ドラゴンクエスト~Ars, please take me with you~ 作:プニたけっち
アルスがラダトームへ一時帰還した翌日の事、その日アルスが泊まった宿屋は大騒ぎだった。いや、アルスが挨拶に向かったかつての働き先である道具屋でも、宿屋と道具屋の中間にある武器屋でもある話題で持ち切りであった。
砂漠の街ドムドーラが壊滅した。
きっかけはガライの町からやってきた旅人からの話しだった。
「ドムドーラに住んでいた俺の知り合いが命からがら逃げてきて俺に教えてくれたんだ。よっぽど怖い思いをしたのか今でもうなされててさ。鎧が…鎧の騎士が…ってな。町でもこの話しが本当なら早く王様に伝えなきゃってなって、それで俺が町を代表して来たんだ」
宿屋で水を飲み喉を潤していた旅人は宿屋の店主やアルスの前でそう語る。城の方では至急確認の為に兵士を募り人員を送る事が決まったらしい。この兵士達は準備を何重にも入念に行い出発する事になる。何しろドムドーラ周辺はただでさえ魔物の強さが異常な土地、リムルダールで魔物と互角に戦える戦士でも逃げ帰るしかできない程なのだから。
「…アルス、行くのですか?」
「…うん。この鎧の騎士とは…多分、あいつだ」
セシールからの心配そうな声にアルスは頷き答える。虹の賢者の命を奪った黒い鎧の騎士、アルスが今のままでは勝てないと直感で判断した相手。あれから1日しか経っていないにも関わらず再び相対するかもしれないのは、アルスの運命か、それとも運が悪いのか、それとも両方なのか?
だがいずれにしてもアルスにとって鎧の騎士は倒さなくてはならない相手、倒せないようであれば竜王討伐など夢のまた夢なのだから。
「できればもう少し鍛えたい所だけど…」
アルスのこの考えを弱気と思うなかれ、一度戦力差をはっきりと実感できたからこその考えなのである。その言葉を聞いていたガライの町から来た旅人はアルスの席へ近づいてきた。
「なあニイちゃん、ひょっとして修行したいとか思ってるか?」
「え?ええ、まぁ…」
突然割り込んできた旅人相手に返事はしたものの警戒は怠らない。旅人はドムドーラの件を伝えてはくれたが善人とは限らないのだ。
「そう警戒しなさんな、修行のいい場所を知ってる…って言うよりもさ、ついでに頼みがあるんだよ」
旅人にとってはどうもこの頼みの方が本題だったようで小声でアルスに話しかけてくる。
「実はさ…さっき俺ガライの町から来たって言ったじゃねえか。その町なんだけど…最近奥にあるガライの墓から魔物が出てきてるんだよ」
「え、お墓から魔物?」
旅人曰く、ガライの町とは元々吟遊詩人ガライの実家があった場所にガライを慕う者たちが集まって墓を作り、そこから町に発展していったらしい。町は北側が墓、南側が住宅地となっていて墓の方から先日より魔物が出現し始めたのだという。人間が住まう土地に魔物が侵入したとあっては一大事であり、地元の人間で対処できないのであれば本来ならラダトーム王の命令において兵士に討伐平定の命令がくだされる筈である。
「その事は王様には話したんですか?」
「話したんだけどさ、ドムドーラの一件の方が大事みたいでそっちまで手が回らないらしいんだよ。だからあんたには墓にある銀の竪琴を回収してきて欲しいんだ」
銀の竪琴…吟遊詩人ガライが生前に使っていた名器にして呪われた品。竪琴が発する音は魔物の神経を刺激し竪琴に近寄らせる効果がある。一時的に勇者ロトが借り受け修行に使ったとも言われている。
「でもそんな貴重な品、勝手に持ち出していいのでしょうか?危険な品物とはいえ遺品でしょう?」
アルスの横で話しを聞いていたセシールが懸念を指摘した。セシールからすれば、銀の竪琴を持出した事でアルスにいらぬ危険が降りかかる事は避けたいのであった。
「まぁガライ本人の幽霊がいたら何て言うかはわからないけどさ、今回の持ち出しの件は町の住民の総意だと思ってくれていい。最初はスライム位だから町の戦士でもどうにかなってたけど段々魔物が強くなってきて手に負えないんだよ。このままじゃ町が滅んでしまう。墓はあんたが竪琴を持出した後で神官に頼んでお祓いでもしてもらうからさ」
ドムドーラ壊滅の報も銀の竪琴の持ち出しを後押しした事は言うまでもない。ガライは間違いなくたくさんの詩を残した偉人だが遺言で銀の竪琴も墓に埋葬してくれと頼んだ。その竪琴のせいで町が滅んでしまっては住民にとっては大迷惑だ。要するに厄介払いである。
「報酬はその銀の竪琴だ。竪琴を鳴らして近寄ってきた魔物を片っ端から倒していけばレベルアップも楽になるはずさ」
例えばダンジョン内で歩けば照明が弱くなっていく。だが竪琴を使い魔物の方から来るように仕向ければ照明を確保したまま自らを鍛えあげられるというわけだ。
「わかりました、やってみましょう」
「こいつは有り難いや!できればすぐにでも出発してほしいんだけど、そうしないと墓の外にまで魔物が出てきてしまう」
旅人は軽い口調で話してくるが、実際のところ事態はかなり切迫している。本来なら王様に依頼して兵士を送ってもらう筈が当てが外れ困っていたのである。そうでなければ宿屋でたまたま会ったアルスに依頼なんてしない。アルスが強いかどうかなどただの旅人にはわからないが、アルスの身につけている魔法の鎧を見て只者ではないと感じ取ったのだ。
「では準備がありますので昼頃には出発します」
「ホント会ったばかりの人に頼むような事でもないんだけど、よろしく頼みます」
旅人はスマンというように手を合わせジェスチャーをしながら宿屋を出ていった。
「じゃあセシール、俺はガライの町に行くから…またしばらく会えなくなるけど身体には気を付けて」
セシールはアルスが口にした身体という部分にピクッと反応するがすぐ後には動揺を消し答えた。
「大丈夫よアルス、私
「…?そう、だよね。一応心配だからさ」
アルスがふと感じた違和感、セシール…ローラは、普段のローラなら『セシールの身体は丈夫だから』というだろう。だが今のローラはセシールの身体を自分のものにすると昨夜決めている。セシールの瞳には、アルスを手に入れるという決意の炎がか細くも力強く燃えているのだ。
「じゃあ、行ってくるよセシール」
「あ、待ってアルス」
「ん?なにセシー…ル…?」
セシールから声を掛けられたアルスが振り向くと突然襲ってきたのは、セシールからの口づけであった。気になる異性からの接吻にフリーズするアルスとは対象的に、セシールの顔つきはまるで子悪魔と言わんばかりに妖艶に笑っていた。
接吻はマーキング、他の女にアルスは渡さないという意思表示。
「…ふふ、ごめんなさい。アルスが私の下へ無事に帰って来れるようにって、私からのおまじない」
「あ、あい…いってきます!」
女性に対する免疫が全く無いアルスは顔をギラのように真っ赤にしながら宿屋を出ていった。
(恥ずかしかったけど、やっぱりキスをして正解でした)
今の口づけはセシールにとってはちょっとしたカマかけの意味もあった。アルスが女の扱いに長けているかどうか。結論は考えるまでもなく免疫ゼロ、悪い女に引っかからないか心配になる程であった。だがこれでアルスは旅先で美女に会ったとしてもセシールを裏切る事はあるまい。アルスは良くも悪くも純情すぎるのだ。
※ ※ ※
ガライの町
普段であればガライに倣って詩を作るもので溢れていたが今では何時墓の奥から出て来るのかわからない魔物に怯える日々をおくっていた。
「さて、到着したのはいいけどどこから墓に入ればいいのか…」
アルスはガライの町に到着したのはいいものの早速捜索は暗礁に乗り上げた。何しろ墓の入口が見つからないのだ。てっきり墓の入口などすぐに見つかると思っていたのに墓に該当する部分は全て壁だけ。町人に聞いても魔物に怯え誰も取り合ってくれない。入口を開けたら魔物が飛び出してくるかもしれないという恐怖が町人の行動を抑制しているのだ。
「どうしよう…まいったな、これじゃあ中に入れない」
アルスは一度ラダトームへ帰って依頼人の旅人に確認するべきか考えていたが、ふと一人だけ様子が違う町人を見つけた。離れたところから墓を見つめる青年は青い装束を身にまといどこか哀しそうな眼差しを向けていたのだ。アルスはこれでダメならラダトームへ戻ろうと決め青年へ声をかけてみることに決めた。
「すみません、少々お伺いしたいことが…」
青年は驚いたようにアルスの方を振り向く。まるで声をかけられるわけがないと考えていたようで…。
「ああごめんね、何か用かい ? 」
「実はこの町の人に頼まれて銀の竪琴を取りに来たのですがお墓の入口が見当たらなくて、何かご存じではないかと思ったのですが…」
青年はしばしアルスを見つめるとその場に立ち上がり手招きをする。
「いいよ、案内してあげよう。銀の竪琴の安置場所までね」
「本当ですか、助かります ! 」
アルスはお辞儀をして礼を述べると青年はニコッと笑い墓のある一部分の壁を指さした。
「あの壁…わかるかい ? あの部分だけ実は仕掛けが施してあってね、押してごらん」
「はい…あっ、壁が回転した ! ? 」
アルスがやや力を込めて押すと壁がグルリと回転し内部への入口が現れた。ちょうど真横に配置されていた壁が一部分だけ直角に曲がったのだからアルスの驚きもわからないでもない。
「最初は鍵でもかけようかと思ったんだけど、そうしたら鍵があれば誰でも入って来れるという事じゃない ? だからちょっと凝った仕掛けを施しておこうかなと思ってさ。中に同じ仕掛けをいくつか用意してもらったんだ、これを知っているのはもう僕だけさ」
「え、町の人知らないんですか ? 」
青年の指示に従い壁を回転させるアルスだが手が止まる。この仕掛けを町人が知らないのでは、あの旅人はどうやってアルスに銀の竪琴を回収させようとしたのか ?
「別の場所によく似せた偽物の竪琴を置いてあるんだ。多分その人はその事を言っていたんだろうね。あれは普通の楽器だから手入れをしなければ音色が悪くなるけど、本物の銀の竪琴は手入れをしなくても音色が変わらない楽器なんだよ」
「そんな楽器が…やはり勇者ロトの時代からある竪琴、すごい代物なんですね」
「ああ、ただあの竪琴は少々危険でね…おっと、その橋を渡ればもう墓の地下に入る。魔物がいるから気を引き締めてくれ」
青年の言葉にアルスも前方に視線を戻す。たしかに橋の奥にある階段からは魔物の気配が漏れ出してきている。
「これは…あの、名前を聞かずに申し訳ありませんでしたが、ここから先は俺一人で行きます。あなたはここからは戻った方がいい」
アルスは青年の身を心配し別行動を取るよう提案するが、青年はのんきに笑いながらその申し出を断る。
「僕の事は気にしなくていい、中に入っても魔物が攻撃してくるのは悪いけど君だけだ」
「あ、あの…それはどういう… ? 」
アルスの額に嫌な汗が流れ始める。罠か ? そう感じながらいつでも鋼鉄の剣を抜けるように警戒を強める。
「不思議に思わないかい ? どうして僕が墓の仕掛けを知っているのか… ? それは…」
アルスは青年の動きに注意を向けながら戦闘態勢に入る。
「それは…僕が お ば け だからさ ! 」
「…へ ? 」
青年はアルスを驚かすように両手をぶら下げて長い金髪を目にかけ見つめてくる。対してアルスはというと自身に敵意が向けられていないことに気が付き思わず脱力してしまった。
「…あ、あれ ? あまり驚かないんだね ? 」
「い、いえ、驚きはしましたけど…これから魔物退治をしようとしてた緊張状態でそんな事を言われても… ? 」
互いの間にどこからか隙間風が吹き身体を冷たくする…。
「あ、あはは、なんかごめんね。久しぶりに人間と話したからつい…改めて自己紹介をさせてもらうよ。僕はガライ…生前は吟遊詩人をしていた。よろしく」
「こちらこそ名乗りもしないで…俺はアルスと言います…って、もしかしてこのお墓で眠っているあの… ? 」
「そうそう、僕が君たちの言う吟遊詩人ガライだよ」
今更ながらなんともマヌケな自己紹介をした二人だが、コホンとガライが咳払いを一つ。
「で、では行こうか。中は侵入者を迷わす為に複雑になっている。僕が道案内するからその通りに進んでくれ」
「わかりました」
アルスは青年を引き連れて地下へ続く階段を下りて行った。
* * *
地下へ続く階段を降りると、そこは本当に墓の下なのかと疑いたくなるような青く光る壁や通路が広がっていた。アルスがレミーラの呪文を使うと光に反射し普段よりも呪文の効果範囲が広がったような錯覚に陥る。
「竪琴は地下三階にあるんだけど、安置場所へ行く為には一度最下層である地下四階まで降りなくてはならない。だからまずは斜め、次にまっすぐ進んで突き当りを右だ」
ガライの指示に従い歩みを進める。リムルダールへ行く際に進んだ海底洞窟とは違い床が土ではないので靴の踏み具合が全く違い。道中魔物に襲われても強く床を踏み敵に向かっていける。以前戦ったリカントマムルだけではなくヘルゴーストにドロルメイジ、メーダロードがアルスの行く手を阻む。これまでの魔物は攻撃呪文しか使ってこなかった。だがリカントマムル以外は全員呪文を使用してくる。特にラリホーを使われたら単独の戦闘であるのでアルスには脅威となっていた。今回一番の良策はやはり一撃必殺、これまでの旅で培った力と鋼鉄の剣の攻撃力によりほぼ一撃で仕留めることができたのだった。
強くなっている。一歩一歩ではあるが確実にアルスの実力は増していた。
「ふう…これで何匹目か…それにしても本当にガライさんを魔物は襲ってこないんですね」
「そりゃあ僕はおばけだからね、さすがの魔物も幽霊は攻撃できないさ。あ、次は右回りで行く方が近いよ。しかし君は強いね、この時代になってから君くらい強い人間は見たことが無いや」
墓の大体半分位に差し掛かった辺りでガライは心の中で感じていた事を話す。
「僕なんてまだまだです。今のままだと竜王どころかあの騎士にも勝てない…」
鋼鉄の剣を握る力が強くなる。アルスの中では初めてだったのだ、大きな壁は。竜王という会ったこともない偶像ではなく地獄の騎士という目に見える一つの壁は…。
「そうか、それが君の目標の一つなんだね」
「目標…そうかもしれません。俺はセシールに頼まれてこの旅に出ました。あいつが虹の賢者様を殺した事は許せない。でも…」
アルスの脳裏に浮かぶ自分やセシールの死の光景、だがその光景は現実にしてはならない。その為にも。
「あいつの強さを超える…たしかに、それは目標なのかもしれません。俺は勇者じゃないけど、それでもあいつは倒して見せます」
ガライは生前多くの人間を見てきた。善人悪人問わず多くの人間が幸せを掴んだり破滅する様を見てきた。当然彼は勇者ロトとも会った事があるし会話もした。別に仲間になったとか親しい付き合いがあったわけでもない。ただほんの少しだけ一緒に旅はしたことはある、勇者と呼ばれた彼女の人となりを知るガライだからこそ言えるのかもしれない。
「ねえアルス、君は勇者とはなんだと思う ? 」
「え、急になんですか ? 勇者とは勇者ロトの事じゃないんですか ? 」
この世界この時代では勇者ロトの名は偉大である。大魔王を滅ぼしアレフガルドに光を取り戻した伝説の勇者、アルスの答えはアレフガルドに生きる者として当然の答えであり模範解答でもあった。だがガライが聞きたいのはそんな答えじゃない。
「僕が聞いてるのはね、誰が勇者かじゃない。勇者とは何かだよアルス。彼女は今ではロトなんて呼ばれてるけど最初から伝説の勇者と呼ばれていたわけじゃない。全て積み重ねさ、彼女が大魔王を倒したなんてことは偉業だけど僕は興味がそそられない。それは最後にやった事であって彼女が世界各地で人々の為に戦ったから伝説の勇者なんて呼ばれたんだ」
ガライもロトの事は深くは知らない。ただ決まった仲間はおらず基本一人で戦った事。気の知れた男はいたが既に亡くなった事。大魔王に宣戦布告をされたから仕方無く嫌々ながら来た。これくらいしかわからないし、戦いの後でロトの噂と自分が知るロトとでは全然違うじゃないかと大笑いした程だ。
しかしガライもまた男、ロトがもしその気心の知れた男とやらと出会っていなければ、ロトが子どもを身籠っていなければ愛の詩の一つでも本気で作り求婚した、本人はそう考えていた。少なくともロトは勇者ではあったが称号があったから勇者なのではなく皆が認めたから、自分が認めたから勇者なのだ。そう思う。
ではアルスはどう答えるのだろう。何処となくロトと近い空気を持つこの男は自分の言葉を聞き最終的にどんな答えを導き出すのか?ガライは冥土の土産にどうしても聞きたくなったのだ。
「今すぐじゃなくてもいい。ほら、そこにある銀の竪琴を今度持った時にでもいいから答えを聞かせてほしい。僕はおばけだからそうそう長くこの世にはいられないから」
死後100年程経って言っても説得力は無いが、アルスにとっては一つの石を投げられたような感覚だった。勇者とは?世界を救ったから、魔物を多く倒したから、勇気を持つ者だから、神に認められたから、それっぽい答えは出てくる。だがしっくり来ない。何故かはわからないがとにかく何かが違う。
「悩ませて済まないと思っている。でもその答えを、君だけの答えを導き出せなければレベルは上がってもこの戦いに勝利できない。僕はそう思う。その懐にある、ロトが持っていた印を君が持っているのも何かの縁なのだと思うんだ。どうか悩んで、悩んで、悩み抜いてもいいから君だけの答えをいつか教えてほしい」
アルスは返事を返せなかった。それはガライの声を聞いていなかったからではない。聞いたうえで、いつか答えを返せるのか自信が無かったから。
目の前には銀の竪琴がある。持ち上げたその重みはとても重かった。とても軽い筈なのに、それは自分が身に纏う鎧よりも重かった…。
カシャン
カシャン
鎧の音が聞こえる。アルスは銀の竪琴を素早く懐に仕舞い込むと音がした方を向く。この墓に鎧を着ているのは自分だけ、では誰か?アルスにとってはこんなにも早く再会なんてしたくない相手がいた。
「はい。見つけたぞ。ロトの印を渡せ」
アルスは無意識にガライを守るように彼の前に立った。いざとなればリレミトで逃げれるよう魔法力は十分に残している。
「いいえ。リレミトで逃げようと考えているな?」
アルスは考えを瞬時に見破られた事を残念とは思っていなかった。一度ルーラで逃走しているのだ、どうせバレるとはわかっていたのかもしれない。
「逃げたら…この町の人間を皆殺しにする」
悪魔の騎士は斧を持ち盾を構えアルスに対峙する。
「はい。貴様は、ここで」
次の言葉が出たのはアルスが剣と盾を構えるとほぼ同時だった。
「殺す」
お読みいただきありがとうございました。