぐ突っ込んで来た。

「今だ!射て!」

ビショップのパイロットがそう言ったと同時に6機のMTから一斉に攻撃が仕掛けられた。

ラインビームやロケット砲による一斉攻撃、ACはその攻撃を垂直に上昇して回避すると、正面にいた作業用MTに右手の銃を二連射した。

機体の前面に剥き出しなった形のコックピットに眩い光が直撃した。コックピットは搭乗者ごと跡形もなく吹き飛び、血痕すら残らなかった。

それを見てビショップのパイロットが驚愕する。

「プラズマライフルだと!?あんな大型のものは聞いたことかがないぞ!!」

そう言う間にもまた一機味方が落とされていく。

「怯むな、射て!射ちまくれ!」

彼はそう叫んで操縦レバーのトリガーを押し続けた。まったくついてない、そう言えば昨日も博打で負けたんだよな、まるで他人事のようにそんなことを考えていると閃光が彼の視界を包んだ。

 

 

戦闘開始から3分足らず、5機のMTが俺の足下に残骸となって転がっている。あと一機は戦闘が始まった途端に逃げ出し隠れたようだ。

俺はだだっ広い工場内をレーダーを使って探す。目標は格納庫として使われていたであろうスペースに隠れていた。

俺が目標を視認すると同時に外部音声で通信が入った。

「俺はあいつらに誘われただけなんだ!頼む、命だけは助けてくれ!」

何の覚悟もなく力を手にしようとした挙げ句、仲間を殺されて自分だけ命乞い、まあこんなことはこの仕事をしていたらよくある。

だがいちいち相手をしていたらきりがない。俺はさっさと仕事を終わらせることにした。

「悪いな、依頼の完遂が最優先だ」

俺がそう言うとコックピットで震える男の顔が絶望に染まった。

トリガーを引いた。至近距離からの連射、敵の機体は腕部と脚部だけを残して崩れ落ちた。

『作戦目標クリア、システム通常モードに移行します。』

愛機のcomからの機械音声が誰も居なくなった工場内に響きわたった。

俺が工場から出るとガードの隊長から通信が入った。

「ご苦労だったレイヴン、仕事が早いな。報酬はすでにレイヴンズネストに振り込んである、そちらで受け取ってくれ」

「了解した、今後ともよろしく」

「ああ、是非頼むよ。しかし君の持っている銃はなんだ?凄まじい威力だが…」

「悪いが、企業秘密だ」

俺はそう答えるとレイヴンズネスト所有のACキャリアーへと向かった。

つまらない仕事だったが、損害は皆無だったので良しとしよう。

 

ガードの隊長はその背中を見送りながら呟いた。

「機体名シルバーレイン、銀の雨か…ただの新人傭兵ではなさそうだな」

興味深い男ではあるが今は自分の仕事を片付けるのが優先だと隊長は判断した。

「すぐに残骸を片付けろ、明日には工事を始められるようにな!」

隊長はそう部下に指示を出すと自らもMTを駆って工場へと入っていった。

 

 

彼は一体何者なのか?

かくして物語は始まる。

 

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