地下市民は青色を好む。
青は彼等が失った空の色、海の色だからだ。汚染されていると分かっていても人々は地上への憧れを捨てることはできないのだ。
俺は今そんな地上に来ていた。海上に築かれた油田施設、それが今回の仕事場だ。
俺は青い海と空を見ながら依頼の内容を思い出していた。
「レイヴン、君への依頼は油田施設『タイド』を占拠しているテロ集団、『ストラグル』の排除だ。この施設は現在使用されておらず、わが社で再利用の計画が持ち上がった矢先に奴らが現れた。間違いなくムラクモの妨害だろう、遠慮はいらない徹底的にやってくれ」
そうクロームの担当者は苛立たしげに言った。武装集団ストラグルは反クローム社を掲げ、少数ながら充実した武装を持っており、近年クロームの様々な施設に攻撃を繰り返している。
その背景にはクロームとムラクモの対立があり、ストラグルはムラクモの私設部隊であるというのが業界の常識となっている。
それに対してクロームは『イミネント・ストーム』という世界最大のテロ集団を抱えており、両者の対立は一進一退を繰り返している。
今回もそんな争いの一つに過ぎないのだが、現在施設に配備されているのは無人機ばかりであり、石油を採掘するための機材や人員が見当たらないことから単純に妨害が目的であることが伺えた。
或いは、人員を後から送り込むつもりなのかもしれないが、そんなことは関係がない。
俺のやるべきことは速やかに仕事を終わらせることだけである。俺はそう結論づけると目標に向かって愛機を進めた。
着いた先に待っていたのは無人機による熱烈な歓迎であった。
此方の頭上を取りながら火炎放射機を放ってくる『タイガーモス』やホバークラフトで浮きながらミサイルを撃ってくる『タンケッテM』に囲まれたが、俺は真上に大きく上昇して囲みから抜け出し、施設の最上部に陣取ると順に敵を落としていった。
途中、クロームのオペレーターから援護射撃の通達があり、俺の近くにミサイルが降ってきた。何のつもりか知らないが、俺はそれを避けつつ残りの敵を片付けた。
改めて青い海と空を見回して敵がいないことを確認していると、クロームの担当者から通信が入った。
「ご苦労だった、なかなか良い腕をしているようだな。だが、それだけでは生き残れん。よく覚えておくことだ。」
警告のつもりなのかもしれないが、そんなことで萎縮していてはレイヴンなどやっていられない。俺はその言葉を聞き流すと地上の青さを楽しみながらその場を後にした。
アジトに戻って博士に今日の仕事の話をした。
博士には恐らくこの前の仕事でイミネント・ストームを相手にしたことへの警告だろう、と言われた。
ザムシティでの仕事の直後、ガードの繋がりから俺の噂を聞き付けたアイザックシティのガードに雇われてイミネント・ストームのテロリスト共を相手にしたことがあったのだ。
アイザックシティのガードは当然、クロームの影響下にあるのだが、彼等は治安維持組織としての気概を無くしておらず、クローム配下であるイミネント・ストームのテロ行為に対しても取り締まりを行っている。
しかし自分たちだけでは戦力に不安があるためレイヴンを雇ったのだが、そのとばっちりが俺に来たというわけである。
金次第で何でもやるレイヴンには特に珍しい話でもない。
俺はそんなにことを考えながら、今日見た地上の青さを思い出し眠りについた。
To be continued…
ストラグルとイミネント・ストームの説明回になっちゃいましたね。次回はもう少し頑張ります。