地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

59 / 75


 ちょっと下品な表現が含まれています。ご注意下さい。










PHASE-41 邂逅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 水の中を揺蕩うような、不可思議な感覚の中。誰かに呼ばれたような気がして瞼を開いた。

 

 

 寝起き特有のボヤけた視界で、誰かの姿を捉える。小柄で、華奢な身体。そして、肌色の面積がなんだかとても多い…………。

 

 

 

 ………………。

 

 

 

 

 

 

 アイエエエ!?全裸!?全裸少女ナンデ!?

 

 

 

 

 

 

 

 思いもよらぬ衝撃的な展開に、慌てて両手で視界を塞いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 《えェ、いきなりナニしてんだよ、アンタ……?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イヤ、ホント、ゴメンなさい!今のはちょっと不可抗力で、視界もボヤけててほとんど見えてなかったんで!!だから、どうか訴訟だけは勘弁を!!!こんなことでキラさんとかに迷惑なんてかけたくな〜い!!!!

 

 聞こえてきた高めの声に、やっぱり自分は女の子の裸を見てしまったのだとワタワタとテンパっていれば呆れたような声が掛けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《いや、男同士でなに言ってんだよ。こんな奴って知ってるとはいえ……調子狂うなァ、ッたく》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………えっ。その声に目を塞いでいた指を開いて視線を下げた。

 

 

 なるほど確かに、ボヤけた視界ながらもぶーらりぶらりとポークビッツが……イッッッタァイッ!!

 

 スパァン、と快音。ズキズキと痛む頭を抱えてしゃがみ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 《気色悪いこと言ってんじゃねェよ、ブッ飛ばすゾ!?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう手が出てるじゃないですか、ヤダー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《おォン?グーで殴られても文句いえねェような発言を頭をはたくだけで済ましてんだから、むしろ感謝して欲しいぐらいなんだが?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはそう、本当にそう。叩いていただき、ありがとうございます!精一杯の感謝の意を込めて、ほぼ直角に腰を曲げて頭を下げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《それはそれで気色悪りィから止めろ。というか、さっさと普通にコッチ向いてくれよ。話が始まんねェんだわ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、それならお言葉に甘えて…………。そうして頭を上げた視線の先、ようやっとハッキリとした視界に入った全裸の相手の姿に、思わず息を呑んだ。

 

 ミディアムボブカットの茶髪、活発な印象を与える顔つきに茶の瞳が垣間見える。160cmにも満たないだろう小柄で華奢な体躯も相まって、パッと見では少女のようにも思える全裸の少年。

 

 

 

 その見慣れた……余りにも見慣れたその姿は、全裸の()()()()()()()()()そのものであった。

 だが、大きな違いが一つ。その顔にハッキリと、不敵な笑みを浮かべていることだろう。

 

 

 

 全裸で不敵な笑顔を浮かべている自分自身の姿に、ガツンと頭を殴られたような衝撃。

 そうして気付く。そもそも、ここどこ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《全裸全裸ウルセェよ。しゃーないだろ、ココロの形なんだから服なんて着てない方が自然だろうし》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全裸な理由の方は聞いてないんですけど?…………ココロの形?それって、つまり、精神とか……魂的な?

 

 

 …………ッ!

 

 

 頭に浮かんだ考えに、思わず息を呑む。そして目の前の、自分の姿をした誰か──否、()()()()()()()()()()()()()()()()()()を見遣る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そっ。そういうコト。ホント、アンタってアンポンタンな頭してるのに妙に鋭くなったりするよな》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 苦笑いと共に発せられたソレを肯定する言葉を聞いて自分の想像力の貧困さ、自分本位な都合の良い考え方に自嘲の笑みが浮かぶ。

 例えば、誰かの身体に他者の意識が入り込んだとして。必ずしもその身体の本来の持ち主の精神が死んでいる、或いは消えて無くなったという事にはならないだなんて、少し考えれば分かりそうなものなのに。

 

 

 でも、今しなければいけないのは、自分のアホさ加減を自虐する事では断じてない。

 スッ、と正座。そして流れるように手をついて頭を下げる──土下座である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 《えぇ……なにィ?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと今立て込んでるんで、あと一日……いや半日、いや一時間でいいので貴方にこの身体を返すのは待って頂けないでしょうか!?

 今の地に足ついていない状態で上手く土下座出来るか分からなかったけれど、思ったより上手くいって良かった……ッ!

 

 虫がいいことを言っているのは分かっているけれど、流石にファウンデーションとの戦闘中にポンと渡すのは危ないからッ。出来ればもうちょい猶予をくださいませ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《イヤ、別に身体返せとかそーいうんじゃねェんですけど?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひょ?相手の言葉に、思わず顔を上げてしまう。そこには困ったなぁと言わんばかりに頭を掻いている姿。

 でも、だって、俺って貴方の身体を奪ったんですよ?あまつさえ、貴方がキラさんとかシンさん。ルナマリアさんとかマイカ中尉とか、他にも色んな人から優しくされて幸せになれる機会だって…………。

 視線の先で、ハァと大きな溜め息。やれやれとでも言いたげに肩をすくめて頭を振ってから、彼は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そもそもあんなすぐに血みどろな争いが起きるような、ヒトの身体を好き勝手に弄り回すような連中の跋扈するクソみたいな世界でもっと生きていきたい……だなんて、もう思っちゃいないんだよこちとら》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは……そうかもだけど、でもそんな人ばっかりじゃないし。そんな風に思うコチラを意に介さず、彼は俺の方へと近づいて指を差しながら言葉を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《だいたい、その身体やアンタが入ってくる前の境遇が周りに優しくしてもらえる理由なんだと思ってるんだろうがなぁ……オレじゃない、アンタ自身のアンポンタンな頭で必死に考えたトンチンカンな行動で半年経っても優しくしてもらえ続けてるってことを分かれよな……生きて帰ってきてください。貴方が傷ついたり、ましてや死んでしまったら悲しむ人間がいることを忘れないでください、だったっけ?こんな風に思われてんだからさ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──それこそ、俺が築いたモンじゃない環境や関係性をポンと渡されたって、虚しいだけだぜ……オレの身体や境遇を奪ったと思って、向けられる優しさを虚しく思ってたアンタみたいに、な。

 

 そんな風に締め括られた言葉に、胸が詰まる。……また、自分のことしか考えてなかったなぁ、なんて。

 

 

 

 

 …………アレ?なんか、さりげなく貶されてない、俺?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《さりげなくじゃねェよ、直球だよチョッキュー。コッチが全然気にしてないことで勝手に負い目に思って挙句付け込まれるなんて、出しゃばるつもりなかったのに出ざるを得なくなっちまったじゃねェか。反省しろハンセーを》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ううん、手厳しい。……そういえば、結局ここがどこでどうして来たのか、これもう分かんねェな?

 アッ、すいません許してください!なんでもしますから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《……このクソみたいな世界でもっと生きていきたいなんて思ってない、そう言ったよな?でも、アンタの七転八倒珍道中を他人事として眺めるのはキライじゃねェんだ、オレ。だから、まだ申し訳ないだなんて思ってんならそれこそ、このクソみたいな世界でコレからも死ぬ気で七転八倒珍道中してくれよ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を皮切りに、何故だか少しずつ意識が薄れていく。彼の言葉が遠くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《……ありがとな、オレのこと気にし続けてくれて。苦しいことばっかりだったこのクソみたいな世界も、アンタ越しに見れば少しは好きになれた気がするよ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるでスイッチが入ったかのように意識が覚醒する。さっきまでの数時間、或いは数秒は……白昼夢だったのだろうか?

 そんな思考を、頭に流れ込む思念が打ち消した。

 

 

 

 

 

 

 

  

 《どういうことだ……一つの肉体に、二つの精神波動だと!?解離性人格障害……?イヤ、違うッ!まるで別々の人間の精神が一つの肉体に収まっているとしか思えない!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソレを聴いて、一気に記憶がフラッシュバックする。俺は、アイシュによって精神干渉を喰らったんだと。

 

 多分、キラさんにも行われたこの精神干渉は、心の内の後ろ暗い事を起点に効果を発揮するんだろう。

 だから、俺に対してはこの身体の本来の持ち主へ感じていた負い目が起点になって、それが切っ掛けで彼が呼び起こされた……?

 

 

 あのやり取りが恐らくは幻覚なんかではないと分かって、思わず口元が緩む。それとほぼ同時、俺への精神干渉の失敗から立ち直ったらしいアイシュの思念がコチラへと向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《…………ッ!お前は!!お前は一体、何なんだァッ!!》

 

 《自己紹介はとっくの昔に済んでるだろォん!?俺は……俺は、ゼフォー・ローワンだッ!!それ以外の何者でも、ないッ!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついさっきまで一欠片も感じ取れなかった事が嘘みたいな、叩きつけられるようなアイシュの激情。そりゃ悪手だろ、アイシュ!

 その奥底からアイシュが行おうとする行動をヴィジョンとして拾い上げながら、煽るように言葉を返した。

 それと同時にカラミティの体躯が動く。その背にマウントした二本のシュベルトゲベールを、グリップを握りしめて抜き放った。

 

 

 あまりに強い敵意──分離した複合兵装と黒騎士本体での挟み撃ちを意識したアイシュの思念が、不可視の筈の毒牙の軌跡を俺の脳裏に浮かび上がらせる。

 

 

 スラスターを吹かして、グルリと時計回り。左手を振り下ろせば、シュベルトゲベールの刃先から三分の一程の位置で激しく火花が散る。

 そうして宇宙の闇から滲み出た、黒騎士の異形の右腕。ソレが開いた顎が、ガッチリと対艦刀に食い込み締め上げて火花を散らしながら切断しようとする。

 つまり今この瞬間だけは、コイツはコチラの攻撃を、躱わせない……ッ!

 

 

 そのまま下から振り上げた右手のシュベルトゲベールが、複合兵装を本体と接続するワイヤーケーブルをコチラへと迫るビーム諸共に切り払う。

 

 

 

 

 

 

 

 《ダーハッハッハ!アンタの言うところの出来損ない相手に、とうとう片腕にまでなっちまったなぁ、ガローテさんよぉ?!》

 

 

 《…………黙れェ!ただただ流されるだけのクソガキがァ!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煽るような俺の言葉に、とうとう丁寧な物腰どころか余裕すらもかなぐり捨てたアイシュが吠える。

 ……或いは、丁寧な物腰の筆頭外交官というデスティニー・プランによって与えられた役割を脱ぎ捨てた、アイシュ・ガローテという一人の人間との初めての邂逅であったのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。