地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-14 嵐の前に惑う心

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガローテ筆頭外交官殿にチクリと刺されて急いでミレニアムに戻った俺。

 一応その前にフラガ大佐に一報は入れたのだが、今考えればまず最初にフラガ大佐に話を持っていくべきだったのでは?

 俺の階級は特務少尉であり、あの話にいたコンパスのメンバーの中では一番の下っ端のようなものだ。それに勢いで中庭へ向かったが、何をどうするのか一切考えていなかった。

 

 

 ……むしろ止めてもらって助かったまであるな、これ。いくらフラガ大佐の話を聞いて不審に思っていたとはいえ、行き当たりばったりがすぎる。

 少しばかり、短絡的な思考が多い気がする。ここ、ファウンデーションに足を踏み入れた時のあの思念。

 自身へと向けられていないはずなのに、音として認識できるほどハッキリ。強い憎悪を感じた。

 あの時はブルーコスモス絡みだと思ったが、あるいはその考えも短絡的だったろうか?

 

 

 

 ガコ、と手提げ袋に入れた缶コーヒーたちのぶつかる音が、渦巻く思考から意識を引き上げる。

 気づけば目的地、ミレニアムの格納庫。自身の乗機、ウィンダム・べヴァイズンが鎮座している箇所へと辿り着いていた。

 

 

 

 

 「お前らぁ、ゼフォー特務少尉のお着きだぞぉ」

 

 「時間かかって申し訳ないっス!だから、その呼び方やめてほしいっス……。ヨスタ曹長」

 

 

 

 こちらに気づいたヨスタ曹長が、仰々しい呼び方をしながら周囲へと俺の到着を伝える。

 うぃーす、だったりうっす、だとかの割と砕けた声を聞きながらヨスタ曹長へと歩み寄り差し入れ──缶コーヒーたちの入った手提げ袋を差し出す。

 

 

 

 「これ、差し入れっス。お疲れさまっス」

 

 「おぅ、あんがとな。オイ、これ配っといてくれ。我らが特務少尉殿からの差し入れだってな」

 

 「だからぁ、その呼び方こしょばゆいからやめてほしいっスよ〜。……それにしたって、一日で合わせるの大変じゃなかったっスか?」

 

 

 

 相変わらず階級での呼びかけでおちょくってくるヨスタ曹長に、少しばかり文句を言いながら思わず浮かんだ疑問をぶつける。

 俺が手渡した差し入れを近くにいた整備士へと任せたヨスタ曹長は、ニッコリと笑みを浮かべながら俺の背後に回った。そして、両肩に手をポンと乗せる。

 …………?一連の動きに頭にハテナを浮かべる俺をよそに、ヨスタ曹長は口を開いた。

 

 

 

 「いやいや、どうってこたぁねぇよ。毎度毎度出撃のたびにリミッターを解除したスラスターをぶん回すどっかの誰かさんの整備担当やってればなぁ!」

 

 

 

 言うがいなや、肩に乗った手から物理的な圧がががががが!

 

 

 

 

 「あ"あ"あ"あ"あ"っ"!!肩っ!肩ががが!?」

 

 「整備の連中に差し入れ持ってくるなんて気を使う前に、もっと丁寧に乗りやがれってんだ!気軽にポンポンとリミッター解除しやがって、何のためにあるのか分かってんのか?!下手すりゃあ乗ってる最中にスラスターがイカれるんだぞっ!」

 

 「あががががが!ごめんなさいっ、ごめんなさぁい!」

 

 

 

 ゴリゴリ、グリグリと容赦ない指圧が、肩を抉るように襲いかかる。助けを求めて周りに視線を向ければ、取り巻いて見ている整備士の方々はやんややんやと大騒ぎだ。

 もっと言ってやってください曹長!とヨスタ曹長を応援していたり、そうだそうだと囃し立てたり。少なくとも、俺の味方は見受けられない。

 

 

 

 「こんな大袈裟に痛がるぐらいに肩凝ってるなんて、お前ホントに16なのかぁ?!もっと身体大事にしろ大事に!!周りは相当な腕っこきなんだから、リミッター解除なんて無茶しなくてもなんとかなるだろうがよぉ!!」

 

 「ひぃん!!あっ、曹長!!もうちょい右お願いします右!」

 

 「気持ち良くなってんじゃねぇよ!!……ここかぁ!?」

 

 

 

 

 チクショーめ、まともに言い返せない。ヨスタ曹長の言ってることは間違いない。むしろ10割正しいレベルだ。

 ……何より、ヨスタ曹長含む周りからの視線。それから知覚できる憤りや不満、そしてそれをはるかに上回る心配の感情を無碍に出来るほど人でなしであるつもりは、ない。

 

 

 

 

 

 「明日がコンパスにとっての大一番ってのは分かる。分かるが、お前さんが無茶して怪我なんかしたり、ましてや……死んじまったりなんかしてみろ。どうあってもケチがついちまうだろうが」

 

 

 

 

 ヨスタ曹長が肩の手に力を入れて、俺の身体をグルリと180度。面と向かって言葉を紡ぐ。

 吐き出される言葉は、新たな機体を受領して一日たたずに戦場に出るからかあるいは、常に頭にあった言葉が切っ掛けを得て堰を切るように溢れ出たのか。

 

 

 

 

 「なぁ、約束してくれねぇか。無茶はしねぇって、それだけでいい」

 

 

 

 

 先程までやんややんやと騒いでいた整備士の方々も様変わりした空気に当てられてか、固唾を飲んで様子を伺っている。

 

 

 

 

 「前向きに、善処させていただきます」

 

 「ッ…………ハァ、そこは嘘でもハイって言うとこだろうがよ。正直モンが」

 

 

 

 

 ヨスタ曹長の心配は、とても有り難い。とてもとても有り難い。それでも、気軽に約束は出来ない。

 どうしたって頭をよぎる『キラ・ヤマトの闇堕ち展開』。考えすぎかもしれない、気のせいかもしれない。

 それでも万が一、それこそ億が一、それが起こってしまったなら。自惚れかもしれないが、真っ先に対応できるのは俺だろう。そして、対応しようとするならば、それこそ無茶は前提条件のようなものだ。

 

 

 俺の言葉に一瞬顔を顰めたヨスタ曹長だが、俺の真剣な様子に大きなため息。頭をかきながら不承不承に言葉を発した。

 

 

 

 

 「その正直に免じて、無茶はするなとは言わねぇ」

 

 「アザっス!」

 

 「最後まで聞け」

 

 「あいたぁ!」

 

 

 

 

 スパァン、と小気味いい音が俺のつむじあたりから聞こえ思わず抑える。

 ジト目を向けたヨスタ曹長はそのまま口を開いた。

 

 

 

 

 「とにかく、生きて戻ってこい。もし機体がボロボロになっても、まぁ、許してやる。その代わり、もう二度と無茶しねぇって気になるまで〆てやるから、なるべく無茶すんな。いいな?」

 

 「……ハイっ」

 

 「ったく、いい返事しやがって。……そら、なにぼさっとしてる!仕事だ仕事!」

 

 

 

 

 俺の返事にぼやきながら、周囲へ声をかけながらウィンダム・べヴァイズンへと向かってヨスタ曹長は歩みを進める。

 誰かの精神的な重荷になんて、なりたくなどないのだ。返事がいいのは、勘弁してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャットウォークから、コクピット内へと身体を収める。そしてヨスタ曹長も身を乗り出したのを確認して、モニターを立ち上げた。

 

 

 

 「こっちで確認した限りでは、事前のデータとの差異は修正してある。あとはお前さんの感覚で合わせてくれ」

 

 

 

 

 そういうヨスタ曹長の顔はどこか複雑そうだ。まぁ、元のウィンダムと比べたらえらく様変わりしているのがMSの機構に関して素人な俺でも、一目でわかるほどなのだ。

 整備士目線で見たらとんでもないのかもしれない。あるいは、見た目の問題かもしれないけれど。

 モニターに示されているパラメータに目を通していく。

 

 ふくらはぎ方向に大きく張り出した曲面で構成された装甲、その内側に二つのスラスター、それが両脚分。

 腰には後ろに元の装甲を覆うように装甲が追加、そして元の装甲との間にスラスターが三つ。

 横の装甲にはスティレットやビームサーベルがあるためか変更は無し。

 前の装甲には、太腿前の二箇所をひと回り大きな装甲が追加。中央との接続付近に小ぶりなスラスターが埋め込まれている。

 

 

 この時点で新たに追加されたスラスターの数が9つ。さて、お次は上半身といこう。

 胸部はトーデスシュレッケン自動近接防御火器を阻害しないように、上部には装甲は追加されず。ダクトを覆うように装甲が貼られ、塞がったそれを補うように排気口が張り出した胸部追加装甲下部に見て取れる。見た目の印象がゲルググに寄っているのは、ここの形状が似ているからか。

 肩には元々のスラスターを塞がないように、前後で挟み込むような形での追加装甲。そして小ぶりなスラスターも前後にひとつずつ。

 腕には、ガントレットのようなアンカーワイヤー基部を覆うように追加装甲。

 頭部はそのまま、ムラサメのものだ。

 

 

 

 追加された装甲──ミシェンクレイドの内訳はこんな感じか。追加スラスターは計13個。

 これに加えて背中には、MSに飛行能力を付与できるほどの推力のオオトリストライカー。

 間違いなく、大盤振る舞いではあるのだろうけれども。なんだかなぁ。

 

 

 

 「こいつの特長がお前さんの好みじゃないのは俺でも分かるが、そんな顔すんなよ……一応伝えとくがこの追加装甲、あー、みしぇんくれいど?こいつは強制排除できるぞ。コードは……」

 

 「2453、っスよね」

 

 「……ハァ、あくまで非常用だからな?ポンポン脱ぐなよ、頼むから」

 

 

 

 

 頭に叩き込んだコードを口にすれば、ヨスタ曹長からジト目を送られた。イヤだなぁ、必要な時以外には使いませんよ。ホントダヨ。

 

 

 

 

 「そういえば、なんで急にあんなこと言ったんです?今まで言ったことなかったのに」

 

 「……ライ大尉にな、言われたんだ。お前さんがシミュレーターを普段の倍のペースでこなしてるって。そんなん言われたら、誰だって気にするだろうが」

 

 

 

 それはそう、としか言えない。あまりにも気の入れようが露骨すぎるだろ、俺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウィンダム・べヴァイズンの調整と確認が終わり、夜遅く。眠気覚ましのコーヒーを求めて、レクリエーションルームへと向かっていた。

 実機との擦り合わせが終わったデータでのシミュレーターを少し行おうと思ってだ。

 フラガ大佐には根を詰めすぎないようにと、ヨスタ曹長にはあまり無茶をするなと釘を刺されたが、流石に数回は慣らしておかないといけないだろう。

 

 

 ……単純に気を紛らわせたいというのもある。実際に目の当たりにした、世界最強のパイロット──キラ・ヤマト。あの人と相対するかもしれないという懸念と不安は、今も変わらずに胸にあるのだ。出来ることは少しでもしておきたい。

 そうして曲がり角を曲がった時。

 

 

 

 

 「あら、貴方は……?」

 

 「あっ。ど、どうも」

 

 

 

 

 

 

 世界平和監視機構コンパス総裁、ラクス・クラインさんと出会いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いくらコンパス所有の戦艦の中とはいえ、総裁という立場のお方がお一人で出歩いてよろしいのでしょうか?という疑問を覚えるのは、俺の感覚がズレているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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