地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-20 最後の扉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、機体を滑るように動かす。

 さっきまでのように敵意に反応するよりも、明確に行動が分かるから回避の為の動きが効率良くなっている。

 

 

 

 

 

「フアァーッ?!」

 

《まだ抵抗するのか!》

 

 

 

 

 だがそれでも、放たれたビームは機体を掠めるように空を迸る。……徐々にコチラの──ウィンダム・ベヴァイズンの挙動のクセを把握している。

 イヤらしいのは、キラさんは俺の──ゼフォー・ローワンの乗る機体について把握しているはずなのに、それでもなおコチラがブルコスであると頑迷に思い込んでいること。

 そうさせている、キラさんの心を締め上げるように絡みつくドス黒い触手──強い悪意による洗脳。

 何故、ソレを認識できるようになったのかなんて分からない。だが、そんなコトはどうでもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 「イ"ェアアアアッ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 考え込む余裕なんざ、ねぇ!!頭に流れ込む、ライフルとリニアガンの射撃と同時に襲い来るシールドブーメラン。

 思わず奇声を上げながら、強引にリニアガンの射線から機体を外しビームはシールドで受ける。

 同時に左足のスラスターの出力だけを他より強く。跳ね上がった足で、強襲してくる刃のついたシールドを蹴り飛ばす。

 度重なる無茶な挙動に、機体の各部に大きな負荷。大きなアラーム音がコクピット内に鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 「ウルセェ、黙ってろッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 思わず機械相手に意味のない悪態を吐きながら、それでも意識はフリーダムから外れない。外せない。

 読心みたいなチート、危険薬物でのドーピング、洗脳による認識の齟齬。

 ここまでのハンデ有りで、相手にほとんど攻撃できないとかそんなんあり?生体CPUとしての自覚が足らんとちゃうの?

 

 

 

 

 

 

 

 『シュラッ、ゼフォー特務少尉の援護に向かえ!ブラックナイトもだ!』

 

 『タオ閣下?!』

 

 『何をっ?!……そういうことかッ!やはり貴様ら、コチラへの侵攻をっ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場外乱闘、辞めてくださる?状況把握の為に繋げている通信から、ファウンデーション司令部の様子が流れ出る。

 オルフェ宰相の言葉に、疑念を抱いたのかユーラシア将校が怒鳴り異様な緊迫感を生じさせている。

 

 

 ユーラシアから見たらそうかもだけど!こっちも必死に制止しようとしてるでしょうが!

 

 

 攻撃の為にリニアランチャーを展開しようとし、その瞬間にはフリーダムはその機動性で加速し離脱。

 次いで流れ込む攻撃のイメージに、慌てて攻撃を中断し機体を翻す。

 

 

 

 

 

 

「ホアァアァァ──!!」

 

 

 

 

 

 

 無茶な機動による回避を強制され、攻撃を当てられたわけでもないのに消耗していく。

 

 

 

 

 

 

 

 『これは我々の意思ではない!ヤマト隊長の独断です!』

 

 『そんな言い分が通るとでも!』

 

 『ならば、何故コンパスのゼフォー特務少尉が決死の覚悟で制止を行なっていると?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 死ぬ気なんてねぇよ、うるせぇよ、黙れよ!そもそも、ユーラシアが疑い出したのアンタがチンピラナイト……じゃねぇやブラックナイトをこっちに向かわせたからだろうが?!

 絶対アイツら来たらややこしいコトになるって、マジで!!連中のせいでキラさんが死ぬ……かどうかは微妙だとしても、間違いなくユーラシア側がヤバくなるって。

 

 

 

 場外乱闘の雲行きも怪しいコトになってきた。連中が来る前に終わらせないと……無茶な賭けに、出るしか無いか?!

 

 

 

 

 

 ライフルを投げ捨て、左腰からサーベルを抜き放つ。その勢いでアンカーワイヤーを射出、後方のライフルのグリップへ巻きつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ッ?!アイツ、何を?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラさんの思考から、注意が腕のサーベル。それとワイヤーに巻き取られたライフルへと向けられたことを読み取る。

 

 

 計画通り、と悪い笑顔を浮かべながらスラスターを吹かしてフリーダムへと肉薄する。

 

 

 

 散々距離を取っての射撃戦に徹してきた相手が急に接近戦を挑んでくる。しかも、意味ありげにライフルをワイヤーで確保しながら。

 意識はそちらに向いた。あとは、リニアランチャーの展開するタイミングを見誤らないだけ……ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《姫、ヤマト隊長はもはや、自身の部下も認識出来ないほどの譫妄状態です。……あるいは、反逆──》

 

 《ありえません!》

 

 《ですが、現状はそう告げています。残念なことに……このままでは、彼は部下を墜としそのままユーラシアへとその矛先を向けかねない》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故だろうか、オルフェ宰相の発言がいやに耳に障る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《我らにお任せください、姫。これまでの外交努力が無に帰す前に!彼に、ヤマト隊長に決定的な罪を犯させる前に!》

 

 《…………わかりました》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正しさに満ちたオルフェ宰相の言葉。内心を押し殺したことが知覚だとか読心だとか関係なく伝わる声色で、ラクスさんが言葉を返すのが耳に届く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────私が、キラの元へと運びますわ。

 

 ────えぇ、その認識であっていると、思いますわ。

 

 ────キラは、とても優しくて。でも私は、その優しさに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギリ、と。音が鳴るほどに、歯噛みする。そして、その言葉に続く言葉に思い至って。

 切っていたマイクのスイッチを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『止──』

 

 『キィィィラァァァ、さあああぁぁぁんッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ファウンデーション司令部とキラさんの元へと音声も繋げた通信、ラクスさんの言葉を掻き消すように。

 あるいは、キラさんの心へと叩きつけるように。喉よ裂けろと言わんばかりに、声を張り上げる。

 

 

 どんなに世界平和監視機構コンパスの総裁としては正しくったって、言わなきゃいけない言葉だろうが、言わせて良いわけないだろうがッ!

 まだ二十歳くらいの女の人にィ、自分の好きな──愛してる人への攻撃許可なんかぁぁ!

 そんなこと、そんな正しいだけの言葉を言わせたらぁ!言わせてしまうようなことォォォ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そんなことしてたらァァァッ!ラクスさんがぁ!!泣いちゃうじゃあないですかァァァッ!!!》

 

 《ッ?!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キラさんから伝わる、動揺。強固な洗脳のメタファーたる、ドス黒い触手が揺らぐ。

 

 

 だが、それだけだ。フリーダムはコチラを迎え撃つ為に左手にサーベルを構える。

 ドス黒い触手は、再びキラさんの心を締め上げようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『…………キラァッ!止まって、くださいぃ!』

 

 『姫ッ?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 涙が滲むような、組織のトップとしては──世界平和監視機構コンパス総裁としては不適切だろう、正しさでなく情に満ちた声。

 けれども何故か。いや、あるいは、だからこそか。

 

 

 

 

 

 

 

 『ラクスッ?!……ここは?ゼフォーッ?!』

 

 

 

 

 

 

 

 マイクから聞こえる困惑したキラさんの声。それに伴って構えの緩んだフリーダムを見て、急いでサーベルへのエネルギー供給を切る。

 同時に激突しかねない軌道を修正して、フリーダムとすれ違う。そして、ユーラシア国境を背にして滞空する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラクスさんの声が響いた時。僅かに緩んだだけだった、キラさんの心を締め上げるドス黒い触手は、悪意の洗脳は内側から弾けるようにして解かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美しいモノを見た。傷つけなければどうすることも出来ないと、読心なんて超能力が使えるくせに諦めた俺の目の前。

 変わったことなんかではない、ラクスさんのただ心からの声が、キラさんを目覚めさせた。

 一言で言うなら、そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛って、スゲェ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『フゥ、フゥ。キラさん、大丈夫ですか?フゥ、指、何本立ってるか分かりますか?』

 

 『ゼフォー?!何言ってるんだ、それどころじゃない!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぴょんぴょんする心を抑えて、キラさんの様子を確かめる為に通信を繋げて声をかけたら、めちゃくちゃに焦っていた。

 アッ、ヤベッ。カメラついてる。めっちゃキモい顔映ってるなこれ。不快な思いさせちゃったよ、申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

 

 『ごめんなさい、変なモノ見せちゃって……』

 

 『…………ともかく、戻ろう。なんでこんなところにいるのかも聞かないと──』

 

 

 

 

 

 

 そう言いながら、反転し砦跡へと戻ろうとするキラさんに続こうとしたときだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『シュラ・サーペンタイン、現着した。ヤマト隊長、悪いが武装放棄した上で着陸してもらおう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰れ。いや、ゴメン、マジでイイ感じに終わったから後にして。せめてもうちょっと、ユーラシア国境から離れさせろ頼むから。

 師団長なんてクソ高地位にいるならさぁ、その辺の空気読んで?飲み物ご馳走するから、お願い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇に、堕ちなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪意を、知覚する。ついさっきまでのドス黒いモノとは違う、まるで刃物の刃先を向けられたかのような鋭く冷たいモノだ。

 

 

 

 

 思わず、周囲を見渡して。自身達の後方、ユーラシア国境を超えた先。

 展開されているユーラシアのMS部隊、そのうちの一機。その銃口がコチラに向けられていて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビームの光が、国境を超えて空を裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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