ドラゴンクエスト~Ars, please take me with you~ 作:プニたけっち
さて、愛する女の涙に心を動かされた青年アルス。一人の旅に心を震わせながら歩みを進めるが、残念な事に彼はラダトーム以外の街へ行ったことがない。もし彼に師と言えるような存在がいたのならば、ただ『北へ行け』などというふんわりとした助言ではなく『まずはラダトームから北西へ進みガライの町を目指せ。しばらくは近くの魔物相手に修行しろ』と具体的なアドバイスを贈ったであろう。しかもアルスはラダトーム王家からの支援が無い。もしあれば地図を借りる等の対策もできていたかもしれない。
結論から言おう。アルスは現在窮地に立たされていた。
「くそ、いったい何体のまほうつかいがいるんだ。もう薬草も無いしホイミも使えない」
普通ならば北西のガライの町へ向かう所、アルスは北東に進んでしまっていたのだ。ガライの町よりも強い魔物がわんさかいるこの地区にアルスはノコノコ乗り込んでしまったのてをある。
「ドラキーくらいなら相手にできるけど、また色違いのドラキーに出てこられたら…」
アルスの目に焦りが見える。引き返すか進むか、アルスのMPはゼロ、ラダトームへ戻れるキメラのつばさは手元に一つだけある。懐にあるキメラのつばさに手が伸びた時、森の向こうから煙が見えた。何かが焼けている煙ではなく、もっと別の刺激臭がする煙であった。
「…進もう」
ひょっとしたらあそこに民家があるのかもしれないとアルスは走りかけるがふと立ち止まり、今度は魔物に出くわさないよう慎重に歩みを進めた。もしここで強い魔物に出会ったら最期、セシールとの約束を果たすこと無く大地に帰る事になるだろう。
天はアルスに味方をしたのか、本来であれば魔物のテリトリーである森の中をくぐり抜け、アルスは森と温泉の村であるマイラの村へたどり着いたのであった。
※ ※ ※
マイラの村へ着いたアルスは直ぐ様宿屋へお金を払って転がり込みベッドへダイブ。連戦に次ぐ連戦によりアルスの疲労は溜まりに溜まっていたのだ。もう今日は何もする気が起きないとアルスは泥のように眠った。
一休みしたアルスはしばらくこの村に滞在することを決めた。マイラの村の目玉は何と言っても温泉である。宿屋の親父に勧められ入ってみたらビックリ、戦いの疲れが取れ汚れもキレイに洗い流せたのである。アルスはこの温泉を大層気に入ったのであった。
「はぁ…生き返るなぁ」
カポンと桶の鳴る音が聞こえアルスは夜空を見上げる。
アルスは悩んでいた。竜王を倒す、それはいい。だがどうやって強くなればいいのか皆目検討がつかないのだ。今の自分はこの辺りの魔物にすら満足に戦えない、ラダトーム周辺の魔物ならば簡単に勝てたのに…と。
「へい姉ちゃん、ワシと湯上りにお茶しな〜い?」
物思いにふけるアルスは思わず温泉の中でずっこけた。老人のナンパをする声が聞こえる。女湯の方からきゃあ~という女性側も満更でもない声が聞こえ、助けに行くかどうか判断に迷う所である。
だがそうこうしているうちに老人は女湯の柵を軽々飛び越え男湯に飛び越えてきた。
「うわっ ! ? 」
「お、にいちゃん悪いな。じゃ ! 」
男湯に飛んできた白いひげの老人は軽いフットワークで脱衣場から走り去っていった。
「な、なんだったんだあの人は…」
後には騒動に全くついていけないアルスだけが取り残されていた。
* * *
温泉から上がり宿屋へ戻ると宿屋の店主が出迎えてくれた。
「あの…さっき女湯からおじいさんのような声が聞こえたんですけど」
「じいさん…?ああ、それなら気にしなくていいよ。それはきっと雨じいさんだ」
「あ、雨爺さん?」
アルスが聞いたこともない名前を聞き不思議そうにしていると店主が答えてくれた。
「旅の人はみんなそういう顔をするんだ。雨爺さんはここから西にある雨の祠という場所に住んでいる賢者様でね、昔勇者ロトが使った雨雲の杖を守っているという話しさ。そんなたいそうな感じなんて全くないがね」
「勇者ロトが ! ? 」
勇者ロトという言葉に食いついたアルス。ロトが使ったアイテムがあれば自分は強くなれるかもしれない、そう考えたのだ。
「なんだあんた、雨爺さんに会いたいのか ? 」
「え。ええ…まぁ」
「あの人若い女か気に入った人間にしか興味を示さないけどな」
珍しい者を見るような目で店主は一枚の紙を見せる。
「兄ちゃん、あんたここらの地形に詳しくないだろ。そこでだ、ここら辺の地図…買わないかい ? 」
「え、地図ですか ? あれば助かりますけど…いくらですか ? 」
商売に関しては店側に圧倒的なアドバンテージがある。欲しそうに見てしまった時点でアルスの負けだ。
「そうだなぁ…ざっと800Gだな」
「そ、そんなにするんですか ! ? 」
店主が提示してきた金額は桁が一つ間違っているのではないかと疑ってしまうほどの金額であった。
「嫌ならいいんだぜ ? 地図はこれ一枚しかないんだ。いらないなら別の客に売るだけさ」
さあどうすると答えを焦らせる店主、買おうかと考えるアルスだったが脳裏にラダトームの道具屋の店主が出発前に話していた事が浮かぶ。
「…その地図が正しいという証拠はありますか ? 」
「証拠ぉ ? 」
「その地図が書かれている場所、地形、それは本当に正確な物ですか ? さっきから俺に地図の内容を全然見せないけど、そこに書かれているのは白紙とか適当に書かれている物じゃないですよね ? 」
ぐっ、と声を詰まらせる店主。アルスの指摘は概ね当たっており店主は何も反論できない。かつてラダトームの道具屋の店主が言ってきた事。
『相手が期間を置かずに決断を迫ってきた時は相手の言う事を信用するな。疚しいことを考えている証拠だ。客に試し切りもさせない店、品物の説明もせず実物も見せない店、そんな店は使うな』
アルスに教えた買い物の心得、それは間違いなく今アルスの身を守った。
「ひょひょ、若いのお前さんの勝ちじゃ」
宿屋の入口の方から歩いてきた老人がアルスたちに声をかけてきた。高齢の老人が杖を持ち布の服を着てこちらへ歩いてくる。普通の村人としか思えないにも関わらず年齢以上の軽快さを見せる。
「あなたは先ほど温泉で ! 」
「よぉ、また会ったのう若いの。あの時はすまなんだ、ちょっち女子をからかいすぎての、蹴りをかましてきたから逃げてきたのよ」
なんてことはないかのように話す老人。こんなことは日常茶飯事なのだろう、宿屋の店主は米神を押さえて話しかけてくる。
「雨爺さん、あまり女湯に忍び込まないでくれよ。まだあんたに慣れてない子がいるんだからさ」
「やかましい。若い女子との戯れはわしのライフワークじゃ、だれが何といってもこれはやめられんわい。それよりもじゃ…」
雨爺さんは店主との会話もそこそこにアルスの懐へスッと入り込む。
「 ! ? 」
あまりのさりげなさに全く対応できなかったアルスは目の前の老人に畏怖を隠しきれなかった。
「ふむ…お前さん素質はあるのに全然活かしきれていない、おしいのう…うし、一つ鍛えてやろう」
「えっ ! ? 」
自分の意志に関係なく進む話に全然ついていけないアルスはただオロオロするだけである。
「ほれ、お前さん少し堂々としておれ。先ほどそこの店主に地図の件を指摘した時は良かったぞ」
「あ、あれは昔教えてくれたことを参考にしただけで…」
アルスの意見に対し老人は持っていた杖をアルスへ向けた。
「知識というものは持っているだけでは意味が無い、要所要所で活用できなければ宝の持ち腐れよ。お前さんは受けた教えを有効活用してみせた。あまり謙遜が過ぎると知識を授けてくれた相手への侮辱ぞ ? 」
あ、と声を詰まらせたアルスは反省した様子で姿勢を正した。その様子を見た老人は店主にだけ聞こえる位置まで歩き何かをささやいた。ゲッと声を出す店主だったが、わかりましたよと渋々何かを了承し店の奥に引っ込んだ。
「あの…今のは…?」
「気にしなさんな。それよりも特訓は明日からじゃ、ところで…お前さん、名は何という?」
「え?えっと、アルスと言います」
「そうか、いい名前じゃの。ワシの事は雨爺さんとでも読んどくれ。さあ、もう寝た寝た」
老人の中ではアルスに対する特訓は決定事項らしい。今まで師という存在に会った事が無いアルスはほんの少しだけワクワクしながら眠りに就いた。
※ ※ ※
翌朝
アルスと老人はマイラのすぐ近くで柔軟体操を行いながら雑談をしていた。セシールの為に旅に出て竜王討伐を成し遂げるのだとアルスは語っていた。
「ところでアルスよ」
「なんでしょうか、雨爺さん」
雨爺さんはぴょんとヘッドスプリングをしながら軽々とした身のこなしでアルスに向かい合った。
「お前さんの武器を見て思ったが…随分傷だらけじゃの、呪文を覚えてないのか?」
「いえ、ホイミとギラと…あとラリホーを使えます」
アルスの返答に対し、雨爺さんはヒゲを擦りながら返す。
「アルス、お前さんには呪文の利便性を教えよう」
「呪文…ですか?」
アルスは首を傾げながら考える。呪文を使えば当然MPが減る、それならば回復呪文に使い武器で戦った方がいいと考えていたのだ。
「確かにそれも一つの手じゃ。じゃが今のお前さんにはそれができるだけの地力が足らん。強さは鍛えれば伸びていくからワシが教えることは無い、むしろお前さんは我流の方がいいような気がするのでな」
雨爺さんは周囲を見回すと手頃な魔物を見つけアルスに指示を出す。
「アルス、あのおおさそりと戦ってみよ」
アルスが雨爺さんの指差す方を見ると、こちらに気がついたのかおおさそりがアルスを目掛けて突進してくる。
「わかりました、でやッ!」
アルスは銅の剣をおおさそりに向かって叩きつける。だが頑丈なおおさそりの皮膚は銅の剣による攻撃では決定打にはなり得ない。おおさそりの尻尾はアルスの身体を強打し弾き飛ばした。
「くっ!やっぱりこいつは硬い…」
距離が離れた隙をついてアルスはホイミをかけ回復する。回復が終わると同時におおさそりが接近し尻尾が振りかぶられる。アルスも皮の盾で防ぐがそれでもダメージは受けてしまう。
「まだだ!もう一度!」
アルスが突進しようとした時、雨爺さんの叫び声が戦いの場に響く。
「ギラを撃て!」
その言葉に反応したように、アルスはギラの呪文を唱えた。
「キシャアアッ!」
おおさそりにギラが命中、断末魔の叫びをあげおおさそりは息絶えた…あれだけアルスを苦しめた魔物にしては呆気なさ過ぎる最期だった。
「勝てた…あんなに苦戦したのにギラ一発で…」
余りにも最後は簡単に勝てた為かアルスは呆然としていた、そんなアルスの肩を雨爺さんはポンと叩く。
「どうじゃアルス、これが攻撃呪文の利点じゃ。硬い敵にもダメージを与え必ず命中する。お前さんが軽視していた攻撃呪文も捨てたもんじゃないじゃろう?」
「…はい、でもこれでは俺のMPがすぐに底をついてしまいます」
アルスの懸念ももっともである。アルスのMPはそこまで多くない。だからこそ剣を使っての攻撃主体になったのだから。
「そこも創意工夫じゃよ。別に全ての敵に呪文を使えと言ってはおらん。例えばゴーストにはお前さんは剣で戦うか?それともギラを使うか?」
「もちろん剣を使います。そこまで苦戦するわけでもありませんから」
「そう、相手を見極め正しい対策を取り戦う。それが大事なのじゃよ。初見で戦う相手には色々と手持ちの札を使い情報を得て戦うのじゃ。それができなければ…」
雨爺さんは今までにない真剣な表情でアルスを見据えた。
「これから先の戦い、お前を待つのは栄光ではなく死ぞ」
雨爺さんの気迫にアルスは唾を飲んだ。その気迫が真実だと告げている。
「先程聞いたセシールという女子の為に戦うのはけっこう。じゃがその為にはお前さんが五体満足に帰らねばならん。セシールとやら…泣かせたくないじゃろ?」
「そんなの当然です!」
今までにないくらいの覇気がある返事である、このやり取りから雨爺さんはアルスの目の前にぶら下げる人参はセシールにしようと決めた。
「ならば特訓じゃ!セシールの望みを叶える為にも気張れアルス!」
「はい!」
惚れた女の為に戦う恋の奴隷アルス、しかし雨爺さんの指導が無かったら確かに待ち受けるのは死であったのは間違いないのだ。
それからも雨爺さんの指導は数日間続く。
戦闘訓練。
「メイジドラキーはギラを使う。お前さんもギラで対抗せよ、まだお前さんの強さでは奴は一撃では倒せん」
「はい!」
時には座学。
「攻撃呪文は必中じゃが状態異常呪文は必ず効くとは限らん。しかも絶対に効かない相手もおる。例えばこの近くのがいこつ、奴にはラリホーは効かぬ。じゃから通常攻撃で仕留めるのが良いじゃろう」
「…メモメモ…」
旅をするには路銀も大事。
「魔物が落とす金は必ず回収せよ。まずはこのマイラで新しい装備を整えるのじゃ」
「おおさそりっていい額のお金を落とすんですね…」
一応常識人ではあったアルスなのだが冒険者としては落第レベルであり、今回雨爺さんから受けたレクチャーは金言ばかりであった。
基本とは突き詰めれば極意、言われてみれば当然の事でもアルスにとっては強さ以上のレベルアップに等しい授業なのである。
こうしてアルスは自らを鍛え新しい呪文を習得。マイラでは鉄の斧、鉄の鎧を購入。貧相な装備に別れを告げたのである。
そして総仕上げ…。
アルスはマイラから少し離れた草原でがいこつと向かい合っていた。
「がいこつはこの辺りではもっとも厄介な相手じゃ。アルス、お前の思う通りに戦ってみよ」
アルスは軽くコクリと首を振りがいこつの動きに集中する。先に動いたのはアルス、牽制としてギラを命中させる。ギラに構わず突っ込んできたがいこつはその脆そうな見た目からは想像もつかないほどの贅力でアルスを殴る。間一髪のところで躱し鉄の斧を横一閃、がいこつには掠る程度ではあるがダメージはしっかりと与えた。
がいこつの単調な動きでも躱しきれない事もある、アルスは敢えて数発受け体当たりを行いがいこつのバランスを崩す。地面に倒れたがいこつに起き上がる隙を与えず鉄の斧を振り下ろす。
がいこつに当たった攻撃は会心の一撃となり、がいこつはお金を残し消滅した。
「うむ、合格と言って良いじゃろう」
「ありがとうございます!」
雨爺さんはパチパチと拍手をアルスへと贈り朗らかな笑顔を向けた。
「アルスよ、只今をもってワシからの修行は完了じゃ。これからは旅を続けながら自らを鍛え竜王討伐に赴くが良い」
「…はい、色々と教えて頂き、ありがとうございました!」
アルスは雨爺さんに向けて深々とお辞儀をする。アルスのレベルは10へと上がり、マイラに到着した頃に比べると見違えるほど強くなっていた。
さらに使える呪文も増え、戦い方にさらなるレパートリーも増えたのであった。
「…アルス、最後に伝えておく事がある」
雨爺さんは自らの持つ杖をアルスに見せた。古ぼけた杖ではあるが確かな魔力を感じる。
「これは雨雲の杖といってな、かつて勇者ロトが虹の橋をかけるのに使った道具の一つじゃ」
「虹の橋…?」
昔勇者ロトは現在竜王が居を構える城に渡る為、『雨雲の杖』『太陽の石』『ロトの印』という3つの道具を揃えリムルダールの西に橋をかけ島へと渡ったのである。
「虹の橋は竜王達によって破壊されていて今のままでは渡れん。じゃからもう一度虹の橋をかける必要があるのじゃが…」
雨爺さんは雨雲の杖を軽くコツンと拳で叩く。
「なのにこの杖は全く反応を示さん。大体太陽の石もロトの印も紛失してしまいどこにあるかもわからん」
心底残念そうに話す雨爺さんだが、それも当然だろう。そんな重要アイテムならラダトームで厳重に保管しておくべきなのだが今は雨雲の杖以外行方不明。しかも手がかり無し。どうしろと?
「そこでじゃ、もし旅を続ける間にそういうアイテムを見つけたら必ず回収してくれ。リムルダールの南にある祠にワシと同じ賢者がおるから、そいつなら何か知っているかもしれん」
「わかりました。旅先で探してみます」
頼むぞとアルスに伝えた雨爺さん。これでマイラでの活動は終わりを迎える…。
「お〜い爺さん、俺を忘れないでくれよ」
アルスが振り向くとそこには宿屋の店主が声を上げながら歩いてきた。手には大きめの袋がある。
「爺さん、俺にこれ買うの頼んでおきながらこれでおしまいとは酷いじゃないか」
「おおすまんすまん、これを忘れておったわ」
雨爺さんは袋を受け取ると中から盾と地図を取り出した。
「これは?」
「鉄の盾じゃ。こやつに頼んでガライの町から取り寄せてもらった。800Gでな」
この金額は先日宿屋の店主がアルスに吹っかけた値段である。
「爺さんには町の若い奴らを鍛えてもらったりしているけどよ、さすがにこれは俺の損じゃ…」
「若いのから金ふんだくろうとした間抜けにはいい薬じゃ。次は地図じゃ。説明してやれ」
はいはいと返事をした店主はアルスに地図を渡した。
「これはアレフガルド大陸の地図だ。この前の出来損ないではない本物のだ。ここがマイラだから、こう行けばガライ、南にある海底洞窟を通ればリムルダールに着く。間違ってもガライの南に行こうなんて考えるなよ、今のあんたじゃ間違いなく嬲り殺しにあうからな」
なんだかんだいってもしっかり説明してくれる店主を見て、この人も悪人ではないんだろうなとアルスは感じた。
「まずは先程も言ったがリムルダールを目指すがいい。ガライの町へ行っても特に実りが無いし、戦力増強の為にも南へ行くことを勧める」
「お二人共、色々とありがとうございます。必ず竜王を倒してみせます!」
アルスは新たに手に入れた鉄の盾を身に着け地図を手にしリムルダールへと向かった。今度こそ目的地に着くであろう。
アルスの姿はゆっくりとだが地平線の向こうへと消えていった。
「なぁ爺さん、あいつに随分肩入れするじゃないか?」
「うむ…素養があったのは事実じゃが、何となくあの世間知らずの若者に…アルスにかけてみたくなった」
「かける?何を?」
「決まっておろう」
雨爺さんは天を見る。気がつけばしとしと雨が降ってきた。
「竜王撃破じゃよ」