地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-9 急転直下

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一ヶ月ぶりの休暇となったはずのミレニアム内、その艦内では慌ただしく人の行き来があった。

 なんて言っている俺自身も、その一部として人々の隙間を縫うように流れているのだが。

 

 

 こんなに慌ただしいのにも理由がある。新たな任務を拝命し、休暇が取り消されたからだ。このことは、別に珍しくもない。火種は幾つも転がっているのだから。

 だが、今回に限っては普段の緊急任務やらスクランブルやらとはわけが違う。

 

 

 現状のブルーコスモス過激派の指導者、ミケール大佐の捕縛。おそらく、成功すれば今後暫くはブルーコスモス過激派の活動が鎮静化するだろう。

 なんでも、ファウンデーションという国からの申し出で共同作戦を行うらしい。もしかしたら、ユーラシアとの協力もありうるとも。

 

 

 それに伴ってか、コノエ艦長からある種の課題を出された帰りである。とはいっても、そこまで大仰なわけでもないが。むしろ、本来ならする必要もないというべきか。

 兎にも角にも、自身の居室へ向かう途中であり飲み物を買う為にレクリエーションルームに向かっているところなのだ。

 

 

 

 

 「でも、ユーラシアってコンパス承認してないよな?」

 

 

 「だから、総裁自ら同行されるんでしょ?たぶん政治的な交渉とか、あるんじゃない?」

 

 

 

 レクリエーションルームから聞こえる声に、ひょいと覗き込んでみれば艦内着でなにやら話をしているアスカ大尉とルナマリア中尉。

 

 

 

 「こんちゃす。昨日はお楽しみだったっスか?おふたりは?」

 

 「急な休暇取り消しで、お楽しみもなにもなかったよ。ゼフォー」

 

 「ていうか、なんで制服なんて着てるの?しかも、わざわざベレー帽まで……?」

 

 

 

 よく考えたら、この言い回し伝わらないわ。ジェネレーションギャップ?ワールドギャップ?を感じながら、ルナマリア中尉の疑問に答える。

 

 

 「いやぁ、コノエ艦長にお呼ばれしたんでおめかししてったんスよ。ここまで気合い入れなくてよかったみたいなんスけど」

 

 「おめかしって……ていうかなんでわざわざ呼ばれたんだ?」

 

 「もう聞いてるかもっスけど、今回のミケール捕縛。俺も出るんスよ。それでなんか知らないけど、アウラ女王陛下との謁見にも出ることになったらしくって」

 

 

 

 アスカ大尉の疑問に、被り慣れていないベレー帽を少し弄りながら言葉を返す。なんだか政治的な都合を感じて面倒くさそうだなんて、別に思ってませんよ。ウン。

 

 

 

 「儀礼関連のこと、身につけておいて欲しいって。ホラ、こんな風に課題みたいなの貰ったんスよ」

 

 

 

 そう言って、小脇に抱えていたタブレット端末のスリープモードを解除して画面を見せる。

 図解された資料がそれなり以上の枚数用意されていた。尤も、最初の数枚分を覚えれば謁見で問題は生じないようだけれど。

 ただ、今後を考えたら覚えて損はありませんよ。とはコノエ艦長の言葉だ。

 実際、軍人としてこれからも過ごすつもりならば必要なものだろう。

 

 

 

 「……?このぐらい、とっくに習っ……オグッ」

 

 

 

 おぉう、痛そう。ルナマリア中尉の肘鉄が、もろにアスカ大尉の脇腹に突き刺さった。

 

 

 「いきなりナニすんだよッ、ルナッ」

 

 「バカ、アンタは知ってるでしょ……」

 

 「……あっ。悪い、ゼフォー」

 

 「いやぁ、別に大丈夫っス」

 

 

 

 アスカ大尉の言葉に、思わず後ろ手に頭を掻きながら言葉を返す。俺自身は、ホントに必要最低限の教育でコンパスに送られたことは別になんとも思ってはいないんだけれども、どうにも気にされがちだ。

 やっぱり、良い人達だよなぁ。

 

 

 

 「おう、坊主たち」

 

 

 

 

 聞こえた声に、トンと床を蹴り横へ流れて道を開ける。視線を向ければ、ガッチリした大男──マーズ・シメオン大尉の姿。続いて眼帯の女性──ヒルダ・ハーケン少佐、顔に傷のある眼鏡を掛け何故か釘を咥えている男性──ヘルベルト・フォン・ラインハルト大尉の姿があった。

 

 

 入ってきたハーケン少佐が勢いはそのまま、ルナマリア中尉に抱きつく。女性ながらも長身なハーケン少佐の慣性を受け止めきれずに、もがきながらルナマリア中尉が流されていく。

 

 

 

 「何を三人でコッソリ話してんだい?あたしも仲間に入れろよ」

 

 「コッソリなんてしてません!ハーケン少佐、セクハラですよ!」

 

 

 

 またやってる……。何やらじゃれあっている二人を横目に、自販機で飲み物を買って口をつける。

 マーズ大尉はアスカ大尉の肩を掴んで身体を止めながら、自販機に手を伸ばしていた。かと思えば、なにやらにやけ顔をこちらに向けて口を開いた。

 

 

 

 「坊主たち、気をつけろよ〜。あそこはオバケが出るかんな〜」

 

 「はぁ?」

 

 「なら、お塩でも持ってった方がいいっスかね?こう、顔に向かってぶぁっと……」

 

 「ハハハ、どうだろうな。なんせ相手は、ケルピーだからな」

 

 

 

 うさんくさそうな顔で声を出すアスカ大尉に、テキトーにそれっぽいことを返す俺。そこにヘルベルト大尉が答えを返す。

 

 

 

 

 「ファウンデーションでの話さ。あそこの独立運動の時にユーラシアの連中が()()んだってよ」

 

 「なんです?ケルピーって?」

 

 

 

 

 ルナマリア中尉が興味を惹かれたのか、ケルピーについて聞き返していた。なぜかハーケン少佐は、彼女の髪の匂いを嗅ぐように顔を寄せていたが。いや、ホントになんで……?

 

 

 

 「水に棲むバケモノのことさ。ま、それだけ得体の知れない国ってことさ、あそこは」

 

 「だからセクハラはダメです!」

 

 

 

 そんなだいぶダメなオッサンじみたハーケン少佐に、思わずジト目になったような気がする。外見は変わってないだろうけれど。

 

 

 

 

 ペロポン、と気の抜けるような音。ほとんど鳴ることが無いからと、ふざけて設定した自身のタブレット端末の通知音だ。

 スススッ、と操作して確認する。

 

 

 

 「うん?このタイミングで、また改修……というか、なんて言えばいいんスかね?」

 

 「いや、ここで見ていいのかよ。一応連合所属なんだから、機密とかあるんじゃないのか?」

 

 

 

 

 アスカ大尉の疑問だが、問題はない。流石にそこまで抜けてはいないのだ。

 

 

 

 

 「大丈夫っスよ。ホントにヤバいなら、ここじゃ受け取れない筈っス」

 

 「へー、そうなのかい。……ところで、そのことは言っちまって良かったのかい?」

 

 

 

 

 …………あー。ハーケン少佐の言葉に思わず視線が左、上、右へと流れていく。この場にいる全員分、五対の視線が突き刺さっている。

 クルリと、後ろを向いて自販機で5本。飲み物を購入。流れるように跪いて、捧げた。

 

 

 

 

 「どうかッ!!ご内密にお願いしますっス!!!!」

 

 「……ハハハハっ!そんなしょーもないこと、言い触らしたりなんかするもんか。まぁ、貰えるってんなら遠慮なく貰っとくけどね」

 

 「アザぁースッ!!」

 

 「うるさっ、いいからさっさと普通にしな。ここにいる奴らは、そんなの気にするような連中じゃないよ」

 

 

 

 ハーケン少佐の声に顔を出して上げれば、苦笑いが待っていた。流石に少しテンパって変なことをしてしまったと恥ずかしくなる。

 

 

 

 「良かったな、坊主。姐さんのことだ、下手すりゃあ身体で……なんて言われてたかもな〜」

 

 「いやいや、俺は男っスよ?範囲外だから大丈夫っスよ。ねっ、ハーケン少佐?」

 

 

 

 背中をバシバシと叩きながらそんなことをいうマーズ大尉に返事して、ハーケン少佐に視線を向けた。

 

 

 

 

 「……………………」

 

 「……ハーケン少佐?」

 

 

 

 

 なんで何も言わずに、じっくりねっとりこっちを見ていらっしゃるので?

 

 

 

 

 「…………アリだね」

 

 「ヒェッ!?」

 

 「おまっ、ゼフォー!人を盾にするなって!」

 

 「ハハ、ジョーダンだよ。ジョーダン」

 

 

 

 

 ルナマリア中尉へのセクハラを見てると笑えない……。

 

 

 

 「それよりも、ほらッ。改修がどうこうって言ってたけど、なんの連絡だったんだ?」

 

 

 

 

 アスカ大尉の言葉に、ソファーに腰掛けてタブレット端末に送られてきたものを最大画面で表示する。

 

 

 

 

 「これは、新型かい?なんだかゲルググとウィンダム・カスタム……だっけ?おまえさんの機体との合いの子に見えるけど」

 

 

 

 

 覗き込んだハーケン少佐がそう言葉を溢す。半分は合ってる気がするけど、多分違うな……?

 

 

 

 「これ、あれっスね。多分見た目変える為に、カバーか何か被せてる感じっス。ついでにスラスターも増やしてるっぽいス。……また色々バランス変わってる感じだぁ」

 

 

 

 なんだったかな、こんな感じの増加装甲……アサルトシュラウド?とりあえず、曲面が増えて見た目はハーケン少佐の言うようにゲルググ味が増している。

 この見た目なら、パッと見はウィンダムとは思われなさそうだ。あとこれ、続きあるな?

 

 

 

 「これって確か……オオトリパック?オーブが出してくれたってことっスか。よく出してもらえたっスね」

 

 「今だってムラサメの頭乗っかってるんだから、別にそこまで驚くほどでも無くない?」

 

 「それでも、旧式の量産機のパーツと一緒にしていいもんなんすかね…………うわぁ」

 

 

 

 

 やいのやいのと言いながら読み進めていくうちに、面倒くさい事に気付いてしまった。

 

 

 

 

 「どうかしたか?ゼフォー」

 

 「この増加装甲とオオトリパック、アークエンジェルが受領してるっス……」

 

 「そりゃ、地球にいるのはアークエンジェルなんだから……ん?増加装甲とオオトリパック?」

 

 「これ、今ミレニアムにあるウィンダム・カスタムに装備させる想定っスね」

 

 

 

 とりあえず、シミュレーター用のデータはもう送られているらしいからいいんだけれど。

 

 

 

 「装備してからの実機での調整、ミレニアムとアークエンジェルが合流してからになるね、こりゃ」

 

 「つまり、ミケール大佐捕縛の前日……ってこと、っスよね?」

 

 

 

 

 全員の顔が、うわぁとでも言いたげに顰められる。シミュレーターのデータがあるとはいえ、実機の数値とのズレが無いとは言い切れない以上、実機での調整は必須なのだ。

 

 

 

 

 「ゼフォー、儀礼の勉強付き合うぞ。ちょうど復習したかったし」

 

 「私も。確か謁見には出なきゃだし……シミュレーターも、付き合うわよ?」

 

 「アザッス……ただシミュレーターは、ちょっとミリカ中佐に確認取らないとっスね」

 

 

 

 

 

 降って湧いたミケール大佐捕縛作戦前の過密スケジュールで痛んだ心に、アスカ大尉とルナマリア中尉の優しさがスッと染み込む。

 思わず文句が半分の冗談が、口から溢れでる。

 

 

 

 

 「いやぁ、大西洋連邦のお偉いさんは、コンパスに出向している人員を部品か何かと思ってるんスかねー」

 

 

 

 

 

 アレ、なんだか空気が冷たいような……?

 

 

 

 

 「それが冗談なのは分かるが、おまえさんが言うとちっとも笑えないんだわ……」

 

 「っス。ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 







 主人公がファウンデーション戦で乗る機体のアイデアは感想で提案されたものから取りました。ありがとうございます。
 シミュレーターのデータと実機の数値とのズレがどうこうは公式では特に言われていない独自解釈です。ご了承ください。


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