ドラゴンクエスト~Ars, please take me with you~   作:プニたけっち

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11.虹の雫

ドムドーラに住んでいた一人の男、彼はある日夢の中で女神のような美しい女性からあるお願い事をされた。

『アレフガルドの危機を救うべく貴方の力を貸して欲しい。かつて大魔王の居城があった島へ赴き新たな災厄を滅ぼしてほしい』と。それは文字通り、女神の託宣だったのだ。

 

 託宣を受けたその瞬間から彼は身体に力が漲り呪文も使えるようになり、気付けばドムドーラ一番の実力者になっていた。しかし、その男は託宣の代償とも言うべきなのか『はい』か『いいえ』のどちらかしか話せなくなってしまった。彼は元々無口であり人付き合いの苦手な男だったから一見デメリットにはならなかったように見えたが、相手に伝える言葉が二つしか無いというのは彼に想像以上のストレスを与えていたのだ。例えば買い物をした時、『ありがとう』と言いたい所を『はい』としか言えない。自分の伝えたい意思を二つの言葉でしか伝えられない、彼にとっては拷問そのものだった。

 

 そんな日々が続いたある日、ラダトームのローラ姫が竜王の軍勢に攫われたと彼の住むドムドーラにも知らせが届いた。同時にローラ姫を救出し竜王を討伐して欲しいと国王からお触れが出たことも。彼は知った、あの託宣が言っていた邪悪とは竜王の事なのだと。彼は心の底から歓喜した、ようやく己の力を存分に奮う時が来たのだと。託宣が下りてからというもの、彼は自らの力を抑えるのに非常に苦労していた。ドムドーラでは彼に対抗できる者はいないし、町の住人からは無口で不気味な奴という陰口を叩かれていた。ストレスの解消と自らの内で暴れ狂う力を解放できるチャンスがようやく訪れたのだ。

 

 ドムドーラの中には彼を死地へ送り出す事に抵抗を持つ人間は一人としていなかった。魔物はアレフガルドの中央から南西部にかけて強くなっていて、ゴーレムという防衛手段を用意できたメルキドとは違いドムドーラには防衛戦力がいなかった。したがって、不気味な奴一人送って自分達が安全平穏な生活をおくれるようになるのなら何の問題もないではないか。それがドムドーラに住む人間の総意でもあった。彼もまた、住みづらくなった町から離れる事に抵抗は無い。ただ、いくら自分が戦う意思を持っていたとは言え自分が追放されたのだという事実だけが彼の心に酷くのしかかっていた。

 

 ラダトームに着いた彼は盛大な歓迎を受けた。ラダトーム王やその血族に伝わる『相手の力量を測る力』によると彼のレベルはとても高く18と出ていた。18とは現在のアレフガルドでも間違いなくトップクラス、これ程のレベルを持つ彼ならば必ずや竜王を討伐しローラ姫を救出してくれるだろうと王様も家臣も疑わなかった。ラダトーム王は彼に期待を寄せ、ボロボロだった武具を装備する彼を哀れに思い城にあった鋼鉄の剣や鉄の盾、鋼鉄の鎧を彼に与えた。救世主になるかもしれぬ人間を粗末な装備で送り出すわけにはいかないと王は言った。

 

 彼はラダトーム王に感謝の念を寄せると同時に自惚れてしまっていた。自分はこれくらいの事がされて当然なのだと。ドムドーラにいた人間は自分に餞別を何も渡さなかった。特にゆきのふという老人はブルーメタリックの美しい鎧を所持していたが最後まで自分に渡そうとはしなかった。この鎧がお前さんの元へは行きたいと思っておらんと話していたが、鎧が意思を持つわけがないと彼は心の中で馬鹿にしていた。

 

 こうして竜王討伐の旅に出る彼の心の底には傲慢という魔物が潜んでしまっていた。挫折を知らず、己を鍛えようとはせず、突然降って湧いた力に満足した男。

 

 

 そんな彼が強大な壁を乗り越えられなかったのは当然と言えば当然であった。

 

 

「ほほう、こ奴がロトの子孫か……なるほど、大した奴じゃ」

 

 彼がリムルダールの北西、虹の橋がかかっていた岬にやって来た時、それは突然現れた。青い肌、黒いローブを身にまといドラゴンを連想させる杖を持った謎の魔物が彼を見てそう呟いたのだ。当然ながら言葉通りの意味ではなく大いに見下した口調であったが。彼は自惚れていた、相手の力量を計ろうともせずただ攻撃を仕掛けた。事実彼はリムルダール周辺の魔物を軽々と蹴散らせる実力を持っていたから今回も眼前の敵をひねりつぶせると考えていた。

 

 だがどうだろう、鋼鉄の剣による鋭い一撃は魔物の片手で受け止められラリホーを始めとした呪文も大して通用しない。

 

「……興醒めじゃな。ベギラマ」

 

 ドラゴンの杖から放たれた熱光線は彼の身体に直撃し絶大なるダメージを与えた。彼は生まれて初めて超えられない壁という物を見た。彼の命は数分と無く魔物によって奪われるだろう、その光景を思い浮かばざるを得ない彼が泣きじゃくり失禁までしたとしても誰が責められようか。

 

 彼は初めて死にたくないと願った。

 

「いいえいいえいいえいいえいいえいいえいいえ ! 」

 

 彼がどれだけ命乞いをしたとしても口から出るのは『いいえ』という言葉しかない。この時、彼に大きな力を与えた『女神の託宣』は『女神の呪い』へと様変わりした。

 

「くくく、そうかそうか、助かりたいか ? 」

 

「はい ! はいはいはい ! 」

 

 魔物の気まぐれなのかそれとも計算か、彼はクモの糸のような最後の望みに縋るしかなかったのである。

 

「貴様はそんな無様を晒しても今の人間の中で最も強い男のようじゃ……よぅし」

 

 魔物は悪だくみを思いついたようなニヤリとした表情を浮かべ、彼に向かってこう言った。

 

 

 

「もし わしの 味方になれば 新たな命を貴様に やろう」

 

 

 

 彼の答えは……。

 

 

 

 後日、竜王の軍勢に一人の男が加わった。その男は黒と灰色の全身鎧に身を包み、斧や剣を使い戦う達人のような男。竜王の手足として働く蟻のような男、彼は竜王の命令によってドムドーラを破壊し毒を捲きブルーメタリックの鎧を奪い去った。

 

 彼は『※※※※』という名を竜王に奪われた。与えられた新しい名前は……『悪魔の騎士』

 

 

* * *

 

 ドラゴン達の撃退直後、ラダトームでは国王ラルフ16世自ら指揮を執り町の復興作業が行われていた。怪我人の手当ての為に城が開放され、神官を始めとした者達が大忙しで働いていた。真っ先に逃げようとした事実はほんの数人しか知らないとはいえ決して無能ではないし王族は有事の際まず逃げるのは手段の一つ、責められる謂れは無い。

 

 その一方で今回の一件で大活躍したアルスはセシールが働いていた酒場で休息を取りながら顔見知りの人達と話しをしていた。本当はアルスには城へ来て欲しいと願う王様も『怪我人と町の復興を最優先にして下さい』と言われれば引き下がる他は無い。

 

 

 

「修理できそうですか?」

 

 酒場の中ではアルスに頼まれたラダトームの武器屋が残された資材を使い魔法の鎧の修繕を行っている。魔法の鎧は現在アレフガルドに現存する鎧の中でもロトの鎧に次ぐ性能を持つ名品、購入金額もそうだがこれまでの激戦を共に闘い抜いてきた相棒の一つである。手放したくはないというのがアルスの本音でもある。

 

「一応可能だよ。でも出来るのは応急処置、できれば早めに買い換えた方がいい。鎧自体に限界が来てるんだ」

 

 本当なら町を救ってくれたんだから他の鎧をあげたい所なんだけどなと武器屋は困った顔をして修繕作業を続行した。ラダトームの武器屋には魔法の鎧に代わる防具は無い。リムルダールの武器屋も言っていたが、魔法の鎧を上回る鎧はロトの鎧しかない。この広いアレフガルドを今から探している時間などアルスにはもう無いのだ。

 

(鋼鉄の剣と鉄の盾に続いて鎧もか……)

 

 アルスは苦楽を共にしたかつての相棒達の最後を思い出すと鎧の修繕を続けて貰い、手当て中の雨の賢者の部屋を訪れた。

 

 

 ベッドに横になり治療を受けていた雨の賢者はアルスが部屋へ入ると身体を起こし話しかけてきた。

 

「アルスか……立派になったのう、わしと初めて会った時とは全然違うわい」

 

「雨爺さんのおかげですよ、あの時の教えがあったからここまで来れたんです」

 

 雨の賢者はアルスの成長を嬉しく思った。竜王に勝てるかもしれないと漠然とした期待がしっかりとした姿となって彼の前に現れたのだから。

 

「そうだ、前に頼まれていたアイテムを見つけました。太陽の石とロトの印です」

 

「見つけてくれたのか……有り難い。これで虹の雫を作れる。待っておれ……」

 

 アルスから二つの道具を受け取ると自身の雨雲の杖を取り出し気を集中させる。ロトの印が光り輝くと光球が現れ杖と石に吸い込まれていく。今度は印の光が収まり逆に石と杖の輝きが強くなる。

 

「これでよい、これで虹の橋が作れる。竜王の島へ渡る手段ができた」

 

 雨の賢者はロトの印をアルスに返すと深く息をついた。

 

「ロトの印、もういいのですか ? 」

 

「うむ、印は石と杖の力を高める増幅器のようなもの。印の聖なる力が太陽の光を強め雨雲を深くするのだ、むしろ印はアルスが持っていた方がよいじゃろう。ルビス様の加護がお前を守ってくれるかもしれぬからな」

 

「わかりました、では有難く」

 

 アルスは懐にロトの印をしまう、すると雨の賢者は杖を突きながら立ち上がる。全快とは程遠い状態なのにだ。

 

「雨爺さん、何処へ!?」

 

「虹の雫を作るには一度雨の祠へ戻らねばならん。ルーラを使えばすぐじゃ」

 

「だけどまだ治療が必要なんでしょう!?」

 

「必要……ではない。アルスも知っていよう?ローラ姫が連れさらわれたのを。まさか他人と身体が入れ替わっていたとは思わなんだが……いずれにしても、ローラ姫の肉体と精神が竜王の手に堕ちた事になる。急がねばローラ姫も、もう一人のおなごもどうなるかわからん」

 

 アルスは黙って頷くしかない。そんな事はアルスもわかっていたのだから。何せ当人達の他にローラ姫とセシールの入れ替わりを知っていた唯一の人間なのだ。

 

「アルスよ、どうせお前の事だ。行くのだろう?」

 

「はい……勿論です。セシールは俺が必ず……」

 

 アルスの手には王女の愛がある。酒場の主人から渡された、セシールがアルスに渡してくれと頼んだ品。

 

『信じている』

 

 そんな言葉を聞かされたら行かないわけにはいかない。いや、どうせそんな言葉が無くても行くに決まっている。

 

「そうか……なら先に教えておこう、虹の雫の事を」

 

 虹の雫は太陽の石、雨雲の杖、ロトの印の三つを揃えて作成する超強力な魔法道具である。だが橋をかけるというのはオマケにすぎない。雫の真価は別にある。

 

「虹の雫は魔を封じ込め光を強める。謂わば魔物をあの島に封印し魔物の力を弱める、それが本当の効果じゃ」

 

 魔物の妨害が無ければ橋をかける事自体は然程難しくない。それでも虹の雫を必要とされたのはこれが理由。

 

「勇者ロトが虹の橋をかけてから長い年月が経過し結界の力が弱まった。でなければ橋が竜王に破壊されるとは思えぬ。この事を知っているのはおそらくわしら三賢者のみ。太陽と虹の賢者は残念ながら……じゃから知っているのはわしと話しを聞いたお前だけじゃ」

 

「では今からリムルダールの北西にある岬へ行けば……」

 

「待てアルス。ここからリムルダールまでかなりの距離がある。そう簡単には……」

 

「いえ、あります。俺はリムルダール周辺で修行したから岬の近くに行ったことがあります。それに俺はこれを貰いました」

 

 アルスは懐から一枚のキメラの翼を取り出した。それはマゾットから貰った特別性のキメラの翼である。

 

『何かに役立つかもしれん。メルキドを救ってくれた礼じゃ、持っていけ』

 

 アルスの脳裏にはサムズアップしニカッと笑うマゾットの顔が浮かび、思わずこちらも笑みが浮かぶ。

 

「そうか……よし、アルスよ、新しき勇者になるかもしれぬ若者よ」

 

 雨の賢者はアルスの両肩に手を置き真剣な眼差しでアルスを見た。

 

「守りたいと思う者が一人でもいるならば限りなく手を尽くして戦うのじゃ。そして……」

 

 そこまで話すと少しだけ表情を和らげながら。

 

「命を大事にな……わしが虹の雫を作ったらすぐに使い橋をかける。お前は橋が架かったらすぐに島へ渡るのじゃ」

 

「……はい」

 

 アルスはキメラの翼を使い、雨の賢者はルーラで雨の祠へ戻った。言葉は少なく、三十分にも満たない会話。ガライとの別れを経験したアルスもひょっとしたら内心悟っていたのかもしれない。

 

 そしてやはりこれが師匠と弟子最後の会話だった。

 

※ ※ ※

 

 今でも思い出す。あの時雨雲の杖を持ってきた勇者の姿を。

 

『これをわしに?』

 

『大魔王は言ってた、私が死んだ後にまた別の魔王が現れるって。ルビスのアホは虹の雫の材料を賢者に渡せって言ってた。石はもうラダトームの賢者に渡したから貴方にはこの杖を預かってほしい』

 

『あ、アホって……』

 

『ああん ! ?あんな駄女神アホで十分 ! せっかく子どもと一緒に『~バーク』に作らせた豪邸で快適スローライフを送ろうと思ったら戻れないってどういう事よ ! ああ腹立つ、あいつの像蹴飛ばしただけじゃ物足りない!一生消えない落書きでもしてやればよかった ! 』

 

 い、今でも忘れられないのう……彼女の怒り具合は。今ならわかるがアルスはおそらく彼女の遠い子孫。本当にどんな魔術を使えば素直な青年が産まれるのか……。

 

 それはさておき、おそらく彼女が言った新たな魔王とは竜王の事。ならばわしの役目はもう一度虹の雫を作り出す、それしか無い。本当なら三賢者全員の力が必要な儀式、それをわし一人で成功させる為にはわしの命も使う必要がある。じゃが新たな勇者の為にも必ず成功させねばならん。

 

 太陽よ虹よ、今からわしもそっちへ向かう。

 

 長かった……この年月は本当に……。

 

「おお精霊神ルビスよ、今ここに太陽と雨を捧げます!」

 

 アルスよ、新たな勇者よ。そなたの行く末に幸あらんことを!

 

※ ※ ※

 

 雨の祠から飛び出した虹のオーロラは竜王の島を囲むように広がり遂には島全体が結界で覆われた形となった。オーロラから伸びてきた虹色の橋は対岸までたどり着くとやがて橋の形となった。

 

 

 既にキメラの翼でリムルダール北西の岬に到着していたアルスは幻想的な光景に言葉を失っていた。橋が架かったのを見るとすぐに意識を橋に集中。橋と言うよりも虹色の半透明な板のような虹の橋。試しに近くの小石を放り投げるとカツンと音がして橋の上を転がった。どうやら渡るのに問題は無さそうだ。

 

「これが、虹の橋……雨爺さん、ありがとうございます」

 

 アルスは直感でもうこの世にいない師に対して、雨の祠がある方角に向かって一礼すると迷い無く虹の橋を渡った。橋の半ば辺りで対岸の動きが見えてきた。どうやら突如現れた虹の橋を破壊しようと攻撃を加えているようだが橋はびくともしない。何せこの橋は出来たばかりで結界という役割をしっかりこなしている。大魔王の時代の魔物ですら破壊できなかった虹の橋を竜王軍が破壊できる道理は無い。ならばと今度はアルスに向かって攻撃を加えようとすると竜王の島から攻撃が外に出ることが無い。それでも無理矢理外に出ようとした魔物は結界に触れあっという間に浄化されてしまう。

 

 竜王の島は文字通り脱獄不可能な監獄へと様変わりしたことになる。それだけではない。竜王の島にいる魔物はそのほとんどが聖なる力によって弱体化させられ本来の実力を発揮できない。侵入者を狩ろうと手ぐすね引いて待っていた狩人はいつの間にか獲物に変わってしまっていた。しかもその侵入者は今までの激戦もあり、人類最高の18を過去のものとし現時点で23である。竜王はアルスを野放しにしすぎたようだ。

 

 アルスは虹の橋を渡り終えると即座に腰の炎の剣を抜き取り敵を切る。ドラゴンの上位種であるキースドラゴン達も本来は強敵のはずだが虹の橋による結界にて弱体化。卑怯ではない、むしろ数で押せる利点を捨てて閉じこもっていたのだ。勝てるうちに手を尽くさなかった方が悪いのだ。

 

「ここが竜王城か……」

 

 城の城門前にたどり着くと強大な魔物の気配が漂う。結界で弱体化が効いていないのか、それとも弱体化してなお強いのか。一瞬身震いするが、城の高台から海を挟んだ対岸にラダトームの城が見える。

 

(俺が負けたら皆が……)

 

 襲撃を受けて未だそれほどの時間が経過していないにも関わらず皆町を建て直そうとしている。人間は転んでも困難に当たっても立ち上がることができる、乗り越えることができる。懐にしまったロトの印がアルスを勇気付けるように淡い光を放ち、それに呼応するかの如く王女の愛が光を放ち始める。

 

(感じる……セシールがいる場所が、王女の愛が俺に教えてくれる)

 

 セシールは城の地下にいる、王女の愛はセシールを助けてくれる人間を持ち主の元へ導く力がある。

 

(よし……行くぞ ! )

 

 城の門を開けると大広間には見慣れた男がいた。黒と灰色の鎧を身にまとった悪魔の騎士がアルスを待ち受けていたのだ。

 

「はい。随分力を増したな」

 

「どいてくれ。どうして貴方が竜王の味方になったかは知らない、だけど今はどうでもいい。俺はセシールの元へ行く、竜王を倒し彼女を救う」

 

「いいえ。だめだな、貴様は俺と戦ってもらう。今度こそ決着をつけてやる」

 

 悪魔の騎士は逃がさないと言わんばかりに盾を構えた。そして背後にある玉座を指さした。

 

「あれを見ろ。俺に勝てたらあれをくれてやる」

 

 悪魔の騎士が見せた物、それはドムドーラで奪い取ったブルーメタリックの全身鎧だった。

 

「ロトの鎧。報酬としては十分だろう ? 」

 

「あれがロトの……鎧」

 

「わかるぞ、貴様は勇者の装備を一つも手に入れてはいない。あの鎧が欲しいだろう ? 」

 

 悪魔の騎士は図星を突いてくる。魔法の鎧も限界が来ている、今のアルスには竜王と戦う前に一つでも勇者ロトの装備が欲しいところなのだ。

 

「欲しければ戦え、俺と戦え……俺と戦え ! 」

 

 悪魔の騎士は装備できなかったロトの鎧、その持ち主が現れた事を祝福し青い光を放つ。それとは真逆の悪意を漂わせる悪魔。アルスは炎の剣を握り戦闘態勢に入る。

 

「俺にはあの鎧は身に着けられない。だが、俺にはこれがある」

 

 そう話した悪魔の騎士が持つ武器は斧ではなく剣だった。彼が人間だった頃に使っていた鋼鉄の剣……ではなかった。見るだけで名剣であるとすぐわかる代物であった。

 

 彼が手に持つ剣をアレフガルドの人々はこう呼んだ。

 

 

 

 

 

                   ロトの剣と




当てにならないさっくり計算では残り三話と言ったところでしょうか。最後までお付き合いくださいませ<(_ _)>
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