地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-17 切られた火蓋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤマト隊長、アスカ大尉、アグネス……中尉。それにハーケン少佐がミレニアムから発進し、アークエンジェルに随伴する。

 それに続くように俺も発進するが、ヤマト隊の面々とは別行動だ。

 

 

 ズンッ、と機体をアークエンジェル上に着艦?させ、安定させる為に片膝立ちの姿勢をとる。

 このまま戦闘区域となるであろうエルドア地区、その手前までアークエンジェルで送ってもらうという、なんとも贅沢な待遇だ。

 まぁ、単純にウィンダム・ベヴァイズン……と言うより俺──ゼフォー・ローワンという生体CPUが、お世辞にも長時間の作戦行動には向かないが故の苦肉の策とでも言うべきか。

 

 

 なら後方にて待機しているミレニアムに置いて、代わりにそちらで待機しているルナマリア中尉を前に出せば良いと思うのだが、ブリーフィングでのラミアス艦長のしかめ面を見る限りなんらかの事情があるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在はファウンデーションに着いた翌日、つまりブルーコスモス過激派の指導者であるミケール捕縛作戦の決行日である。

 

 

 コンパス、ファウンデーション、ユーラシアの合同作戦……なんて話だった筈なのに、実際にエルドア地区にて戦闘行為を行うのはコンパスのみだ。

 ファウンデーションは軍事境界線、ユーラシアは国境にて兵力を展開。守りをかためてブルーコスモスの逃亡を防ぐ手筈だそうだ。

 ……十中八九、ユーラシアがなんか言ってきたんじゃなかろうか。いや、ファウンデーションとの関係を考えれば当然……どころかよくもまあ戦力を国境付近で動かすことを許してくれたものだ。

 …………ハー、ヤダヤダ。昨日のパーティの一件もあって、その手の政治的な話に対しての苦手意識が強くなっている気がする。

 

 

 

 

 

 効率だの、戦略だの、戦術だのをのぞいた個人的な意見としては、この配置はありがたいとは思っているのだが。

 ……出撃前、それとなくヤマト隊長の様子を伺ってみたがなんとなく、憔悴しているように見えた。

 

 

 アレだろうか。昨日の夜、なにかあったのだろうか?雨降って地固まる、なんて言葉通りにあの二人の間の蟠りが解けて欲しいというささやかな願いは届かなかったのだろうか。

 

 

 別にCP厨拗らせたわけでなく、もう何度繰り返し考えているのか分からない『キラ・ヤマト闇堕ち』問題に対する一つの対策とでもいうべきか。 

 そんなの関係なく、あの二人には仲良くして欲しいしイチャイチャして欲しいし、それを壁か空気になって認識して甘酸っぺぇ空気で胸いっぺぇにしてぇとは思っているけれど。

 

 

 ……現実は非情である。俺に俺としての人生を──04-Lo1、そう英数字の羅列でラベリングされたMSの部品として人々の平穏と明日、そして命を奪った上で壊れる道筋ではなく。

 ゼフォー・ローワンという名前の一人の人間として、どう生きるのかを選べる人生を見返りなくくれた三人の恩人のうち二人が、その顔を曇らせている。

 ましてや、この先でもっと酷いことになる運命かも知れない……。

 

 

 

 あぁ、ならば、俺は。持てる全ての力で、そのクソッタレな運命に歯向かおう。

 もしそれが、この世界最強といっていいMSパイロット──キラ・ヤマトその人と対峙することを意味するのだとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『よぉ坊主。お前さん、だいぶツイてるじゃないか』

 

 『……ツイてる、っすか?』

 

 

 

 

 

 俺がそんな風に考えこんでいると、アークエンジェル内にて待機しているマーズ大尉からの通信。その言葉に思わず聞き返してしまった。

 なんか良いこと、あったっけ?

 

 

 

 『あぁ、だってそうだろう?その改修したて、ピッカピカのモビルスーツでこの作戦に出れるってんだから。なぁ、ヘルベルト?』

 

 『全くだぜ。おまけにコンパスのほぼ総力での作戦なんだ、よっぽどのヘマやらかさなきゃ問題なく生きて帰れるだろうさ』

 

 『オイオイ、バカいうなよ。ヘマしたって死にゃしないだろ、こんなに頼りになる味方がいるんだからよ。例えばオレとかな』

 

 

 

 

 マーズ大尉とヘルベルト大尉の軽口の応酬に、知らず強張っていた身体から力が抜けて口元が緩む。モニターの二人の目元が緩んだのを見て、合点がいった。さすがのベテランパイロット達。一大作戦直前の、俺の緊張を予期していたようだ。

 

 

 

 

 『ふふっ……確かに。言われてみればツイてるっスね、俺。言っちゃえば、歴史が変わる瞬間を最前列で見れるってことですし。……ポップコーンと飲み物でも持ってくればよかったっスかね?』

 

 『ハハハッ!そんだけ余裕があるんなら、どんだけ活躍するか楽しみだな?』

 

 『なぁ〜に、ピッカピカの改修機に乗ってるんだ。アッ、と驚くぐらいの大活躍してくれるに決まってるだろぉ?』

 

 『ちょ、ちょっと二人ともハードル上げすぎっス!勘弁して欲しいっスよぉ』

 

 

 

 

 負けじと冗談まじりで言葉を返せば、二人がかりでおちょくられてしまった。そんなタイミングで救いの手、ならぬ救いの通信。ハーケン少佐だ。

 

 

 

『あんたら、余裕があるのは結構だがそろそろエルドア地区だ。気を引き締めなっ!ゼフォーも、そろそろこっちに合流だよっ!』

 

 『ヘイ、姐さん』

 

 『了解』

 

 『了解っス!』

 

 

 

 

 その言葉に敬礼と共に返事を返し、片膝立ちの姿勢だった自機を立ち上がらせる。

 

 

 

 『シメオン大尉、ラインハルト大尉。……ありがとうございました』

 

 『おう、気にすんな』

 

 『もしあれなら、飲み物を一本。この作戦の後で、奢られてやってもいいぜ?』

 

 

 

 

 次いでマーズ大尉とヘルベルト大尉に感謝を告げれば、相変わらずの雰囲気だ。けれども、それが今は心地良い。

 

 

 

 

 『了解っス。是非とも奢らせていただきます』

 

 

 

 

 

 返事を返して、アークエンジェル上から飛び上がる。前と比べれば重量が増した分、挙動が重々しくなるがシミュレーションを重ねて問題ないレベルまで仕上げてきた。

 

 

 小物入れから取り出したP.G-3.5を投与する。ゆっくりと長く、息を吐き出して湧き上がるモノをなるだけ抑える。いつも通りだ。少なくとも、今はそれでいい。

 後方で、アークエンジェルからムラサメ隊が出撃していく。

 

 

 

 

 ブルーコスモスの指導者であるミケール大佐、その捕縛作戦。争いの続く世界に楔を打ち込む、決戦の火蓋が切られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地上からの対空ミサイル、その内自機へと向かってくるものへと胸部のトーデスシュレッケン自動近接防御火器──バルカンというほうが分かりやすいだろうか、それを放ち迎撃する。

 その他のミサイルも、ムラサメ隊やアークエンジェルの対空砲火で迎撃されて、汚い花火となってエルドアの空を汚す。

 

 

 あーあー、環境保護団体の名が泣くような真似しやがって。今じゃもうブルーコスモスを環境保護団体と見ている奴なんて居ないんじゃねーの?

 

 

 胸中でぶつくさと文句を垂れながら、眼前の爆炎を突っ切りながら前進する。

 

 

 

 

 『シキシマ隊、およびゼフォーはジャスティス、ギャンの援護。マホロバ隊は俺に続け!』

 

 『了解ッ!』

 

 

 

 

 ……やっぱり、持て余されてない?俺。まぁ、オルドリンのことがあったんだから、前線に姿があった方がいいのかもだけれど。

 最前線をヤマト隊長が突っ切りながら、ミケール捕縛の為に砦跡を目指している。その後ろでアスカ大尉とアグネスがブルーコスモスのMSを無力化している。

 俺はその上空、最前線でもなく激戦区とも言い難い位置だ。……考えれば考えるほど、ややこしい事情が絡んでいそうな采配だなぁ。

 

 

 

 

 そんな風に思考が回っていることにお構いなく、ブルーコスモスのMSがこちらを迎撃すべく上がってくる。

 

 ビンビンに感じる殺意に反応し、機体を翻して殺意と敵意の籠った光芒を躱していく。

 どうやらなかなか懐事情が厳しくなっているらしい。ウィンダムよりも、ダガーの数が遥かに多い。

 そう考えながらも体勢を整えて、ライフルとオオトリのキャノンの狙いを定め撃ち放つ。

 

 

 

 アタリ、アタリ、ビミョー。ライフルとオオトリの右側、ビームランチャーがジェットストライカー装備のダガーに直撃するが、ウィンダムはシールドでの防御が間に合っていた。

 

 

 さっすがぁ、少ないウィンダムを任されてるだけありますねぇ!だが残念、そいつは実体弾だ。

 レールガンから射出された、超音速の実体弾を受けた衝撃で吹き飛ばされるように姿勢の崩れたウィンダムに、ムラサメ隊からの追撃。先の二機に遅れて花火になる。た〜まや〜。

 

 

 

 

 どうやら、ブルーコスモスにとっては連合製の機体がコンパスとしてザフトやオーブと肩を並べるのを見ると裏切られたと感じるのか、妙にこちらへの敵意や憎悪を知覚する。

 そもそも所属してる軍から脱走して、テロリズムに走って、一般人殺してるようなヤツらが何考えてんだぁ?

 ぶっ飛ばすぞぉ!?ぶっ飛ばした。

 

 

 

 

 同じようにムラサメ隊に援護してもらったり、逆に援護をしたりしながら危なげなく前線を押し上げていく。

 だが、そんな戦況に変化が訪れる。

 

 

 

 

 ゾクリ

 

 

 

 

 

 これまでと一線を画す感覚が、背を走る。それに従って機体を動かした直後。

 

 

 

 

 『下がれ!』

 

 

 

 

 

 ヤマト隊長の警告。直後、ぶっとぉい赤白と複数の緑の光芒が空を焼き、避けきれず翼を焦がしたムラサメが一機ヨロヨロと落ちていく。

 それを助けるべく向かうムラサメ隊を尻目に、光芒の出所に目を向ければそこにあったのは巨大な黒い影。

 

 

 

 

 

 『まだあんなもんを!』

 

 

 

 

 

 

 鋼で形作られた、破滅そのもの。デストロイの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 なんだよもおぉぉ!!またかよぉぉおおお!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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