地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス 作:ガンダムおじさん(にわか)
「着☆剣ッ!!」
ファウンデーションとの戦闘は、徐々にダイダロス基地──レクイエム方面へと動きながらも続いている。
重突撃機銃を乱射しながらこちらへ突貫してくるジンを、ジャベリンモードのアドラーII(仮)で左袈裟懸けに斬り捨てる。
また一つ宙の闇に炎の花を一輪生けたところへと、息をもつかせぬと言わんばかりにタイミングを合わせて無人機群が左右から放ってくる複数のミサイル。
それらを支援AIで照準されたショルダーキャノンとガトリングを撃ち放ち迎撃する──直前に目の前の爆炎を重斬刀の切先が突っ切って、凄まじい勢いでこちらへと迫る。
再照準は、間に合わない。
「しゃらくせェってんだよォ!!……ッ!」
照準はそのまま、無人機とミサイルを迎撃した上でスキュラでもって迎撃する為に胸を張るような姿勢を取る直前。
頭を駆けるヴィジョンに、両手で振り下ろしたままのジャベリンを胸の前。
ジャベリンの柄──握っている両拳の間ほどの位置を突き出される重斬刀、その刀身の腹にカチ当て弾きながらスラスターも併用してカラミティの上半身を右から左へと捻り受け流す。
たたらを踏むようにその体躯を左後方へ滑らせるジンに、右足で回し蹴りを浴びせ掛ける。
そのまま右足の甲がジンの胴に引っかかるような形になった所でスラスターを操作。
グルリとカラミティとジンの位置が入れ替われば、迎撃したミサイル群によって生じた爆炎を吹き散らして迫るビームがジンへと直撃する。
すぐさま後ろに退いた直後、ジャベリンをウォーハンマーに変形させたタイミングで爆散。
《クソっ!さっきからなんなんだよアイツは?!》
「突撃ィィィイイイッ!!」
凡骨め!まさかたかがあの程度の攻撃で飽和攻撃だなどと抜かす訳ではあるまいな!?
爆炎越し、読み取った思念。その方向へとウォーハンマーを振り上げながらスラスターを吹かしていざ、全速前進DA!
瞬く間に爆炎を突き抜け、バルルス改を担いだジンへと肉薄すればこちらの迷い無い全速前進に虚をつかれたのか慌てて狙いを定めるところであった。
だがここは戦場。一切の容赦なく、決断的に手にしたウォーハンマーを振り下ろす。
《うああああっ!?》
「……ッ、滅殺ゥゥゥッ!」
ジンの胸部装甲を
──シュラ、敵が侵入した。
食い込んだ槌頭を、ジンを蹴り飛ばして抜きながら頭に響く不鮮明……だがその内容を理解出来る声。
この感覚はあの連中──アコード達の精神感応を利用した機械を介さないやり取りなのだろう。ソレが告げる内容と感じ取れる焦燥感に、口角が上がる。
……どうやらキラさん達は上手くやっているようだ。
ミレニアムが月に──レクイエムへと向かうことでファウンデーションの目を惹きつけ、その間にキラさんたちがミラージュコロイドを使って探知を掻い潜りアルテミス要塞へと侵入しラクスさんを救出するという作戦だ。
さぁ、
「隙だと思ったァ?!残念、そうでもないんだなァこれが!!」
背後から闇を裂いて迫るビームを、ヒラリと機体を翻して回避。バッテリー節約の為に拝借したバルルス改を左手に構えて撃つ。
流石に照準補正のできないそれは、掠りもせずに宙を彩るだけだったが出鼻をくじくには充分だろう。
隊列の乱れたジンの一団へと向き直り、俺は闘いを再開した。
──────────────────────
「ラァァァァァストォッ!!」
ショルダーキャノンのビームで向かって来ていたジンの一団、その最後を撃ち抜く。
ふと気付けば、こちらを追撃しているはずのファウンデーション艦隊の姿が遠い。
「……?」
これは、ひょっとして、やりとげてくれたか?
キラさんのラクスさん救出、それに伴ってのことか?そう思考が及んだ直後、モニター画面の片隅に反応。
視線を向ければそこに映し出されたモノに、思わず口を開く。
「たぁ〜まやぁ〜、か〜ぎや〜…………いや、それどころじゃねェ!!」
『やれやれ……不可能を可能にするのも辛いよね』
月面から離れた宙域、レクイエム直上だろうか。そこに大輪の炎の花が咲き誇っていた。
急いで通信周りの設定をイジって開けば、暫くぶりに聞く男性の声。間違いない、ムウさんだ。
……ミレニアムに先駆けて、マスドライバーにより打ち上げられたあとミラージュコロイドポッドで姿を隠しながら慣性航行。
レクイエムが発射直前であるならば、必ず砲口直上に存在する第一次中継点である偏向リング。それを破壊することでオーブへの一射をそらすという密命。
それをカガリさんに託されたのが、ムウさんだったのだ。
改めて思い返すと、無茶苦茶を超えた無茶苦茶。それを成し遂げて生還出来るのは、さすが不可能を可能にする男と言ったところなんだろう。
「ヒュー!!ムウさんかっけー!!!」
ゾクリ
覚えのある、冷たい感覚が身体を突き抜ける。刃物の切先を向けられたかのような、鋭く冷たい悪意。
意識を集中する。間違いない、これはアイシュの放つソレだ。
──アレをデスティニーに渡されるわけには……ッ!!
月面──ダイダロス基地の辺りからだろうか?距離があり、自分へと向けられた訳ではないからだろう。ぼやけたようなソレだが、その思念の中身は理解出来た。
なぁるほど、どうりで今までだんまり決め込んでたワケだわな。遊撃じゃあなくてレクイエム防衛、その最後の門番気取ってたわけなんだから。……まぁ、そのお役目は果たせてない訳なんだが。
それで急いでムウさんを……厳密にはゼウスシルエット──本来はデスティニー用の、威力が高すぎるが故に第二次連合・プラント大戦でも使われなかった対拠点攻撃用装備を、レクイエムそのものに使われる前に破壊しようって訳だな?
要点を可能な限り頭で纏めながら、ミレニアムへと通信を繋げる。戦略的にも人間的にも、黙っちゃいられねェよなァ!?
『こちらゼフォー、アイ……ファウンデーションのミラージュコロイド搭載機の所在確認ッ!おそらくはダイダロス基地近辺、ゼウスシルエット……ムウさん狙いで出てきたものだと思われまァす!!』
『なんですって!?』
なるだけ簡潔に報告をすれば、マリューさんが切迫した声をあげる。それはそうだ、自身の愛する人がついさっき命懸けの密命を果たしたばかりなのに続け様に危機に陥っていると告げられたのだから。
『これよりゼフォー・ローワン特務少尉は、事前のブリーフィングに基づきミラージュコロイド搭載機の迎撃に向かいまァす!!』
『待てっ、ゼフォー!!俺も一緒に……』
『そうもいかないみたいだッ!ブラックナイツが来るよ!』
通信で宣言すればありがたいことにシンさんが同行を申し出ようとしてくれるが、ヒルダさんの言葉に遮られる。
その内容に周囲へと注意を向けついでにモニターのレーダーも見遣れば、既にファウンデーション艦隊に攻撃を仕掛けていた連合艦隊は壊滅状態。
それを為したであろうコチラへと高速で接近するモビルスーツの一団──ブラックナイツ達の反応があった。
『コッチは任せてくださいッ!!』
『でも、流石に一機じゃ……』
『シンさん、
『ッ……。あぁ、分かったよ!でもムリはするなよッ!!』
『ッス!!』
ブラックナイツ四機と、ミラコロ持ち一機。シンさんというミレニアム直掩最大戦力をぶつけるべきはどちらか、考えるまでもないだろう。
…………あと、シンさんごめんなさい。ムリはしませんが、ムチャはさせてもらいます。
通信を切って傍らの小物入れから、ラベルの無い無痛注射器を取り出して首元のインジェクターポートへ。
同時進行でスラスターのリミッター解除コードも打ち込む。
γ-グリフェプタン原液の投与を済ませ、ダイダロス基地方面を見据えてスロットルを全開。
リミッターを解き放たれたスラスターによる加速度は、これまで経験したどれよりも強いGによる負担を身体へと掛ける。
……貰っておいてよかったァ、耐Gスーツ!!
──────────────────────
瞬く間に景色が後ろに流れてゆき、カラミティはその性能を遺憾無く発揮して猛スピードで宇宙空間を翔ける。
歯を食いしばってGに耐えながら、大まかな位置に目星をつけてムウさんとアイシュの思念を探る。例えるなら、触手を伸ばすような……例えがアレなのは分かるけどこんな言い方しか思いつかねェ!
貧弱な語彙に絶望する間もなく、ムウさんを見つけた。レクイエムの防衛艦隊からの追撃部隊が居るかと思っていたが、そういうわけでもないようだ。
……あるいは、それはムウさんの油断を誘う為のアイシュの采配なのかも知らないが。
──コレが貴方の最期です。さようなら、エンデュミオンの鷹。
通信を開こうとした瞬間、知覚する殺意。鳥のような単機形態にしがみつくようなボロボロのアカツキに向けられたモノ。
言葉での注意は、間に合わないッ?!……一か八かだ、ぶっつけ本番でヤるしかない……ッ!
言葉が伝えられるのは実践済で分かってるんだ、それなら
《ムウさァァァァァァァんッ!!!》
腰のレールガンを抜いて左手で構えながら、ムウさんへとイメージを送る。不可能を可能に出来ると信じて、ソレを受けたムウさんが動く前にレールガンを撃ち放つ。
間髪入れずにショルダーキャノンの下、220mm4連装多目的ミサイルポッドから時限信管式のミサイルを発射する。
《……コレはっ?!チィッ!信じるぞゼフォー!!》
《……ゼフォー、だとぉっ!?》
瞬間、機体を翻したアカツキを掠めるように実体弾が飛翔。迫っていた透明化した上で鋏状に展開されていたミラコロナイトの分離した右腕を弾き飛ばす。
それに遅れてミサイルが到達し、時限信管によって爆裂。ミラコロナイトの機体表面に定着していたコロイド粒子を吹き飛ばして、その見えざる毒牙を白日の元に晒した。
『ゼフォー、助かったが……他にやりようはなかったのか?』
『ごめんなさい!思いつかなかったっス!!それより、ココは任せて早く行ってくださいッ!!』
『お、お前…………スマン、助かった。情けないが……頼んだ』
『っス!!』
レールガンを腰にマウント、アカツキとすれ違う中で通信でやり取り。そして、全速力でここから遠ざかるアカツキを背に庇うように位置取りながら、速度を殺さずにそのままウォーハンマーを振り被った。
《ゼフォー・ローワン!!出来損ないの分際で、またしてもォ!!》
《ダーハッハッハッハッ!!!だったらそっちは出来損ない以下のポンコツッつゥことになっちまうなァァァ!?アイシュ・ガローテさんよォ!!》
アコードの一員、アイシュ・ガローテとの激突。その最初は悪態の応酬からだった。