地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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PHASE-49 Trust

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『距離1500まで……4、3、2、1、今ッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レインさんのカウントダウンに合わせてドラグナー1とドラグナー4と共に、カラミティの背に繋がれたケーブルを切り離しながら飛翔する。

 バッテリーは六割ほど、心許無くはあるが少なくともシンさん達がレクイエムをぶっ潰すまでなら十二分だろう。

 

 そう思いながら右腕のビームガントレットを外して左手に、右手はシュベルトゲベールを抜き放つ。そのままコチラへと迫る防衛戦力のMS隊にビームを撃ち放てばスピーカーから鋭い声が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『悪いがカラミティ、こっちはそっちが何が出来て何が出来ないかイマイチ分かってない!細かい指示は無理だ、とりあえずマクシムと一緒にケンのフォローヨロシク!』

 

 

 『了解っス!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドラグナー隊との戦術リンクによって共有される、ドラグナー3の高性能センサーが捉えた夥しいデータが分かりやすく整理されてコチラのモニターにも表示されている。

 特に有難いのは、単独でいるよりも周辺の状況が分かりやすく視覚的に示されることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ちょいさァッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵意を背後から知覚したのに合わせて操作するのとほぼ同時、モニターに映る警告がカラミティの索敵範囲外──距離の離れた後方からMSが接近するのを知らせたように。

 

 

 振り向きざまにそこにいたグフがコチラへとばら撒いたビームの雨を避けながら、お返しにとショルダーキャノンで撃ち掛けたビームをシールドで受けたグフへと急接近。シュベルトゲベールで斬りかかれば、速度と質量を掛け合わせた斬撃がシールドごと両断した。

 

 ついでに、これもまたカラミティの性能以上の範囲を探知しているレーダーを見てとって、ドラグナー1へと向かう敵へと左背部のシュベルトゲベールからビームを放つ。

 それを機体を翻して回避したブレイズザクが、ドラグナー4が投げつけたマイダスメッサーに引き裂かれ爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ヒューッ、やるねぇ!』

 

 『いやいや、助けてもらった借りを返すにはまだまだっス……よッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ケンさんの軽口に言葉を返しながら、コチラへと迫るMSの一団へと左手のサーベルを投げつけた。

 ドラグナー4のマイダスメッサーの脅威を見ていたからか、カラミティが投げつけたサーベルに対しても大袈裟なくらいの回避に移るザク達。

 

 

 

 

 

 《なッ!?》

 

 「その目の良さがァッ!」

 

 

 

 見慣れないMSの行動を警戒するのは正しいのだけれど。ああ、でも、ごめんなさい?ソレってそういう使い方するヤツじゃなくってよ?

 

 

 途中でビーム刃が消えたビームブーメランらしきものに、無駄に分散させられたことを悟って狼狽える彼らに向かってショルダーキャノンのビームとレールガンの砲弾、対艦刀を振りかぶったドラグナー1が襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《舐めるな……ッ!?》

 

 『注意一瞬怪我一生、ってね!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビームと砲弾が突き刺さり炎の華を咲かせた他の二機と違って、対艦刀を握るドラグナー1の手を咄嗟にシールドで押さえ込んだザクファントム。

 だが、死角から飛び込んだ今度こそ正真正銘のビームブーメランであるマイダスメッサーは避けることが叶わずに上半身と下半身が泣き別れになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ダフ!ミサイルの団体様だ、やれるか!?』

 

 『あたぼうよぉ!ついでだ、いってこぉい!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユークリッドに殺到する多数の誘導弾を、ドラグナー2がその背からハリネズミめいて伸びる機銃たちで張る弾幕ではたき落としていく。

 そのまま、肩口から伸びる砲身から放った紅く太い熱線が迫る複数のMSを巻き込んで月面にあるミサイルサイロを焼けば一際大きな爆煙が上がる。

 

 

 

 

 

 その爆煙を突っ切って、とうとうシンさん達がレクイエムに到達した。インパルスのミーティア、前方に突き出たアームユニットの先に長大なビームソードが形成される。

 

 レクイエムの砲口に向かって振り抜かれた光の刃は、砲口そのものは陽電子リフレクターによって守られたもののその周辺──外縁部の施設を抉り深い傷痕を生み出した。

 爆発と同時に、緑の煌めきが掻き消える。そうなってしまえばもはやレクイエムはノーパン同然。

 巨大なレクイエムの中継リングすら一撃で吹き飛ばす超火力、ゼウスシルエットのリニアキャノンが射出する砲弾を阻むものは何もない。

 

 

 

 

 勝ったな、風呂入って…………?デスティニーが動かない。ついでインパルス──ルナマリアさんから知覚した困惑に眉を顰める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『オイ、嘘だろ……なんで陽電子リフレクターが、もう一層あるんだよぉ!?』

 

 『どうやら連中はとことん図画工作が得意なようだな、えぇ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スピーカーから響き渡るレインさんとダグラス少佐の大声。ついでモニターに表示されるドラグナー3が捉えているらしい、月面に空いた大穴──レクイエムの砲口とその最深部であるビーム発振部を覆う防護シャッターのおよそ中間点。ソレを途中で遮るように、煌めく緑。

 

 

 

 ハアアァァァ!?なんてェクソゲーだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『リズ少尉!どうやら出番だ、とびっきりゴキゲンなのをぶち込んでやるぞ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予想外の事態に僅かに狼狽えるが、すぐに聞こえたダグラス少佐の声に彼らもなんらかの特殊な装備を持ち込んで来ていたことを思い出して落ち着く。

 確かにユークリッドが分かりやすく馬鹿でかい大砲、担いでるもんなァ!

 少し品のない真似だが、ダグラス少佐を読心して確認した仕様から見ても十分レクイエムにダメージを与えられる代物だろう。

 だが、次いで聞こえたのは切迫した様子の声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『……待って下さい!あれじゃあ事前に入力したデータが使えません!前提から再計算しないと……!』

 

 『チッ、時間が惜しいというのに……ッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやら、そう都合良く話は進まないらしい。聞き耳を立てていれば感じる敵意。

 ドラグナー4がライフルで撃ち抜いたザクの爆炎を突き抜けて、ジンが重斬刀を振りかぶって躍り掛かってきた。その斬撃をTP装甲で敢えて正面から受け止めて押さえ込み、グルリとコチラにビームマシンガンを照準していたザクに向き直ればフレンドリーファイアの可能性に相手が鼻白らむ。

 その隙を見逃さず、力任せにジンをザクへと突き飛ばしながら加速。諸共にシュベルトゲベールで両断する。

 その時、モニターにユークリッドからの通信が大きく映し出される。そして、どうやらコレは複数相手への同時通信のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『モビルスーツ各位に通達する。これより本機は、レクイエムに対して対光波防御帯特殊兵装を使用する!最低でも陽電子リフレクターの消失までは期待できるだろう。だが、問題がある!約二分、使用準備の為に本機は防御や回避行動を行えない、ただの木偶の坊に成り下がる!その間の援護を願いたい!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユークリッドが各部のスラスターによって体勢を制御。機体上部に備えた兵装の砲口をレクイエムへと向けたことに警戒心を抱いたのか、レクイエムの防衛線を構築している艦隊やMS群のかけてくる圧力が強まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ッ……』

 

 『シン……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逡巡するシンさんの様子に、気遣わしげなルナマリアさんの声によって気付く。

 急いで通信を繋げて、口を開く。レクイエムを確実に破壊するなら、彼等との協力が合理的だと伝えようと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『シンさ──』

 《信じて、いいのか…………?地球連合の軍人を…………》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、読み取ってしまったシンさんの内心に、思わず言葉が詰まる。ソコにあったのは、地球連合への不信。

 

 焼かれる故郷(オーブ)の光景。その際に失った、愛する家族の無惨な姿。戦争の道具として弄ばれ、腕の中で力なく目を閉じるステラ・ルーシェ──守りたかった少女の姿。

 あまりにも大きな、確執。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ゼフォー……?』

 

 『あッ、その……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 呼びかけられたシンさんからの言葉に、上手く返事を返せない。

 

 ドラグナー隊の彼らは、気の良い人たちであってオーブであっても一般市民の虐殺は許せないと義憤を抱いていると、俺は知っている。

 彼らが時間をかけてまで使おうとしているモノがキチンと効果を齎すと、俺は知っている。

 

 

 

 けれども、シンさんは、そんなことは知らない。

 

 

 

 だというのに、抱いている確執を──シンさんの過去を、哀しみを、怒りを、合理的だからといって無かったことにして手を取れ、というのはあまりにも身勝手なんじゃないか。

 

 そんな考えが、舌を縛って言葉を封じる。そんな事を気にしている場合じゃない、という自分の中の冷静な部分が提示する合理的な選択。

 それは、自分が散々に否定したアコード連中に通じるんじゃないかとまで、思考が飛躍する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ッ……、ルナ!連合のMAの援護を!』

 

 『まかせて!』

 

 『えッ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その思考の袋小路を、シンさんの言葉が吹き飛ばす。目を見開いた俺を他所に、そのままシンさんは言葉を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『連合のおっさん!アンタの言葉、信じるぞ!』

 

 『すまん、恩に着る!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉に、思わず目を見開いた俺の耳にシンさんの柔らかい声が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ゼフォーは、信じたいんだろ?……なら、オレはお前を信じるよ』

 

 『ッ……!ありがとう、ございます……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モニターに戦術リンクでタイマーとユークリッドの射線軸が映し出される。

 そして、自由の為の一手。そのタイマーが回り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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