地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

15 / 75



 オリキャラ、強めなアンチ・ヘイトがあります。ご注意下さい。








PHASE-12 不可思議の国

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唐突なオカルトじみた体験に、たっぷり30秒は脳内で喚き散らかしていた気がする。thank you dead face muscle、なんだかんだでいつも助かってます。

 

 

 どうにか落ち着いた頭を回す。だが、はっきり言って出来ることはほぼない。

 誰かに告げようにも、向けられた感情を知覚出来るだなんて発言は良くて冗談。悪くて妄想扱いが関の山だろう。

 一応ミリカ中佐にライ大尉は知っているが、この問題の解決にはなんの意味もなさそうだ。

 

 

 そもそも、たまたま俺がそれっぽいものを認識できただけで実際の所どうなのかは不明だ。勢いでブルコスの強化人間による精神への干渉だなんて結論づけたがどこからきたのかも、誰へ向けたものだったのかも、論理的な証拠と呼べるものは何もない。ただの状況からの判断だけだ。

 オマケに、精神への干渉だなんてどう対処すればいいとか分からん。アルミホイルで帽子でも作って被ってもらうか?

 

 

 

 

 こんな風に、落ち着いたと言いつつもまったく落ち着けていない、錯乱みたいにアスランしているような思考を続けていてもファウンデーション到着後の予定は恙なく進行している。

 もうすでに、コンパス一同は謁見の間にまで通されている。その奥行きのある広間は王宮の外観の如く、お伽噺の中のようだ。

 

 

 

 どのみち、予防措置は取れそうにないのだから対処療法に徹するしかないか。

 目前に迫る女王との謁見にひとまずそう結論づける。問題の先送り、とも言う。

 長々しくも実りの少ない思考を取りやめる。視線を動かし周囲を見れば、繊細な透かし細工の窓やアラベスク模様のタイルでの装飾。足元には厚い絨毯が敷かれており、ブーツが立てるであろう音を静かに受け止めている。

 先程の出来事が無ければ、それこそ再び感嘆が漏れていただろう。残念ながら、今はグリム童話の原作版に迷い込んだような心持ちだが。

 そして、その時は来たる。

 

 

 

 「ようこそファウンデーションへ」

 

 

 

 謁見の間、一番高い場所からその声はかけられた。その声質は幼く、発した本人の姿もまた十歳程度の幼いものだった。

 事前に資料で知ってはいたものの、実際に目の当たりにしてみると受ける印象は違っていた。

 その体躯と比較して大きすぎる玉座にちょこんと座る姿は可愛らしいと感じるが、幼い見た目にそぐわないほどの堂々とした態度のためか不釣り合いとは感じなかった。

 ……少しばかりキツめな化粧のおかげでもあるかもしれない。

 

 

 

 「アウラ・マハ・ハイバルである。このたびのコンパスの迅速な対応、痛み入る」

 

 「ご拝謁の栄誉を賜り、まことに光栄に存じます。アウラ陛下」

 

 

 

 

 先頭に立つクライン総裁が優雅な所作で片足を引き、礼をする。その動作はごくごく自然で、付け焼き刃などでない生まれが滲み出るようなものだった。

 まあ、確かかなりのお嬢様だった筈だし。と、他人事のように思いながら周囲に合わせて頭を下げる。

 

 

 

 ほんの少しだけ、周囲に意識を向ける。こちらに向けられている感情はほとんど知覚できない。

 モブCとでもいうべき立場なのだ。それに加えて、今はクライン総裁がやり取りを行っている以上、それは当然だろう。

 強いて言うなら、アウラ陛下の左側。黒髪にモノクルをつけている男性からの、薄い興味程度か。外交官か何かか、おそらく自身が連合所属と知っているのだろうなと見当をつける。

 

 

 

 「致し方ありません。あちらは国内に多数の火種を抱えておいでですから」

 

 

 

 

 そんな風に半ば聴き流していたやり取りのうち、オルフェ宰相の皮肉っぽい発言に内心ゲンナリする。

 その火種──独立の機運が高まっているのは、ファウンデーションがきっかけだろうに、と。

 その話をオルフェ宰相に振ったアウラ陛下共々、どうやら政治で国を引っ張るお方は面の皮が厚いらしい。

 

 

 

 例えば未成年に特例で階級を付与して外部に出向させるどこかの誰かとか、データ上のスペックが高ければいいと思っているのかキツめのスケジュールでMSの装備を配備するどこかの誰かとか、推定16歳を立場ある人間が居ないからと外交絡みの案件で実質矢面に立たせる誰かとか!

 

 

 

 フゥ、全く関係ないのに思わず鬱憤が湧き出てしまった。思っていたよりストレスが溜まっているのかもしれない。

 そんな風に脳内でくだを巻いているうちに、謁見は終わりに向かっていたようだ。

 

 

 

 

 「ささやかながら、歓談の席を設けさせてもらった。そこでゆっくりと、そなたらの話を聞かせてくれ」

 

 

 

 

 そう言って、アウラ陛下はオルフェ宰相の差し出した手に自分の手を委ね玉座から降り、歩み去った。

 あくまでこの場は挨拶の場であって、細かな話はまた後でと言ったところなのだろう。

 ここまで大仰な挨拶は必要なのか、と思うけれどもそれこそ政治というものなのだろう。間違いなく、俺の肌には合わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クライン総裁と艦長たちと別れて、ヤマト隊メンバーとムウ大佐に俺は宰相の秘書だという女性──イングリット・トラドールという人に宮殿を案内されていた。

 真っ青な髪も目を引くが、思いの外若く見える。ヤマト隊長と同年代くらいだろうか。有能そうな雰囲気を纏った、もの柔らかな態度と言葉の女性である。

 

 

 

 

 「彼らが我が国の近衛師団です」

 

 

 

 

 兵舎の前、広い中庭。そこで高い金属音を響かせながらサーベルの試合を行なっている一団が、彼女が次に紹介しようとしている事柄のようだった。

 

 

 

 あの服のままで試合とかするんだ……。ヘリポートにて、コンパス一同を迎えた最前列、独特なセンスの服装──黒い服に天女の羽衣のような装飾をつけたものを纏った彼らへの第一印象はそれだった。どうやらあの服装は、要職についている事を示しているらしい。

 尤も試合をしている二人の身のこなしで、ある意味腑抜けたその印象は掻き消されたが。

 

 

 

 「噂のブラックナイツか、彼らが」

 

 

 

 フラガ大佐の呟き、それに反応する前に目の前で行われていた試合は決した。

 鋭い、刃物を彷彿とさせる雰囲気を纏った青年の突きが受けそこねた側の青年の剣を跳ね飛ばす。

 すげぇ、俺だったらあのヒラヒラに剣先当てて切っちゃいそう……。もはや現実離れしたと言っていいその剣舞に、逆に小学生じみた感想が頭をよぎる。そのうちにいつの間にかヤマト隊長の前へと歩いてきていた、勝った方──シュラと呼ばれていた青年が声をかけてきた。

 

 

 

 「一手、ご指南いただけませんか、ヤマト隊長?」

 

 

 

 えぇ、いきなり……?少なくとも、一声挨拶と自己紹介からでは?オルフェ宰相とか、アウラ陛下とか、イングリットさんとかは普通に挨拶と自己紹介してたよ?

 

 

 

 突然の申し出に、ヤマト隊長も戸惑っている。こんな事されたら誰だって戸惑う。俺だって戸惑う。

 

 

 

 「いや……僕は」

 

 「へぇぇ?剣が使えない隊長さんかい?」

 

 

 

 どうにか言葉を返そうと口を開いたヤマト隊長に、緑の髪を刈り上げた青年が揶揄する。いや、お前もかよ。

 

 

 

 「コンパスっての、案外たいしたことないんじゃない?」

 

 「……それはこないだ実証したし」

 

 

 

 

 ……????????あれ、初対面の人にはまず挨拶と自己紹介って思ってた俺がおかしいのか?

 明るいオレンジの髪の少女がけたたましく笑い、妙なマスクで顔の下半分を隠した少年がぼそっと呟く。

 ここまでブラックナイツのメンバー、誰一人挨拶と自己紹介をしていないのである!

 

 

 

 …………夢なら今すぐ覚めてほしい。明日この方々と共同作戦展開するってマジ?

 あまりの衝撃に、思考は回るが言葉は口をついて出てこない。

 

 

 

 

 「お客人に失礼ですよ、あなたたち!」

 

 

 

 

 だが、案内役であったイングリットさんが割って入ってきた。よかった、どうやら俺の感じ方の方がおかしいわけではないらしい。

 でも、もっと早く割って入って欲しかったかもです。だって今にもアスカ大尉が飛び出し……。

 

 

 

 「隊長!ここは俺が!」

 

 「シン!」

 

 「アスカ大尉、ダメですよ!」

 

 

 

 

 ブラックナイツの態度に思わず飛び出したであろうアスカ大尉に、ヤマト隊長と近しいタイミングで声が出る。

 相手が十割悪いとはいえ、こっちから手出したら6:4くらいで責任がこっちにも……!

 誰か大人の人呼んで!

 

 

 

 

 制止しようとしたヤマト隊長の袖、俺の肩にフラガ大佐が手をかけた。

 キタ、大人の人来た!

 

 

 

 「……やらせてみろ」

 

 

 

 

 フラガ大佐ぁ?!囁かれた言葉に、思わずフラガ大佐の顔を見遣る。ヤマト隊長も同様に振り向いていた。

 

 

 

 

 「何か蟠りがあるってんなら、今ぶつかった方がマシだ」

 

 

 

 

 その言葉は、一理あると思わせるものだった。少なくとも、こちらは相手のことを何も知らないと言っていいのだから。だが、それで済ませていいのかという思いもある。

 残念ながら、時間は止まりなどせず状況は変わっていく。

 

 

 

 

 「近衛師団長、シュラ・サーペンタイン」

 

 

 

 

 シュラ師団長の名乗りが重々しく中庭に響く。もうすでにアスカ大尉はサーベルを持ち、中庭の中央でシュラ師団長と対峙していた。

 

 

 

 

 「ヤマト隊のシン・アスカ!」

 

 「始め!」

 

 

 

 アスカ大尉が名乗り、団員の一人が合図を出す。先手はアスカ大尉だった。大振りに振りかぶって、シュラ師団長に斬りかかる。その剣は僅かな動きで払われ、下がりながら返された突きをアスカ大尉がかろうじて受ける。

 

 

 

 イングリットさんが警護の兵士に声をかけ、その兵士がどこかへ駆けていくのを脇目に見ながらアスカ大尉とシュラ師団長の試合を見守る。

 その試合運びは、シュラ師団長の優勢で進んでいた。アスカ大尉は果敢に斬りかかるも、まるで剣筋を見切っているかのように僅かな動きでシュラ師団長はかわしてゆく。

 

 

 

 フラガ大佐はその試合に感嘆を漏らし、ヤマト隊長はハラハラとした様子で見守っていた。

 そして俺はその戦い方に少しばかりの嫌悪感を感じていた。決してアスカ大尉を馬鹿にするわけではないが、どこか肉食獣が獲物を痛ぶるような遊びを感じるのだ。

 少なくとも、フラガ大佐の言う蟠りをぶつけるものとは違うような……。

 

 

 

 試合が大きく動いた。アスカ大尉が繰り出したひときわ鋭い突きを、シュラ師団長が凄まじいジャンプ力で宙を舞い躱した。そのまま背後に着地した彼へと焦って振り返ったアスカ大尉の剣が弾き飛ばされ……。

 

 

 

 

 「……まだだ」

 

 

 

 

 右肩に置かれた手に、フラガ大佐を見遣れば苦虫を噛んだような顔。それはそうだろう、先ほどの試合は剣を飛ばされた時点で終わっていた。だが、今はアスカ大尉の喉元に切先が突きつけられている。

 視線を動かせば、フラガ大佐の右手はホルスターにかけられていた。それを見て俺は、いつのまにか詰まっていた息を吐き出しホルスターから半ば抜いていた銃を納めていつでも抜ける位置へと右手を戻した。

 

 

 

 

 「なんだよ、フリーダム・キラーもたいしたことないなァ!」

 

 「まあ、よくもった方じゃない?」

 

 

 

 

 あからさまな嘲笑。なんだコイツら。挨拶と自己紹介よりマウント優先なの?

 なんだかいっそ可哀想になってきた。持ち方を見れば、アスカ大尉がサーベルの扱いが不慣れなのはわかるだろうに。

 

 

 

 

 「やはり、アスラン・ザラが最強か……」

 

 

 

 失望の籠った声と共にシュラが剣を引いた。……現時点で名乗ったブラックナイツ、コイツだけだなぁ。それ以外何もかも礼儀がなってないようなものだけど。

 

 

 

 「はァっ!?誰があんな」

 

 「やめろ、シン」

 

 

 

 シュラの言葉に激昂したアスカ大尉をヤマト隊長が窘める。それを受けて、アスカ大尉は大人しく引き下がった。

 そんな様子に目もくれず、シュラはゆっくりとヤマト隊長の前に立ち、サーベルの切先を突きつける。

 

 

 

 

 「サーペンタイン団長、いいかげんにしてください!」

 

 「世界を統べるのは、力ある者だけだ。お前にその力があるのか?」

 

 

 

 

 イングリットさんの制止を無視して、シュラがヤマト隊長に言葉を投げかける。……とりあえず世界を統べることができるかどうかはさておいて、アンタみたいなのが統べる世界は碌でも無さそうっスね。

 

 

 

 

 「……そんな世界、人は望まない!」

 

 

 

 

 シュラの物言いに、一瞬唖然としたヤマト隊長は強い視線で相手を睨み返しながら言葉を返す。

 多分望まないんだろうけど、どっちか選ぶならヤマト隊長だなぁ。

 

 

 

 ふと、ざわめきが聞こえその方向へと視線を向ける。謁見の間で、こちらに薄い興味を向けていた人物がこちらに向かっているのが見えた。

 服装がブラックナイツやイングリットさんと同じところを見ると、どうやら要職だったらしい。

 

 

 

 

 「これは一体何の騒ぎですか、サーペンタイン団長?」

 

 「なに、ほんの少しばかりコンパスの方に手合わせ願っただけだ。ガローテ筆頭外交官」

 

 

 

 

 黒髪の男──ガローテ筆頭外交官にシュラは悪びれることもなく言葉を返す。

 ガローテ筆頭外交官はチラリと周囲をうかがって、周囲の緊張感に満ちた重苦しい空気にふぅと息を吐きモノクルを指で押し上げた。

 一方のシュラは言うべきことは言ったとばかりに、黒ずくめの一団の元へと歩いていった。

 

 

 

 「こうして言葉を交わすのは初めてでございますね、わたくしこのファウンデーションにて筆頭外交官を務めさせていただいております。アイシュ・ガローテと申します。以後お見知り置きを」

 

 

 

 そう言ってガローテ筆頭外交官は、細身の長身を折り曲げ丁寧な挨拶の言葉を発した。

 もはやこれだけで好感度が上がる気がするのは、流石に判断基準が狂いすぎだろうか?

 

 

 そしてそのまま、ガローテ筆頭外交官は言葉を続けた。

 

 

 

 「そして、無礼を承知でお願い申し上げます。どうか、シュラ・サーペンタイン近衛師団長の無礼をお見逃しいただけないでしょうか?」

 

 「いや、それは……」

 

 

 

 

 流石に好感度稼いだからってそれはキッツクないですかね?!

 

 

 

 

 「彼らはファウンデーションの独立のために戦い、独立を果たしたあと国際社会に認められぬ中でも戦場に立ち続けたのです。故に、彼らにとって力を持つこととは誇りであり、力無き思いに意味を見出せぬのです」

 

 「……それは」

 

 

 

 

 それを言われると、何とも言い難い。ユーラシアからの独立の際はともかく、独立後にファウンデーションが国家と認められなかったのは各国が自身の利益を優先したが為にだからだ。

 

 

 

 

 

 「今回の件は、それこそ彼らの戦いが報われる……」

 

 「アグネス・ギーベンラート──『月光のワルキューレ』か?」

 

 

 

 

 顔を上げ、熱の籠ったガローテ筆頭外交官の言葉を遮ったのはシュラの声だった。

 

 

 

 「え?……ええ」

 

 

 

 アスカ大尉に対して、サーベルでの試合に負けたことで何かを言っていたらしいアグネス中尉。突然、シュラの刃物を思わせるような目を向けられて戸惑っていた。

 返事を聞いたシュラは、その憮然としていた顔に微かに笑みを浮かべていた。

 

 

 ガローテ筆頭外交官と、その言葉を聞いていたヤマト隊長とフラガ大佐。そして俺の間に何ともいえない空気が流れる。

 ……俺もうファウンデーションのことよくわからないよ。いや、一つハッキリ分かる事がある。

 

 

 

 

 「……シュラ・サーペンタイン近衛師団長の無礼、心よりお詫び申し上げます」

 

 

 

 

 頑張ってフォローしようとしてたガローテ筆頭外交官殿、可哀想……。

 

 

 

 うわぁ、現実で顔に青筋浮かぶとああなるんだ。初めて見たかも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。