たくさんの方面に配慮しすぎた桃太郎です
(現代の社会風刺として見てください)

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たくさんのところに配慮しすぎた「桃太郎」

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさん……ではなく「両者ともに長年生きている法律上での婚姻関係を結んだ配偶者同士」がいました。また、この二人はあくまでも長年生きてきた、というだけで自身の年齢は自分で決めることができますのでここでは詳しくは語りません。

 

 ある日、法律上での婚姻関係を結んだ配偶者の内の一人が川へ洗濯をしに行きました。ここでこの人は自分から洗濯をしたいと考えていただけで、もうひとりの法律上での婚姻関係を結んだ配偶者はちゃんと山へ芝刈りに行っているのでしっかりと家事の分担ができています。何も不平等なことは起きていません。

 

 そしてその法律上での婚姻関係を結んだ配偶者の一人は川へつくと、石鹸を取り出しました。合成洗剤ではありません。だって川の水質を汚染しかねないですからね。そして桶に川の水を少し汲み取ってから洗濯をします。自然由来の石鹸といえど、やはり直接的に用いるのは駄目です。

 暫く洗濯をしていると、川上から、どんぶらこ、どんぶらこ……とすると「日本のオノマトペ文化をまるで馬鹿にしている」ともとられる可能性がありますので、ただ川上から大きな桃が流れてきました。

 

 法律上での婚姻関係を結んだ配偶者の一人の人は、その桃を取ってみました。これは盗難ではなく、落とし物だと考えてこの人は取ったわけですね。その人は「これは大きな桃だ」と思いましたが、実はこの果実自体がそもそも「桃」であると自認していない可能性がありますので、「これは大きな落とし物だ」と思いました。

 

 その人は、桃と洗濯物を手に取り、川のゴミを拾って環境整備をしてから川から離れました。その足で今度は交番に向かいます。

「すいません、落とし物なのですが」

「わかりました」

 正当な手続きをして、その落とし物を交番に届けました。

 

 三ヶ月後、その落とし物を落とした人が現れなかったので、所有権は拾った人に移りました。

 

 そして家に持って帰りました。

「どうしたのですか、その大きな荷物は?」

「これは交番で正式な手続きをして私が貰った落とし物ですよ」

 この法律上での婚姻関係を結んだ配偶者同士は、お互いに不平等をなくすため、敬語で話すようにしています。

「そうですか、では早速開けてみませんか?」

「いいですね」

 さっそく包丁を使って開けてみます。

 すると、中から赤ちゃんが出てきました。体を確認したところ、日本人の、生物学的分類上の雄に分類される人のようです。しかし、本人はそのように考えていない可能性があるのでこれ以上は語りません。

「ならば、この人の名前は桃太郎とうするのはどうでしょうか?」

「それは確かにいい意見ですが、本人の同意なしに勝手に名前をつけるのは可愛そうだとおもいませんか?ここは自分で名前を決めてもらいましょう」

「それがいいですね」

 そういうわけで落とし物から生まれた人の名前は保留となりました。

 

「さて、では夕飯にしませんか?」

「それはいいですね」

 法律上での婚姻関係を結んだ配偶者の一人がIHコンロを使って料理をします。今の時代、地球環境を汚染する石油を用いたモノを使うのは時代遅れです。今は環境への配慮が完璧な再生可能エネルギーで全てを賄っています。そして、食事に関しては、野菜を使わないようにしています。肉を食べたくない人もいますからね。

 

さて、落とし物から人が生まれて10年ほどの月日が経ちました。

結局本人の意向で名前は「桃太郎」となりました。

 

ある日、桃太郎は親が鬼について話しているところを見ました。

 

「最近、鬼ヶ島の鬼が活発らしいです」

「それは大変ですね……」

 

 それを聞いた桃太郎は、鬼を懲らしめることを決意しました。

「私は鬼を退治してきます」

 桃太郎は親に話します。

「確かに桃太郎さんが退治に行きたいと思うのは尊重するべきことでしょう。しかし桃太郎さんが行けばそれは児童労働になってしまいます。なのでここは大人に任せてください」

 やんわりと断られました。

 しかし、このままでは平和が脅かされてしまいます。ですので桃太郎は大人になるまで待つことにしました。

 

 8年後、桃太郎は18歳となり、日本の法律上で定められている「成人」になりました。

「では、いってきます」

 桃太郎は鬼を退治する旅に出ました。

 

 道中、桃太郎は犬、猿、雉に出会いました。ここではあくまで生物学上の犬、猿、雉と表現しましたが、自分が何になりたいのかは自分自身が決めることであるので、これ以上は深く語りません。

 

「桃太郎さん、どうかそのきびだんごを下さる代わりに鬼退治に同行させてもらえませんでしょうか?」

「分かりました。しかし報酬がきびだんごだけというのは労働基準法に違反してしまいます。なので正当な報酬を払うことを約束しますので、こちらの労働契約書にサインをしてください。ちなみに労働条件は、鬼ヶ島につくまでは、1日8時間までの移動で、週休二日制です。鬼ヶ島では申し訳ありませんが変形労働制となります」

 桃太郎は契約書にサインさせました。もちろん強制ではありません。

 

 

 

 さて、桃太郎一行は約2週間かけて鬼ヶ島へ到着しました。

 

「ごめんください、鬼さんはいらっしゃいますか?」

 

 桃太郎は鬼ヶ島の玄関を叩きます。時間は休日の昼です。

 

「どうかしましたか?」

 

「こんにちは、鬼さん。お時間取らせてしまい、申し訳ありません。今度、私桃太郎が人類を代表して貴方に訴訟を起こしたいと考えておりますので、そのお知らせに参りました」

 現代での悪を懲らしめる方法は裁判による、公平な法の裁きのみです。

「……なるほど、わかりました」

 

 鬼さんが了承しました。

 

 その後、桃太郎一行は裁判にて、鬼から正当な額の賠償金を得ることに成功しました。

 

 

 しかし、忘れてはならないのは、鬼さんはこれにて今までの行いを精算したことになります。確かに反省をするべきではありますが、他の誰でも、鬼さんに攻撃をしてはなりません。

 それを忘れず、皆で幸福な社会にして行けるように、桃太郎たちは奮闘しました。

 

 

 めでたし、めでたし


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