地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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 なんだかガローテ筆頭外交官に好意的……あるいは同情的な感想が多くて困惑してます。
 そんなガローテ筆頭外交官の好感度が下がりそうな話ですが、どうぞ。







PHASE-13 ワルツの響く夜に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柔らかな光が明るく照らす広い空間。優美なワルツの音色、その調べに合わせて踊る人々、様々な料理の盛られたテーブル近くで響く歓談の声。

 炭酸水の注がれたグラス片手に、様々な音のあふれる大広間を回遊魚めいて動き回る。

 

 

 

 刻限は夜、コンパス歓待のための立食パーティ。その会場となった大広間に、この身はあった。

 結局のところ、昼間の一件──ファウンデーションの近衛師団、ブラックナイツとの()()()()についてはガローテ筆頭外交官の謝罪を受け取る形で決着となった。

 個人的にはそれで良いのかと思うところはあれど、ミケール捕縛作戦というブルーコスモス過激派との戦いに一区切りがつくだろうそれを優先するのは致し方ないことだろう。たとえそれがもたらす安寧が、どんなに短くとも。

 

 

 

 

 ちらほらとこちらに向けられる視線。そこにまとわりついている好奇の感情が煩わしい程度で、特筆すべきようなことはなにもない。

 ファウンデーションへと足を踏み入れた際に感じ取った、耳の奥に直接流し込まれたと認識してしまいそうなほどに強い憎悪の感情。それが何度もヤマト隊長に向けられるのではないかと、僅かな警戒を頭の片隅に置き続けていた。だが結局、あれから一度も知覚できずにいた。

 

 

 勘違いだったのだ、不安やストレスによって生じた幻聴なのだと流してしまいたい。しかし、その度に気にしないようにしようと結論づけた前世の知識が頭をもたげる。

 だが、なにができる?受け取ることはできるけれども、向けられる感情へと干渉はできない。いや、できるかどうかもわからない。ただ漠然と、自分は向けられた感情を知覚できると知って満足していた。

 

 

 手にしているグラスを傾けて、炭酸水を口に含む。パチパチとした刺激が口内から喉、臓腑へと落ちこんでいく。

 フゥと、堂々巡りを繰り返す思考を息と共に吐いて捨てる。一人でいれば、コンパス出向中の大西洋連邦所属の元生体CPUという身の上のこちらへと精神攻撃らしきものの矛先が向くかとも思ったが、当てが外れたようだ。

 ファウンデーションの方々も、俺との歓談をする気は無さそうだしアスカ大尉やルナマリア中尉、フラガ大佐の元へと戻ろうか。

 

 

 

 

 

 

 向かう途中で、それぞれのテーブルについているらしい侍従さんに料理を盛り付けてもらった皿を渡された上で歩いていけば山盛りの皿を手にもしゃもしゃと料理を頬張っているアスカ大尉が見えた。

 食べ盛りのお年頃かな?……食べ盛りのお年頃だな、ヨシ!なんとなくネガティブだった気持ちが上向いた気がする。

 

 

 「ゼフォー・ローワン特務少尉、ただいま戻りました」

 

 「どこ行ってたんだ、遊びに来たワケじゃないんだぞ?」

 

 

 

 少しばかりおどけて敬礼しながら声をかければ、アスカ大尉に言葉を返される。それに対して隣にいるルナマリア中尉にジト目で視線をむけられているのは、まあ、ご愛嬌といったところか。

 

 

 「いやぁ、こういう雰囲気の場所は初めてなんで、つい。申し訳ないっス」

 

 

 とはいえ、言っていることは何も間違っていない。ペコリと頭を下げる。

 その時、ダンスフロアの方からざわめき。視線を向ければ、クライン総裁とオルフェ宰相が踊っていた。その姿はなかなか堂に入っていて、少しばかり目を奪われる。

 映画のワンシーンみたいだなぁと思いながら、皿の上の唐揚げのような料理を頬張った。うん、美味しい。ひょっとしたら香草の風味が強いだとか、ひとクセあるかもと身構えていたが思いの外クセがない。

 

 

 

 「しっかし、あんな坊ちゃん嬢ちゃんがあのブラックナイツとはねぇ」

 

 

 

 会場の奥、ラミアス艦長らと歓談しているアウラ陛下のそばに立つ黒ずくめの一団に視線を向けながらのフラガ大佐のつぶやきに、内心で同意する。あっ、このピラフみたいなのも美味い。

 こんなクセのない料理を提供できるなら、外交にも絡むだろう近衛師団の面々も、もっとクセのない人員を選ぶべきだろうに。

 まあ、ユーラシアに対抗すべく戦闘力を最優先にした結果なのかもしれないけれど。

 

 

 

 「何なんすかね、あいつら?」

 

 「コーディネイターなんじゃないですか?」

 

 「だろうな、だが……」

 

 

 

 アスカ大尉とルナマリア中尉の返事に言葉を返すフラガ大佐は、まだなにか引っかかりを覚えている様子だ。なんてこった、ポテトフライもしっかり美味しい。スティックみたいな形派だったけど、くし切りタイプもいけるじゃあないか……。

 

 

 

 「なにか?」

 

 「いや……どうもこの国は、一筋縄じゃいかんってことだ」

 

 

 

 …………?ブラックナイツはともかく、ファウンデーション自体はそうでもないのでは?ガローテ筆頭外交官殿はしっかり謝罪してくれたし。

 

 

 「ちょっと聞きたいんだが、謝罪をされたのがどのタイミングだったか覚えてるか?」

 

 

 

 俺が首を傾げているのを見てか、フラガ大佐が問いかける。

 

 

 

 「それは、え〜と……」

 

 「アイシュ・ガローテ筆頭外交官」

 

 「そう!その、ガローテさんがってことっすよね?話しかけられてすぐに、頭を下げられてませんでした?」

 

 

 

 名前が出てこなかったらしいアスカ大尉に、ボソッと呟けばそのまま答えを返した。まあ、あの人が声をかけてきたのはヤマト隊長とフラガ大佐、あと俺であってアスカ大尉は少し離れたところにいたからしょうがないだろう。

 

 

 

 「自己紹介の挨拶としてな」

 

 

 

 そうそう、そんでそのあとシュラの無礼を見逃して欲しいって言ってきて……アレ?

 浮かんできた疑問に首を傾げる俺を横目に、シャンパンの入ったグラスを傾けて唇を湿らせたフラガ大佐が言葉を発した。

 

 

 

 「そのあとは、ブラックナイツをフォローする言葉が続いたな。シュラって言ったかな、近衛師団長が……あー、空気を変えるまでは」

 

 「えっ、それって……」

 

 「あぁ、謝罪の言葉をハッキリ口にしたのは空気が変わってからが初めてだった」

 

 

 

 言われてみれば、そうだった。シュラが無礼を働いたと認める言葉はあったが、謝ってはいなかった。丁寧な態度と言葉で気づかなかっただけで。

 

 

 

 「ありゃ空気が変わってなかったら、謝らずになあなあで済まされてたかもな」

 

 「えぇ……」

 

 「だから言ったろう?この国は一筋縄じゃいかん、ってな」

 

 

 

 思わず声を漏らしたアスカ大尉に対して、フラガ大佐はそう言って肩を竦めていた。……外交って、こわぁ。態度と言葉が丁寧なだけで誤魔化されてた俺じゃ、まともにできる気がしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ゼフォー、そういえばおまえさんウィンダムの調整があるんじゃないのか?」

 

 

 

 少しばかり急いで皿の上の料理を片していると、フラガ大佐にそう声をかけられる。そろそろ中座しようとしていたから丁度良い。

 口の中を空にして言葉を返す。

 

 

 

 「はい、そうっス。だからちょっと、そろそろお暇しようと思ってたところっス」

 

 

 

 

 言いながら視線をアウラ陛下の方へと向ける。歓談もひと段落ついてそうだ。

 

 

 

 

 「そうか、ならさっさと行った方がいいだろ。話ならこっちでつけとくさ」

 

 「えっ、いいんすか?」

 

 「気にするな、それこそ仕事のうちだよ。それに下手に時間をとらせて整備の連中に恨まれたくないしな」

 

 

 

 フラガ大佐の物言いに苦笑いしたくなるが、その通りだろう。そのご厚意に有り難く甘えさせてもらうことにする。

 

 

 

 

 「っス。ありがとうございます。それではゼフォー・ローワン特務少尉は、これより自機の調整のため失礼させていただきまっス」

 

 「おう、行ってこい。あと、あまり根を詰めすぎるなよ」

 

 「了解っス、それでは」

 

 

 

 

 そのまま会場になっている大広間の出口に向かう。ふと、なんの気無しに見渡した視線の先でクライン総裁とオルフェ宰相が見えた。

 どうやら中庭に向かうようだ。見たところ二人で。

 

 

 先程までの話が話だけに、その様子が気になって自身も中庭に向かう。

 

 

 

 

 「おや、どうかしましたか?まだパーティは途中ですが」

 

 

 

 

 中庭に続く通路、大広間にある扉を出てすぐの場所で声をかけられた。お相手は、ガローテ筆頭外交官だった。

 

 

 

 「あっ、いえ、少し中庭が気になって……申し遅れました。私、コンパスに所属のゼフォー・ローワン特務少尉と申します。お見知り置きを、ガローテ筆頭外交官殿」

 

 「これはどうもご丁寧に……ですが、申し訳ございません。ただ今中庭にて、クライン総裁とオルフェ宰相閣下のお二方がご歓談中でして。立ち入りはご遠慮いただきたく」

 

 

 

 少しぼかした物言いの後に、自己紹介が済んでいないことに思い至る。なるだけ丁寧な言葉遣いを意識しながら言葉を紡ぐ。

 それに対する返答は、やはり丁寧なものだった。そのままやんわりと、中庭へ向かうことを止められたが。

 それでも、コンパスの総裁といういわば最高指導者が他国の高官と二人きりという状況が気にかかる。

 ましてや、一筋縄ではいかない相手では……。

 

 

 

 「……どうかご安心ください。歓待の場を乱さぬよう、目立たぬようにではございますが警備の兵は配備されております。何人も危害を加えることはできぬでしょう」

 

 

 

 

 そんな考えを知ってか知らずか、ガローテ筆頭外交官はそう言葉を発する。そういうことを心配しているわけじゃない、だなんて口にするわけにはいかないのは流石に俺でもわかる。

 昼間の件を水に流した以上、そちらを信用できないととられかねないことは言うべきではないだろう。

 

 

 

 「どうも出過ぎた真似をしてしまったようです。申し訳ございませんでした」

 

 「いえいえ、その心配は当然のものでしょう。かまいませんとも」

 

 

 

 頭を下げたこちらに、微笑を浮かべたままでの返答。だが、先程のフラガ大佐の話のせいか裏がありそうに見える。

 このままだとブラックナイツへの不信感も合わせて、失礼な物言いをこぼしてしまいそうだ。早々に立ち去るほかないだろう。

 

 

 

 「ありがとうございます。それでは、失礼いたします」

 

 「あぁ、すみません。あとひとつだけお伝えしたいことが」

 

 

 

 立ち去ろうと言葉をかければ、ガローテ筆頭外交官からなにか言いたいことがあるらしい。

 

 

 

 「クライン総裁とオルフェ宰相閣下、お二方の中庭でのご歓談はマリュー・ラミアス大佐とアレクセイ・コノエ大佐のご両人に了承いただいております。どうか誤解なきよう。その上でなにか不都合がございましたら、どうかムウ・ラ・フラガ大佐を通してお知らせください」

 

 

 

 そう言ったガローテ筆頭外交官の、モノクル越しの視線に刺々しさを感じるのは多分気のせいではないだろう。

 

 

 

 

 「分かりました。では、これにて」

 

 

 

 そう言って頭を下げて、その場を離れる。それをガローテ筆頭外交官は、同じように頭を下げながら見送っていたようだった。

 

 今のって、下っ端が出張るな引っ込んでろって感じのことを直接言わずに遠回しで丁寧な言葉と態度で伝えてきたって感じかなぁ。怖いなぁ。

 

 

 

 

 

 ……もうやだミレニアム帰るっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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