地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-45 Spirits are always with you

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星々の瞬きとそれに混じる爆炎や光条の伸びる宇宙空間を、カラミティのスラスターを吹かして猛スピードで駆ける。

 向かう先は、シンさんがブラックナイツと交戦中の宙域だ。

 

 周囲に敵影がないことをモニターに視線を動かして確認する。敵意の知覚もない。

 小さく息をついてからコンソールを叩けば、モニターの片隅にポップアップするのは機体の状態を示す小さいウィンドウ。

 

 

 

 右翼端部の120mm三連装ガトリングガンと左肩の57mm二連装ショルダーキャノンが全損。シュベルトゲベールは片方が破損して対艦刀としては使えない。

 空戦用複合兵装アドラーll(仮)と試製35式改レールガン等の手持ち兵装もお釈迦になっている上に、生き残ったガトリングの残弾は三割程度。バッテリー残量も四割を切ってしまっている。

 

 

 ミレニアムが敵陣へ切り込んでいる──高速で移動中であることを鑑みても一旦補給の為に帰投することが選択肢に挙がるが、頭の中に浮かび上がった懸念がその選択肢を蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 ブラックナイツがシンさんへと精神干渉を仕掛けるかもしれない、という懸念が。

 

 事前のブリーフィングで精神干渉に触れられなかったのは、あまりにも常識はずれで未知数な要素であり想定が困難であること。

 それと確認できる前例──キラさんへの干渉と恐らくユーラシア連邦のMSパイロットへの干渉が疑われるタイミングでは、ブラックナイツは戦闘を行っておらず対象の位置を視認でき正確に把握できる状況にあった。

 MSでの戦闘機動──高速で目まぐるしく動き回る状態では精神干渉が行えないだろうという、言ってしまえば楽観があったのだろう。

 

 だがアイシュとの戦闘でその想定は崩れた。もちろん、アイシュ・ガローテが課せられた役割である外交官及び工作員として精神干渉能力に特別に秀でていた可能性もある。

 

 

 

 そして、そうでない可能性も否定できない。少なくともキラさんへと精神干渉を仕掛けたピーマンヘアーがシンさんの相手に含まれていたはずだ。

 もしもピーマンヘアーでも戦闘機動中に精神干渉を行えるとなれば、最悪という他ない。自惚れかもしれないがそうなってしまったなら事態を確実に打開する為には俺が行かないといけないだろう。

 

 幸いにも今のところシンさんが錯乱した、あるいは墜とされたなどという凶報は届いていないが激しい戦闘が続いているのは確認できる。

 というか、むしろ圧倒してない?

 

 

 

 

 

 距離が近づいたことで視認できる限りではデスティニーに損傷は無く、ブラックナイツの四機側は武装どころか四肢を欠損すらしている様相だ。そして四機に囲まれているにも拘らず、γ-グリフェプタンの投与で跳ね上がっているはずの動体視力でもかろうじて捉えられるほどの凄まじい機動で周囲からの攻撃を捌き、反撃を叩き込むデスティニーの姿があった。

 

 

 これ俺いる…………?

 

 

 

 思わず疑問が頭に浮かぶが、響いた思念に気が引き締まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《アイシュが墜とされたのに、こんなヤツに時間をかけてられるか!》

 

 《シンクロアタックだ!行きますよ!》

 

 《了解!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 四人分の思念が混ざり合う、言葉にし難い感覚。その中に見過ごせないモノを見る。思い浮かべていた最悪、覚えのある感覚──ドス黒い悪意。

 

 

 やァらせるかよォ!そんなコトォ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇に堕《ちわーッス!》ちっ……ッ!?────

 

 《誰だ今の?!》

 

 《これは、てめえ!!》

 

 《出来損ないが、なんで!?》

 

 《関係ねえ、出来損ない一人で何ができる!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンさんの心の奥深くへと入り込もうとした連中に、強制的に割り込む。その侵食を阻止する為に。

 だが止められない。押し流されるように、もつれ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────────── 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ暗な闇。気づけばその只中に浮かんでいた。この感覚に覚えがある。

 精神世界とも言うべきか、だが俺の中とはだいぶ様子が違うような……?

 

 

 覚えた疑問を頭を振って追い出す。今はそれどころではない、あの連中もいるはずだと周りを見回す。

 

 

 

 

 

 

 

 居た。パイロットスーツの四人組、その背中を見つけて拳を握って振りかぶったところでふと気づく。

 

 闇の奥、ポツンと小さく光る何かが近づいて…………!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイエエエ!?全裸!?全裸美少女ナンデ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 慌てて目を塞いで手で覆う。どうして!?どうして精神世界に入ると全裸な人と遭遇するワケ!?

 とはいえ、このままでは状況が分からない。ごめんなさいと小さく謝罪を口にしながら少し指を開いて薄目を開く。

 

 

 

 

 

 柔らかそうな金の髪を揺らめかせながら、茫洋とした様子の美少女と目が合う。

 そのどこかで見たような美少女は小さな笑みを浮かべた後、その視線を動かした。その先にいたのは、ブラックナイツ。

 にわかにその顔が険しくなる。まるで親の仇を見るような鋭い視線に、連中がたじろいだのが見てとれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──わるいやつ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決して大きいわけではない、けれど臓腑を震わせるような思念が耳を打つ。

 それに伴うように、美少女の姿が変わる。大きく、黒く、冷たく。まるでブラックナイツ達へと覆い被さるように伸び上がる。

 

 もはやその姿は、人ではなかった。圧倒的な破滅を齎すモノ。ソレは破壊の名を冠する鋼の巨人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ステラ……シン……まもる……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カメラアイが睨みつけるようにギラリと瞬く。ゆらりと持ち上げられた両の腕の指先が、胸部の三つの砲口が、頭部に口のように開かれた砲口が妖しい光を湛える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ヒッ……》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の光景に後退りしていた連中の一人がナニカにつまづいた。知らぬ間に辺りにニオイが漂っている。

 顔が引き攣る。……コレは、ヒトの焼け焦げたニオイだ。

 

 

 尻餅をついた桃色のコクピットスーツの誰か──ニンジンヘアーか?そいつが自分が何につまづいたのかを見て声を漏らした。

 恐らくは肘から先、千切れた腕。気づけば周囲にはヒトであったのだろう破片が散らばっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《何なのこれぇぇぇっ!?》

 

 《……こいつの闇は……》

 

 《深すぎる……!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唐突に現れた光景に慄くブラックナイツの連中へと、情けはかけぬとばかりに眩い閃光。過剰なほどの熱線が放たれる。

 意味もないのに、思わず腕を顔の前に翳して庇う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《うああああああ!!》

 

 《ッ……!…………?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連中の悲鳴が響いて、かき消える。けれども、コチラにも来るかと身構えていた衝撃も熱も無い。

 周囲の様子を探る為に、恐る恐る腕を下げて目を開けた。

 

 

 金の髪の美少女、そして彼女に寄り添うように佇む更に小柄な茶髪の美少女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイエエエ!?増えてる!?全裸美少女増えてる!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全く予想だにしていなかった光景に、目を瞑ることすら忘れて硬直する俺の目の前で二人の少女は小さな笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──シンのこと……お願い……。

 

 《もちろん》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柔らかな声。そこに込められたシンさんへの想いを感じ取って、真っ直ぐに目を合わせて即答する。

 

 それを聴いて笑みを深めた二人の姿が遠くなる。現実に戻るのだろう。

 

 

 

 

 

 そして思い出す。ステラ・ルーシェとマユ・アスカ。シンさんが妹のように慈しみ目の前で失った少女と、目の前で失ってしまった妹。

 

 あれ、ひょっとして今のって幽霊……ってコト!?

 

 まぁ、超能力者がいるなら守護霊の一人や二人居てもおかしくは無いかぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そんな寝ぼけた分身が、通用するかァッ!》

 

 《分身はァッ!こうやるんだァァァッ!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして戻った現実、目の前に広がる光景に思わず顔が引き攣った。

 

 

 

 

 

 

 うぁぁぁ!デ……デスティニーが、宇宙空間を練り飛んでる!!

 

 

 

 

 煌めく光の翼──ヴォワチュール・リュミエールの量子被膜をその背に展開したデスティニーが消え失せ、次の瞬間には十や二十では足りないほどの膨大な分身が比喩でなく宙域を埋め尽くしながらブラックナイツ目掛けて殺到する。

 

 

 

 ステラさんの言葉に勢いで即答したのはいいんだけれども……………………これ俺いる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな弱気なコトを考えていた俺だが、コチラへと向かっているゲルググ──ヒルダさんの思念に思わず笑みが浮かぶ(牙を向く)

 やらなきゃいけないとかじゃなくて、やりたいことならあるじゃないかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ヒルダさんッ!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思ったなら案ずるより産むが易し、俺はヒルダさんへと通信と共に思念を飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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