地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-18 悪夢の足音

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デストロイの放つ光芒が、森と街へ爆炎を翳す。特徴的な背に背負う円盤も、それどころか片腕さえ欠け落ちた寄せ集めの急造品。そんな有様であっても、それがこの戦場に姿を現してから僅かな時間で、広く燃え盛る炎が朱々と空を染め始めていた。

 

 

 

 ラストダンジョンで中ボスとして湧いてくる序盤ボスじゃねぇんだぞぉ?!気軽に出してくんなや!

 デストロイの無造作な挙動一つで、人の営みが、あるいは人そのものが炎に巻かれて崩れていく。

 その光景に内心で罵倒を浮かべながら、出来る限り破壊の矛先を市街地から離さんと高度を上げながらビームライフルを放つ。

 そのまま横目で、モニターに映る火の手が上がる遠景の市街地を見る。

 

 

 

 

 「チッ。……?」

 

 

 

 

 

 胸中の苛立ちを舌打ちひとつで吐き捨てて、意識の矛先を戻そうとした時だった。市街地の一角から、前触れなく爆炎が上がる。

 視線を戻せば、たまたまモニターに映った避難民。オドオドと挙動不審な彼の背中の荷物が赤く点滅し、爆裂。周囲一帯を赤く染めた。

 

 

 

 

 

 『あいつら、市民を!』

 

 

 

 

 

 

 

 自爆テロ、いや人間爆弾とでも言うべきか?聞こえたハーケン少佐の声に、前世でも覚えた胸糞の悪さを感じギリと歯噛みする。

 

 

 

 

 瞬間、知覚する敵意と恐怖。空を裂く複数の緑の光芒、その隙間に機体を翻して滑り込ませる。お返しとばかりにライフルと、タイミングをずらして翼部に懸架されているミサイルを放つ。

 ……恐怖?今まで戦場で──具体的にはモニター越しに知覚した覚えのないモノにふと疑問が湧く。これまではコチラに向けられた殺意や敵意のような強い負の感情ぐらいしか知覚出来なかったんだが……。

 

 

 そんな疑問を他所に状況は流れる。ライフルから放たれたビームはあえなくデストロイのビームシールドで防がれる。だが、敢えて遅れて放ったミサイルが、シールドの解かれたタイミングでコチラへ睨みを効かせる顔へとぶち当たる。

 VPS装甲故に、決定打にはならず。だが装甲に覆われていないツインアイの片側を破損させた。

 

 

 MSであるために、視界が狭まる以上の意味はない。あくまで操縦を熟し場数を踏んだ軍人であるならば、だが。

 半ば外れて欲しい予想は当たり、まるで生身の顔が傷付いたように半狂乱な様子をデストロイは見せる。

 

 

 

 「……あぁ、やっぱりか」

 

 

 そう小さく、ひとりごつ。敵意と恐怖の混じった攻撃、急造品は機体だけじゃなかったか。

 ふぅ、と胸中に滲み出る推定同類への憐れみ(遅効性の毒)を溜息とともに吐き出す。

 

 

 少なくともコチラが気を引いていれば、ヤマト隊長とアスカ大尉は無力化に努めてくれるだろう。

 そんな風に思いながら、射線に市街地が入らぬ高度を維持しながらの陽動を再開しようとした矢先。

 

 

 

 射抜くような冷たい殺意が複数。反射的に機体を動かした先、遅れてくる殺意にシールドを構える。

 装甲に焦げ跡がつきそうな近距離を迸る、四本の光。構えたシールドの表面でビームが弾ける。

 

 

 視線を向ければ、ウィンダムを先頭に少し遅れて左右に二機ずつダガーの計五機。楔形の編隊でこちらに向かってくる。

 デストロイにはフリーダムの相手として集中してもらおうということか。

 

 

 

 こちらからもライフルを放ちながら体勢を変え、正対したところでスラスターを吹かしながら左右翼部のミサイルをそれぞれ二発、計四発を左右のダガー達へとロックし放ちながら向かっていく。

 

 

 ウィンダムはビームをシールドで受けながら直進、向かって右側のダガー達も同様。

 向かって左側のダガー達は外側へ広がるように動き、回避の様相だ。

 

 

 右手側へライフルを放ちながら、頭部と胸部のバルカンを斉射する。その斉射を受ければ例え正面からでも、ジン程度なら撃破しうると分かっているのだろう。

 ウィンダムは、シールドを頭部も守れるように構えながら迷わず直進。右手側のダガー達もシールドを構えながら、バルカンでミサイルを迎撃する。

 

 

 それを見て、俺はバルカンの斉射を続けながら頭部を左手側──自身の放ったミサイルへと振った。その軌跡の間、視界の狭まったウィンダムのライフルへと、ついでと言わんばかりにバルカンを着弾させながら。

 ミサイルは四発ともに爆炎と化した。ちょうどウィンダムとダガー達の間で視界を遮るように。

 

 

 ウィンダムは、バルカンを受けたライフルを投げ捨てた。直後、ライフルに小さな爆発。判断が早い、と天狗面の師匠キャラも褒めるだろう。そして空いた右手はそのまま腰のサーベルへと伸ばしている。

 だが、こちらの方が早い。プロヴァーレヴェスティスの増設スラスターを含め出力を上げ、加速しながらも左手は既にオオトリ右舷部の対艦刀、その柄を握っている。

 

 

 爆炎越しにこちらへと敵意を撒き散らしながらライフルを放ってくる、血気盛んな右手側ダガーの片割れ。僅かに左上へと進路を変え避けながら、敵意の元へとビームを放ち大人しくしてもらう。

 

 

 直線の速度は上々、少なくともジェットストライカーのウィンダムを上回るこちらに、相手はタイミングを見誤ったのだろう。サーベルを手にできたタイミングは、コチラの間合いだ。裂帛の気合いで、対艦刀を抜き放つ。

 

 

 

 

 「着ッッ剣ッ!!」

 

 

 

 

 だが相手もなかなか、袈裟懸けに振り下ろした対艦刀は、シールドと拮抗し火花が散る。僅かな間、狭まった視界で構え直して受け止めるのは流石だが、残念。

 拮抗は瞬間のみ、対艦刀の出力に耐えられずにシールドにビーム刃が食い込む。スラスターを全開、シールド諸共に首元を始点にして右肩と右翼中央部を両断する。

 

 

 その勢いのまま対艦刀から手を離し、アンカーワイヤーを両腕分射出しながら最高速で駆け抜けて爆炎のやや左側を突き抜ける。

 左右から迫る光芒、だがこちらの速度を見誤った偏差射撃だったそれを追い抜いてアンカーワイヤーが狙い通りに巻きついていると確信して上昇する。

 そのままグン、と負荷の掛かる両手を構わずに上へと上げた。

 

 

 

 右手側、慎重だったが故に一機残ったダガー。その油断なく構えられたシールドへ、右手ワイヤーで巻き取られたウィンダムの一部──頭部が勢いよく叩きつけられ、体勢が崩れた胴へとビームが突き刺さる。

 

 

 左手側の最も外側に位置どるダガーへと、柄に巻きついたワイヤーで引き上げられる先程投げ捨てられた対艦刀──技術大国たるオーブ製故かエネルギー供給が途絶えても数秒残るビーム刃が、死角から迫り腰部から両断される。

 

 

 突然の僚機の撃墜に浮き足立つ残りの一機に、太陽を背に急降下。両断したダガーの爆風で手元近くへと吹き飛んだ対艦刀を、逆手に受け止めすれ違いざま。体勢を崩したダガーの左翼部を引き裂いて、距離を置いて反時計回りに向きを変えライフルで頭部に右腕を撃ち抜く。

 

 

 

 

 フラフラと地面に落ちていくダガーを尻目に、デストロイへと視線を向けた。

 フリーダムとジャスティスによって二本のサーベルを胴体部に突き立てられ、頭部と腕部を吹き飛ばされていたデストロイが崩れ落ちる。

 

 

 僅かに恐怖と、縋るような名状し難い感情を知覚する。次の瞬間には、破壊と死を撒き散らしたデストロイは爆発を起こし、高々と炎の柱へと姿を変えた。

 

 

 ……どうにも今回の作戦は、知覚の感度とでも言うべきか。それがビンビンなようだ。

 P.G-3.5──効力を弱め、依存性を落としたγーグリフェプタンとはいえ、それでも湧き上がる破壊衝動を満たしたことによる仄暗い熱は、胸糞の悪さで冷えた。

 

 

 

 

 ふぅ、と溜息。気持ちを切り替えていこう。まだ、区切りがついただけで終わりではないのだから。

 そう思い、改めて操縦桿を握る手に力を入れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇に堕ちろ、キラ・ヤマト────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………ッ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 息を呑む。今まで感じたことのない感覚が、頭の中を駆け巡る。いや、だがこれをなんと評すればいいのかは分かる。何故分かるかが不明なだけで。

 

 

 

 

 

 それは、ドス黒いと言っていい悪意だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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