【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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予約投稿です。

今回は原作回の予定でしたが、短編集が書きたくなりました。まぁ短編集と言っても、2本だけですが。

・存在の薄いちゅんちゅん丸
・カズマ、犬のお姉さんと話す


第十五話 ちょっとした日常? あすら周りの出来事!(短編集その2)

【存在の薄いちゅんちゅん丸】

 

「カズマさん、カズマさん!」

 

「はいカズマです」

 

 ある日の喫茶店あすら。仕事を終わらせてゆっくりしていると、目を輝かせているシャミ子がカズマに話しかけてきた。

 

 この目をしているシャミ子は、異世界の話を聞きたいと思っている表情である。今日はどんな冒険を話そうか。

 アクアを檻の中に入れて湖に放置した話か、それともめぐみんの爆裂魔法を連発して魔王城の結界を壊した話か、はたまたダクネスが秘密にしてる事を冒険者中にバラした話か……しかし今回シャミ子が聞きたいのは、冒険の話では無かった。

 

「カズマさんはこの世界に来るとき、何か武器を持っていたりはしたんですか?」

 

「俺の武器?」

 

「はい。異世界で冒険していたので、武器の一つや二つは此方に持ってきてないのかと思いまして」

 

 まさかのカズマの武器の話であった。

 異世界に殆どの武器を置いてきてしまったカズマだが、異世界ではいつも身に付けていて、唯一この世界に持ってきていた武器があった。

 持っていると職質を受ける可能性が大いにあり、平和世界……とは少し言いにくいかもしれないが、少なくともこの街で何か争うような事が無いため、出番が無くあすらにずっと置いてあるモノがある。

 

「武器かぁ……一つだけあるぞ」

 

「どんなのですか!? 見せてください!」

 

「ちょっとまってろ」

 

 カズマは一度席を外し、自室にその武器を取りに行った。この世界に来て以降、一度も使ってはないが手入れは欠かさなかった。そしてカズマにとっては、日本の思い出を具現化したモノであった。

 

「はい、これだな」

 

「おぉ~! この刀に名前とかはあるんですか?」

 

 そう、刀である。桃と戦ったときは取りに行く暇が無かったため出番が無く、それ以降も持ち歩くような事が無かったため、マスターやリコも存在を若干忘れているだろう。

 だがカズマにとっては、異世界産でありつつも、見てれば日本に居た頃を思い出させてくれるような存在である。そしてその名前は……

 

「ちゅんちゅん丸だ」

 

「え?」

 

 ちゅんちゅん丸である。もっとこう、漢字でカッコいい名前を期待していたシャミ子であったが、意味の分からない言葉に思わず首を傾げる。

 ちゅんちゅんとは、言わば雀などの小鳥が鳴く時のイメージである。カズマの居た異世界で「ちゅんちゅん」が特別な意味を持っているだの、有名な人物な名前と言う訳ではない。

 

「ちゅんちゅん丸だ」

 

「ちゅんちゅ……なんですって?」

 

「ちゅんちゅん丸」

 

 元々カズマは村雨などのカッコいい名前を考えていた。けれど、めぐみんが勝手に刀に名前を決めてそれが申請されてしまった。一度決めたら取り消せないため、カズマの刀はちゅんちゅん丸と言う名前になった。

 

 めぐみん、もとい紅魔族のセンスは独特である。厨二病のようなセンスを持っているかと思えば、渾名と勘違いされそうな名前を人名として決める。

 そのセンスはちゅんちゅん丸の名前を聞いた、魔王の動きを一瞬止めるほど意味不明であり、紅魔族以外に彼らのセンスを理解出来るものは居ないだろう。

 

「……個性的な名前ですね」

 

 どう反応すれば良いか分からなかったので、シャミ子はこれ以上深く追求することを止めた。

 

 

 

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

 

【カズマ、犬のお姉さんと話す】

 

「すみません、此方落としましたか?」

 

「ワン!」

 

「あら? 落としてたの気付かなかったわ」

 

 カズマがゲーム屋で中古のゲームソフトを漁ろうと、商店街を歩いていると、犬を散歩しているお姉さんが目に入った。綺麗だなと眺めていると、お姉さんのポケットからハンカチが落ちた。

 

 性格に難がある人物(異世界の住民達)は例外であるが、綺麗な女性には目が無いカズマは少しカッコつけてお姉さんへと話しかけて、落としたハンカチを渡す。

 

「ってあら、あすらの店員さん?」

 

「そうです。あすらで働いてる佐藤カズマと申します」

 

 執事のように鮮やかな動きと共に挨拶をするカズマ。異世界では一時的にとは言えど、貴族の元で執事として働いた経験があるカズマ。あの経験はお姉さんの印象を良くするために積んだモノであったのだと、謎の確信をしていた。

 

 そしてこのお姉さんとカズマは顔見知りである。あくまで、あすらの常連であるお姉さんと、そこの店員であるカズマと言った、互いに顔を知っているだけで、名前も知らない関係であるが。

 

「拾ってくれてありがとうね」

 

「いえいえ、俺は気が利く男なのでね。特に貴方のような綺麗なお姉さんに関してはね」

 

「ふふっ。面白い人ね。あ、そうだ! お礼にこれをあげるわ」

 

 鮮やか、悪く言うと凄く胡散臭いキザ男のような言動をするカズマであったが、お姉さんは軽く流してお礼として、宝くじは何枚かカズマに渡した。

 

「貰っちゃって良いんですか?」

 

「当たったら良いなって程度で買ったんだけどね。お礼として受け取って」

 

 お姉さんはそう言って、カズマの右手を両手で包み、地面へと落とさないように、カズマの右手をグーの形にして、宝くじを握らせた。

 

ラブコメのような展開に、カズマの心拍数は通常よりも早くなる。もしかして自分の墓場はここで、このままお姉さんと良い雰囲気に落ち着くのではないかと。

 

「ワンワン、ワン!」

 

 しかし二人の雰囲気を壊すかのように、犬が何度も吠える。雰囲気を壊した犬にカズマは「この野郎」と内心悪態を付くが、決して表には出さず笑顔のままお姉さんを見続ける。

 

「ほら、犬ちゃん駄目よ」

 

「いえいえ、俺は気にしませ……今なんて? 犬ちゃん?」

 

 気のせいだろうか。いや、気のせいであってほしい。カズマは紅魔族並みの意味不明な名前を名付けているように聞こえた。そんな訳がない、別世界に来てまで残念美人が自分の周りに居るわけがないのだと。必死に自分に言い聞かせる。

 

 念のためだが、犬ちゃんの読みは「イヌちゃん」である。決してケンちゃんではない。イヌである。ちゃんを抜くと、名前はイヌ。お姉さんは犬にイヌと付けて呼んでいるのである。

 

「犬ちゃんよ。犬の犬ちゃん」

 

「そうですか。あ、俺用事があるんでした。それでは!」

 

 先程までの態度は何処へ言ったのやら。ヤバイものを見たとでも言いたげに、目が据わっているカズマは、貰った宝くじをポケットへと入れて、急いでその場を去った。

 

 よくよく考えると、意味不明なネーミングセンスだけでなく、リコの料理を毎日のように食べても尚、顔色一つ変えずに普通に会話が出来て、犬の散歩をするような人だ。アクア達(残念美人)のように、その整った容姿があっても、マイナスになるような何があるのかもしれないと思い、距離を取ることにした。

 

 そうしてカズマはその場を去る中思った。俺の周りには残念美人しか居ないのかよ、と。




 まさかのモブキャラ。アニメまちカドまぞくで謎の登場回数を誇る、犬のお姉さんを登場させました。
 カズマさんがデレる回にしようと思いましたが、よくよく考えると「犬に犬ちゃんって名前付ける人はマトモか?」と思って、距離を取ってもらいました。

 分かる人には分かる小ネタですが、今回の落とし物を拾った礼として宝くじを貰うのは、ひだまりスケッチが元ネタです。

 てか夜からずっと起きてるから、頭がよく回らぬ。ちゃんと書けてっかな。次回は弁当作りの回だと思います。多分。

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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