地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス 作:ガンダムおじさん(にわか)
コノエ艦長から渡された儀礼関連の資料に関して、アスカ大尉とルナマリア中尉の助力を借りながら覚えこむ。同じようにウィンダム・ベヴァイズンの機体データによる、幾たびのシミュレーションを重ねながらファウンデーションへの道程を過ごした今日この頃。
儀礼関連は、割と早い段階でお墨付きをいただいた。だが、機体に関しては以前の機体との差異から生じる、操縦感覚の齟齬は埋め切ったとは言い難いままだった。
オオトリストライカーを装備したことによる火力の増強。スラスターも内蔵されているミシェンクレイドの装備も含めた、機体の重量増加を打ち消してなお余りある総推力。
データの数値だけを見て比較した、単純な総合性能においてはウィンダム・カスタムを大きく凌駕しているといって差し支えない……のだが。
いわゆる単純なスペック以外の部分、操作感に直結する機体特性の変化が要因としては大きい。
ウィンダム・カスタム、というより素のウィンダムは各部の軽量化と機体各部のスラスターによる高い運動性と機動力が特筆すべき強みだと言える機体だろう。
俺が主に使っていたエールストライカーも、同様の特長を持つストライカーパックだ。
それもあってか、俺のMS操縦は曲芸じみた変則的挙動が軸になっていて見ていてハラハラする──とライ大尉に評されるものになっている。自身では割と感覚でやっている為か、あまり自覚していないが。
対するウィンダム・ベヴァイズンはどうかと言えば、加速と最高速度はなかなかのものである。逆にいえば、機体が重くなり運動性が落ちてしまっている分を、増設されたスラスターで速度を上げて誤魔化している──と感じるが。
シンプルに言えば、以前は曲線的な動きが得意で今は直線的な動きが得意と言えばいいのか。
とはいえ、今回のミケール大佐捕縛作戦においてはアークエンジェル・ミレニアムの合同作戦。
コンパス保有の戦力全ブッパと言ってもいいのだから、自身が無理に攻めっ気を出す必要なんて無いのだと半ば現実逃避めいた思考を中断して視線を動かした。
視線の先、自身の乗り込んでいるヘリコプターの窓からは湖を取り巻く中世の趣を感じさせる石造りの建物群が見える。その中でもひときわ目を引く、青いタイルを多用したまるでお伽話にでも出てくるような宮殿。
ほぅ、と思わず自身の立場・目的が頭から抜け落ちて感嘆がこぼれる。
「どうかしたか、ゼフォー?」
「いや、なんでもないっス」
はい、実はもうすでにファウンデーションの首都イシュタリアについています。今現在は、艦載のヘリコプターへと乗り込んで王宮へと向かっているところです。
窓の外へ視線を向けたことに気づいたからか、こちらに声を掛けてきたアスカ大尉に返事を返して姿勢を正した。
機内にはアスカ大尉とルナマリア中尉、アグネス中尉にヤマト隊長のヤマト隊メンバー。それにラミアス艦長にフラガ大佐、コノエ艦長。さらにはコンパス総裁、ラクス・クラインの姿もある。
この錚々たるメンバーに混じっているのが、俺。たかだか少尉程度のゼフォー・ローワンである。
ちなみにであるが、大変遺憾なことに地球連合からの出向組は俺一人である。
いや、理由の説明は受けている。理解はしても納得はし難いだけで。あくまで大西洋連邦は政治的にファウンデーションと大っぴらに関わるつもりは無いとユーラシア連邦に示す為に、MSパイロット──戦闘員である俺だけを謁見に向かわせるだとかなんとか。
そう俺に伝えてきた、あくまで研究者としての立場にあり今回の謁見には適さない立場らしいミリカ少佐は、耳元に口を寄せ声を潜めてこう付け加えてきたのだが。
──実際には、ここまでコンパスでの活動に力を入れることになると思わずに、戦闘員の立場にある佐官を出し渋ったからだと私は睨んでいるがね。不満があるなら大統領を恨んでくれたまえ。
声を潜めた甲斐なく、ライ大尉に聞き咎められていたのはお約束とでも思えばいいのか。
それにしたって、推定16歳を一人で外交絡みの場に向かわせるのはどうかと思う。
MSパイロットとして出向させた上で戦闘させてる時点でもう十分ひどい?……それはそう。
そんなモヤっとした気分を変えようと違うことを考えようとしていたのだが、結局あまり気分は晴れなかった。
そうこうしているうちに、ヘリコプターは着陸体勢に入っていた。頭の中の雑多な思考を振り払って、最後にベレー帽や制服の乱れがないか確認する。
俺以外の全員も謁見に向けて制服に制帽姿、あるいはスペース陣羽織姿だ。
……クライン総裁の出で立ちは、本当に端的に言うとスペース陣羽織という表現がしっくりときてしまう。羽織っているアウターもその下のSF風味の加わった膝上までのミニ丈な着物のようなインナーも、俺の貧相なファッションに対する語彙ではそうとしか表現出来ない。
緊張の為か、妙に思考がブレる。今度こそ雑念を振り払ってリセットする。すでにヘリコプターの扉は開かれ、タラップは降りている。
覚え込んだ儀礼に従って、キビキビと身体を動かす。
姿勢を正し、ヤマト隊長やクライン総裁らがタラップを下りるのを見送ればファウンデーション側の出迎えの兵士たちが号令と共に礼をとる。
さらにその手前には、異なる服装ーー黒い服に天女の羽衣のような装飾のつけられた独特なセンスのものに身を包んだ八人。おそらく近衛兵だろうか、ずらりと並んだその中から一人。金髪の端正な顔立ちの男が、にこやかな笑顔を浮かべながら進み出てきた。
「ようこそ、姫。ファウンデーション宰相、オルフェ・ラム・タオです。お出でを心より歓迎いたします」
……なんで姫呼びなんだ?あまりにも自然に口にしている為か誰も何も言わないが、なぜだか妙に気になった。
表情筋が死んでいて助かったかもしれない、内面が顔に出やすかったらかなり失礼な顔になっていた気がする。
「コンパス総裁、ラクスクラインです。お目にかかれて光栄に存じます」
そんな表に出せば外交問題待った無しな思考を裏腹に、つつがなく挨拶は進行していく。クライン総裁は、挨拶を交わしてオルフェ宰相の手を取って……。
ぞわり
まるで不意に背中を羽でなぞられたような、形容し難い感覚が走る。一番近い感覚は、視線に感情を知覚した時……いや、戦場で殺意を感じた時のような、だが不快感は無かった。
なるだけ不自然にならないように、姿勢を変えず顔も動かさず。僅かに視線を動かして周囲を伺う。
姿勢を正して立っているアスカ大尉とルナマリア中尉、アグネス中尉。ラクス総裁の側に立つヤマト隊長にラミアス艦長、フラガ大佐にコノエ艦長。
規律よく、礼の姿勢をとるファウンデーションの兵士。手前に立ち、クライン総裁とオルフェ宰相を見ている七人の近衛兵達。
特筆すべきものは、何もない。
そんな筈はない、と否定する。この感覚は、自身の空間把握によって周囲の変化を感じ取ることによるもの。
感情の知覚は相手の微細な表情の変化を、殺気は相手の動作から認識しているもの。オカルト的な超能力に近いとはいえ理屈はつくと、ミリカ少佐に説明を受けた。
なら、この感覚は一体。
「……ラクス」
ヤマト隊長の声に、渦を巻いていた思考が途切れる。
「どうぞ、こちらへ」
挨拶はすでに終わり、オルフェ宰相が自然な動作でクライン総裁を促していた。
先程の感覚は、気のせいだっただろうか。クライン総裁に続いて動き出す周りに合わせて足を進める。
邪魔な奴。
今までにない感覚。音として直接頭に響くような声、何を言っているかは分からないがそこに籠った感情は理解できた。
憎悪だと。今までの知覚とは全く違う筈なのに、まるで当たり前のようにその感情を判別できた。
……何故か、そのタイミングでヤマト隊長が周囲を見ていた。
ケルピーの話、マジだったんだ。塩を真面目に持ってくればよかったかもしれない。
…………いや無理だわ、自分を誤魔化せないわ。めちゃくちゃヤマト隊長に対しての精神攻撃の部類じゃねぇか、クソァ!!
SEEDってそういうオカルト無かったんじゃないんですかヤダー!!ブルコスか?ブルコスが作ったそういう類の強化人間か!?なんでもアリかよ、劇場版!!!!