黑火   作:球天 コア

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上京(一旦)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………よし」

 

 

 

届いた制服に身を包ませ、鏡を見てみる。

 

肌触り、サイズ。

どれを取っても良く身体に馴染む。

 

 

玄関に置いてある数日分の着替え、その他諸々の

荷物を肩に担ぎ、玄関のドアノブに手をかける。

 

 

 

 

 

 

「練徒………本当に行くの…?」

「うん」

 

 

 

 

 

 

出ようとしたその瞬間、母さんに呼び止められる。

母さんも、俺が呪術師になることを心配してくれて

いるんだろうか。

 

「大丈夫だよ、母さん」だなんて、そんな声をかける

勇気は、正直無い。

 

 

 

 

俺だって怖い。

 

 

気の晴れない仕事、命に関わる仕事。

時には、自分自身が死ぬかもしれない仕事。

 

そんなものが大半の呪いの世界で、俺は生きていく

ことができるんだろうか。

 

 

 

 

 

ー君と君の母さんの秘匿死刑が決定!!ー

 

……と、不意に五条さんの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……生きる。

 

俺は、生きてみせる。

 

 

 

家族のためにも、俺はやらなきゃいけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いってきます」

 

 

 

「………っ………いってらっしゃい」

 

 

 

 

できる限りの潔い挨拶を返し、俺は家を出た。

 

 

俺の目に映った母さんの顔は心配で満ちていたが、

最後には笑って、俺を送ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ⬜︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まずは東京にある本校で入学手続き。その後

再び仙台に戻って、柊木くんの部屋に案内します」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

伊地知さんの車に乗って、何時間経っただろう。

ようやく東京都の看板が見えてきた。

 

 

それと同時、俺の前に巨大な和文化建築の建物が

森森の中から現れた。

 

 

 

 

 

 

 

「私はここで待っていますから。あの突き当たりを

右に曲がってください」

 

「……わかりました。伊地知さんの方も、わざわざ

俺を送ってくれてありがとうございます」

 

 

 

伊地知さんに己の背を向け、歩く。

 

言われた通り突き当たりを右に曲がる。

そして、その先で待っていたのは………

 

 

 

「やぁ。覚悟は決めたみたいだね」

 

「……五条さん」

 

 

 

巨大な和風の建築物、つまり呪術高専校舎を背景に

五条さん………五条先生が待っていた。

 

そして俺は、先生から改めて告げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、東京都立呪術高等専門学校へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

こんな形で高校生活が始まるなんて思わなかった。

 

けど………立派にやってみせるよ。父さん。

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜、返却した呪物を首に下げてくるだなんて

クレイジーだね!」

 

「……呪物じゃないですよ、これは」

「………?」

 

「……"御守り"ですよ」

 

 

 

 

 

「………!……ふーん、そっか」

 

 

 

 

今更だけど、この人どこまで軽薄なんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

柊木 練徒の後ろを歩く、軽薄。

 

柊木 練徒の背中を見る、馬鹿。

 

柊木 練徒を俯瞰してる、個人主義。

 

 

その男、五条悟は、彼のペンダントを見た。

普通の人間、非術師が一見すればまだ写真も何も

入っていないただのペンダントだ。

 

 

 

だがしかし、五条の"眼"から見えるペンダントは

まったく違う。

 

 

ペンダントは呪物。

 

そして、そのペンダントに刻まれた結界術式は、

その呪力で柊木 練徒の肉体を守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「人を守る"呪い"……か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何か言いました?」

「いや、別に」

 

 

 

 

 

 

ーーーー以上




いつもより短めでしたが、お気になさらず
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