地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス 作:ガンダムおじさん(にわか)
『貴様の軽口を聞かせるためにMSの通信機能を使えなどと教えた覚えはないんだがな、ドラグナー1?』
『げっ……』
『……ドラグナー3!どうやらドラグナー1は上官への口のきき方を忘れるほどに退屈してるようだ、もっと仕事を割り振ってやれ!口を開く暇が無いぐらいにな』
『アイサー!……まっ、そういうわけだ。距離1000、5時方向から追加でグフが1にブレイズザクが2。頼んだぜ、ケン』
『なっ、レイン!?この裏切り者ォ!』
通信を切り忘れているのだろうか、スピーカーから漏れ聞こえる愉快なやりとりとは裏腹に俺とザフトのクーデター軍との間に割り込むように現れたウィンダム達は軽やかに宙を駆け、踊るように戦況を塗り替えていく。
対艦刀ではなくそれを持つ手首をシールドで抑える紺青色のウィンダムと、単純にシールドで実体剣タイプの対艦刀を受けるグフ。
その拮抗は、ウィンダムの両肩上部から突き出るように伸びる単装砲が撃ち掛けられた事で崩れる。
咄嗟に身を捩ってコクピットへの直撃弾を避けたものの、避けきれずに頭部から破片を散らして青い体躯がのけ反り後方へと吹き飛ぶ。
ただでは転ばぬとばかりに右手を伸ばして前腕部のビームガンを照準しようとするグフを、吹き飛ぶ先が分かっていたかのように対艦刀を振りかぶりながら駆けていた
広がる爆炎。ブレイズザクがバックパックからミサイルを放ちつつそれを突っ切りながら現れてビームマシンガンを構えた直後、すでに投げ放たれていたマイダスメッサーの軌跡と重なった胴体をビーム刃が薙ぐ。
そうして主人が炎の中に消えた後も狙いを定めた獲物へと向かう多数の猟犬を、オオトリストライカーを彷彿とさせる四枚の翼にあるスラスターとエールストライカーのものを小型化したような可動式のスラスターによって正対する姿勢となったウィンダムが待ち受ける。
頭部と胸部、計四基のトーデスシュレッケンを用いて形成した弾幕が手厚く歓迎して、哀れな猟犬に主人と同じ結末を辿らせた。
間を置かず紺青色のウィンダムの両肩から伸びる大型のレールガンが火を吹いて、辺りに広がった爆炎が吹き散らされる。そしてその向こう側、肉薄していたグフとブレイズザク達へと襲いかかる。
先陣を切っていたグフは機体を翻すことでかろうじて避けることが叶うものの、その後方にいたブレイズザクの片割れが直撃をもらい吹き飛ぶ。
そのことに動じる暇すらなく、咄嗟の回避で体勢の崩れたグフに
僚機の援護をするべくビームマシンガンを照準しようとしたブレイズザクが、咄嗟に機体を翻す。だがコンバインドシールドに備えられたガトリングによって浴びせかけられた弾丸の雨を避けきれずに、マシンガンが破壊される。
齎される小爆発に体勢を崩されたブレイズザクへと、ローレンツ力で加速された砲弾が突き刺さった。
体勢を崩していたグフだが、自身へと向かってくる敵に対して右腕のビームガンをばら撒きながら素早く体勢を立て直す。
それに対して
次の瞬間、盾の中心から機体を覆い隠すほどの光り輝く多角形がビームによって形成され、ばら撒かれた弾幕の悉くを防いだ。
そのまま猛烈な勢いでグフ目掛けて吶喊したウィンダムは、まるで殴りかかるかのようなシールドチャージを仕掛ける。
体勢を立て直していたグフはそれをシールドで受けることに成功するが、速度の差ゆえに受け止めきれずに弾き飛ばされて再び体勢を崩されたところへと対艦刀が滑り込んで斬り捨てられた。
ものの数分もかからずに二機を相手に六機のMSが墜とされてしまった訳だが、本来ならあるはずだった後方にいたガナーザクからの援護があればこうはいかなかっただろう。
まあ、それが出来なかったからこそのこの結果なのだけれど。
チラリと動かした視線の先。掠めるだけでもMSを撃破し得る太く紅い熱線が宇宙の闇を引き裂いて伸び、猛烈な勢いで突き進む……えぇっと、ユードリック?いや、ユークリッドだったか。ともかく、煌めく光の盾──陽電子リフレクターを正面に展開する大型MAの足を止めることも叶わずに散らされる。
お返しとばかりに撃ち掛けられるガトリングの弾幕とビーム砲から伸びる光条が、幾つもの爆炎を生み出した。
けれどもクーデター軍のMS隊もただやられる訳もなく、恐らくは護衛だったのだろうスラッシュザクが射線から外れる軌道を描いて陽電子リフレクターの展開出来ない側面を狙って肉薄、背中のガトリングからビームを撃ち掛けながらビームアックスを叩きつける為に振りかぶる。
だがユークリッドの側面から甲羅、あるいは円盤を頭に被ったようなMSが飛び出し、バックパックから伸びる二対のサブアームでそれぞれ保持された大きな鋼色の盾を構える。
みるみるうちに鮮やかなライトブルーに色づいた盾は、更にその表面に輝く多角形を形成。
ビームシールドによって撃ち掛けられた弾幕を防ぎ切った上で、ビームアックスをも軽々と受け止める。そして僅かな拮抗の後に、スラッシュザクが弾き飛ばされた。
体勢を大きく崩したスラッシュザク。そしてユークリッドの反対の側面から飛び立った、ハリネズミめいて砲身の伸びたストライカーを装備した濃紺に機体を染めたウィンダムが両手にそれぞれ抱えたガトリングからすかさず弾丸の雨を撃ち込んでトドメを刺した。
そうしてザフトクーデター軍のMS隊が壊滅する様子を、ゼフォー・ローワンの実況でお送りいたしました。
…………いや、違うんすよ。あんまりにも連携が見事でやることがなかったというか、無理に首突っ込んでも無駄にバッテリー消費するだけというか。
『随分と無茶したじゃないか、ゼフォー』
『ひゃいッ!?ごめんなさいッ!』
誰にしているかも分からない弁明を内心でしている最中に響いた声。思わず奇声をあげ、すぐに謝罪を口にすれば苦笑いが響く。
『おいおい、随分な反応じゃないか。だが、自覚があるなら何より。それに無茶に関しちゃ、俺も人のことをどうこう言える立場じゃないからな。どうのこうの言う気はないさ』
『ムウさん…………!』
『まぁ、シンとルナマリアは十や二十じゃ足りないくらいに言いたいことがありそうな顔してたがな。今のうちに二人に対しての弁明でも考えといた方がいいんじゃないか?』
『ひぃん…………』
俺を待ち受ける未来に情けない声を出したあと、ふと気づく。俺、当たり前みたいにイメージとか思念を送ったりしてたけど……その辺のことって、ムウさん知らなくない?
『あの、ムウさん……?あぁと、そのぉ──』
『今無理に話さなくったって、構わないぜ』
『……え』
『少なくともお前は俺やシン、ルナマリアの為に無茶をするような奴だ……今は、それだけ分かってりゃいいさ。どこか落ち着いたタイミングで話してくれればいい』
『ムウさん…………』
『それにしても、まったく。今までは無茶する側だったが……誰かが無茶するのを見るのが、こんなに心臓に悪いとはね。まっ、そう言う訳だ。あんまり無茶すんなよ』
そう締めくくって、ムウさんは通信を終えた。話している間、知覚していた感情・思念に胸が詰まる。
さて、それにしてもこれからどうしようか。ミレニアムの様子を確認すれば、最大戦速でファウンデーションの旗艦へと突撃中。とてもじゃないが、今からじゃ帰投は厳しいな?
というか、いつのまにか地球連合の足の速い艦艇──ドレイク級が援護について、よく見ればヒルダさんのゲルググ以外にも数機のウィンダムが直掩についている。
中には左肩とエールストライカーの左翼の一部を損傷しながらもシュベルトゲベールを振るっている気合いの入った方もいる。
『ミレニアムのカラミティ。こちら地球連合軍所属、対戦略拠点突撃強襲攻撃機動分隊隊長のヒューロン・ダグラス少佐だ。くたびれているところ悪いが、レクイエム破壊の為に手を借りたい』
そんな風に考えていた最中、ユークリッドから通信が入る。モニターには、鬼軍曹という形容がジャストフィットしそうな強面なお方が映し出されていた。
その申し出自体はやぶさかではないが、しかし。
『すみません、少佐殿。光栄ではあるのですが、この機体のバッテリー残量は戦闘を行うには心許無く……恐らく、戦力としてはお役に立てないかと……』
『ッ……。そうか…………』
《大西洋連邦が及び腰だったコンパス出向にMSパイロットを出したのは未成年生体CPUの厄介払い、趣味の悪い冗談だと思っていたが……事実だったという訳か。……死んだら地獄行き程度では済まんな、コレは。だが、それでも……》
顔を出さず声だけのコチラの返答に対する反応と同時に、副音声めいて相手の内心を知覚する。
分かっちゃいたけど、やっぱりマトモな神経の持ち主ならそういう反応だわな。
『一つ聞きたい。その機体のエネルギーサプライコネクタに手は加えられているか?場合によっては、電力供給の当てがある』
《俺の死んだあとの扱いが悪くなる程度でレクイエム破壊の──市民を守れる可能性が上がるなら、安いモノだ》
続けられた声にコンソールを叩き仕様をモニターに出して確認しながら、ダグラス少佐の内心──誰かを守ろうとする心に口角が持ち上がるのを感じた。
『元のまま、連合規格のままであります。少佐』
『そうか……なら悪いが、今しばらく鉄火場に付き合ってもらうぞ?』
『イエッサー!上等であります!』
そうして俺は、