地球連合所属属性多め憑依転生者 in 世界平和監視機構コンパス   作:ガンダムおじさん(にわか)

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 番外編、ゼフォー以外の人物を主軸に置いた三人称視点です。
 見づらかったら、ごめんなさい。


PHASE-EX1 三者三様 1/2

 

 

 

 『ヤマト隊長ッ!あれが居るなら民間人の避難どころじゃありません!!総力を持って、最低でもシン大尉と隊長でェッ、対処することを具申しま、ッす!』

 

 『ッ、ダメだ!それ以外のモビルスーツもかなり広がってる!デストロイは僕が引きつける、最初の指示通り行動をっ!』

 

 

 キラ・ヤマトは、胸中に走る痛みを抑えながらゼフォー・ローワンに具申された意見を却下した。

 意識を向ければ、ゼフォーの駆るウィンダム・カスタムは自身へと向かって来たデストロイの直掩機──ウィンダム二機を眼下に収めながら、撃ち放たれるビームを避け、防ぐことに注力していた。

 おそらくは、市街地への流れ弾を出さぬ為。その背に装備されているエールストライカーが小回りが利くものである事を加味しても、()()()()()()()()()かなりの腕と言っていいだろう。

 

 

 だが、その事が逆にキラの胸中の痛みを強くする。生体CPUとして()()される運命から、戦いの只中に放り込まれる未来から逃れたはずの()()1()6()()()()()が、今ここで戦いに身を投じている。その因果の一端に自身が関わっている。

 ましてや、デストロイ(自身の同類)を、なるべく早く撃滅する為(死なせる為)の意見を言わせてしまった。

 

 

 そんな風に軋みをあげるキラの精神とは裏腹に、その肉体の動作に淀みはなかった。

 すでに投擲されているシールドブーメランの軌跡を操作し、ウィンダム二機を瞬く間に無力化する。

 それを認識したゼフォーは、機体を翻らせ市街地へ──民間人を庇っているルナマリア・ホークの駆るゲルググの元へと駆ける。空からのウィンダム、地表のダガーからの攻撃を避けながら、その道中で路上にある損害の軽微な車両を抱え上げるなんて芸当をこなしつつもだ。

 その動きの淀みなさは、十分以上に熟達した兵士といっても過言では無いだろう。

 

 

 また、キラの精神が軋みをあげる。今度は、()()を為せるパイロットは手放し難い、という冷たい思考を自身の内に見てしまったからだ。

 知っている筈なのに、その能力の裏には健康を害する薬物の存在がある事を。

 ゼフォーのコンパスへの出向の主目的、()()C()P()U()()()()()()()()()()()()()()()の成果は発揮され、以前と比べれば劇的といっていいほどにその心身の状態は改善されていることは知っている。

 それでも、と。()()()()()により戦闘に動員されていなければ、もっと早く、もっと良くなっていたのでは?という思いは拭い去れない。

 やはり自分は何も守れては、救えてなどはいないではないのかという疑念が浮かぶ。

 

 

 キラの沼に沈み込んでいくような胸中とは裏腹に、戦闘は淀みなく進む。空中においてはキラの駆るライジングフリーダムの、一方的な蹂躙とも言えるほどに。

 デストロイの切り離された腕部──シュトゥルムファウストをビームサーベルで切り捨て、もう一方はシールドブーメランによって叩き落とされた。

 キラは、残されたビーム砲を撃ち放とうとするデストロイ(ゼフォーだったかもしれない誰か)から、これ以上の惨劇を起こさせぬよう墜とす為に、逸らさなかった(軋む心から、目を逸らした)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アザっス。それじゃあ、これからの休暇は若いお二人で仲良くゆっくりとっスね。スっスっスー」

 

 「ゼフォーッ、何を言って……いやそれを笑い声は流石に無理だって!」

 

 

 

 シン・アスカは、自身とルナマリアとの関係を揶揄した言葉を残しながら部屋を退出したその背に、思わず言葉を投げつけた。

 だが、ゼフォーは気にすることもなく、そのまま流れていった。

 

 

 やかましく元気な様子に、しょうがない奴だとフッと顔に小さな笑みが浮かぶ。そして、初めて出会った時の事が頭によぎった。

 

 

 

 あれは、そう。フリーダム強奪事件からすぐであっただろうか。少なくともその時にはもう、シンはイモータルジャスティスを受領していた時期であった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()西()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。当初は大西洋連邦単独による対応であったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()戦線が拡大。市街地への被害すら出た段階で、ようやくコンパスへの出撃要請が出されたのだ。

 

 

 最初から頼りもせず見栄なんて張るからそんな事になるんだ、と思わずこぼしたシンにルナマリアとキラは宥める言葉を送っていたが、ついぞ否定の言葉は出なかった。おそらく、内心では同意があったのだろう。

 事実、ヤマト隊が戦闘に入れば瞬く間に抑え込まれてしまう程度であった。尤も、この時も前線にはキラが立ち、市街地周辺の防衛・避難誘導へとシン達は回されていたのだが。

 

 

 そして、もはや事態は終結するというところで異変があった。軍事基地から離れていた倉庫街、その一角から突如爆発が起きたのだ。次いで、爆炎を吹き散らし空へと躍り出る()()()()()

 ウィンダムであった。そして、他の倉庫からも同様に飛び立つ姿が二つ。

 

 

 最も近い場所にいたシンは、事態を報告し即座にその影達へと向かった。

 その影達の動きは、伏兵と称するには不自然が過ぎた。最初に飛び立ったウィンダムは、フラフラと向かう先が定まっていないようであった。次いで飛び立った二機は対照的に、迷う事なく真っ直ぐに先頭のウィンダムへと向かい攻撃を始めたのだ。

 

 仲間割れか?という疑問に一瞬囚われた思考を取り戻し、オープンチャンネルの通信で呼びかけようとするシンだが、その前に状況が変化する。

 攻撃を受け、逃げ惑っていたウィンダムの動きが一変した。まるで恐怖が消えたかのように、吹かしていたスラスターを全て止めての急降下。追撃していたうち、先行していた方がその動きに対応できず追い越したところへと一撃。胴体部へ直撃させ、爆散させる。

 だが、もう一機は健在。撃ち放たれたビーム、背後からの一撃。それを機体を翻して回避しようとするも、ジェットストライカーの翼部──不幸にも懸架していたロケット弾に誘爆したのか爆発。

 きりもみしながら墜落する様子に、シンは呼びかけを中断。追撃をしていた側を敵と見て行動を起こした。

 

 

 どちらもシンに気付いていないのか。墜落した側はパイロットは無事だったらしく、ハッチを強制排除。追撃側は、余裕綽々といった様子でゆっくりと降下していた。

 ハッチから這い出たパイロットの姿が、ジャスティスのモニターにズームされ映される。

 

 

 

 小柄な、肩口近い茶髪の少女のように見える姿。シンの脳裏に、()()()()()()の姿が重なる。

 シールドブーメランを投げ放ちつつ、ビームライフルでもって頭部と腕部を狙い撃つ。ウィンダムと人影の間にシールドが聳え立つ、その直後狙い違わず着弾。

 

 無力化されたウィンダムには目もくれず、その場に降りたったジャスティスのハッチを開けてシンは地面に降り立つ。人影は気を失ったのか、地面に崩れていた。

 

 

 

 「おいッ!大丈夫かッ!?……ッ!」

 

 

 

 声をかけて顔を見れば、目の下に色濃い隈。それはステラ・ルーシェ(守りたくて、でも守れなかった存在)を想起させるには十分で。そこから後の行動は、兵士としては褒められたものではない衝動的なものであった。

 その軽い身体を抱え上げ、ジャスティスのコクピットに戻ったシンは報告と呼べるかも怪しい通信をキラへと行い、現場に到着していたアークエンジェルに着艦。キラが連絡を入れてくれていたのか、カタパルトデッキに既に用意されていた担架に逃走していたパイロットを乗せた。

 その際に首筋に見えた大きな傷跡も、否応なしに過去を想起させた。ただならぬ様子に、声をかけてきたマリューとムウへとシンは震える声で伝える。

 あの子は生体CPUかもしれない、と。場の空気が強張る。ムウがシンの肩へ手をかけて、声をかける。

 

 

 

 「滅多な事を、言うんじゃない。まだ分からんだろう?」

 

 「アンタは、知ってるだろうッ!ステラだって、あんな風にやつれてッ……!」

 

 

 

 肩の手を跳ね除けて、声を荒げるシンの両肩にそれでも手を乗せムウは声を絞り出した。

 

 

 

 「だからこそ、だ。そんなことを大声で言うな。……あの子の為にも、な?」

 

 

 

 

 生体CPU、それはブルーコスモスの用いる様々な非人道的な処置を受けた被害者であり、同時に惨劇を巻き起こす大型MAのパイロット──加害者であることがほとんどである。憐れみを向けられると同時に、少なくない嫌悪を向けられる存在でもあった。

 

 

 

 「……ッス、スイマセン……」

 

 「いいさ、気持ちは分かるつもりだ」

 

 

 

 そのことと、ムウの目に宿るものを感じてシンは謝罪を口にしてムウはそれを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 それから、その生体CPUらしいパイロットは検査の結果やはり生体CPUであると確定したこと。ウィンダム達が飛び立った倉庫街を調べたところ、デストロイが発見されたこと。所持していたドッグタグから、()()()()西()()()()()()()()()()()()()()()ことが分かったことから大西洋連邦へと返還しなければならないのでは?となった。

 

 

 もちろん、ハイそうですかと話は進まない。シンは過去の経験から返還すればそのままブルーコスモスの尖兵として利用されるのではと抗議し、()()()()()()()()C()P()U()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う疑念がそれを後押しした。

 しかし、生体CPUの調整のノウハウを持ち合わせていない以上、手元に置いていても悪戯に苦しめることになることは目に見えていた。

 

 

 

 「オレは、また繰り返すのか……?」

 

 

 

 アークエンジェルの医務室、そのベッドの側。シンは生体CPUの様子を見ながら、ポツリと呟いた。無力感からの、吐露だった。

 

 

 

 「やっぱり、ここにいたんだね。シン」

 

 「……隊長」

 

 

 

 そこに声をかけたのは、キラだった。准将、と言う高い地位にあるからだろうか。この降って湧いたある種デリケートともいえる政治的な問題にも関わっているようで、パイロットスーツからコンパスの制服へと着替えている。

 

 

 

 「その子のこと、やっぱり心配?」

 

 「そんなのッ、当たり前じゃないすか!!」

 

 

 

 キラの言葉に、思わずシンの声が荒ぶる。一度目を覚ました時も、苦悶の声をあげその身を暴れさせていた。すぐに痛み止めを打たれたが、()()()()()()()()()()()()()()()()最終的に鎮静剤をもって大人しくなったのだ。

 

 

 

 「……やっぱり、向こうに帰さないとダメなんすかね……」

 

 「……うん。たぶん、僕らじゃ根本的な治療は無理だ」

 

 「……ッ。でも、そうしたらこの子はまた……」

 

 「そんなこと、させない」

 

 

 

 キラの言葉に、ハッと顔を上げたシンの目には入ったのは強く握られた手。次いで覚悟の宿った目。

 

 

 「どうにか……なるんすか?」

 

 「絶対……とは言えないし、こういうのはあんまり得意だとも言えないけど。どうにかできるかもしれないやり方は、ある。……だから」

 

 

 

 キラはそう言って、椅子に腰掛けるシンと視線の高さを合わせて言葉を続けた。

 

 

 

 「信じてほしい。できる限りのことをするから」

 

 「…………お願いします、この子のことをッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこからは、シンにとっては拍子抜けするほどに話が進んだ。キラはこの件をコンパス総裁であるラクス・クラインへと持ちかけ、ラクスは大西洋連邦大統領・フォスターへと生体CPU及びデストロイの件に関して直接話を持ち掛けた。細かいやり取りはシンは知らないものの、最終的には生体CPUの経過報告をコンパスへと通達することで合意が為されたようであった。

 後日、キラから見せられた経過報告に添付されていた写真で生体CPU──ゼフォーが、無表情に両手でピースサインをしている様子を見せられた時には困惑してしまったが。

 尤も、この時からゼフォーの性格は示唆されていたのかもしれないとシンは思っている。

 

 

 

 

 そこから、紆余曲折を経て自身と肩を並べてゼフォーが戦う事になったのは少しばかり思うところはある。

 経緯は違えど、()()()()()()()()()()()()()()()()。ふと、本当にこれで良かったのかと思ってしまうのだ。

 

 

 

 

 「シン〜〜?今度は、何をウジウジ考えてるの?」

 

 「ッ別に、ウジウジ考えてなんか!ただ、ちょっと……ゼフォーのことでさ」

 

 「ゼフォー?」

 

 「結局、アイツ……戦うことになっててさ。これで良かったのかなぁって」

 

 「何言ってんのよ、多分そんなの気にしてないわよ。あの子」

 

 「それは、そうかもだけどさ……」

 

 

 

 ルナマリアの言葉に、思わず振り返ればそこにはなんだか暖かく見守るような笑顔があった。

 

 

 「それに、シンがいなきゃゼフォー。死んでたようなもんじゃない。どんな形であれ、生きられるなら生きたいんじゃないの?」

 

 

 

 ────どんな生命でも、生きられるなら、生きたいだろう。

 

 

 「そうかな、そうだと……いいんだけど」

 

 

 

 

 そう言いながらも、シンは少しだけ心が軽くなった気がしていた。

 

 

 

 

 

 

 




 三者三様というタイトルですが、長くなったので分割します。
 出来るだけ早く残りを上げれるように頑張ります。
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