地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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 強めのアンチ・ヘイト要素があります。ご注意をお願いします。










PHASE-16 嵐の前でも波風は立つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 懲罰房覚悟で修正(物理)した方がいいのでは?本家本元仕様のグーで。

 ……ブルーコスモス過激派との戦いに一石を投じるような一大作戦行動を前に?むざむざ投入できる戦力を少なくしてまで?『キラ・ヤマトの闇堕ち』が起きるかもしれないのに?

 

 

 

 アグネスの、俺のこともダシにしたクライン総裁への罵倒と言っていい言葉に頭に血が昇り手を出すことまで考えが及んだが、明日のことがよぎり廊下の壁に手をつけ額を押さえて下を向いて思い悩む。

 

 

 そんな俺を他所に、時間は進む。状況が変わる。

 

 

 

 

 「きみは、なにを言っているのかわかってるのか!」

 

 「だって実際そうじゃないですか!私、間違ったこと言ってますか!?」

 

 

 

 

 事実かどうかってんなら正しいけど、一兵士が口にしていい言葉かどうかなら間違いに決まってんだろ。

 

 

 

 葛藤していた俺の耳に届くヤマト隊長とアグネスのやり取り、廊下を駆ける足音。

 アグネスの言い分に思わず思考で突っ込んで…………足音?

 

 

 

 パッと顔を上げ、クライン総裁がいた筈の整備指揮所の入り口を見た。

 ポツリと、通路のワゴンの上に置き去りにされたハロおにぎりの載ったトレイ。それだけが目に入った。

 

 

 

 

 「そういうことじゃないんだ!」

 

 

 

 

 

 ヤマト隊長の声を背にするように振り返れば、結えられた桃色の髪。それが廊下の角へと消えたところだった。

 

 

 

 

 「きみは何も──」

 

 「クライン総裁ッ!?」

 

 

 

 発した言葉は、ヤマト隊長の声を途中でかき消すほど思いがけず強く響いた。

 

 

 

 

 「ラクスっ?!」

 

 

 

 

 その声に振り向けば、整備指揮所から飛び出してきたヤマト隊長と目が合う。

 

 

 

 

 「ゼフォー、どうしてここに……いや、それよりもラクスがここにいたのか!?」

 

 

 

 

 

 ヤマト隊長を追ってか、ドアから顔を覗かせたアグネスが苦虫を噛み潰したような顔をするのを視界に収めながら、ヤマト隊長へと歩み寄りながら簡潔に返事を返す。

 

 

 

 

 「ヤマト隊長に夜食を届けるとおっしゃっていたクライン総裁のお供してたッス。あちらの角を右に曲がっていっちゃいました。……どうか行ってあげてほしいッス」

 

 「わかった、ありがとう」

 

 

 

 

 そう言って駆け出したヤマト隊長を見送った。……さて。

 

 

 

 

 「あっ、隊ちょ──」

 

 「こんなところで奇遇ですね、ギーベンラート中尉。どうしてここへ?」

 

 

 

 

 

 ちょっとお話し、しーましょ。ギーベンラート中尉。

 

 

 憂さ晴らしに、嫌味の一つや二つぶつけさせてもらうとしよう。

 

 

 

 トコトコと、アグネスの元へ──具体的にはワゴンの横を少し通り過ぎた辺りまで歩みながら声をかける。

 

 

 

 

 「私は隊長に夜食をお持ちしただけよ。そういうあんたはなに?役に立てないからって総裁の付き人みたいなことしてるワケ?」

 

 

 

 

 ………………明日はミケール捕縛作戦明日はミケール捕縛作戦。フゥ。

 

 

 

 

 「いえ、明日に備えてのMS調整を終わらせた帰りにヤマト隊長に夜食を届けようとしていたクライン総裁に会ったので、お供させていただいただけですよ?」

 

 

 

 

 アブナイ火遊びしてたあなたと違って。小生意気に見えるように、言った後に首を傾げたのが功を奏したのか。

 目元を僅かにひくつかせたアグネスは、投げやり気味に口を開いた。

 

 

 

 

 「あっそ。なら用はもう済んだでしょ、さっさと戻んなさいよ」

 

 「ハイ、でも最後に一つだけ用があります」

 

 「ハァ?なんなの、その用ってのは?」

 

 「……ああいう火遊び、洒落にならないことになる前に辞めた方がいいですよ」

 

 

 

 

 言い放つと同時、知覚するのは強い怒り。その発生源、アグネスが口を開く。

 

 

 

 

 「火遊びなんかじゃないわ!何も知らないクセに、いい加減なこと言わないで!」

 

 

 

 

 

 本気だとしたら、ヤバすぎるだろ。恋愛のれの字もわからない俺でもそう思う。思いがけない言葉だったが、構わず続ける。

 ヤマト隊長が駆けていった方に顔を向けながら口を開いた。

 

 

 

 

 「何も知らないから教えてほしいんですけど、あんな怒声を浴びせられて脇目も振らずに別の誰かを追いかけられたのに、そんな人を振り向かせられるものなんですか?」

 

 

 

 

 そう言って振り返れば、目に飛び込んできたのは涙目になったアグネスだった。

 泣きたいのは、職場の雰囲気に死ぬほど影響が出そうな修羅場に巻き込まれた俺なんスけど?

 

 

 

 

 「なによ、男なんてみんな私の方を選んできたのに……」

 

 「へー、じゃあギーベンラート中尉にとってヤマト隊長は初めての男ってことになりますね。おめでとうございます」

 

 

 

 

 アグネスの言葉に嫌味をぶつけながら、視線がワゴンの上。ハロおにぎりの載ったトレイに向いた。

 折角クライン総裁が作った夜食、このままにしておくのはなんかやだな。

 そうと決まれば話は早い。こんなところでこんなことをしている場合じゃない。

 

 

 

 

 

 「じゃあ、そういうことで」

 

 「ハァ!?あ、あんたッ!」

 

 

 

 

 

 トレイを持ち上げ、廊下を駆ける。ナニか聞こえたが、どうでもいいだろう。

 とはいえ、あのお二人は何処へ行ったのか。感情が知覚できるなら似たような超能力も目覚めてくれればいいのに。

 

 

 

 

 兎にも角にも前進あるのみ。行き先は……閃けっ、俺の直感!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦の通路には見当たらず、外に出る。桟橋を渡ったところに、人影。

 

 

 

 

 「おや、貴方は……ゼフォー特務少尉殿、でしたか」

 

 「えと、こんばんは」

 

 

 

 

 細身かつ長身な身体に独特なセンスのブラックナイツと同じ服を纏い、黒髪黒目のやや神経質そうな顔にはモノクルが乗っていた。ガローテ筆頭外交官、その人であった。……なんでこんなところに?

 

 

 

 

 

 「どなたかをお探しで?もしそうなら奇遇ですね、私もオルフェ閣下を探しているのです」

 

 

 

 

 

 視線を手元のトレイに向けて、ガローテ筆頭外交官はそう言った。……有能なトップは、フットワークが軽いとでもいうべきなのだろうか?

 

 

 

 

 「明日は我がファウンデーションの未来が定まると言っても過言ではない日、出来るならば早めにお休みいただき英気を養ってほしいのですが……。失礼、こちらばかりが喋ってしまいました。貴方は、どのようなご用で夜も更けた時分にこちらまで?」

 

 

 

 

 思わず考え込んで口を開かずにいた俺に、ガローテ筆頭外交官が水を向ける。

 なんとなく、中庭の出来事を引き摺っていたがそれはこちらだけだったのだろう。その声色は柔らかで、刺々しさは感じられなかった。

 

 

 

 

 「すみません、先程おっしゃった通り人を探しています。ヤマト隊長をお見かけしませんでしたか?」

 

 「ふむ、キラ・ヤマト准将のことですね。……顔は見ていませんが、ラミアス大佐殿やコノエ大佐殿と似たような服装の方なら、先程」

 

 「どちらに行かれたか、教えてくださいませんか!?」

 

 

 

 

 

 思わず大きな声が出てしまったが、ガローテ筆頭外交官は構わずに口を開いた。

 

 

 

 

 

 「もちろんです。あちらの方へと行かれたと記憶しています。……あまりに急いで、その可愛らしいお食事を台無しになさらないようにしてくださいね」

 

 「どうもありがとうございました!それでは!」

 

 「えぇ、どうか良い夜をお過ごしください」

 

 

 

 

 頭を下げてからガローテ筆頭外交官の示してくれた方へと向かう。有り難い忠告を実行しながら。

 

 

 

 

 

 

 失敗作の踏み台さん

 

 

 

 

 

 

 思わず、辺りを見回した。まるでナイフの刃のような冷たさの、侮蔑の籠った音。頭に直接響く感覚。

 辺りには人の姿はほぼ無い。ただ一人、こちらに背を向け歩いているガローテ筆頭外交官を除いて。

 

 

 

 もしや、彼なのだろうか。だが、先程話をしていた時には侮蔑なんて知覚しなかった。

 あぁ、どうやら明日は本格的に覚悟を決めねばならないようだ。だが、それよりも。

 ひとまずは、ヤマト隊長に届けなければ。クライン総裁の作った夜食を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 湖岸にポツリと。ガローテ筆頭外交官が示した方へと歩けば、白と黒の服を纏った人影。

 どういう訳か立ち尽くしているが、その背格好はヤマト隊長に相違無いだろう。

 

 

 

 

 「ヤマト隊長〜〜!お届けもので〜〜っス!」

 

 「……ッ。ゼフォー?どうして、ここに?」

 

 

 

 

 

 駆け寄りながら声をかければ、僅かな間の後にヤマト隊長は振り向いた。

 

 

 

 

 

 「これ、クライン総裁の作ったお夜食っス。あの場に置きっぱだったんで、届けに来たっス」

 

 「これを、ラクスが?」

 

 「そうっス。ヤマト隊長と一緒に食べるつもりだって、そう言ってたっス」

 

 

 

 

 そう言いながら、ハロおにぎりがヤマト隊長に顔を向けるように差し出した。

 それをなぜか少し躊躇いがちに、ヤマト隊長は受け取る。

 

 

 

 

 「これを、一緒に……って?」

 

 「はい、そうっス。だから、早くクライン総裁のところに行ってあげてほしいっス。ひょっとしたら……泣いちゃってるかも、な〜んて」

 

 

 

 

 

 泣いちゃってるかも、のところでピクと反応するヤマト隊長に、ちゃんとクライン総裁のこと想ってるんだなぁなんて思いつつ。おどけた様子で敬礼をした。

 

 

 

 

 「それでは、ゼフォー・ローワン特務少尉はこれよりミレニアムに帰投いたします。良い夜を!では、おやすみなさいっス!」

 

 

 

 

 

 

 そう言って踵を返して、俺はミレニアムへと戻るために駆け出したのだった。

 良い子の16才(推定)な、ゼフォー・ローワンはクールに去るぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もしも、『キラ・ヤマトの闇堕ち』が現実になったとしたら。死なず、死なせず、どうにかする。なんて無茶な覚悟を決めながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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