地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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 大変お待たせして申し訳ございませんでした。










PHASE-25 言の葉/言の刃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ひらないてんひょうだぁ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 妙に重い瞼を開けて飛び込んできた、本当に見覚えのない天井に思わず口をついて出た言葉。

 自分の意思で発した言葉の、男にしては高めな声の響き。一ヶ月以上かけてどうにか自身のモノと認識したそれに、元のおそらく日本の成人男性に戻った訳でもなく自分がまだゼフォー・ローワンとして生きていることを認識する。

 

 

 

 ……何故だか、思考が現実逃避めいたものになっている。それこそ半年程前──この世界に来たばかりのような。

 

 

 

 

 

 

 

 「……イデデッ」

 

 「ゼフォー?気がついたんですね」

 

 

 

 

 

 

 

 動かそうとした身体に走る、コンクリートに埋め込まれて固められたかのような違和感に思わず苦悶の声を漏らせば声が掛けられた。

 

 

 

 

 

 

 「ふぉはようございましゅ……ん"ん"ッ、マイカ中尉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 やたらとゆるゆるなお口を名前を呼ぶ前にどうにか引き締め言葉を返しながら視線を向ければ、タブレット端末を携えたマイカ中尉の姿。

 

 なんだか少し、メイクが濃いような……?

 

 

 

 

 

 

 

 「はい、おはようございます。早速ですが、何か身体に違和感はありますか?」

 

 「なんだか身体がスゴいバキバキなのと………………あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出し抜けな問診だが、割と頻度が多いのでどうということなく答えた上で他の違和感を考えながら視線を宙に泳がせるうちに、大変なことに気がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「マイカ中尉、マイカ中尉っ!一大事っス!」

 

 「はい、とりあえずはコレをどうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 呼び掛けながら視線をマイカ中尉に向ければ、ズイと差し出されるどこか見覚えのある飾り気のないパウチゼリー飲料。

 どうやら、お茶目な小ボケはお見通しだったみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………っス。ありがとうございます」

 

 「とりあえず自覚のある異常は特に無し……と」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小ボケを先回りされて潰されてしまい、若干ぶっきらぼうに感謝を伝える。こういう時のマイカ中尉は仕事優先で反応が悪いから、小ボケを引っ張っても悲しくなるだけなのだ。

 それにお腹がペコちゃんなのは紛れもない事実なので、さっさと食事を済ませるのだ。

 

 

 

 キャップを開けて口をつけ、握り込みながら中身のゼリーを吸い上げれば口の中にわざとらしい甘ったるさとそれでもなお隠しきれないケミカルな風味が広がる。

 

 

 クウウゥゥゥッ!どこか見覚えがあるな〜なんて思ってたら、ブルコスから助け出されてある程度落ち着いたあたり。

 まともなもの食ってなくて消化器系が弱ってるからって出されたやつじゃん、懐かしいぃぃッ!

 出来れば二度と味わいたくなかった!!

 

 

 …………………………ん。

 

 

 

 

 

 

 「マイカ中尉マイカ中尉、もしかして俺って割と寝込んでました?」

 

 「……そんなことはないですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと覚えて口にした疑問に帰ってきた答えに安心しながら、手元のクセの強い……いや、クセしかないゼリー飲料を吸い上げながら直近の記憶を辿る。

 確か、ファウンデーションでミケール大佐捕縛作戦を…………。

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方が撃墜されてから5日近くは経っているので割と寝込んでいた、ではなく。かなりの期間昏睡状態だった、と言ったほうが表現としては適切かと」

 

 「……ンブッフォッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイカ中尉の言葉か、或いはゼリー飲料を少量とはいえ胃に納めて人心地ついたから思い出したこれまでの記憶か。

 たぶん両方のそれなり以上の衝撃に、思わず咳き込んでしまった。ケミカル風味が強いゼリーが鼻にまで逆流しなかったのは幸い……じゃなくて!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「マイカ中尉ッ!キラさんやムウさんにマリューさん、あとシンさんやヒルダムガッ」

 

 「落ち着いてください、少なくとも今名前を挙げた方々はご無事ですよ。…………ハァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わず身体を乗り出して詰め寄ろうとした俺を、マイカ中尉が鼻を摘んで制する。

 鼻を摘まれるという、なかなか経験しない状態にアワアワしている俺を他所にため息ひとつ。

 処置無しと言いたげに、眉間を抑えながら頭を振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どちらかといえば、貴方は心配される側であるべきでしょう。……まったく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冷ややかな声の調子とは裏腹な言葉。それに加えて知覚する感情の種類を認識してハッと息を呑む。

 ジタバタと動かしていた手足を鎮め、マイカ中尉へと向き合う。普段より濃いメイク──特に目元周りに厚く化粧の塗り込められた顔、流石に分からないとダメだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ご心配おかけして、すみません」

 

 「そんなに畏まらないでください。貴方のとった行動は、間違ってはいないんですから。……ただ少し、いやかなり無茶だったのだとは理解しておいて欲しいのですけれど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭を下げて謝罪の言葉を告げれば、先ほどと比べれば幾分か柔らかな言葉が帰ってくる。それでも嗜める言葉はついてきたけれども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイカ中尉が隣でタイピング──おそらく俺の体調に関するデータの打ち込みを行なっている中、怪我人らしくベッドに横たわっているがどうしてもソワソワとしてしまい身体が動いてしまう。

 あれから何があったのか。ファウンデーションは、コンパスは、いやそもそも世界そのものがこれから先どうなるのか。

 

 ただでさえ朧げで頼り甲斐のないものではあったが、前世の知識はもうほとんどネタ切れだ。流石にあの密度のイベントに核ミサイルまで盛り込まれては堪らないが、場所や時間なんかの具体的な指標になり得そうなものは思い出せない。

 

 

 ヤマト隊長の闇堕ちが待ち受けていると思っていた時はかなりストレスに感じていたはずなのに、何も分からないとなるとそれはそれで不安が募る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………フゥ。気になりますか、そんなに」

 

 「イヤ、そんなことは無く無く無いっスけど」

 

 「そこまで忙しなくジタバタと身じろぎされて、何もない方が怖いですよ。……まったく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 整った容姿のせいか、いやに迫力のあるジト目でこちらを見据えたマイカ中尉。何度目かも分からないため息の後に、ポツリと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「レクリエーションルーム」

 

 「……エッ?」

 

 「今、ヤマト准将含めたコンパスの実働部隊の方々とターミナル所属の……ザラ一佐。彼等が今後の方針をそこで話しているはずです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わず聞き返せば、モニターへと向かい顔をこちらに向けずにいるマイカ中尉の言葉が響く。医療関係者としては療養させたいだろうに、催促してしまったように感じて申し訳なくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ごめんなさい」

 

 「その様子では、逆に療養に差し支える。そう思ったので伝えたんです。気にする必要はありませんよ」

 

 「でも…………あぁっと、ありがとうございます」

 

 「……案内板があるので、落ち着いて行けば迷わないはずです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭を下げて謝れば、逆に気を遣った言葉を言わせてしまった。それでもどことなくばつが悪くて、感謝の言葉を告げてから扉へ向かった。

 その背にマイカ中尉が投げかけた言葉には、知覚がどうとかなんて関係なく理解できる優しさがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『自分が』『自分が』ばっかりで、彼女の気持ちなんか、一つも考えてないだろう、お前は!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パタパタと、小走りでレクリエーションルームへと向かう途中。あと少しといったところで喧騒が耳に入る。

 聞いたことがないはずなのに知っている声、アスラン・ザラ。そんな彼の怒鳴り声がドア越しに聞こえる。

 

 

 

 

 えぇ、なに、怖いんだけど……。何故か無駄に覚えているデスティニーでの迷走が脳裏をよぎり、頭を振って追い出した。

 会ってもいないのに決めつけるなんて、あんまりだろう。

 

 

 

 にわかにドッタンバッタン大騒ぎ、と言った具合に騒々しい様子になったレクリエーションルームの扉を開けて入室する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「自分だけが戦っているつもりか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アスランが怒鳴りながら、ヤマト隊長と殴り合いの喧嘩をしていた。いや、軽やかにヤマト隊長の拳を捌きあるいは避けながら一方的に殴っていた。

 

 

 

 

 なぁに、コレ?

 

 

 

 

 

 なんて間が悪い時に来てしまったのだろうと思いながら、一歩足を前に出して……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「仕方ないだろ!!君らが弱いから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普段とはまるで様子の違うヤマト隊長の、血反吐を吐くような言葉に動きが止まる。いや、厳密には知覚する感情に。

 攻撃的な台詞なのに、突き刺さるような強い自己嫌悪の感情に思わず呼吸すら忘れる。

 

 

 

 

 

 

 

 「ふざけるな!それで世界を一人で背負った気になって、思い通りにならなきゃ放り出すのか!?たいしたヒーローだな!」

 

 「違う!違う!!違うんだッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を、叫びを真っ向から受け止めながらアスランが拳と共に言葉を浴びせかける。

 パッと見るだけだと酷いイジメなのだけれども、きっとこれは、必要なことなんだろう。

 

 さっきは血反吐と言った言葉は、膿のようなもので。こんなに酷い自己嫌悪で自分を追い詰めてしまうほどに、溜め込んでしまっていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて、他人事めいて傍観できたのは。感情の知覚なんて、上っ面を覗き見れるだけのことなのに、それだけで全てを知ったつもりでいたからだったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何が違うッ!!」

 

 「僕がッ!僕がやらなきゃダメなのに!結局、僕もダメだから!ゼフォーを戦いに引き摺り込んだんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ……へ……え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キラさんの口から飛び出たその言葉(ナイフ)は、文字通りノーガードだった俺の心に深々と突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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