ウマ娘の寿命が現実の馬と同じ世界線の恋愛事情   作:daidains

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読み専の方にこそSSを書くことをおすすめしたいです。
実は自分でSSを書くと、読者としても利益が得られるんです。

私はこのSSを書き始めてからというもの、目次の「読者層が似ている作品」を読み漁っています。ここに掲載されている作品が自分好みである確率がかなり高いんです。
自分好みの作品を投稿していると、自動的にいい感じの作品が寄ってきてくれる。

あと公開お気に入り登録をしてくれている方のお気に入りを参考にするのも当たり率が高いですね。

SSを書いているとこういう理由で読みたい作品が指数関数的に積みあがっていってしまっています。嬉しい悲鳴ですね。そんな感じでついつい色々と読むのに時間を使っちゃうから投稿が遅れるのも無理はないことで……いや、投稿遅れてすみませんでした!

さぼっていたわけではないんですよ、ずっと考えてはいました。
でも私2万字を超えるストーリーを書くと作品がまとまらなくなってくる病を患っているんです。プロットをちゃんと最後まで用意してから書き始めているんですがね……。


アドマイヤベガの過去【トレセン編③】

「じゃあ、お疲れ。気を付けて帰ってね」

「ええ、今日もありがとう。また明日」

 

 時刻は午後5時45分。私はトレーニングを済ませ、トレーナーと帰りの挨拶を交わしたところだった。ここ半年でトレーナーとのやり取りにもすっかり慣れた。この間、先ほどの会話が別れ際のお決まりのやり取りと化していった。ずっと前からこうだったかのように、あるべき姿を取り戻すかのように、こういう形に落ち着いた。

 

 ターフにはまだ多くのウマ娘たちが残っている。大抵の生徒は午後7時くらい(熱心ならもっと遅く)までトレーニングをするのが常だ。が、私はいつもこのくらいの時間に早々と切り上げる。

 

 不安定な母親を長時間一人にしておくことはできない、なるべく練習時間は短くしてほしい――そんな私のわがままをトレーナーは最大限尊重してくれている。短時間で成果を出そうとしているのだから、練習前の準備は人より丁寧に練りこまなければならない。トレーナーはたくさん論文を読み、前例のないほど短時間集中型のメニューを毎日考え、私が授業を終えたころには練習の準備を完了させて待っている。そして終わったら片付けも全部ひとりでやってしまう。

 

 どれだけ多くの負担をかけてしまっているか、想像するに余りある。それでもトレーナーは文句一つ言わず、それでいて親身に寄り添ってくれる。本当に頭が下がるばかりだ。トレーナーは「そうしてでも担当したくて自分から誘ったのだからこのくらい当然、やりたくてやっている」と言う。しかし仮に百歩譲ってやって当然だとしても、そのことに感謝の気持ちを忘れてはならないと思う。

 

 実際トレーナーが献身的に提供し続けている練習メニューはとても効果的だった。今まで気にしたことのない部分まで筋肉痛になるくらい、体の隅々まで効いている。脚は筋肉がついて(やや)太くなり、以前のサイズのタイツがパツパツになってしまった。もう少し使えるだろうと新しいの買うのを後回しにしてしまっていたせいで、タイツがトレーナーの前で破けたりもした。相当に恥ずかしい出来事だったが、自分の成長が目に見えて現れたことに嬉しさも少しあった。いろいろな感情が交錯して、私は結局「見ないで!……でも、その、ありがとう」といった具合の訳の分からない返答をしてしまったのだった。忘れてくれていると良いのだが……。

 

「お、アヤベ。今は帰り?」

 

 帰り道、私はそう声をかけられた。声の方へ目をやると、彼女は以前私にレース勝負を挑んできたあの子だった。

 

「ええ、そっちは?」

「もうちょっとやるつもり。今度はアンタに勝ちたいしね」

 

 私達は既に和解していた。

 

 レースの後、トップロードさんが仲介してお互いの気持ちや事情を話し合う機会を設けてくれたのだ。私はコミュケーションが得意ではないし、あちらは意固地になるしで話し合いには相当な時間がかかった。

 

 しかし収穫はあった。彼女と話していくうちにわかったことなのだが、どうやら彼女は私のことを思ってあの行動に出たようなのだ。

 

『だってアンタ、もう退学寸前だったから。無理やりにでもああしないと、レースに出ないかも、そしてそのままいなくなるんじゃないかって……見ていられなくて……』

 

 長時間の話し合いでお互い疲れてきた頃、彼女はようやくそう語った。

 

 言われてみれば、彼女の真意に気づくチャンスはあったはずだった。

 

 だって本当に私のことが嫌いなら、トレセンにいるべきではないと思うのなら、私なんて放っておけばいいではないか。そうすれば私はレースに出ることもなく勝手に退学していくのだから。願ったりかなったりだろう。でも彼女は私を放っておかなかった。私に危機感を抱かせ、練習を促す。そのために私を打ち負かすべきだと考えた。不器用ではあったかもしれない。でも決して敵対者などではなかった。

 

「それでも、あんな言い方をするべきじゃなかった。アンタの事情も何一つ分かってなかった。ごめんなさい」

 

 彼女はそう言って頭を深々と下げた。

 

「私の方も、ごめんなさい。貴女のこと、誤解してしまって。気づけたはずだったのに」

 

 だから私もそう言って頭を同じくらい深く下げた。

 

 そう、気づけたはずだった。それなのに気づけなかったのは、私が被害妄想に陥っていたからに他ならない。余裕がなかったとはいえ、少し考えればわかることを放棄し、彼女を敵視した。

 

 お互いの真意を知り、過去の過ちに謝罪を済ませてしまうと、気持ちはすっと晴れやかになった。

 

 彼女も同じようだった。だからこうして後ろめたいところもなく、今は普通に挨拶を交わす間柄になることができたのだ。この機会を作ってくれたトップロードさんに感謝しなければ。

 

「そういえば、たんぱ杯勝利おめでとう。メイクデビューで負けた時はどうかることかとひやひやしたけどね。降着処分って」

「言い訳にはなるけど経験が少なすぎたのよ、私は」

「まあそのうち慣れるわ。それにしてもすごい追込だった。あんな切れ味、他の世代まで見てもそうそういやしない」

「『追込』ね……」

 

 

 私は近頃追込の選手として知られてきているらしい。とはいえ実は私に追込の適性があるわけではない。レースが始まってから、私の左脚に妹が降りてくるまでにはタイムラグがある。大体中盤まで走って脚が温まり切ったところで、妹はやってくるのだ。

 

『よし、お待たせ!』

「ちょっと遅いわ、すぐにお願い」

『任された!飛ばしちゃうよ~!』

 

 こんな感じ。

 

 そこまではうまく走ることができず、自動的に集団後方を走ることになってしまう。そして妹が降りてきた段階で脚がうまく回りだし、そこから一気に前方集団をごぼう抜きにする。こういうメカニズムで勝手に追込のような走りになってしまうのだ。追込は前が壁になることもあってリスキーな作戦だし、正直なところ先行・差しくらいで走りたいところだが、レース前半はうまく走れなくて前につけることができないのでどうしようもない。

 

 レース直後、一人でライブの開場を舞台裏で待っている間、妹にそのことを相談したことがある。

 

『いいじゃん!豪快でカッコいいんじゃない?』

「まじめな相談なの!……もっと早めに来てもらえないかしら。毎回ひやひやしながら走っているの」

『実際無理だよ。私だって焦らしたいわけじゃない。こっちに来れるようになったらすぐ来てる』

「じゃあ、逆にレースの後もっと一緒にいることは?」

『私だって一緒に居たいけど……。前も言った通り、“左脚が本来の役割を果たしている”間しか本当は会えないの。レースが終わってもこうして一緒にいるのは私が無理くり粘っているからで、これ以上は正直無理』

 

 そう言われてしまっては何も言えない。本来ここにいられるはずのない存在なのだ、彼女は。

 

 しかしどうしても思ってしまうことはある。彼女が消えてしまうことが怖い、と。

 

 なんというか、別れを考えると胸が張り裂けそうになるのだ。あの日病院で目覚めた時の感じを繰り返している。ずっと一緒だったものが急に消えてなくなる恐怖だ。

 

「……わかったわ、もうわがままは言わない。でももう一つ別に相談があって」

『何?』

 

 しかし私はそれを受け入れるしかない。私はもう一つの相談ごとに話題を切り替えた。

 

「母さんのことよ」

 

 それは母のことだった。

 

 母は私がいない時間が長くなると不安定になってしまう。だから短い練習時間で済むよう、トレーナーが手を尽くしてくれているわけだ。しかしそれでも学園から直帰していたころに比べ、一緒に居られる時間はどうしても短くなってしまう。母の不安定さは少しずつ増していた。孤独を忘れたいのか、隠そうとはしているようだがまた内職の量が増えてきている。

 

 でも痛いくらい気持ちは理解できる。きっと、妹がいなくなる度に私が抱く感情と相似なのだ。

 

「ひどいってほどじゃないけど最近危なっかしいの。だからもっと練習時間を減らそうと思っていて。一緒にいるべきだと思うの」

『ええ!でもそうしたら私が会いに来れなくなっちゃうよ!』

「……?レースに出さえすれば会えるんじゃないの?」

『お姉ちゃん、私が会いに来れるのは"左脚が本来の役割を果たしている時"であって、"レースに出ている時"じゃないの。ろくに練習しないで意味もなくレースに出ることが"本来の役割"じゃないでしょ。これ以上練習時間を減らしたらもう来れない』

 

 

 確かにそうだと思った。でも、それならどうすれば?

 

 母を放置するのも、妹に会えなくなるのも嫌だ。どうしたら良いのだろう。私にはわからない。

 

『……現状のバランスを維持するしかなさそう、かな。ちょっと難しい問題だけど……』

 

 結局行きついた結論はこれだった。現状をずるずる引きずるしかないのだ。受け入れる、私にできるのはまたもやこれだけ。

 

「……と、ちょっと!聞いてるの?」

 

 その声かけにハッと我に返る。そうだ、私は帰り際にあの子と話していたんだった。

 

「ぁ、ごめんなさい。考え事をしてしまって」

「……アンタ、ふと意識がどこかへ飛んでいくわよね。見ていて心配になるわ」

 

 私は彼女からの心配に微妙な笑みを返し、自宅への帰路についた。

 

 

 

******

 

 

 

「こんにちは。アヤベさん」

「……?どなただったかしら」

「いや、話しかけるのは初めてさ。君が有名だから知っているだけなんだ」

 

 弥生賞を間近に控えたある日のこと、私は知らないウマ娘からそう声をかけられた。

 

 彼女の自信に満ちた立ち振る舞いは誰の目にも留まる。栗色の髪は長く、美しい波打つカールが施されている。彼女の瞳は深い紫色で、見る者に強い意志と情熱を感じさせた。

 

「ボクはテイエムオペラオー。クラシック三冠路線を目指していてね、君とはいずれ戦うことになるはずだ」

 

 彼女――テイエムオペラオーはそう言うと不敵に笑った。なるほど、それで私を知っていたというわけね。私も彼女に向き合い言葉を返す。

 

「アドマイヤベガです。よろしくね、オペラオーさん」

「呼び捨てで構わないよ。君にはその資格がある。僕のライバルになりうる数少ない存在だからね、ハッハッハ」

 

 彼女はどうやら私をライバルとして認識しているようだった。しかしクラシックに出るのなら世代の有望株のはずであるが、彼女の名前を聞いたことがないというのは妙だ。最低限、同世代のライバルたちの情報は頭に入れているつもりだったのだが。

 

「ボクが誰だかわからず困惑していると見える。まあ今はしょうがないさ。恥ずかしながら重賞をまだ一つも勝っていないし賞金も足りていないしで皐月賞に登録すらできないからね」

「ええ?」

「まあ待ってくれたまえ、皐月賞に間に合わせるために全力でローテを回しているところなんだ。毎日杯で勝てば賞金はクリアできる」

「……」

 

 あの自信たっぷりといった雰囲気はいったい何だったのか。思わず脱力してしまう。私が呆気に取られていると、彼女は続けて言った。

 

「君の夢は?」

「……え?」

 

 突然のことに一瞬反応が遅れる。

 

「ボクの夢はクラシック三冠の栄誉を手にすること。過酷なローテもそのためさ。君はこの学園に来てどんな夢を叶えるつもりだい?」

 

 彼女は真剣なまなざしでこちらを見つめてくる。まるで私の心の奥底を見透かすかのように。

 

「私の……夢……」

 

 自分の心に問いかける。思えば今まで考えたこともなかったかもしれない。私が本当に望んでいることとは何なのか……。

 

 私が答えられずにいると、彼女は再び口を開いた。

 

 

「皐月賞には出るつもりなんだろう?君の意志で。アヤベさんはそこでどういうものを得ようとしているのかな」

「……正直分からないわ。出走するのだって自分の意志、ってほどでもないし」

「おや意外だね。ならばなぜ出るんだい?」

「トレーナーさんに『出てほしい』って言われたから。恩がある人からの頼みだもの、断れないわ」

 

 私がレースで結果を残し始めた頃だった。トレーナーが私に頭を下げてきたことがあったのだ。

 

 

―――頼むからクラッシック路線に出てくれ!アヤベの走りを見て感動したんだよ!俺にできることなら何でもする!家庭の事情がある君に、こんなに負担のかかる路線を勧めること自体間違っていることはわかっている!でも、どうしても俺は君をトゥインクル・シリーズに出したいんだ!俺が責任持ってサポートするから!だからお願いだ!出てくれないか!

 

 

 彼はらしくもなく潤んだ目で必死に訴えかけてきた。それを見て私は、断ることができなかったのだ。彼の熱意にほだされたというのもあるだろうけれど、それ以上に……。

 

(私自身が望んでいたのかもしれない)

 

 そうか、私は彼に恩返しをしたいのだ。こんなに尽くしてくれているのだから、彼への恩返しをしなければならない。これは義務感からくる感情だろうか?いや、きっと違う。そうじゃない。そんなものじゃない。もっと複雑で、もっと大切な何かだ。

 

 そう思うと自然と言葉が出てきた。

 

 

「ただ一つだけ言えることがあるわ」

 

 私はオペラオーの瞳を見つめ、言葉を続ける。

 

「あの人に恩返しがしたい。夢というには小さいかもしれないけど、それが私の望み」

 

 オペラオーは私の言葉を聞いて黙っていた。伏せた瞳でじっと地面を見つめているようにも見える。そしてゆっくりと口を開くと、こう言った。

 

 

「――甘い」

 

「……え?」

 

 

 それはあまりに鋭く、冷たい声色であった。思わず気圧されてしまうほどの気迫が伝わってくる。先ほどまで纏っていた空気とはまるで別物のようだ。

 

 彼女が顔を上げたとき、その瞳は燃え盛るような激情を湛えていた。瞳の奥にある炎が、その熱で周囲の空気を歪めているようにさえ思えるほどだった。オペラオーは続ける。

 

「そんなふわふわしたことのために走るのかい?噂には聞いていたが、ふわふわ好きもたいがいにしたまえ。それならやめた方がいい」

「なんですって……!」

「結局、『人に頼まれたから』やっているだけでしかない。恩返ししたい気持ちがあるのは事実なんだろうね。で、そう思っているところに君のトレーナーがタイミングよく依頼をしてきたから『これで恩を返せる』とばかりに引き受けた。でもそれは頼まれて初めてやったことで、君自身の自発的な行動の結果ではない。そうだろう?」

 

 オペラオーはなおも言い募る。

 

「トウィンクルシリーズは願い同士がぶつかり合う場所だ。そんなところに自分自身の確固たる意志も願いも持たずに挑むなんて愚の骨頂だよ。ましてやレースに出ることで恩を返す?そんなことでは足りないね」

「『そんなこと』ですって……?」

 

 あまりにも心外だった。確かに多少意志薄弱だったかもしれないが、それでも人に恩返ししたいという自分の気持ちを否定されるものなのか?ヤマアラシが自分の身を守るときのように、私は自分の中から外に向かってトゲが立ってくる感覚がした。

 

「恩返しが悪いことだって言いたいわけじゃないんだ。過去にそういう思いを持ってクラシックを駆け抜けた先輩たちがいるのも事実。だけど彼女たちは自分自身の願いだってきちんと持っていて、全てを背負って走れる器だった。今の君にはまだないものだ」

 

 彼女はそう言い切ると一息ついた。そしてこう続けた。

 

「君がもしクラシックを走るというのなら、それ相応の覚悟を見せてほしいね。でなければこの先の戦いを勝ち抜くことなど到底不可能だと思うよ」

 

 

 

*******

 

 

 

 私はぼんやりとレース控室の天井を見上げていた。

 

 あれからというもの、オペラオーの言葉が胸の中を巡っていた。彼女は私を完全に否定したわけではないと思う。本当に失望したのなら、私にそれを伝える意味すらない。あの子と同じことだ。多分あれは純粋な忠告だったのだろう。だがその言葉はトゲで守られた部分を避け、私の柔らかい部分をくっきりと抉っていったのだった。

 

(私の意思……私の願い……私の夢……)

 

 いくら考えても答えは出なかった。今までそんなことを真剣に考えたことはなかったからだ。

 実際私には自分の将来など考える余裕はなかった。日々を過ごすことに精一杯だったからだ。

 だからこうして改めて考えてみると、自分が何を望んでいるのかまったくもって分からない。

 

 そんなことを考えているうちに時間が来てしまったようだ。係の者が入ってきて私の名を呼ぶ。私はそれに応じると椅子から立ち上がった。

 

 いよいよ弥生賞――皐月賞のゆくえを占う運命のゲートが始まるのである。

 

 

「――アヤベ!」

 

 

 部屋のドアを開ける直前、トレーナーの声が耳に飛び込んできた。振り返ると彼がまっすぐな目でこちらを見つめている。スカウトされた時のあのまっすぐさと同じだ。

 

 

「頑張ってこいよ!!」

 

 

 そう言って笑う彼の顔を見ると不思議と心が落ち着いた気がした。

 そうだ、今はあれこれ悩むよりも目の前のことに集中しよう。まずはここを無事に走り切ることだけを考えるべきだ。そうすれば自ずと考えもまとまることだろうから――。

 

 私はそう考え、トレーナーに対して小さく頷くと部屋を出た。

 そうして地下バ道を歩いていると、ある背中が見えた。彼女の髪はレース場の方から差し込んでくる薄曇りの光を反射して、金紗のように輝いていた。光も、物も色調が薄い世界の中では、その輪郭がくっくりと際立って堂々としていた。トップロードさんだった。

 

 私の足音に気づいたのか、彼女はこちらを振り向くとにこりと笑って軽く会釈をした。私も会釈を返す。そしてすれ違いざまに少しだけ会話した。

 

「アヤベさん!今日はよろしくお願いします。いい走りをしましょう」

「ええ、お互いに」

「……えーと、大丈夫ですか?」

「何が?」

「……いや、やっぱり何でもないです。今はお互い集中するべきですよね。変なこと言ってすみません」

 

 やがて私たちはターフへと出た。瞬間、水滴が肌に落ちる。天気は雨だった。

 

 自分ではもう気持ちを切り替えたと思っていたが、まだどこかに引っ掛かりがあるのが顔に出ていたのだろうか?トップロードさんは他人の心の機微に敏感な人だ。自分自分でも認識できない何かに気づいているのかもしれない。

 

 こんな気持ちで走ってはいけないわね、集中しなければ。

 そうだ、私は一人で走るわけではない。

 トレーナーと、妹と、少ないけれど新しくできた友人が、私の背中を押してくれるはずだ。

 

 そう自分を鼓舞して弥生賞に臨んだ私であったが。

 

 結論から言うと。

 

 

 

 

 私は、負けた。

 

 

 

 




コナンの映画が話題になっていますが、

①各話で個々の事件を解決しつつ
②その背後で大きなストーリーが連動して動いていく

という、探偵もの・便利屋ものみたいなストーリーの進め方をウマ娘でもできないか?って最近考えています。

例えば元戦略コンサルタントのトレーナーが

①各話でウマ娘たちや学園の困りごとをコンサル流の問題解決技術で解決しつつ
②その背後で大きなストーリーが連動して動く

みたいな感じです。

試すだけ試そうと思って、テスト投稿として「元コンサル系トレーナーのウマ娘お悩み相談室」というタイトルで一話だけ投稿しました。

URL:https://syosetu.org/novel/344995/

一話完結型のこういう話を積み上げつつ、大きな枠のストーリーを進められたら……と思っています。

(でもやってみてめっちゃ難しそうだとわかりました。誰か代わりに書いて……私じゃ面白くできない……)
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