地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス 作:ガンダムおじさん(にわか)
投稿が大変遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
「全艦、対空・対MS戦闘準備。速度を第三戦速へ、ワルキューレ・アインヘリヤル両隊を一時帰投させろ。グシスナウタル隊、第一班は艦隊前方で対空戦闘準備。第二班、第三班は後方に移動して両隊帰投を援護!」
「全艦はCIWS起動及びミサイル発射管にヘルダート、コリントス装填」
「信号弾用意。各艦MSドッグは受け入れ、及び実弾装備への換装準備急げ!」
「……ブラックナイツ後方、D装備ジン及び超高速ミサイル多数確認!」
ブラックナイツの接近を受けアランの指示が飛び、それを受けて通信が飛び交う中で索敵担当の士官から鋭い声での報告が上がる。
「全艦攻撃開始!当てなくても構わん、相手の足止めがメインだ!ただし、ビーム砲はジン及びミサイルを照準、司令部の情報が確かならブラックナイツにビームは通用しないぞ!」
アランの一声でオーディン艦隊から砲火が上がり、ミサイル発射管やグシスナウタル隊のユークリッドEが機体上部及び後部に装備しているヒュドラ多連装大型誘導弾発射筒から多数の対空ミサイルが撃ち出される。
またグシスナウタル隊のMSが装備しているドッペルホルン連装砲も、備えられた各種センサーによって精度の高い砲撃を行っていた。
無人仕様のジンや超高速ミサイルがそれらによって無数の火球へとその姿を変える中、四機のMS──ルドラたちは機敏な動きで対空砲火やミサイルを掻い潜りながら、微塵も速度を落とさずにオーディン艦隊へと肉薄していた。
──情報を信じていなかった訳ではないが……想像以上だな。
大西洋連邦がユーラシア連邦から得ていた、ファウンデーション王国の擁する高性能MS部隊──ブラックナイトスコードの情報。
大袈裟にも化け物とすら称されるソレが、およそ真実であると大西洋連邦の情報部は限られた時間の中で結論づけた。
なにせユーラシア連邦との独立紛争だけでなく、キラ・ヤマトが操っていないとはいえあのストライクフリーダムを撃墜せしめているのだから。
アランもそれは重々承知の上ではあったはずだが、艦隊の濃密な対空砲火を物ともしないルドラたちの驚異的性能を前に思わず冷や汗を流す。
帰投を指示したワルキューレ・アインヘリヤル両隊は、グシスナウタル隊によるミサイルやドッペルホルンの砲撃による援護もあって敵からの追撃を上手く躱しながら順調にこちらへと向かっている。
だがルドラたちとの本格的な交戦を前に、全てのMSを受け入れてビームライフルから実弾兵装へと換装するのは間に合わないだろう。
「MS隊を発進、前進させろ。…………総員、地球連合軍人として課せられた任務を全うせよ」
アランの指示で各艦からMk39 低反動砲や対MS用バズーカを構えたウィンダムやダガー、あるいはソードストライカーを装備したダガーが発進し前進、ルドラたちへと向かっていく。
それと入れ替わるように、艦隊へと到達したワルキューレ・アインヘリヤル両隊のMSがMSドックへと入り、ルドラたちと戦うために実弾装備へと換装していった。
『なんだ、ありゃ?』
『彼らなりにコチラを調べたようですねぇ。尤も、あの程度ではなんの意味もないでしょうが』
『あー、ダル。結果なんて目に見えてるじゃん』
『言えてるー。パパッと終わらせよーよ!』
そんなビームを無効化するフェムテク装甲に対抗する為の装備を携えた連合のMS隊を見て、グリフィンたちは呆れながら気楽に言い交わしていた。戦う前から結果はもう分かりきっていると言わんばかりに。
だがそれも仕方がないのだろう。単純なMSの性能差だけでも天と地ほどの差がある上に、世界を導く事を求められそれに相応しい能力を与えられた彼らにとってはナチュラルなど赤子のようなものなのだから。
事実、気楽に言葉を交わしながらも彼らは見事な操縦技術で速度を維持したまま、オーディン艦隊の濃密な対空砲火を躱しながら接近していた。
『さぁ、さっさと片付けるとしましょう!』
『ハッ、準備運動にもなんねぇよ』
『了解』
『キャハハハ、みなごろしっ!』
連合MS隊とブラックナイツの戦闘の火蓋が切って落とされた。
「それがMSの動きだと?……じゃあ、俺らはなんだ?!」
ウィンダムの放った低反動砲の砲弾が、対MS重斬刀で袈裟懸けにダガーを引き裂いた直後のルドラに迫る。だが、なんてこともなくスルリと避けたのを見て彼は思わず叫んだ。もう既に、彼とともに発進したMS隊の半数近くが撃墜されている。
そして、瞬きの間にもルドラはウィンダムの眼前へと肉薄していた。
《じゃあな、ナチュラル!》
「うああああ!?」
頭の中に響く声に、思わず叫びながら咄嗟に左手の盾を押し出すように構えて斬撃を受けようとする。
構わず振り下ろされた重斬刀が苦もなく食い込んだ……直後、ルドラが後ろへと飛び退く。
そうして生まれた空間を、横合いから飛翔してきた小型ミサイルが横切った。
視線を向ければ、右手にビームサーベルを構え攻盾タイプEのミサイル発射口を正面に向けながらこちらへと飛翔するウィンダム。
『対艦刀を真正面から受けるバカがあるか!!』
剣を携えた翼を生やした女性を模ったエンブレムを左肩に掲げる、エール装備のウィンダムからの叱咤が通信越しにコクピット内に響く。
ワルキューレ隊所属のうち一機が、MS隊の惨状を見かねて装備の換装を待たずに援護に駆けつけたのだ。
『すまないッ、助かった!』
『まだだッ、気を抜くんじゃ──』
通信の最中、援護されたウィンダムをビームが貫く。先程とは別の、オレンジの差し色のルドラからの攻撃だ。
湧き上がる無常感に、舌打ちを一つこぼした彼女はすぐさま周囲に意識を向ける。
《他人のこと気にしてる場合かぁ!?》
「グッ……ゥゥゥ!」
緑の差し色のルドラによって振り下ろされる重斬刀。支援AIの補助を受けながら、咄嗟にその腹へと角度をつけた盾を叩きつけて斬撃を反らし、右手のビームサーベルを突き出す。
だが、振られた盾で乱雑に弾かれる。モニターに映し出される右手からのアラート表記、コクピット内に鳴り響く警告音。
そして、ウィンダムの弾いた重斬刀は、既に上段に構え直されていた。
両頬のトーデスシュレッケンをマニュアルに切り替えて、眼前の顔面──メインカメラを狙って撃ち放つ。
僅かな身じろぎ、悪あがきは装甲表面に火花を幾つか生み出す結果に終わる。
それを嘲笑うように、重斬刀が振り下ろされ──。
『下がれっ!!』
通信から低い男の声が響いた直後、ルドラが飛び退く。咄嗟の操作で機体を動かすが、振り下ろされた重斬刀の切先を躱しきれずに左側頭部のアンテナと左肩装甲の一部。更にはエールの左翼部が一部斬り飛ばされた。崩れたバランスをAIがすぐさま補正し、どうにかその場から離れる。
目の前をドッペルホルンの砲弾が掠めるように通過する。左肩に三本の矢の番えられた弓を模ったエンブレムを掲げるグシスナウタル隊のウィンダムが、モニターの片隅に映っているのが彼女の視界に入った。
左手でスティレットを抜き、再び肉薄しようとするルドラへと投げつけながら距離を取る。
危なげなく躱されるが、その移動先に合わせるように今度は低反動砲の砲弾。
『先走るとは、らしくないですね。大尉殿?』
換装を終えた自身の僚機、彼の軽口を聞きながらダメ押しのミサイルを撃ち放しながら彼女は急いで距離を取る。
意識の外だった筈の方向からの砲撃を避けていたルドラ相手では当然当たることは出来なかったが、僚機との合流がかろうじて叶った。
忘れていた呼吸を思い出して、深く息を吸いゆっくりと吐き出す。
目の前では、援護を引き受けたユークリッドEがルドラへと52mm機関砲を浴びせかけていた。
だが、まるで豆鉄砲と言わんばかりに盾と装甲の表面に幾十の火花が生まれるだけで終わる。
次の瞬間、ルドラが突撃してきたユークリッドEの機体下部へとヒラリと舞い踊るような動きで軽やかに潜り込み左のスラスターユニットをライフルで撃ち抜いた。
推力のバランスの崩れた機体がめちゃくちゃな軌道を描き、近くのドレイク級の艦橋へと突っ込んだ。
ダメ押しのビームが艦橋もろともにユークリッドEを爆散させた。
『……近接は無理だな。地力が違いすぎる』
『だとしても、撃って当てるのも厳しいですぜありゃ』
『はなっから分かってたことだろう、やるしかない……ッ』
確認できる限りでは、周囲の友軍もたった四機のMS相手に圧倒されているようだった。
その間も彼ら三機のウィンダムは別のルドラからのビームを避け、あるいは盾で防ぎながらも言葉を交わす。
弱気な言葉を一蹴しながらも、こちらへと向き直る緑の差し色のルドラを画面に捉えて思わず彼女は息を呑む。
『来るぞ、備えろッ!』
『『了解ッ』』
絶望的な戦いを前に、それでも気迫の籠った叫びを上げて三機のウィンダムは挑みかかっていった。
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「MS隊、残存数およそ三割!」
「ウィルソン、ベクター、レイントン、撃沈!」
「ワルキューレ隊、第三班全滅!アインヘリヤル隊、第二班および第三班全滅ですッ!」
「グシスナウタル隊、ユークリッドE全機撃墜!MS残り四機──」
オーディンの艦橋に、絶望的な報告の声が響いていく。瞬きの間にモニターから友軍を示す光点が消えていく。
オーディン艦隊は、もう既にその戦闘員を約六割ほど喪失していた。これは軍事的には最早全滅と称される状態である。
さらに報告の最中、まるで遮るように轟音と振動が艦橋のクルーを揺さぶった。
「状況報告ッ!」
「敵MSの攻撃、被弾!対空火器は全基沈黙、ミサイル発射管三番及び五番に直撃し誘爆!弾薬庫付近にて火災発生を確認!」
「ダメージコントロール!隔壁下せ!」
とうとう直掩機を掻い潜り、艦隊旗艦であるオーディンさえ攻撃に晒され始めたのである。
必死に持ち直そうとするが、まるで嘲笑うかのように黒い影が幾度も肉薄しその度に損傷が増えていく。
「エンジンブロック被弾、出力上がりません!」
「フォーゲルヴァイデ使用不可!武装、全滅ですッ!」
「くっ…………総員、退艦!」
瞬く間に牙は折られ、まともに動くことすらままならない状態へと追い詰められた。
アランは、退艦を命じた。慌ただしくクルー達が動く中で、アランはヘレナへと呼び掛けた。
「ブラックナイトスコードの機体数は、いくつだ?」
「本艦隊に攻撃を仕掛けたのは四機。司令部からの情報では、全五機です」
「…………そうか。なぁ、ヘレナ副長?この任務、受けたことを後悔しているか?」
「まぁ、それなりに……そうですね、第二次ヤキンでの核攻撃を拒否したこと程度には」
「フッ、ククク……そうか、そうか」
自身と長い付き合いの副長の言葉に、アランは思わず吹き出した。その命令を伝達されてから、小銃を携えた兵士を連れ立って再度命ぜられた時も営倉に叩き込まれても軍事法廷に命令違反の被告人として立ってさえも、どうにか方々に手を回して銃殺刑を免れた時も一貫して[死んでもゴメンです]と言い放ち続けたことを知っているアランにしてみれば、笑うしかない言葉だった。
「相変わらずだな、君は」
アランが思わずそう言った直後、艦橋正面に青い差し色のルドラが降り立つ。
そして、勝ち誇るように、嘲笑うように、カメラアイを怪しく光らせて大仰にライフルの砲口を正面へ──オーディン艦橋へと向けた。
──せいぜい戦術的勝利に浮かれるがいいさ、ファウンデーションの騎士気取り共。
そう悪態を思い浮かべながら、冷や汗の流れる顔に精一杯の不敵な笑みを浮かべてアランはルドラを睨みつけた。
アコードは、世界を導くに相応しい能力を与えられている。それには、高い身体能力──例えば艦橋の中、艦長席に座る男がヘルメットのバイザー越しに浮かべる不敵な笑みをMSのモニターから見て取れる視力も含まれていた。
ダニエルの胸中に、残忍な好奇心が湧き上がる。
『なぁに、ダニエル?またやってんの?』
『面倒なことやったんだから、こんぐらい役得っしょ』
リデラードの揶揄うような声に、ダニエルは気怠げに答えた。とはいえリデラードの声には注意の意図は感じ取れなかった。
リューやグリフィンも何も言わない以上、ダニエルの言葉にそれなりに同意しているということで構わないのだろう。
そう判断したダニエルは、湧き上がる好奇心に駆られて精神の触手を目の前の男に伸ばした。
不敵な笑みの裏、その心の内はどんな情けないものなのだろうと期待を抱きながら。
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「おのれ……旧人類どもが……!」
キラ・ヤマトとアスラン・ザラによる、アルテミスの陥落及びラクスの奪取。
更にはレクイエムの発射をたかがオーブのMS一機によって妨げられ、再度の発射への時間を稼がれた。
ことごとく自身の予想が外れていく。浅ましい欲望に塗れた醜い連中のせいで、真の平和への途が邪魔されていく。
オルフェは湧き上がる苛立ちを抑え込もうとした。レクイエムは決定的な損傷を受けた訳ではない。
それに、コチラを追撃していた連合艦隊はブラックナイツによって壊滅。彼らは既にこちらに向かって引き上げて来ていた。あとは、そのままミレニアムへとぶつけるだけだとオルフェは考えていた。
連合艦隊の排除を優先したのは、オルフェの立場であれば妥当な判断だった。
確かにデスティニーを含めたミレニアムのMS隊はこちらに対して大きな損害を与えているが、結局のところミレニアムの直掩だ。それにこのままで行けばレクイエムの防衛艦隊との挟撃に持ち込める。
対して連合艦隊は複数のMAとMSを、ほぼ同時に展開する戦術を取りながらこちらを追撃してきていた。おまけに位置的には迎撃のために残した艦隊と挟めているものの、既に迎撃艦隊は大打撃を受けて戦力としては心許ない。
これを放置すれば、レクイエムの防衛ラインへとミレニアムを引き込むより先に、連合艦隊がコチラに追いつきミレニアムとの挟撃が成立してしまう。レクイエムを目指すミレニアムとその直掩と違い、連合艦隊は真っ直ぐに旗艦を目指すだろう。
故に与し易い連合艦隊の早期の撃滅を狙い、それは叶ったのである。その事実が、オルフェの溜飲を大いに下げた。
だからこそ、頭に届いた声のない呼びかけはオルフェの虚をつくものであった。
《オルフェ!
その意味をオルフェが呑み込む前に、索敵担当の士官の声が響いた。
「レクイエム近傍、艦艇と思われる熱源が出現!」
弾かれるようにモニターへと視線を移したオルフェが見たものは、つい先程まで影も形も無かった宙域に突如現れた熱源からレクイエム方向へと向かう三つの熱源が出現した様子だった。
今、この瞬間から、地球連合軍の発令したレクイエム破壊作戦──オペレーション・ディエスイレは最終フェーズに差し掛かったのだった。