地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス 作:ガンダムおじさん(にわか)
投稿が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。
「どうだ、メイリン」
オーブのアカツキ島──海中移動研究施設内のドッグに入渠しているキャバリアーアイフリード。
そのコクピットのモニターに映し出される複数の映像を分析しているメイリンへと、アスランが問いかける。その両手にはコーヒーのカップがあった。
「う〜ん、アスランさんのお目当てはまだ見つかってないですね」
「そうか……。ほら、コーヒーだ。一息入れたらどうだ?」
「わぁ、ありがとうございます」
そう言ってカップを受け取ったのを見て、アスランも自身のカップに口をつける。
だがその表情は固いままであり、視線はモニターの映像──ブラックナイツやファウンデーション仕様のジンやディンの攻撃に晒されるムラサメ改やジャスティス。フリーダムやゲルググの様子に向けたままだ。
核ミサイルの発射地点から、ブラックナイツが飛び立った。マリューからそれを聞いたアスランは、メイリンに対して持ち帰ることのできた映像データの中からその様子が見当たらないか分析を頼んだのだ。
「正直、コレだけでもファウンデーションを糾弾する材料になると思うんですけど……」
「あと一歩欲しいところだな。この様子を見る限りでは……な」
メイリンの疑問に対して、アスランはモニターの一角にSNSやネットニュースを表示させながら答える。
そこにはユーラシア連邦に対するバッシングが多く取り上げられている。過激なモノになると、
話が飛躍しすぎだ、というのが大多数の反応であるがそれでも少数の賛同が見受けられるあたりにユーラシア連邦への悪感情が表れているだろう。
独立の機運が高まった各地に対し第二のファウンデーションを許すまいと苛烈な対応を行った事に加え、非の無い相手への先制攻撃からの地上での核攻撃は大きな衝撃を国際社会へと与えユーラシア連邦は親プラント国のみならず世界各国から多くの非難を浴びた。
この状況では、今分かっている情報──ファウンデーションによるコンパスへの不自然な攻撃の様子を公開したとして。
疑惑は生まれるだろうが、ユーラシア連邦の行いは否定できない以上ファウンデーションが被害者である構図は崩れないだろう。
せめて核ミサイルの発射にファウンデーションが関与していることを示す情報が欲しいとアスランは考えていた。
「すまないが、引き続き分析を続けてくれ」
「了解です」
「頼んだ……ん?」
「どうかしました?」
メイリンへと声を掛けたアスランが、何かに気づいて声を上げた。
「なんでこの映像だけ、音量を下げてあるんだ?」
「あっ、それはそのままで──」
メイリンの制止より先に、アスランは音量を上げる操作を行なっていた。
すると──。
『ワンエッツーエッスリーエン、フオォォォォ!!』
「ッ……」
「あぁっ、だから言ったじゃないですかぁ」
響く大音量に、アスランは思わず顔を顰める。その様子にボヤきながらも、メイリンは手早く操作をして音量を下げた。
「なんていうか、随分と大きな独り言ですよねぇ。まるで誰かと話してる風ですし……シミュレーターの時は違ってたんですけど」
「多分、服用している薬の興奮作用によるモノだろう。俺が以前遭遇した、おそらく生体CPUであろうパイロットも似たような感じだった……」
メイリンのこぼした疑問に答えながら、アスランはゼフォーの様子に自身の推測がある程度真に迫っている手応えを感じた。
それと同時に、ふと気になる発言に声が出る。
「ん?シミュレーター……?」
「あっ、やば……」
「……メイリン?」
思わずと言った様子で言葉をこぼしたメイリンへと向き直れば、不自然に視線を泳がせているメイリンの姿があった。
「俺は、ゼフォー・ローワン特務少尉のシミュレーターを調べるだなんて話は聞いていないんだが?」
「えぇと、その…………シンやお姉ちゃんと同じ部隊になる時もあるって知って気になっちゃって、ごめんなさぁい!」
その時モニターに呼び出し表示が現れ、コレ幸いとメイリンがモニターへと向き直った。
アスランは思わず、絵に描いたような呆れ顔を浮かべた。
「シンとキラさんが起きたみたいです。説明する事、あるんですよね?早く行きましょう!」
「……ったく、今度からは俺にも話をつけてからにしろよ?」
「はぁい」
そう言ってメイリンはモニターをスリープモードへ移行して立ち上がり、扉へと向かう。
その様子に溜息をつきながらアスランも後に続き、レクリエーションルームへと向かった。
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モニターに映る数々のユーラシア連邦へのバッシングに、フォスターは思わず溜息を吐いた。
地球連合という組織の一員である以上、ある程度のフォローをしてはいるものの相も変わらず歯切れの悪い弁明が繰り返されていた。
いっそ開き直るか全面的に非を認めるかしなければ、もはや事態が変化する事のない状況であることは明白であった。
僅かに走る腹痛に、彼女が机の引き出しに手を掛けた時であった。
「大統領!緊急事態です!」
慌ただしい様子で扉を開け、こちらに駆け寄る秘書官が二人きりにも関わらず耳打ちする。
それほどまでの事態かと身構えていたフォスターだったが、耳に入った言葉は容易く彼女の平静を奪った。
「レクイエム……ですって?」
それは前大戦時に甚大な被害を齎した上で破壊され、今では平和利用の為プラントによって解体されているはずの軌道間全方位戦略砲──地球上のあらゆる地点を攻撃可能な、超出力のレーザー砲台によってユーラシア連邦首都・モスクワが壊滅したという報せだった。
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『我々は地上を追われた……平和の為の組織、世界平和監視機構コンパス。彼ら諸共に焼き払わんとする愚かなナチュラルの手によって撃たれた核、その炎によって』
オルフェ・ラム・タオのその演説は、ユーラシア連邦のMSによって撃ち抜かれるファウンデーションのMSとファウンデーション首都を襲った核爆発の映像と共に全世界へ放送され始めた。
『平和と安定のみを望む我々の思いは、ナチュラルもコーディネイターも関係なく平和を求めたはずのコンパスと共にナチュラルによって踏みにじられた。なぜか!』
「アイツら、どの口で……ッ!」
それは、オーブにも当然届いていた。管制室の大きなモニター、そこに映し出される芝居がかった演説にシンが噛み付く。
当然だ。彼らは、まるでコンパスと志を同じくするとでも言いたげなファウンデーションは、コンパス隊員を背中から撃ち多くの命を奪っただけでなく自作自演で自らの国民を撃った事もこの場にいる人間は知っているのだから。
声を荒げているのはシンだけだが、この演説に対して思うところがあるのだろう。この場にいる人間の顔は皆険しい。
『我が国は国策として、さきのプラント評議会議長ギルバート・デュランダル氏の提唱したデスティニー・プランを受け入れた。遺伝子による完全に公正で平等な社会──自らの遺伝子に刻まれた、自分たちの役割を受け入れることで我らは貧しさを克服し、さきの大戦では独立を果たし奇跡的な復興を成し遂げてみせた』
続く言葉に、アスランの顔は一際険しくなる。彼が実際にファウンデーションで目にした光景──デスティニー・プラン反対を唱えたデモ隊に対する、殺害も厭わぬ粛清が脳裏を過ぎったのだ。
だが、それだけではない。自身の見通しの甘さへの、自己嫌悪もあった。
ファウンデーションはまず、ユーラシアへの非難あるいは糾弾を行いその上で宣戦布告を行うだろう。
そのタイミングでキラを含めた生存者の存在をオーブから世界に明かし、同時にファウンデーションによるコンパスへの攻撃を糾弾する。
それがアスランの考えていた筋書きであった。だが、ファウンデーションはその予測を遥かに上回る性急かつ直接的な手段に打って出た。
こうなってしまえば、生存を明かすことは一転悪手となってしまう。偽物であると強硬に主張し、彼らにオーブを撃つ口実を与える事になりかねない。
レクイエムという手段がある以上、言論による対抗はもはや絶望視すべきだろう。
それを考えれば、今コンパスの名を出すのは彼らによる挑発と考えていいかもしれない。
行動を起こさせることで、オーブを撃つ口実を得るための。
『だが、怠惰なる人間たちはそれが気に入らない!進化を否定し、人を妬み、過去の恨みを忘れず、醜い感情のままに互いを……同族であろうと殺しあう。地球という安寧の地に住まいながら、強欲にその恩恵を消費する寄生虫に等しい!我らは問いたい!そんな蒙昧たる輩と共に歩む未来に、平和が訪れることがあるのかと!』
緊急首脳会議の最中、突如として始まったファウンデーションの演説放送を聞くフォスター。
彼女はオルフェの演説に僅かな既視感を抱いていた。まるで世界を正義と悪という単純な二極化するようなそのやり口に。自身を正義に、従わぬ者を悪と言わんばかりの言葉に。
そんな聞くものの胸中を置き去りに、オルフェの演説は熱を帯びて続いていく。
『プラントに住むコーディネイターよ。我々はあなた方の兄弟だ。諸君も我らと同じく、人類の進化を未来に引き継ぐ存在なのだ。我々も遺伝子操作によって創られた究極のコーディネイター、
『アコードだと?』
『なんだそれは!』
モニターの中、ざわめく各国首脳達の声を聞きながら厄介な事になったとフォスターは顔を険しくする。
オルフェの言葉の真偽はどうあれ、狙いは恐らくコーディネイターに対する扇動だろう。
『手と手を取り合っての平和を望んだコンパスは、愚かなナチュラルの手によって亡き者にされた!最早、ナチュラルと分かりあうことなど出来はしないだろう!事ここに至っては、世界に平和を齎すのはデスティニー・プランだけである!我らはその為に生を受けた。──君たちの指導者、その一人であるかのラクス・クラインもまた我らの同胞なのだ』
続いた言葉に、フォスターは口をついて出そうになった悪態を必死に喉に押し留めた。
ラクス・クライン、その名の影響力は彼女自身つい先日目の当たりにしたばかりだからだ。
そして、ラクス・クラインの無事を何故彼らが伝えなかったのかという疑問も今この時を以て氷解した。
『愚かなナチュラルの手によって、志を共にしたコンパスの人員を失い失意に沈む彼女も今我らと共にある。ともにいこう、コーディネイターの兄弟よ。旧人類による矛盾と暴虐の時代は終わった!』
──ラクス。
耳に届いたその名に、キラの心が軋む。自身が国境に接近しなければ、こんなことにはなっていなかったんじゃないか。自身の行いが、彼女を苦しめたのではないか。
自身が彼女の手を離さなかったから、彼女が自身の手を離したのではないか。
モニターに映る演説に気を取られ、誰もそんなキラの内心に気づかなかった。
『地球のすべての国家に通告する。ただちに武装を解除し、デスティニー・プランを承認、実行せよ。猶予期間は五日』
オルフェは厳かに要求を告げた。続く言葉で自身の保有する、
『なお、我らを受け入れられぬという勢力には、
モニターから、勝ち誇った顔のオルフェが消える。それと同時に、フォスターは思わず周りの目も忘れて鼻で笑った。
──
内心の苛立ちをおくびにも出さず、彼女は傍に控える秘書官へと緊急事態宣言を行うようにと伝えた。