地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-29 理由

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、ごめんなさい。先走っちゃいました」 

 

 「……それは問題な、いや無いわけじゃないがそこじゃなくてだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザラ一佐の発した声に、言葉を遮って先走った事を謝るがそれは関係ないみたいだ。

 他に変なとこ、あるか?

 

 

 

 

 

 

 

 「俺がキミに頼みたかったことは、おそらくステルス搭載機のパイロットであろうアイシュ・ガローテの所在をエルドアの時のように把握してもらうことであって、戦わせるつもりはなかったんだが」

 

 「えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 やべー、めっちゃ先走ってるじゃん。……いや、でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでも、多分……俺が前に出た方が良いと思うっス」

 

 「……どう言う意味か、理解した上で言っているのか?命の保証は出来ない……エルドアの時に俺を助ける為にした事を踏まえれば、彼らはキミを警戒している筈だ。もしキミの能力のルーツを読心によって把握すれば、アコードという種の優位性を維持する為に積極的に攻撃を仕掛けてくるかもしれない」

 

 「いえ、彼らはすでにゼフォーくんのことを把握しているかもしれないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 俺の言葉に、その行為の危険性を説いて翻意を促すザラ一佐。その言葉に対して、ラミアス大佐が反応した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それは……本当ですか」

 

 「確証はないのだけれどね。ゼフォーくんを謁見の場やパーティに招待した割にはファウンデーションの大西洋連邦という国家そのものへの対応が控えめで不自然だ、なんて感じのことをムウが言っていたの」

 

 

 

 

 

 

 

 何か変なとこあったっけ?思い返してみるが、イマイチ思い至らない。そのまま、ラミアス大佐は続けて口を開く。

 

 

 

 

 

 

 「けれど、彼らがゼフォーくんについてある程度把握していたとすれば、腑に落ちる」

 

 「あくまでもゼフォーの能力を推し量り彼らの計画、その脅威たり得るかを確認する為……か」

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉に、連中が俺を出来損ない呼ばわりしてきたのはどうしてなのかが理解出来た。

 尤も、成長性を読み違えたのか結局は不意打ちを阻止されていたのだが。

 フゥー!!なんだか主人公気分だぜ!

 

 

 

 

 

 

 「なら、なおさらキミを前に出すわけにはいかないな。彼らにとっては、アコードの優位性と価値を貶める存在だ。是が非でも排除しようとするだろう。あまりにも危険性が大きすぎる」

 

 「差し出がましいかもっスが、多分……逆です。だからこそ俺は前に出るべきかと」

 

 「……どういうことか、説明してもらえるか?」

 

 「さっき言った通り、ハッキリと心が読めたのはエルドアの時が初めてっス。この力の扱いに関しては、明確に連中が一枚上手ってことになります。俺がアイシュを感知しようとすれば、連中が先に気づくだろうし……最悪、感知されないようにする手段を持ち合わせてるかもしれないっス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分でも覚えがないほどに頭を回しながら、なぜ前線に出る必要があるかの理屈をこねくり回す。

 ミラージュコロイド・ステルス搭載機による不意打ちは、あまりにもヤバい。

 ましてやブラックナイトの系列機だ、不意打ちを凌いでも正面からのガチンコも強い可能性も高い。

 ビーム無効、物理的にもカチカチのフェムテク装甲とかチートだろチート!

 

 

 

 

 

 「俺が前に出れば連中も不意打ちをやりづらくなるでしょうし、最悪俺が狙われれば最初の不意打ちぐらいは凌げると思うっス」

 

 「そうか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の言葉に、ザラ一佐は苦虫を噛み潰したように顔を顰めながら口元に手を当てて考え込む。

 俺を危険に晒すことへの良心の呵責と、前に出した時のメリットに板挟みになっているのだろう。

 俺は口を噤んで様子を伺う。

 

 

 息が詰まりそうな静寂を、声が破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私はゼフォーに一理あると思うね」

 

 「ハーケン少佐……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女はやれやれというように肩を竦めながら、言葉を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そもそもファウンデーションとやりあおうってんならさ。多少なりとも連中に太刀打ちできるパイロットを遊ばせる余裕なんて、無いんじゃないかい?」

 

 「それは、そうですが……」

 

 「こんなナリだが、もう16歳ぐらいなんだろう?多少は任せたって大丈夫だろうさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……?16歳がどうかしたのだろうか。まぁ、それは置いておくとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ、俺は前に出るってことでよろしいっスか?」

 

 「よろしいわけなんてありませんが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の言葉を切り捨てた、この少しばかり冷ややかな響きの声は……!

 

 

 

 

 

 

 

 「見ない顔だが、あんたは?」

 

 「失礼しました。大西洋連邦から医官として出向しているマイカ・ラギィ中尉と申します。まぁ、要するに彼──ゼフォー・ローワン特務少尉の主治医……とでも思っていただければ」

 

 

 

 

 

 

 

 ハーケン少佐の誰何の声に答えたのは、マイカ中尉だった。スッ、とその切れ長の瞳で視線を向けられる。

 心なしか普段よりも冷たく感じる。……感情を知覚するやつが何言ってんだって?ごもっともで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「えぇと、マイカ中尉?どうしてここに?」

 

 「どうして、と言われても……部屋を出てから五分、十分経っても戻ってこず連絡もなく。……だから、来ました。何か言いたいことはありますか?」

 

 「連絡もせず勝手に出歩いてすみませんっした!」

 

 「えぇ、倒れたりなどしてなくてよかったです。……ところで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 マンガのようにレンズが光を反射して、視線を伺えない圧の強い顔のまま。

 ザラ一佐に向き直ったマイカ中尉が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私の立場といたしましては、彼の戦闘への参加は後方支援を含めて反対です。お忘れかもしれませんが、彼はつい先ほどまで昏睡状態だった()()1()6()()()()()()()()ですので」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉に、ハーケン少佐がバツが悪そうに視線を泳がせる。

 

 ああ、そういえば思い出した。プラントだと15歳だかで成人なんだっけ?割と問題ありそうだけど。

 

 

 そして、こちらへと歩み寄ったマイカ中尉は俺の両肩へと手をかけて口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方も貴方です。自分のことを、少しは労わってください」

 

 「いや、でも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉に反論しようとして、肩にかかる力と知覚する感情に口を閉じる。

 レンズの向こうで、瞳が濡れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「がむしゃらにならなくても、貴方の居場所はあるんです。貴方は今、貴方の為に休むべきです。身体に鞭打って戦う必要は……理由はありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──言葉にしないと、伝えられないこともあるから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザラ一佐がヤマト隊長に言った言葉。他人事みたいに聞いていたけれど、あぁ……俺にも刺さってるじゃないか。

 結局、まだ言葉にしてないことがたくさんある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「マイカ中尉、ごめんなさい。必要も理由も俺にはあるんです」

 

 「ゼフォー……?」

 

 

 

 

 

 肩の手を優しく下ろして、口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アスカ大尉には命、ヤマト隊長とラクス総裁には明日。マイカ中尉にも、他の人にもたくさんのモノをもらって俺はヒトとしてここにいます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦う理由、無茶する理由。貰ったモノは、本来は俺が貰っていいモノじゃないだろうけど。

 だからって、貰いっぱなしは違うだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「戦わなきゃいけないからじゃなくて、戦いたいから戦うんです。守りたいから、力になりたいから、返したいから」

 

 「貴方を生かすためじゃなくて、戦わせる為に治す私にそんなことをする必要は……」

 

 「それでも、俺は好きなんで。だから、その……我儘でしかないんですけど。戦わせてくれませんか、お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ、もどかしい。心のうちを伝えるだけなのに、うだうだと回り道して。

 伝えたいことがあやふやになってしまった。我ながら、締まらないな。

 

 

 深い、深いため息。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「子どもを戦わせるような、碌でもない大人の我儘を一つ。聞いてくれますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞こえた声に、顔を上げればそのまま抱きしめられた。耳がマイカ中尉の左胸に当たる。

 温もりを感じる、その奥に鼓動を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「生きて帰ってきてください。貴方が傷ついたり、ましてや死んでしまったら悲しむ人間がいることを忘れないでください」

 

 

 

 

 

 

 

 五感が、全てを現実と告げる。こんな身近にいる人のことも忘れて、多少傷ついた程度で全てを投げ出すようなことを言ったことが恥ずかしくなる。

 

 

 あいもかわらず単純だと自嘲する。死ねない理由、戦う理由。そして、負けられない理由。

 ただ抱きしめられただけで、こんなに増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そ、そういえば艦はどうするんですか?こっちにはマトモに戦えるMSもないし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アスカ大尉の声にマイカ中尉が俺から離れる。そういえば、すっかりノリノリだったけどその辺のことなんも考えてなかったな。

 そう思っていると、ラミアス大佐が口を開いた。その目に剣呑な光を宿しながら、意味ありげに笑みを浮かべつつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「艦なら調達できるかもね。まあ……ちょっと荒っぽいやり方だけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わず、マイカ中尉と顔を見合わせてしまう。そこに、楽しげな声がかけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「MSの方なら、私がなんとかできるかも……もちろん、あなたの分もね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って、モルゲンレーテ社のエリカ・シモンズさんがこちらへと笑いかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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