熾天使の転生正義   作:鋼色

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一話 傲慢と正義の出会い

ある世界、ガリグリオにて一柱の堕天使、一柱の天使が居た。天使は熾天使であった。神々に造られた神造的なものでは無く、自然から生まれた稀有なものだ。今では殆ど確認されていないものだ。

 

堕天使は異世界から召喚をされ、勇者となり、天使から熾天使に昇華した後堕天した男である。司るは傲慢である。人としての名前は藤宮周。悪魔、堕天使としての名前はルシファーである。

 

「おい、お前は名前あるのか」

「無い……ただの兵器」

「なるほど……飲み物、飲むか?」

「そんなの、要らない。僕は動かなくちゃ、僕が動かなくちゃ」

「うっせえよ、飲め」

 

そんなボロボロな僕に缶ジュースを差し出してきた。何百年ぶりに見たこの缶。懐かしい気持ちに浸りながらも、僕はグビッと飲む。食べ物や飲み物は僕は種族的に必要としていない。だけど、精神的には必要だ。僕以外の天使は知らないが、元人間だった僕からしてみれば食べる事は精神的に癒しとなっている。

 

飲み終わり、缶を下げていると瞳から水が流れてきた。戦争に参加し、人を殺している時にも流れていなかった涙が流れた。

 

その涙をきっかけとしてどんどん感情が表に出てくる。こんなものは要らないのだ、と思って抑え込んできた感情が溢れ出してくる。

 

「無理すんな。お前は体が天使であろうとも、精神は人間だ」

「違う!僕は、僕は人殺しなんだ。殺戮兵器なんだ……僕なんかが人間な訳が無い」

「俺だってそうだ。昔、俺は勇者として召喚された。魔王を倒す為、っていうものだった。だけどさ、魔族って人なんだぜ」

「え?」

「つまり俺も人殺しだ。お前と一緒だな、お揃いこさんだぜ」

 

隣に座っている堕天使を見る。黒き三対六と翼を生やしていた。しかし天使としての面影は存在していて、白髪と頭の上に金色の輪を持っていた。

 

この堕天使の顔は見た事がある。確か、最も偉大で最も愚かな勇者だと言われていた筈。人間から天使に昇華したにも関わらず、堕天した愚か者だと。

 

「あっ、スマン。……悪い、ベルゼブブ。仕事が終わって戻ろうとしていたらある少年を見つけてな。ああ、俺が止まる訳がある。種族は天使も天使、熾天使だ。ロア様は造ってないみたいだから自然だろうな」

 

堕天使が耳に人差し指と中指を添え、魔法陣を展開している。僕は天使であり、堕天使程の魔力関係の能力は持ち合わせていないが、それでも世界という枷に縛られない超越存在だ。人間よりかは持っている為、何の魔法なのかは察しがつく。通話などの魔法だろう。

 

この堕天使の様子から見て、僕を悪くはしないと思う。雰囲気から見ての何と無くだが、何百年も生きてきて、戦ってきた天使としての勘だ。たくさんの人を見てきた天使としての勘だ。

 

堕天使は通話が終わったのか、僕に手を差し出してくる。

 

「俺と一緒に来るか?」

「行く、僕を連れていって。兄者!」

「あ、あに……!?ああ、俺はお前の兄だ!だから俺と来いよ」

 

 

 

 

 

 

「なるほど、確かに自然の熾天使です。珍しいですね。……それにしても、ぷふっ!随分と懐かれてますね」

「何で笑ってるんすか、俺キレても良いですか?」

「理不尽ですよ!?私上司ですよ?酷く無いですか!?」

「いや、全然」

 

兄者とロア様は友人のように話し合う。いや、多分友人なんだろう。兄者はロア様の最初の眷属だって言ってたし、特別なんだろう。それを他の眷属達に反抗されていないのは場所を弁えてるからなんだろうね。さっきもそうだったし。

 

僕は兄者の膝に心地良さそうに座っていると、ロア様から声を掛けられた。

 

「良いですか?貴方の熾天使としての属性を調べます。それによって貴方が受けるべき教育がハッキリします」

「どれでも俺は基本的に何でも熟るんですけど」

「料理は?」

「はて、何を言っているのかよく分かりませんね」

 

ああ、兄者って料理が苦手なんだ。まあ、勇者として活動している頃も料理とかを作る設備とかあまり無かっただろうし、誰かがやってくれたであろうからね。

 

まあ、そんな僕も料理は一切と言ってもいいくらいには出来ないんだけど。でも仕方ないと思うの。僕って天使に転生してから数百年、ただ戦ってきただけだし。僕が転生する前?当たり前にカップ麺学生なんだよ、言わせないで。

 

ロア様が僕の額に触れる。属性を調べる為にしている事なのだろうが、その調べる為に発動している魔法が少しポワポワしていて気持ちが良い。

 

「出ましたよ、貴方のぞくせ……え?……何かしましたか、ルシファー」

「いや、特に何もしていないけど」

「この子、生まれながらにバグの子なんですね。属性が『正義』、『謙虚』、『統括』ですよ」

「何で美徳が二つもあって美徳に並ぶバグ適正があるのでしょうか。我ながら凄まじい弟を拾ってきたのかもしれない」

「かもしれないじゃ無いですよ。確定ですよ、確定。貴方、自分の名前は何か分かりますか?その名前によっては格の上昇があり得ますから」

 

僕はその言葉に疑問を浮かべる。そんなもの、先ほどから浮かんでこない。もしかしてこれは思い浮かべないとダメなのだろうか。

 

頭の奥の情報を引き出すかのように魔力で頭を巡らせる。そうしていると、僕の脳内に突如として名前が現れた。いや、普通にビックリしたんだけど。何なの?これは驚かす為にある仕組みなの?多分元人間だからなんだろうね。ええ、見事に引っかかりましたよ。チックショウメー!!

 

「ミカエル、僕の名前はミカエルです」

「はい、ぶっ壊れ確定演出入りましたー!」

「確定演出って何やねん。まあ、強いのは認めるけどな」

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