第二部「破滅を照らす者:魂を映す鏡」   作:Jyoze628

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第二部「破滅を照らす者:魂を映す鏡」Epilogue

目次

 

第51章「鏡の中へ」

第52章「幸福という鏡」

第53章「不幸という鏡」

第54章「闇と光」

あとがき

 

第51章「鏡の中へ」

 

「…よし。」

ここでいいだろう。

【床に倒れていた星次、春喜、流輝の3人を2階の寝室へと運び終えた彼女は、一人で武器庫として使用されていたテントの中に立っていた。その彼女のすぐ隣には、星次が家の中に運んできたブービートラップの入った箱があった。】

「『骸に咲く花(Corpse Flower )』…!」

【彼女が『死神の薔薇(Reaper Rose)』の柄をテントの底に当ててそう呟くと、彼女を囲むようにして複数の緑の蔓が生えた。そのうちの数本はブービートラップを全て持ち上げ、残りの蔓は全てブービートラップのワイヤーの先についたリングに絡みついた。ブービートラップは全て彼女の首に全方位から押し当てられ、下手に動けばリングに絡みついた蔓を引っ張りかねない状態になっていた。】

「ふぅ…」

 

 

【挿絵表示】

 

 

【へカーティアが持っていた手鏡を取り出した彼女は、ひとつ深呼吸をした。】

彼らのバイタルチェックと寝室への移動は済ませた。

そして…もしもの事に備えて(マーリン)から受け取った物とその他の有用な物を、書き置きと共に寝室へと残してきた。

 

『皆さんへ

 

この書き置きを、皆さんにこの旅の全てを残して去ることを深くお詫び申し上げます。

 

これを読んでいるということは、皆さんが爆発で目を覚ましたということでしょう。

 

爆発について説明する前に、皆さんが倒れた後に起きた事を手短に書いておきます。

 

結論から言うと、へカーティアは完全に死亡しました。そして、皆さんのバイタルも全て正常です。

 

何が起きたのかは私にも分かりません。

 

ですが彼の魔法によって私が一時的に完全な人外の力を発揮した事。

その間は私の体の主導権が、私の中に潜んでいた『友好的な存在』に掌握されていた事。

その存在が皆さんを治療した事。

その存在が春喜さんを強制的に眠らせた事。

私が身体の主導権を取り戻し、彼を殺害したのも事実です。

 

ここからは爆発についてを書き残しておきます。

 

そして、結論から言うとその爆発を起こしたのは私であり、余程の事が無い限り、私はブービートラップによって確実に死亡しているかと思われます。

 

この様な事をしたのは私が彼の残した『魔道具』に干渉した際に、何らかの魔法によって私が手駒になり、皆さんに危害を加えるという事態を防ぐ為です。

 

ですので、もし爆発後に彼の『魔道具』を見つけた際は、絶対に触れたり近ずいたりしないで下さい。

 

また、爆発が起きずに『骸に咲く花(Corpse Flower )』で体を串刺しにされた私の死体を見つけたとしても蘇らせないで下さい。

 

ブービートラップの起爆と刺殺のトリガーは、私に何らかの精神的な異常が発生する事です。

 

その為、上記の内の1つでも発生した場合は『私が皆さんに危害を加える敵性存在と化した』として扱い、その死体を家の裏手にある『骸に咲く花(Corpse Flower )』の棺の中に入れ、全てが終わった後に重要な研究資料としてマーリンさんに提供して下さい。

 

そして、もし宜しければ…

公衆電話で以下の番号を打ち込み、

『青薔薇が枯れた為、剪定を命ずる。また、黒薔薇が青薔薇の葉を受け取る事を許可する。』と伝えて下さい。

 

どうか皆さんが平和な日常をまた過ごせますように。

 

短い間でしたが、今まで本当にありがとうございました。

 

私は皆さんと出会えて良かったです!!

 

ジョゼフィーヌより』

 

もしもの事が起きれば彼等には申し訳が立たないが…

これは、教団や終焉の儀式について知ることができるかもしれない千載一遇のチャンスだ。

命を賭ける意味は十分にある…!

さぁ…始めよう。

【彼女が覚悟を決めて手鏡を覗き込むと、ひび割れた黒い鏡面が波打ち、滑らかな白い鏡面に変化した。それと同時に、彼女は自動的に言葉を呟いていた。】

「全てを(たが)うこと無く映さんとする魔鏡よ!己を失いし愚かなる魔鏡よ!我が命の元に終わりを告げよ!」

【彼女がそう言い終えると、白い鏡面から光が溢れ出し、彼女を完全に包み込んだ。】

 

 

第52章「幸福という鏡」

 

「…ッ!?」

ここは…!?

【彼女は1人、闇の中に立っていた。そこに空は無く、地も無かった。しかし、不思議な事に自分の体だけははっきりと視認できていた。】

どういう事だろうか…?

まさかここは暗闇ではなく…

何も無いだけなのだろうか?

【そう考えていた彼女の後方から、光が差し込んだ。彼女が振り返ると、そこには空間にできた裂け目があった。】

「あれは…!」

彼の手鏡にあった亀裂と酷似している…!

とにかく…進んでみるしか無いだろう。

【1歩ずつ、彼女はその裂け目へと闇の中を進んで行く。1人、ブーツの靴音を響かせながら歩む。彼女が足を踏み出す度に、裂け目が大きくなり、光が更に強くなっていく。しばらく歩くと、彼女の周りに新たな裂け目が現れた。】

亀裂がいくつも…?

「これは一体…?」

 

『うぁあ…あぁあああぁぁぁぁああッ!!』

 

【彼女が考え込んでいると突然、初めに現れた裂け目から、痛みに(うめ)く女性の悲鳴のようなものが聞こえた。その声に驚いた彼女は直ぐにその方向を向き、臨戦態勢に入って『魔武具』を取り出そうとした。その瞬間、彼女は思わず固まってしまった。】

「あれは…映像?」

【その裂け目には、とても鮮明な映像が映し出されていた。辺りの暗さと、映像が大きな亀裂に映し出されているその様はまるで映画館の様だった。】

先程の悲鳴は…この寝たきりの人物が発したものか…

この人物が寝ているのは病室のベッドの上だろうか?

その周りに立っているのは看護師と医者…

なるほど、これは…出産の場面か!

だが…なぜこの女性だけ顔が見えないのだろうか?

【その映像の中心には、ベッドの上で横たわっている女性と、彼女を取り囲む様に立つ数人の看護師と白衣を身にまとった医者が映っていた。だが、その女性の顔を黒い砂嵐の様なものが絶えず動き回り、彼女の首から上を全て隠していた。】

 

『頑張って下さい!あともう少しです!頭が見えましたよ!!』

『あぁ…あぁあぁあああッ…うぅ…』

『もう一息ですよ⬛︎⬛︎⬛︎さん!』

 

今のは…?

なぜか名前にだけ大きなノイズが走って声が…!

 

『うああああぁぁあぁあ!!!』

 

【彼女の思考を遮るかのように、女性が一段と大きな悲鳴を上げた。すると、この世に新たな生命が産まれたことを告げる、力強いファンファーレが鳴り響いた。】

 

『うにゃぁ!うぁあ!うぁあぁあ!』

『産まれましたよ⬛︎⬛︎⬛︎さん!!元気な男の子です!!』

『おめでとうございます!!さぁ、抱き上げて下さい!』

『いま⬛︎⬛︎⬛︎さんをお呼び致します!!』

 

ダメだ…読唇術を使おうにも、名前が呼ばれる部分だけ映像も乱れてしまう…

【1人の看護師が急いで病室の扉を開けると、1人の男性が勢いよく女性の元へと走っていった。そしてなぜか、その男性の首から上にも、彼女と同じ様なものに覆われていた。】

 

『あぁ…あなた…!男の子よ!!私達の可愛い可愛い…元気な男の子よ…!!』

『あぁ…頑張ったな…良く頑張った⬛︎⬛︎⬛︎!』

『ほらあなた…この子を抱き締めてあげて!』

『うん…うん…良い子だ!ほら!お父さんだぞ!!』

『ふふっ…名前はどうしようかしら…』

『男の子だからな…カッコよくて強そうなのが良いんじゃないか?』

『そうね…この子は……』

 

【そこで突然なんの前触れも無く、その映像が乱れて裂け目ごと消えた。すると今度は別の裂け目が大きくなり、新たな映像が映し出された。】

 

『よし、着いたぞ!』

『運転お疲れ様!さぁ、行きましょう!⬛︎⬛︎⬛︎!』

『うん!』

 

この風景は…自然豊かな公園か…

この男の子は…先程の子だろうか?

背丈からして恐らく…幼稚園児だろうか?

とても微笑ましい場面だが…なぜこの子供にも砂嵐の様なものが…?

そもそも…この家族と映像の意味は…?

 

『ねぇ!おててつなごう!』

『そうだな、転ばないようにしよう!』

『ふふっ…それに、寂しく無いものね!』

 

【また映像が途切れ、先程のように新たな映像が現れる。】

 

 

第53章「不幸という鏡」

 

『ふざけるな!!』

『こっちのセリフよ!!』

 

「うっ…」

なんという声の大きさだ…

それにこの声は…表情が見えずともどのような顔をしているのか分かる。

これは明らかな怒りの感情がこもった声だ…

夫婦喧嘩だろうか?

 

『もう耐えきれない…離婚しましょう。』

『おっと…最後だけは心が通じたなぁ!あぁ!そうしよう!』

 

この話し方は…まるで…

 

【また場面が切り替わる。】

 

『親権は⬛︎⬛︎⬛︎氏に、よって⬛︎⬛︎⬛︎氏は…』

『何だって…?ふざけるなよ!!この…』

 

【映り変わる。】

 

『ねぇ…⬛︎⬛︎⬛︎…明日からは別の場所に行きましょう?』

『お父さんは…一緒?』

『その……そうよ。ただちょっと先に新しいお家に入って…私達が先にお掃除しておくの!』

『そっか……そうだよね…』

『だから今日は…早めに寝るのよ!それに明日は7歳の誕生日でしょ?だからお出かけにも行くの!分かった?今日は月蝕の日だけど…夜更かししちゃダメよ?』

『………うん。』

『明日はきっと…これからも良いことが沢山あるわ!』

 

【幸せだった一家の日常が、移り変わる。】

 

『…そういうことだから。分かった?』

『あぁ……分かった…』

『それじゃあ…おやすみなさい。私とあの子の部屋には入って来ないで…』

 

「あれは…ッ!」

 

【彼女は思わず手を前に伸ばし、静止を求めようとしたが、その行為は意味を成さない。寝室らしき場所へ向かおうとした女性の後頭部を、男性が殴り付けたのだ。】

 

『キヤァアァア!』

 

【鈍い音を立て、悲鳴を上げながら倒れる。彼女が倒れた先にはテーブルがあり、その上に置いてあった手鏡が床に落ちて割れた。】

 

『よく分かったよ…俺がどうしたら⬛︎⬛︎⬛︎と一緒に居られるか…お前がどれだけ最低な女なのかもなぁ!』

『止めて…お願…』

 

あの手鏡は…ッ!

まさか…この映像は…いや…!

この『記憶』は!!

 

【男が鏡の破片を手に取ると女性に馬乗りになり、彼女の首にその破片を振り下ろした。鋭い手鏡の破片を、不幸という名の幸福の破片を。】

 

『あ…………』

 

【鮮血が飛び散る。】

 

『そうだ…もっと早くこうしてたら良かったじゃねぇか!』

 

【彼はそう言いながら、血塗れた不幸を手放し、また帰ってきた幸せを掴もうとした。しかし、それは愚かなる行為でしか無かった。彼と彼女は勘違いをしていた。】

 

『カハッ…?』

 

【その喜劇と悲劇の主人公が、自分であると。その不幸という名の破片は、手放せば自分には返って来ないのだと。もうすぐ7歳になる子供には、人を殺す勇気が無いのだと。】

 

『何で…だ…』

『お父さんが…お母さんを殺したから…』

『考え…直せ……!悪いのは…』

『うぁぁ…あぁぁああああ!!』

 

【幸福とは一瞬で、唐突に崩れ去る脆い鏡である。不幸とは、幾度となく突き刺さる破片である。それは鋭く、どのような人間であろうと一瞬にして傷つけられる。】

 

『悪いのは…僕でしょ?僕が居たから……お父さんとお母さんは喧嘩したんでしょ?僕が産まれてきたから……僕のせいで……僕が僕じゃ無かったら…』

 

【窓から差し込む赤黒い光が暗い部屋に差し込み、破滅を照らし出す。破滅を生み出した子はひとり呟き、血塗れた破片を自らの胸に当てようとする。】

 

『そっか…今日は月が赤くなる日だ…夜更かしするなって言われたのに…約束も破っちゃった…』

 

【赤黒い月が、彼を見つめる。】

 

『誰かに…成りたいな…生まれ変わったら……今度は神様が助けてくれるかな…』

 

【その時、静かな部屋に低く轟くような声が聞こえた。】

 

『哀れな少年よ、その手鏡を他者に向けろ…お前の願いを叶えてやる…』

『えっ!?…誰?』

『我が名はクトゥルフ…悲運な人生を歩む者達に力を授ける神だ…さぁ…力を手に取れ…それが望みだろう?誰かに成りたいのだろう?』

 

「クトゥルフ…では…やはりこの子供は…!!」

 

『そして、力を望むならば鏡面に手を伸ばせ…その破片は貴様の力となる。』

『本当に…助けてくれるの?』

『代償は払ってもらうがな。二度と元の姿には戻れず、元の姿を表すものも全て闇と化し、お前を完全に証明するものは全て無くなる。そして、しばらくは我が命に従ってもらう。』

『そんなの…どうだっていいよ。僕は今日死んで、新しい僕に生まれ変わるんだ。それに…あともう少しで明日になって…新しい僕の誕生日にぴったりでしょ…?』

『いいだろう。さぁ、手鏡を使え。』

『うん…でも…お父さんとお母さんに天国であった時に…僕だって気づいてもらえないんだろうな…』

 

「こんな…こんな事が…」

こんな事が有り得ていいものか!!

有り得てはならない…!

幼い子供が己を責め、自死を図り、誰かになる事を躊躇わないなど…!

両親に愛されていながら…その愛が故に悲劇が起きた事に気づくことも無く…己を殺すなどあってはならない!!

 

【不幸が破滅へと移り変わり、新たな運命を手繰り寄せる。映し出されたのは孤児院の門のすぐ隣に座り、その中で元気に笑う子供たちを見ている、手鏡を持った少年の姿だった。その少年の顔には、黒い砂嵐は映っていなかった。彼が立ち上がりどこかへ去ろうとすると、黒い修道服を着た若い女性が彼を呼び止めた。その女性の顔は、なぜか背後からの光で見ることが出来なかった。】

 

『おや…どうしましたか…?』

『僕は…その…お父さんとお母さんが…』

『ふふふ…えぇ…知っていますよ。あなたのお名前も…あなたの境遇も…あなたのその力についても…』

『…え?』

 

【彼女の声や話し方は特徴的だった。話し方や声のトーンはまるで気だるげで、話すスピードは普通の人よりも少し遅い。だが、その声からは相手を包み込む様な優しさと、深い悲しみが感じられた。】

 

『私は…知っています。あなたのことを…あなたの名前は…⬛︎⬛︎⬛︎でしょう?あなたもクトゥルフに会ったのでしょう?あなたは………本当に辛い日々を過ごして来たのでしょう?』

『………うん。』

『私と…一緒に帰りましょう。』

『なんで…なんで助けてくれるの?』

『私も…クトゥルフと出会っていますし……あなたを…ここに置いていくことはできません。』

『本当に良いの…?』

『はい…私達は…これからは家族ですよ。私の名前は『レイ』です。あなたは…』

『新しい名前が良い!』

『では…あなたの名前は…私達の家に帰って…一緒に考えましょうか。』

 

【そして2人は手を繋ぐと、孤児院の前を去っていった。】

 

 

第54章「闇と光」

 

「『レイ』…彼女と彼は……何年も…」

「あぁ、そうだよ。」

「その声は…!」

「あぁ、俺だ!つっても…俺じゃない俺だがな。俺の過去を見たら分かるだろうが…」

【彼女の後ろには、へカーティアが立っていた。】

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これが…あなたと教祖が初めて出会うまでの経緯なのですね。」

「そうさ…良い奴だろ?レイは…」

「はい…慈愛に満ちた…方に見えます。お陰で…世界を滅ぼす計画を彼女が立てていることに…更に違和感を覚えました。」

「そうだろ?」

「あなたは…なぜこの記憶を私に見せたのですか?」

「そうだな…本当にわがままなのは分かってるし…俺でもめちゃくちゃなのは分かってるが…」

【彼は両腕を広げて肩をすくめた。】

「あんたにも…俺の事を覚えてて欲しいと思ったんだ。あと…レイの事を知って欲しいと思った。それと…レイを止めてやって欲しいとも…」

「それはどういう…」

「確かに、レイには夢を叶えて欲しい。でもな…その夢が叶っても……あいつはきっと、本当に幸せになれなさそうだって思うんだ…あいつは誰かを犠牲にするのは好きじゃないからな。だから…伝えておきたかったんだよ…俺の気持ちと、俺から見たあいつの優しさを。」

 

【その時、また映像が流れた。そこには孤児院を離れ、手を繋いで歩く2人の姿だった。幼いへカーティアの前を、手を繋いで少しだけ先を歩く『レイ』の後ろ姿が見えた。】

 

『ねぇ?』

『どうかしましたか?』

『なんで泣いてるの?』

『ふふ…いえ……泣いていませんよ。』

『嘘だぁ!だって…さっきから地面がちょっとずつ濡れてるんだもん!レイお姉ちゃんの歩いたところに!何で泣いてるの?辛いの?』

『ふふ…お姉ちゃん…ですか。』

 

【彼女はそう言って微笑むと、突然立ち止まって、彼を優しく抱き締めた。】

 

『えぇ、賢くて優しい子ですね……確かに、私は涙を流していました。この涙は……嬉し涙ですよ…あなたと出会えたことへの…あなたをこれから先、悲しませない為に守れる事に対しての…それと、私に心を開いてくれたことに対してですよ…』

『おかしいの…』

 

「こいつが流してたのは…一体なんに対しての涙だったのか…それは最後まで分からずじまいだったな…」

「……そう…ですね…」

「お前らは…前に進むんだろ?世界を守る為に。」

「…はい!」

「はぁ…じゃあ一つだけ…約束してくれ。」

「なんでしょうか…?」

「進む気を無くしたら…その時は絶対に降参して…無駄死にを抑えて、あいつの願いを叶えさせてやってくれ。進み続けて戦うつもりなら…勝ってあいつを止めてくれ。」

「世界に咲く花の元に、そして青薔薇の元に、その依頼を達成することを誓います。」

「ハッ…頼んだぜ。青い薔薇の姫さんよ…タイムリミットは、『7月7日。空に闇が降り、月が赤く染まり、星の扉が開く時まで』だ。」

「それは…」

「最後の餞別(せんべつ)だ。ちょっとしたヒントでも嬉しいだろ?」

【彼がそういうと、周りの闇が割れていき、光が差し込み始めた。足元が割れるのを気にもとめずにジョゼフィーヌはへカーティアの元へと歩み寄り、彼を優しく抱き締めて声をかけた。】

「あなたは何も悪くありません…あの日常に破滅を招いたのはあなたではありません…少なくとも私はそう思っています。」

【彼女に応えるように、彼も彼女を抱き締め、言葉を返した。】

「ハハッ…本当に…一語一句…全部同じじゃねぇか…やっぱりレイとアンタは似てるよ…あと…アンタは怪物でもイカれた殺人鬼でもねぇよ…悪かったな。少なくともアンタの中に居るやつは悪いヤツじゃねぇ…それとあんたもだ。俺も魔法は…あの爺さんほど得意じゃねぇがな…」

【そう話している間にも彼らの周りが崩れ去り、へカーティアの体もそれに合わせて散り散りになっていく。】

「いつかは向き合える時が来る。俺だってそうだったんだ。なら…あんたにも向き合えるに決まってるだろ?」

【そう勇気づける様に彼が話した時。彼の体と、世界が完全に崩壊し、彼女の腕の中から彼が居なくなり、地面を失った彼女は白い光の底へとゆっくり落ちていった。】

「じゃあな…レイにありがとうって伝えてくれ…」

「必ず…必ずお伝えします…私からもあなたに…感謝と敬意を評します!」

【彼女は涙を流しながら、ゆっくりと光の底へと沈んでいく。彼女が流した涙は宙に浮き、光を反射しながらどこかへと消えていく。そして彼女の意識は、心地よい暗闇の中へと沈んでいった。】

 

 

あとがき

 

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました!

 

そしてついに、第二部『破滅を照らす者:魂を映す鏡』の投稿が終わりました!

 

私もまさかここまで長くなるとは思っていませんでしたが、ただただ皆様にこの物語をお楽しみ頂けているかが不安でした…

 

『祝福』を使った頭脳戦や物語の謎、登場人物のストーリーに力を注いでいますが、話が長くなってしまう事も、話数の分け方が下手な部分も、そもそもとして、ストーリーが皆様に楽しめていない可能性があるのでは?と思いながらも、頑張って書いてみているつもりです!

 

宜しければ、皆様の感想・コメントも聞かせてくださいね!

 

そして続きは、第二部『破滅を照らす者:裁きの天秤』とかそんな感じの題名でやっていこうと思います!

 

そしてちょっとした宣伝ですが…

来月か再来月に、この小説のアニメ的な感じでYouTubeの動画を作ってみようかとも思っています!

 

本当にできるかは分からないのでチャンネルの名前とかはまだ出しませんが…

 

もしも登録数が増えたら、この物語をリア友とやった時のTRPGの動画を出してみようと思います!

 

それでは、これからも頑張るので是非、次回もお楽しみに!

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