地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-2 赤き凄惨なる世界の中に

 

 

 

 

 

 二十年以上前に流し見した程度のアニメ、機動戦士ガンダムSEED・機動戦士ガンダムSEED DESTINY。その続編となる劇場版アニメ、機動戦士ガンダムSEED FREEDOMに興味を持ったのはSNSを見ている時に踏んだ、"劇場版SEEDでアスランがズゴックに乗って登場した"というネタバレだった。

 

 

 ふんわりとアニメや漫画の知識のあるライトなオタクだった俺は、ガンダムに関してもSNSやネット掲示板でネタにされている知識程度しか無かったが、自身の10代の時に放映されていたガンダムが今になって映画化したのかと驚いた。

 少し調べれば評価も高いようで、久しぶりに映画館で映画を観てみようかと乗り気になっていた。その上で、普段使っている動画配信サイトにて映画のPVを視聴した流れでSEED・SEEDDESTINYの本編をダイジェストした動画を公式アカウントが上げているのを知った。

 即座に視聴し、懐かしさと面白さにネタだと思っていたネット断ちをした上での映画鑑賞を決意。その週の日曜日、久しぶりすぎて緊張すらしながら映画館にてチケットと飲み物を購入し、座席へと座って。

 

 

 あえていうならば西()()()()とでもいうべき俺の前世での記憶は、そこで止まっている。そして気付けばC.E.世界の、恐らくは強化処置の失敗か、深刻な薬物汚染による心神喪失状態の生体CPUに憑依してしまっていたのだろう。

 心理学はおろかC.E.世界の知識すら怪しい、それどころか多大な苦痛の末心神喪失状態になった人間と記憶が混ざったせいか自分自身にまつわる記憶さえあやふやな俺には正確に判断など出来ようもない。

 自身や自身の両親、いた筈の友人や職場の同僚の顔や名前は吹っ飛んでいるくせに、SEED絡みのふんわりとした知識や記憶がそれなり以上にハッキリ残っているのは、我ながら正直人間としてどうなんだと思わなくもないが。

 

 

 『ウィンダム・カスタム。発進準備、どうぞ!』

 

 

 頭の中でウダウダと思考を重ねていても、状況は進んでいる。すでにルナマリア中尉とアグネス中尉は発進している。

 

 

 『ゼフォー・ローワン、ウィンダム・カスタム。出ますッ!』

 

 

 頭上には青い星、地球。眼前には開放型のカタパルトデッキが加速用のリニアレールを展開している。管制官からの声に、スラスターを吹かしながら名前とコールサインで答えればウィンダム・カスタムがリニアレールで加速して射出される。

 それと同時、加速度と比例するようにGによって身体を後方へと押さえつけられる。その感覚に僅かに高揚していることを自覚しながら、身体は次の行動へと備える。

 十分な加速を得て、デッキから脚部が離れると同時。畳まれていたエールストライカーの翼部を展開、更に加速して先行しているルナマリア中尉、アグネス中尉の両名の元へと飛翔する。後方からはシン大尉とキラ隊長がもうすでに追いついていた。

 流石に最新鋭機体達だ。コンパス引き渡し後に幾たびかの改修、()()()()()()()()()()()()を行っているとはいえ性能面ではハッキリいってウィンダムでは数段下だと断言できる。

 

 

 

 ルナマリア中尉の『ゲルググメナース』、アグネス中尉の『ギャンシュトローム』、シン大尉の『イモータルジャスティス』、キラ隊長の『ライジングフリーダム』と共に編隊を組み降下を始める。シミュレーションでは何十回と、実践も経験済みだがそれでも緊張感が湧き上がる。尤もそれも両脚に装着された大気圏突入装備がバリュートを展開し、熱と落下速度を軽減するまではだが。

 地表降下まで僅かな時間。身体も動かさなくなると、無駄な思考が回りだす。映画本編についてだ。何をそこまでビビっているのかといえば、自身に残っている記憶のうちの一つ。PVの内容にこそ問題がある。

 

 

 『大きく画面に映るミサイル』、『地面から立ち昇る、キノコのような爆風』。この二つだけでもかなり厄いのだが、極め付けは『様子のおかしいキラ・ヤマトが、地球連合軍所属と思われるMSや兵器をマルチロックしている様子』。思い出した瞬間に、死んでいる筈の表情筋が自覚出来るほどハッキリと顰めっ面を浮かべるほどに()()だ。

 キラ・ヤマトが闇堕ちして敵に回るかもしれない、なんて可能性を同じ戦場を経験した後で気付いたのだ。しかも細かな情報は存在しない。だって映画見れてないもの!!

 どうなるか分かっていればどうにか出来るのか?と問われれば答えに窮するが、できれば覚悟をさせて欲しい。

 ごめんウソ、ほんとはミスリードであって欲しい。

 

 

 こんな一連のどうしようもないが俺からすれば深刻な悩みも、大気圏突入が完了し自動的に装備がパージされたことを示すアラームと共に切り替えは出来る。生体CPUとしてのメリットかもしれない、とポジティブに考えよう。

 

 スラスターを吹かし、体勢を整えるのと同時にヤマト隊の編隊飛行でのポジションにつく。出力、推力の関係で最後尾だ。

 目的地、アフリカ共和国オルドリン自治区がモニターに映る。

 

 

 

 それは、一言で表するならば、赤であった。

 

 

 崩れた建造物を尻目に、歩みを進める巨人達が居た。赤々とした火の手が上がり、深夜であるにも関わらず照らされた空に数多の影があった。悠々と、ゆっくりと飛翔しながら前進する破滅の姿があった。崩れた建造物を遮蔽物にして、それらの侵攻を迎え撃つ巨人の姿があった。その足元で逃げ惑う人々の姿があった。それらを嘲笑うかのように、銃弾の雨が、緑の光芒が、時には力尽きた巨人の巨体そのものが、命を消し去っていた。

 

 

 凄惨という言葉が相応しい鉄火場であった。それを為すのは、()()()()()()()()()()()()と活動を行っているブルーコスモスであった。

 そして、今もまたブルーコスモスの駆るウィンダムが、建物のそばにいる民間人を嬲るように嘲笑うように頭部のバイザーを光らせながら歩みを進める。

 

 

 瞬間、閃光が迸った。ついで轟音と破片を撒き散らし、民間人に迫っていたウィンダムの頭部が爆散する。

 閃光を放ったフリーダムが、巡航形態から変形しながら通告を行う。無論、その後には俺を含めたヤマト隊が続いている。

 

 

 

 『こちらは、世界平和監視機構コンパス。攻撃部隊に告ぐ。直ちに戦闘を停止せよ』

 

 

 

 オープンチャンネルでの通告であり、聞こえていないわけはないだろう。だが、止まらない。今も目の前で、まるで鼻で笑うように20にも及ぶビームを放ち周辺にいる現地軍所属であろう『ジン』を薙ぎ払い円盤状の巨大MAの姿から変形し、人型へとなった『デストロイガンダム』がこちらへ向け頭部と胸部から4本のビームを撃ち放つ。

 ウィンダム・カスタムのスラスターを吹かし、その射線から身を翻しながら部隊間で繋がっている通信で意見を伝える。

 

 

 『ヤマト隊長ッ!あれが居るなら民間人の避難どころじゃありません!!総力を持って、最低でもシン大尉と隊長でェッ、対処することを具申しま、ッす!』

 

 

 半ば叫びながら、デストロイの直掩をしていたウィンダムのうち二機からの攻撃を捌く。アイツの攻撃、例え耐ビームコーティングのシールドで受けても、ウィンダム・カスタムの場合は基本即死ものだから民間人を庇ったり出来ないのだ。

 今も腕を飛ばして道路上の民間人だけ狙ったりしてやがる。いい趣味してるな、()()()()()()が!

 

 

 『ッ、ダメだ!それ以外のモビルスーツもかなり広がってる!デストロイは僕が引きつける、最初の指示通り行動をっ!』

 

 『了解ッ、でありッ、まぁす!』

 

 

 

 返答は、否。実際にデストロイの意識はフリーダムに向いているだろう。返答の際に何故か一瞬、ヤマト隊長の眉が顰められた気がしたが、それどころじゃない。なんかシン大尉も返答を聞いた時、ちょっと悲しそうだったけどこっちはそこまで気にできなぁい!

 実際のところ奴の攻撃のうち、八割の矛先を向けられているように()()できる。先程クソみたいな虐殺をやらかしていた厄介なロケットパンチ砲台、確かシュトゥルムなんたらも二つともフリーダムと派手な空中戦だ。

 それでも残りの二割くらい、背中からの20のビーム砲台は今もなお縦横無尽に撒き散らされている。ライブコンサートのレーザー演出みたいでキレイだなぁ、命や街が吹き飛んでなけりゃなぁぁ!

 

 

 出撃前に投与した試製の薬液、『プロト・グリフェプタン-ver3.5』通称『P.G-3.5』の影響かはたまた単純に戦闘に突入して興奮しているのか思考がそれなりに荒くなっている気がするが、それを機体操縦に反映させる訳にはいかない。

 シン大尉、ルナマリア中尉はそれぞれ民間人を庇いながらの戦闘へ突入している。俺のすべきはぁ、ルナマリア中尉とアグネス中尉の援護ォ!!

 

 

 足元の民間人を庇い、しゃがみこんでいるゲルググを狙う『105ダガー』とそれを空中から援護する複数のウィンダム。ビームライフルをウィンダムへ撃ち放ち牽制しながら、移動して足元の比較的損傷の少ない車を左手に持つ。そのまま低空を飛行し、シールドを敵に向けながら外部スピーカーを起動した。

 

 

 『そこの人達!これに乗って下さい。運びます』

 

 「ヒッ!」

 

 

 向けられたのは、恐怖の視線。拾ったのは引き攣った声。それはそうか、外見をいじってブルーコスモス連中のMSとの差異はあるが、肉眼で逆光になる民間人には違いは分かりづらいか。

 

 

 『大丈夫!俺は味方です』

 

 

 だから大丈夫だ。明るくハキハキと声をかけ続ける。男々した低めの声よりかは、高めの声で良かったかもしれん。よかった探しで気持ちを上げる。

 だから、こっちは気にしなくて大丈夫です。ルナマリア中尉。

 

 

 どうにか乗り込んだことを確認した時、通信が入る。 

 

 

 『アグネスッ、援護しろ!……ッ』

 

 『何言ってんの?私の機体は近接専門ッ!援護はアンタよッ!』

 

 

 民間人を庇っているシン大尉の要請を切り捨て、敵MSに挑みかかるアグネス中尉の姿があった。

 その周囲には民間人の姿はない。のはいいのだが、受けた指示的にはどうなんですか。まぁ、それよりもやることがある。

 

 

 『ホーク中尉!』

 

 『こっちは大丈夫ッ、シンをお願い!』

 

 『了解です!』

 

 

  足元の車には、まだ乗れる。シールドを地面に刺し、声をかけながら左手で車を下から掬い上げる。そして元の位置へとシールドをマウントし直す。その間、ルナマリア中尉が敵を引き受けてくれた。頭が上がらない。そうして左手を人間でいう腹の前へシールドと挟み込むようにして、シン大尉の後方。地面に刺さったシールドの影に身を隠す民間人の元へ。

 

 

 こちらに気付いた敵機が攻撃を仕掛けるが、反撃はせず回避に集中する。必要無いからだ。

 

 

 『シン大尉ッ!民間人は、俺がッ』

 

 『頼んだッ』

 

 

 迸る閃光、空中のウィンダムを的当て感覚で落とせる相手に余所見をした自分の不幸を呪って欲しい。ざまぁみろ。

 

 そのまま到着、優しく降ろした車に乗ってもらう。自分たちを守ってくれたジャスティス、ブルーコスモスとはまるで違う存在の味方と見てくれたのか。すんなりと乗り込んでいただいた。

 なるだけ素早く、しかし優しく持ち上げたのならあとは戦線から遠くへ送るだけだ。

 

 

 『すみません、ゼフォー特務少尉は民間人護送で少し下がります!』

 

 『アンタが抜けたって、別に困らないんだから言わなくていいわよ!そんなことッ』

 

 

 一応の報告にアグネス中尉からの厳しめな言葉が返ってきた。正直否定は出来ない言葉だ。まともに戦って無いからね!でもアグネス中尉殿は上官の指示守った方がいいんじゃないかな。なんて内心は欠片も出さない。速く後方へお連れしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  いや、待った。さっきのアグネス中尉の戦い方、どっかで見たような……?

 映画PVで見た奴だぁ!?ヤッベ、もう映画突入してんのかよ。

 

 

 

 

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