地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス 作:ガンダムおじさん(にわか)
「それで、どうしてゼフォーとアコードが同じ力を持っているってことになるんすか?」
月までぶっ飛びそうな衝撃の事実に思考がちいかわになりかけている俺を他所に、アスカ大尉が問いかける。
「ターミナルの調査に引っかかった資料、あれの出所をまだ言ってなかったな」
「はあ、確かに……聞いてなかったすけど」
「ひょっとして……」
ザラ一佐の言葉に、アスカ大尉は頭に疑問符が浮かんでいそうな顔で答える。
そのすぐ後に口元に手を当て考え込んでいたラミアス大佐が、ポツリと言葉をこぼす。
……あ、俺はアスカ大尉とおんなじような顔です。そもそもザラ一佐の言ってる資料、実際に見てないからわかんねっス。
「約半年前、大西洋連邦領内でのブルーコスモス過激派による武装蜂起事件。その際の戦闘の余波で死亡したとされる研究者についての調査で出てきたモノだ」
「なっ、それって、つまり……」
「そうだ。ゼフォーに対し、さまざまな
ザラ一佐がキーボードを操作すると、画面が切り替わる。……二重螺旋の図──遺伝子構造を表しているものだろうか?それが入れ込まれた論文のようなものが映し出される。
その内容は専門用語が多くよく理解出来ないが、パッと目につく表題だけでザラ一佐の言いたいことが分かった。
【ー特異な遺伝情報による、他者の脳波知覚能力を獲得する可能性についてー アウラ・マハ・ハイバル】
要するに、これは精神干渉能力をもたらす遺伝的要素についてアウラの記した論文なのだろう。
「死亡した状況に不自然な点があった為に、ターミナルのエージェントによる調査が行われたんだ」
「不自然……?」
「戦闘の余波を受け、基地内部にて件の研究者が使用しているエリアが保管されていた研究データや研究者諸共に爆発した──という話だったんだが……」
再びモニターの画面が切り替わり今度はどこかの地図にさまざまな図形や時刻が書き込まれたものが表示される。
「あっ、これってあの時の……」
「事件の状況の概略図だ。見て分かる通り、時間の経過と共に前線は基地施設から遠ざかっている。おまけに被害を受けたのは基地施設では一ヶ所のみ……」
「確かに……戦闘の余波というには不自然ね」
「調査を担当したエージェントは、この被害は偽装工作であり研究者が逃亡した可能性を念頭に調査を行った。だが……」
「……その可能性は否定されたってこと?」
ラミアス大佐の言葉に、ザラ一佐は頷く。
「どうにも偏屈な質だったようで外部とはおろか、基地内部に置いてもごく僅かな人間としか交流がなかったらしい。そして事件当日は彼らは全て出払っていたこと、研究者が一人でエリアに居たことは内部のカメラ映像で確認済み。おまけに研究データは全てアナログ形式で管理されていて尚且つ持ち出した様子は確認できず……」
「確かに、そうなると偽装工作の線は薄い……って考えて構わないでしょうね」
「エージェントもそう結論づけて調査を終わらせた。生体CPUの研究者絡みということもあって俺も軽く報告書を見ましたが、特に疑問を覚えなかった。……ただ」
ラミアス大佐への言葉を区切り、ザラ一佐がキーボードを叩けば再び画面は切り替わる。
「カガリの要請でファウンデーションについて調査を進めるうちに、彼らが約半年前──武装蜂起事件の数日前に大西洋連邦と非公式の会談を行ったことが分かった」
画面に映るのは、大西洋連邦大統領であるフォスター。そしてファウンデーションの筆頭外交官であり、ミラージュコロイド・ステルス搭載機のパイロット──アイシュ・ガローテが握手をする写真。
「この事を知ってすぐ、武装蜂起事件の報告書を調べ直して見つけたのがあの論文です」
急転直下とはこういう事を言うのだろうか。マジで急に関係性出てくるじゃん、創作物なら唐突すぎて賛否両論では?
「とはいえ、見つけた時には発表された年月日から考えてファウンデーションのアウラ女帝と同一視はできなかったが……メイリン」
「はい、私の方の調査でファウンデーションの先帝がメンデルコロニーにおける研究に対するスポンサーとして資金を送っていたことが分かったんです」
「なるほど……そうしてメンデルでコーディネイターを超える種を創り出すことを研究していたアウラとファウンデーションとの間に繋がりがあったと分かって……というわけなのね」
「ええ。そしてこの論文の内容から、ファウンデーション王国のブラックナイトスコード……いや、アコード達の力についてある程度の推測を立て、実際に対峙してみて確信を得た。そして、この論文を元に研究を行なっていたであろう研究者が措置を施したゼフォーにも同様の力があると推測した……と言う事だ」
そう言ってザラ一佐は、メイリンさんへと向き直った。
「これまでのことはこのぐらいにして、これからについて話そう。メイリン、頼んだ」
「はい…………航跡を分析して、ファウンデーションのシャトルが向かった宙域を絞り込みました」
メイリンさんがキーボードを操作すれば、モニターへと地球と月の間の宙域──その中の三ヶ所がマーキングされる。
「オーブ、それに大西洋連邦からの情報を合わせれば……ラクスはおそらく、この地点だ」
今度はザラ一佐が操作をすれば、その内の一ヶ所が点滅し強調される。図によればそこは月・地球間にあるラグランジュポイントの一つ。
「アルテミス要塞……また、厄介な場所ね」
マリューさんの声に、苦いものが滲む。横目で様子を伺えば、ヤマト隊長もどことなく顔を顰めているような気がする。
まぁ、それも仕方ないかもしれない。アルテミス要塞は、全方位光波防御帯……だったか、「アルテミスの傘」と呼ばれるいわゆる特殊なバリアによってかつて難攻不落と呼ばれた要塞だったはずだ。
それに、要塞内部のどこに居るかまでは分からないだろうから、かなり困難では?
「トリィとブルーの量子ネットワークを使えば、ラクスの位置は特定できる」
「近づきさえすれば、居場所がわかるのね?」
とか思っていたが、ヤマト隊長の言葉によるとなんかスゴいっぽい技術で位置が分かるみたいだ。
……マリューさんの言葉がなかったらよく分かんなかったのは、黙っておこう。
「もしもまだラクスが持っててくれるなら……だけど」
僅かに躊躇いながらヤマト隊長が口にした言葉には、まだ自信の無さが伺えた。
ヨシ、一肌脱ぎますか!
「大丈夫っスよ、ヤマト隊長!あの夜会った時も、どっちかといえばヤマト隊長のこと心配してたんスから!」
「ゼフォー……そうかな、そうだと……いいんだけど」
「生まれついての読心能力者の保証付きっス!……まあ、それなのにヤマト隊長のこと追い詰めちゃってるの気づいてなかったからあんま信用できないかもっスけど!あはは〜」
「「「「「「「…………」」」」」」」
ん!?まちがったかな……。なんて思っていた俺の後頭部に、スパァンという快音とともに衝撃が走った。
「いたぁい!!」
「人を励ましたいのか不安にさせたいのか、ハッキリしなッ!」
「ひどいッ!ちょっとジョークが面白くなかっただけじゃないスか?!」
「おまえさんのそれは面白い面白くない以前に、反応しづらいっていう性質の悪いタイプなんだよ……」
「いつもあんな感じなのか……?」
「いや、あー……悪いヤツじゃ無いんすよ?ただかなり……ちょっとズレてるだけで」
「シン……それ、フォローにはなってないからな」
「……ふふふ」
ハーケン少佐とのやり取りを、絵に描いたような呆れ顔で見るザラ一佐とフォローしようとしてくれているアスカ大尉のやり取り。
それを見ていたヤマト隊長の口から、小さな笑いが漏れる。
「うん、そうだね。……やっぱりちゃんと会って話をしないと分からないこともあるって、わかった気がするよ。ゼフォーについても知ってるつもりで全然分かってなかったし。……ジョークのセンスとか」
アレ?なんか割とひどいこと言われてない?……まあ悲しい顔より笑顔の方がいいから、OKです!
そうしているうちに、いつの間にやら真面目な顔をしたザラ一佐が、こちらへと向き直っている。
前置きが随分と長くなったが、どうして俺に対して心が読めるかどうか確認したのか……そろそろ明かされるだろう。
尤もここまできたら読心どうこう関係なく、何を切り出されるかは決まりきっているだろうけど。
「さて、ひとつ言っておかないといけないことがある。……ゼフォー、病み上がりなのは承知の上で頼みがある。ファウンデーションとの闘いにおいて、おそらくアイ──」
「ミラージュコロイド・ステルス持ちのブラックナイト対策として、前に出て戦って欲しいってことっスよね?OKっス!」
「……は?」