地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-33 束の間の空白

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヨスタ曹長に生き延びていたことへの喜びと無茶をした説教はまた後でという有り難いお言葉と共に差し入れてもらったエナジーバー。その包装を乱暴に開けて、ばくばくばくと一息に口に収めた。

 視線はモニター、そこに映る会見放送を行なっているフォスター大統領に向けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『すでにご存知の方は多いと思われますが、つい先程オーブ連合首長国領内へのファウンデーションによるレクイエムの発射が確認されました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大西洋連邦の国旗と地球連合の旗が脇に飾られた演壇に立つ彼女は、神妙な面持ちで話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『では、なぜファウンデーションはレクイエムをオーブへ向けたのか。それはオーブのオノゴロ島、その港へと寄港していたコンパス所属の艦艇であるミレニアムがハイジャックされたことに端を発します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と身振りによって、背後の壁に設置されていたモニターに映像が映し出された。

 衛星からの映像なんだろう、俯瞰する画角で収められたそれにはミレニアムへと大型のコンテナが搬入される様子が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『この事案についてはオーブからの通達を受け、我々も把握していました。

 それを受けた我々は事実であるかの確認を行おうとしましたが、ファウンデーションは異なりました。即座にそれをオーブによる自作自演と判断し、レクイエムの使用を通達したのです…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこまで述べたフォスター大統領はいっそわざとらしいくらいに間を開けた後、その顔を険しくして口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『……これは果たして、平和と安定のみを望んでいたという彼らに相応しい行いなのでしょうか?

 確かに、今現在の情勢を踏まえればオーブによる自作自演……その可能性は考慮に値するでしょう。しかしそれでも、都市一つを容易く消し去ることのできる兵器……その引き金を引く指が、あまりにも軽いのではないでしょうか?

 そう思わざるを得ないのは、今回の件だけが理由ではありません』

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言い終わると、背のモニターに映る映像が切り替わる。大きな都市に光が撃ち込まれ、次の瞬間には巨大な光球が形成された。それが衝撃波で雲を散らしながら、周囲の都市を貪欲に飲み込んでいく様子が続いていく。思わず眉をひそめる。

 レクイエムの撃ち込まれたユーラシア──その首都、モスクワ。それが壊滅する様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ファウンデーションはユーラシア連邦による核攻撃、その報復としてモスクワへとレクイエムを撃ち込みました。

 確かに、地上での核攻撃は許されざる蛮行である。そう評さざるをえないでしょう。けれども私は、こう思わざるを得ないのです……力による報復の前に、為せることはあったのではないかと』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォスター大統領は険しかった表情を沈痛なものへと変えながら、言葉を紡いでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『もしも彼らが対話を、ユーラシア連邦の蛮行を世界に訴え糾弾するとなれば全面的に……とまではいかずとも、多くの人々が彼らの側に寄り添ったでしょう。

 ですが、彼らは血による贖いを求めました。そして、レクイエムという力を振るい多くの……あまりにも多くの死と破壊を齎しました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこまで口にして、死を悼むように顔を伏せる。そして、意を決したように彼女はその顔を上げた。

 計ったように、再びモニターの映像が切り替わる。核攻撃で崩壊するユニウスセブン(血のバレンタイン)赤熱化しながら宙から墜ちるユニウスセブン(ブレイク・ザ・ワールド)、そして、一条の光によって崩壊するコロニー郡(ジブリールによるレクイエム発射)

 

 おそらく、未だに世界中の人々の心を苛んだいるだろう惨劇の数々……ちょっと空気読めないけど、よくもまぁここまで映像を集めたものだと軽く感心してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『地球・プラント間における二度の大戦、そこで生まれた惨劇は今もなお世界に……人々の心に深い爪痕を残しました。

 オーブの代表であるカガリ・ユラ・アスハ。彼女がその設立を主導した平和維持の為の実行力を保有した、非国家・非遺伝子差別的な能動的組織──世界平和監視機構コンパス。

 プラントとの融和という志を表明し、皆様の理解を得られたゆえに大統領としての信任を得た私もその創設に協力いたしました。

 数々の惨劇を繰り返すまいと……時間が掛かろうとも手を取り合えると。

 それから、彼らは戦い続けたのです。…………そう、ファウンデーションが核で焼かれた、その時も』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次第に、フォスター大統領の言葉に熱が籠り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『タオ閣下はこう言いました。平和を求めたコンパス……蒙昧たるナチュラルは彼らも諸共に核で焼き尽くしたと。ゆえに、もはや分かり合えぬと。彼らの魂の安寧の為にも、真なる平和と安定を導かねばならぬ、と。

 しかし、その言葉を信じるのであるならば、核が迫る中でも彼らは平和の為に戦いを続けたのでしょう。

 ……そんな彼らの魂が、血の贖いで安らぐと?多くの市民を巻き込んだ虐殺が、鎮魂歌(レクイエム)となり得ると?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を皮切りに、彼女は顔を一層険しくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『私は平和を求め戦ったコンパスを、彼らが己が欲望を叶える為の免罪符と成した……そう思えてならないのです。

 ……ゆえに、私はこう断じます。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と。

 そして、大西洋連邦の陸海空宇宙軍の最高司令官である大統領の権限を以て、全ての大西洋連邦市民の平和及び自由を守るために今この時を以て議会へと求めます。

 未曾有の虐殺者たるファウンデーション王国の企てを粉砕する為に、宣戦を布告することを!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一際声を張り上げたフォスター大統領は、一つ息を吐くと一転して落ち着いた調子で話し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『つきましては、大西洋連邦市民の皆様。どうか落ち着いて、軍の誘導に従っての避難を願います。我々は、保有する全てのシェルターを解放いたします』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って、彼女が深く頭を下げたところで映像の再生は止まった。

 

 

 随分と情熱的な声明でしたねぇー。……まぁ、でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……レクイエムが撃たれて次の発射まで猶予が出来た上で、どのみち次のレクイエムの目標がオーブになるだろうから便乗した風にしか思えないっスねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう所感を口にした後で、エナジーバーと共に差し入れてもらったコーヒーで口の中に残るチョコフレーバーを洗い流す。やっぱ固形物の方が食事してるって感じが出るな。

 マイカ中尉の用意してくれたヨーグルトも美味しかったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『随分な言い草じゃないか、仮にも自分が所属してるとこのトップじゃないのかい?』

 

 『いやー、その辺の帰属意識?ってやつはどっちかっていうとコンパスの方が強いっスね。向こうでは基本病院のベッドの上でしたし』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハーケン少佐の反応に肩をすくめながら言葉を返す。

 

 

 今現在、作戦前の最後のブリーフィングを各々のコクピット内で行なっている。

 さっきの映像は、ミレニアムが大気圏を突破した直後に大西洋連邦が行った緊急放送なんだそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『彼らの胸の内はともかく、今の声明は口から出まかせというわけでは無さそうだぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなザラ一佐の言葉と共に、フォスター大統領の映るモニターが切り替わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『地球連合──その中でも大西洋連邦の影響力の強い各地の月面基地から艦隊が出撃しているそうだ。レクイエムの発射直後に出た艦隊に迫る規模でだ。地上も同様に動きがある』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦隊の出撃する様子が映し出される映像を見ながら、二本目のエナジーバーに齧り付く。

 アスカ大尉が声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『大西洋が動くんなら、他も動くんすかね?』

 

 『いや、厳しいだろうな……キラの糾弾でファウンデーションの言葉に疑念は生まれただろうが、彼らの大義名分はつまるところ先制攻撃と核攻撃を行ったユーラシアへの報復だ。流石に表立っての対立の根拠にはしづらいだろう。それに、どのみち俺たちがやる事は変わりないしな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 その疑問はザラ一佐に否定された。……アレ、ならなんで大西洋は動いたんだろ?まぁ、いいか。多分ザラ一佐の言う通り、俺たちのこれからの行動への影響は少ないだろうし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『僕らはアルテミス要塞に潜入して、ラクスの救出。そしてミレニアムは──』

 

 『主力艦隊を突破して月へ向かう事で囮になる……さっき出撃したばかりだから、連合艦隊との合流は無理だろうな』

 

 『……なぁ、ゼフォー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤマト隊長とザラ一佐が改めて作戦を言葉に出して確認する。改めて聞くと、だいぶ無茶苦茶だな。

 そんな風に他人事めいて聞いていた俺に、アスカ大尉が問いかけてきた。

 慌てて口の中のエナジーバーを飲み下して返事をする。

 

 

 

 

 

 

 

 『…………どうかしたっスか、アスカ大尉?』

 

 『今更だけど、ホントに前に出ていいのか……?ホラ、あの時と違って連合艦隊が居るから戦力に余裕ありそうだし……』

 

 『シン……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アスカ大尉の言葉に、俺の言葉を待つようにモニター越しに六対の視線が向けられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あの時と一緒っスよ、戦わなきゃいけないからじゃなくて、戦いたいから戦うんです。守りたいから、力になりたいから、返したいから……それに、誰かのくれた明日を生きるより傷ついてでも自分で選んだ明日の方が、ヒトとして生きてるって感じ……するじゃあないですか』

 

 『……ゼフォー。そうか、分かったよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コチラに向けられる暖かい視線に、背中が少しむず痒くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『なんだい、らしくもないこと言うじゃないか……私はてっきり、いつもの調子でこの場を凍り付かせるんじゃないかって内心ヒヤヒヤしてたよ』

 

 『ハーケン少佐、ヒドいっスよ?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 掛けられたからかいの言葉に反応すれば、耐えきれないと言わんばかりにクスクスと小さな笑い声がそれぞれのモニターから漏れ聞こえる。

 

 

 

 こう言うところなんだよなぁ。戦いたい、守りたい、支えたいってのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ファウンデーションとの激突まで、あと僅か。束の間の空白はこうして過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











 大西洋連邦の大統領権限どうこうは公式には言われていないオリ設定です。ご了承ください。





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