地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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 ごめんなさい。思ったより長引きそうなので、前話タイトル修正します。









FINAL-PHASE-3 例え銀の弾丸になれずとも②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 守備隊の決死の抵抗にも欠片ほどの痛痒を感じさせなかった、それこそまさに破滅の権化と言えたデストロイの巨体がキャバルリー隊によって瞬く間に炎を上げながら頽れる。

 

 その様子はどうにか持ち堪えていた守備隊と、その背に庇われる避難民の間に広がっていた絶望の滲む空気を希望へと反転させた。まるで夜の闇を夜明けに差し込む朝日が消し去るように。

 だが、まだまだ夜が深い。朝日の差し込む夜明けまでは、まだ遠い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『お前たち、油断するんじゃない!……そら、お客様だッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポイントアルファの守備隊の隊長がコンパスという増援の到着に緊張の弛緩した部下たちの気を引き締めるために檄を飛ばす最中、崩れかけたビルを押し退けて人の上半身を生やした蟲のような異形が顔を覗かせる。

 その後ろには複数のダガーやゲルズゲー、リニアガン・タンクを主とした戦闘車両群の姿がある。

 

 

 

 

 

 

 

 『ッ……』

 

 『怯むなッ、撃ち続けろ!アイツはバリアで防御してる間は攻撃出来んはずだ!』

 

 

 

 

 

 

 その光景に息を呑む部下へと隊長が鋭く指示を飛ばす。コンパスが到着した今なら、相手の足を止めるだけでも状況の打破に繋がると判断して異形──ゲルズゲーの改造機へとビームを撃ち掛ける。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()光波シールドを貼りながらも足を止めた姿を見て、部下たちも同様にビームを放ち始める。

 その姿を見て隊長は通信に乗らないように気をつけながら、小さく息を吐いた。

 

 何度もビームを防いだシールドの耐ビームコーティングはそろそろ限界が近い。

 隊長自身だけでなくここにいる全員分のシールドが、だ。もしコンパスが到着するのが後少し遅れていたなら、もはや守備隊はENLFの軍勢に押しつぶされ多くの命が炎の中に消えていたことだろう。

 

 だが、そんな思考が隙を生んでしまったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 『グゥッ……なんだとッ!?』

 

 『隊長ッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 相対していたゲルズゲーの改造機──ストライクダガーから量産型ハイペリオンのものへと上半身を換装したゲルズゲーハイペリオンがその両手に持ったM7045/F7ビームライフルから放ったビームが、展開していた光波シールド──アルミューレ・リュミエールを通り抜けてシールドを直撃。

 

 隊長の驚愕と共に、耐ビームコーティングの限界を迎えてシールドが吹き飛び105ダガーの姿勢が崩れた。

 

 

 すぐに近くのダガーLがカバーに入り、シールドを構えながらビームカービンを連射する。

 だが、その悉くがアルミューレ・リュミエールの輝きの前に散らされる。それを見ながらゲルズゲーハイペリオンは再び両手に握るライフル、それに加えて自身の搭載する武装の中で最大の威力を誇るウィングバインダー先端部のフォルファントリー二基の照準を、眼前の二機越しに避難民へと合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『チクショーッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 その意図を見て取った年若いパイロットは、無駄だと理解しながらも雄叫びを上げながらもう耐久性が心許ないシールドをそれでも必死の思いで前に掲げた。

 

 その時だった。ダガーLのセンサーが拾い上げた風切り音を、コクピットのスピーカーが出力する。

 ゲルズゲーハイペリオンが構えたライフルとフォルファントリーの照準が、その風切り音の正体──ゲルズゲーハイペリオンを飛び越えた背後の105ダガーやリニアガン・タンク目掛けて飛翔する誘導弾へと向けられ、撃ち放たれた。

 

 二本の光条が闇夜を駆け、ダガーLの頭上を通り過ぎたばかりの誘導弾を煌めき混じりの爆炎へと変える。

 僅かに遅れて伸びるもう二つの光条が、その煌めき──アンチビーム粒子によって拡散。

 直後、より強く煌めいた爆炎を突き破って白黒ツートンのMSが避難民とENLFの軍勢の間へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──見事やな…………此方も(身体を)張らねば…無作法というもの…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのMS──エールカラミティの強化改造機、シルフカラミティのコクピットで僅かに笑みを浮かべながら守備隊の様子を伺いながらそう思いを巡らせるのは、ゼフォー・ローワン特務中尉。

 そのふざけた字面からはイマイチ想像出来ないが、彼は極めて真面目に守備隊に対して敬意を抱いていた。

 

 一発のビームで対ビームシールドが吹き飛ぶ程の消耗、ユークリッドEによる軌道降下前のブリーフィングでの想定を上回る数の避難民の生存者。

 これだけで、守備隊の挺身は一目瞭然だ。だからゼフォーは、圧倒的に有利な頭上というポジションではなく火線に晒される敵の真正面に飛び込んだのだ。

 カラミティが掲げる"シュターリズリヒト*1"ビームシールドで、勇敢で善良かつ無鉄砲なダガーLや彼が庇った僚機や避難民を庇う為に。

 

 カラミティの背後に遅れて到達した、先ほど迎撃されたものと同じであるアンチビーム粒子拡散誘導弾が時限信管によって炸裂する事で、守備隊と避難民の前方にアンチビーム粒子の雲が形成される。

 カラミティはその右手に装備した先ほどシュトゥルムファウストを両断した得物──19.19m複合重斬槍"ロンゴミニアド"の重厚な切っ先を、馬上槍試合(ジョスト)に臨む騎士の如くゲルズゲーハイペリオンへと突きつけながら更に加速した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『万歳ァァァァァァッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通信を切り忘れているのか、コクピットのスピーカーから飛び出すゼフォーの叫び声にハンナ・バーベラ大尉は思わず顔を顰めた。

 それだけに飽き足らず有利なポジションを放棄して敵の前方に飛び出すという、火線に晒される避難民を前にして視野狭窄に陥ったような行動を叱責しようと口を開き掛けるが全天周囲モニターの一部に拡大表示されたゲルズゲーハイペリオンの姿に息を呑む。

 厳密には、展開された光波シールドの範囲が通常のゲルズゲーの陽電子リフレクターよりも広く、機体の上部までもカバーしているのを確認してだ。

 

 

 自分の方がよっぽど視野狭窄に陥っているじゃないかと、僅かばかりの自己嫌悪。

 だがすぐに切り替えて、ゼフォーに求められた援護へと意識を向ける。

 

 105ダガーたちやゲルズゲーは既にこちらを捕捉してビームライフルの砲口を向けていた。

 すぐさま殺到する幾多のビームに、ブルドックを含めた戦闘車両群が放った誘導弾の群れ。

 

 

 

 闇夜に大きな爆炎が拡がる。

 直後、人間で言う顔の部分のおよそ八割を覆うバイザーの内側でX状に配置された二対四個のカメラアイを光らせながら、大西洋連邦主導で開発された地球連合軍の次期新型MS"レクサス"がそれを突き破って飛び出した。

 そのまま前方へと掲げたシュターリズリヒトの光の内側で構えられた、強化型ビームカービンの銃口が煌めく。

 

 

 

 

 

 

 

 「モノフェーズ化光波シールドがお前らだけのものだと、思うなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 放たれた閃光が105ダガーたちの内一機を撃ち抜いた。そのままレクサスはビームを連射するが、陽電子リフレクターを展開したゲルズゲーたちがホバーによって飛翔。

 素早く射線上へと割り込んで、友軍に降り注ぐ光の雨を防ぎきる。その背後からMSたちと戦術リンクすることで間接的に照準された誘導弾が飛び出した。

 

 構えたカービンを自身の側面を狙う誘導弾へと向けたレクサス。そこにゲルズゲーが陽電子リフレクターを展開したまま吶喊を仕掛けた。

 このまま直進すればゲルズゲーとぶつかり、質量差で跳ね飛ばされる。かといって進路を変えれば今の姿勢──前面投影面積をなるだけ抑えた姿勢が崩れ、ビームシールドで庇いきれなくなった部分を地上の105ダガーたちが狙い撃つだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ハンナ大尉!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンナの脳裏を過ぎる逡巡。その時、コクピットに響いたゼフォーの声に背を押されハンナは勝負に出た。

 カービンの銃口をゲルズゲーへと向け直す。その上でグリップを左手マニピュレーターで握る事で前方に構えたビームシールドの発振を止め、左前腕部へとマウント。

 

 無防備になったレクサス。だがゲルズゲーは向けられたカービンを警戒して陽電子リフレクターを解除出来ず、105ダガーの射線はゲルズゲーの巨体が遮っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「バカめっ、そのまま跳ね飛ばしてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがそのまま吶喊し跳ね飛ばしてしまえば、ゲルズゲーの質量と速度の掛け合わされた衝撃。それに加えて展開された陽電子リフレクターで敵MSはお終いだとゲルズゲーの車長は判断してそのまま吶喊する。

 …………吶喊して、しまった。

 

 

 自由になった左手でレクサスは左腰のアーマー内にある、()()()()()()()()()()()()を施された特別仕様のスティレット投擲噴進対装甲貫入弾を手に取って思い切りゲルズゲーへと投げつけた。

 スティレットはそのままロケット推進の力も相まって高速でゲルズゲーへと向かい、陽電子リフレクターをすり抜ける。

 

 その際の抵抗でハンナのつけた狙いからは僅かに逸れたものの、ゲルズゲーのMS部分の左上腕部へと直撃。

 そのまま起爆して左腕を備えられたシュナイドシュッツごと吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なっ……しまっ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それに車長が驚愕の声を上げた直後、続け様に撃ち込まれたビームカービンの閃光が陽電子リフレクターの防護を失ったゲルズゲーを貫いて爆散させる。

 そのまま素早くビームシールドを前方へと構え直したレクサス。その背を追う誘導弾が、ばら撒くように迫った光弾によって吹き飛んだ。

 同様に追撃を仕掛けようとしたゲルズゲーにも複数の誘導弾が襲い掛かり、陽電子リフレクターを解除出来ずにレクサスの背を見送るほかない。

 

 

 

 そんな背後を尻目に為されたレクサスの射撃によって、急激な状況変化に反応しきれない地上のENLFたちは戦闘車両群を中心に大打撃を被る。

 

 それでも咄嗟にシールドを上方へと掲げて生き残った腕利きが駆る複数の105ダガーたちを認識して、ハンナはカービンを右腰アーマーへとマウントした。

 そのままハンナの駆るレクサスは、高機動近接戦の想定された新型ストライカーである"アクイラストライカー"の右背部にマウントされた11.4514m対艦刀"レーヴァテイン"を抜き放ちながら高速で吶喊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両翼端にマウントされた"トライデント"三連装ビームガトリングガン及び200mm六連装多目的ミサイルランチャーによってレクサスの吶喊を援護するカラミティは、ゲルズゲーハイペリオンが撃ち放つビームの射線へとその機体を滑り込ませながら迫っていた。

 

 それもただ背に庇った避難民たちへの流れ弾を少なくするだけで無く、ゲルズゲーハイペリオンをその場に縫い止める為に攻撃も行いながら。

 今もまた、ロンゴミニアドの最早大剣と言った方が適切だろう幅広で分厚い大きな穂先の側面に二門ずつ、計四門備えられた砲口からビームを放っていた。

 

 

 

 

 外観上は無敵とも言える防御力のアルミューレ・リュミエールを展開しながらドッシリと構えてカラミティを迎え撃っているように見えるゲルズゲーハイペリオンだったが、その実かなり苦しい状況であった。

 自身の背後では、対艦刀を振るって105ダガーやゲルズゲー相手に大立ち回りを繰り広げるレクサスがいる。

 いつの間にか合流していたのか、ユークリッドや他のMSの姿を確認できる。

 友軍が全滅するのは、そう時間がかかる訳ではないだろう。

 

 先程ゲルズゲーを墜した様子を見れば、コンパスのMSたちは何らかの光波シールド対策を講じている。

 それを思えば、アルミューレ・リュミエールが全周囲に展開出来るとはいえ目の前のカラミティに背を向けることは出来ない。

 まさに八方塞がりであった。そして、彼らの推測が正しかったことが目の前で証明される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「着ャァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼフォーの雄叫びとともに、ロンゴミニアドの四門の砲口から鋭く煌めくビームスパイクが伸びる。

 そのまま速度を乗せて分厚く長大な切っ先が突き出される。ビームスパイクがアルミューレ・リュミエールの光を切り裂き、10mを超える刃渡りの鋭い切っ先がハイペリオンの上半身を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「剣ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、シュトゥルムファウストを切り捨てた時のようにその両のふちにビーム刃が出力されて振り下ろされた。

 カラミティが後ろへと飛び退く。僅かに遅れて、ゲルズゲーハイペリオンの二つに分たれた巨体が火花を散らし爆発した。

 

 

 

 

 その様子を、ダガーLのコクピットの中で眺めていた年若いパイロットは知らず息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アレが、コンパスのキャバルリー隊……〈ファウンデーション事変〉で生き残った、連合の精鋭…………」

 

 『あー、もしもし?』

 「ッ……」

 

 

 

 

 

 

 

 感嘆とともに溢れた言葉のすぐ後、眼前のMSから繋がったらしい通信に思わず背筋が伸びた。そして、思っていたよりも若い声とその顔に僅かに目を見開いた。

 そんな様子を知ってか知らずか、ダガーLの眼前に居るコンパス所属MSのパイロットであるゼフォーは口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『貴方方の苦労を見ていたぞ?本当によく頑張った──』

 『ゼフォー特務中尉!気持ちは分かるが突出しすぎるなと、何度言えば分かる!?』

 

 『ひぃん、ごめんなさい!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ドイツ語で硬直した光を意味する

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