なんでや、なんでそんなこの小説高評価されてるんや。もしかしてアレか、みんなカズマさん好きなのか。はい、私も好きです。
いつもシャミ子呼びしてるから、カズマさんの優子呼びを間違えてシャミ子にしちゃう事が多い。
「リコさん、私にお弁当の作り方を教えてください!」
「ええよ~」
珍しく休みの喫茶店あすら。今日は何も無いから自堕落な生活を送ろうと考えていたカズマの元に、お弁当の作り方を知りたいと言うシャミ子が訪れた。
即答したリコは、了承した後にマスターに確認を取った。本来なら逆かもしれないが、心の優しいマスターはその事には何も言わず、二つ返事で自由に使って良いと返した。
「お弁当作りってことは、誰か渡したい相手でも居るのかね?」
「実は前にマスターに貰った菓子折りと共に付いていた、動物園のVIPチケットを使って桃やミカンと一緒に動物を見に行こうと思いまして」
マスター達がシャミ子邸に訪れた際、謝罪として渡した菓子折りの他にも、動物園のVIPチケットを渡していたのだ。VIPの内容は、虎の赤ちゃんと触れ合えるコーナーである。もしこれを逃せば、金輪際触れる機会は訪れないだろう。
「つまりデートか」
「デートじゃありません、ただのお出掛けです!」
「シャミ子はん。お弁当作りは愛情が必要なんやでぇ~ってことでマスター、ウチの作ったこのお握り食べてくれへん?」
シャミ子はデートではないと否定しているが、その裏で桃は動物園に着ていく服装を一生懸命考えていた。デートとは言わないまでも、何かしら特別な思いはあるのだろう。
そしてリコは愛情がお弁当作りには愛情が必要だと、七色に光るお握りを差し出した。念のため言うが、お握りは本来七色光らない。どんな具材を入れようとも、七色のお握りが出来ることはない。
これはリコが
「いや、あの」
「『潜伏』」
リコには悪いがこれを食べるのは躊躇してしまう。ジリジリとキッチンの端に詰められて行き、カズマとシャミ子に助けを求めようと視線を向けようとしたが、それより前にカズマはスキルを発動させていた。
そのスキルは『潜伏』である。気配を消すスキルであり、これは潜伏を使用している人物に触れていれば、効果を共有出来るものである。
カズマはシャミ子の腕を掴んで潜伏を使用。あくまで気配を消すのであって姿は見えるのだが、隠れていれば問題ない。キッチンから死角になる場所へと移動して、被害を被らないよう既に逃げていた。
「カズマ君、シャミ子君。助け……あれ、居ない!?」
カズマとて恩人を見捨てるのは心苦しいが、それはそれ。これはこれである。眼に涙を浮かべながら「うぅ」と口を押さえて泣いているが、内心は「あっぶな。巻き込まれてたまるかよ」と、自分の事だけを考えていた。
「はい、マスター。あ~ん」
「ちょっと待っ」
そうしてマスターは犠牲になった。七色に光る蝶々が見えると言って、その場を踊るように歩いているが、カズマとシャミ子は何も見てないことにした。
「お弁当を作る時は色合いを考えるのが大事なんや。赤や黄色、緑を入れると鮮やかに見えるやろ~」
「本当ですね!」
未だハイになってるマスターの尊い犠牲はあったが、お弁当作りを続けるリコとシャミ子。カズマは手持ち無沙汰となっており、ゲームで遊んでいた。
「じゃあ次は唐揚げを揚げるんやけど、中華鍋が一つしかあらへんから、ここはウチがやるわ~」
「あ、それなら良いものがありますよ」
シャミ子に揚げるのを任せても良いが、一応は教える立場にある。まずは自分がお手本を見せてから、シャミ子に揚げさせた方が良いと思ったが、シャミ子は良いものがあると言って、フォークを取り出した。
汚れ一つ無く、灯りを反射するほど綺麗な銀色の、何の変哲も無いフォークである。念のため言うが、シャミ子の持っているフォークは、食事の際に使うものである。肉をほぐすのに使用するのも可能ではあるが、今から揚げる行程のため、ほぐす段階は既に過ぎている。
「…………病院行くか?」
「熱さでおかしくなったわけじゃないです! これは私の一族に伝わる『なんとかの杖』でして」
カズマはシャミ子の頭を心配したが、そんな訳はない。シャミ子が取り出したのは、名前がアから始まる杖である。なと正式な名称は忘れ去られたため、唯一知っているのは、封印されているシャミ子のお父さんだけである。
この杖は
しかも空想上のモノも可能である。例えば先ほど例にあげた、強い武器。定義も形も人それぞれで凄く曖昧であるが、シャミ子は見事変形に成功した。最も、その強い武器が重くて持てなかったが。
ちなみにシャミ子が取り出した時フォークだったのは、シャミ子の中で一番棒状の武器としてイメージが強かったのがフォークだったからである。
「こんな風に変形出来るんですよ!」
「おぉ、これは立派な中華鍋やね~」
シャミ子はそう言って、なんとかの杖を中華鍋へと変形させる。油の膜が完璧に覆われた傷一つ無い立派な中華鍋であり、いつものらりくらりとしているリコが珍しく驚いており、膜を何度も触って触感を確認している。
その後リコが「売ってほしい」と頼んできたが、押され気味ながらもシャミ子はそれを拒否。中華鍋に油を入れて、唐揚げを揚げ始めた。
「なぁシャミ子」
「どうしました?」
すると今までゲームに集中して居たカズマが、いつの間にか隣に来ていて真剣な目で話しかけてきた。もしかしてカズマも杖が欲しいと言うのかと少し警戒したが、それは杞憂であった。
「これは中華鍋以外に何に変形出来るんだ?」
「棒状のモノならなんでも出来ますよ」
ただ杖の効果を気になっただけだったかと、胸を撫で下ろした。胸を撫で落とした影響で揺れるシャミ子の胸であったが、カズマがその胸に視線を移すことは無かった。
いつもならシャミ子にバレない程度にチラ見しているが、今回はそれを視界にすら入れていない。仲間にも平気でセクハラをするカズマであったが、今ばかりは全く別の事を考えていた。
「これだ……!」
「はい?」
カズマの呟きに、シャミ子は首を傾げる。今の「これ」とは何を指しているのだろうか。もしかして胸の事を言っているのでは無いかと一瞬思ったが、一切胸に視線が来てないことから違うと結論付けた。
「優子。俺がこの世界にやって来たのは、ある魔道具を使ったからって前に説明したの覚えてるか?」
「そうえば……」
異世界の話を色々と聞いてる時に、何か言っていた覚えがある。やっぱり欠陥魔道具しか売ってないんだと、愚痴を言っていたのが記憶によく残っている。
「その魔道具は棒状のモノだったんだ。だからそれを使えば」
「元の異世界に帰れるってことですね!」
思わぬ所で帰り道を発見出来たカズマだったが、この方法には杖を使う上で、ある重大な欠点が残っている。
「ただ、この杖は私がイメージするモノに変形する代物でして。世界を渡る魔道具は想像が付かないです」
杖が変形出来るのは「シャミ子がイメージした棒状のモノ」に限るのだ。それこそ黄金の割り箸や、弾切れしないロケットランチャーなど、シャミ子がイメージし切れないモノには変形は不可能なのだ。
「優子の能力で俺の記憶を見るのはどうだ? そしたら魔道具の形も分かって、イメージしやすいだろ」
「あ、確かに」
しかしイメージさえ出来れば、その課題は簡単に攻略出来る。それも変形させるのはその人物が考えた空想上のモノではなく、実際に存在するモノなら尚更である。
「じゃあ魔道具を確認するついでに、カズマさんの冒険の記憶を見て良いですか?」
「見ても面白くは無いと思うけどな。それと記憶を見ると一緒に、俺にエッチな夢を」
「見せません!」
「優子はん、盛り上がってるところ悪いんやけど」
異世界のサキュバスのお姉さんにしてもらった事を、この世界でも諦めて無かったカズマは、シャミ子にエッチな夢を頼んだが案の定断られた。恐らくシャミ子がエッチな夢を見せるのは一生来ないだろう。
ここが喫茶店で無ければ床に唾を吐いて悪態を付いていたカズマ。そんな二人の水を差すようにリコがシャミ子に話しかける。それと同時に、鼻に何か焦げ臭い匂いが入ってくる。
「唐揚げ焦げてるで~」
「へ? あああー!」
リコに言われて唐揚げを確認すると、ブラックホールのように黒焦げとなっていた。カズマとの会話に夢中になっている内に唐揚げから目を離してしまっていた。
急いで唐揚げを引き上げるが、何処からどう見ても黒く、誰が見ても失敗と断言するだろう。
「便利であっても万能では無いんだな」
あくまで「唐揚げを揚げる調理器具」と言った過程に必要な道具になれるため便利であるが、その後の「完璧に揚がった唐揚げ」になるための経過は杖の力ではなく、自力で進める必要ため万能ではないようだ。
杖についてまた一つ詳しくなったシャミ子は、再度唐揚げへと挑戦するのであった。
最初から練っていた構成になりますが、カズマさんが元の異世界に帰る方法が判明しました。まぁ判明しただけで、諸々の事情でまだ帰れませんが。
そして虹色お握りから逃げるために発動した、初披露の潜伏スキル。基本的にはまちカド世界は平和なので、日常的に使えるスキル以外はあまり出番が無いです。
てかカズマさん、まちカド世界に来て一番使っているスキルは料理スキルだと思う。
次回はカズマさんの記憶を見る……のではなく、動物園回です。記憶を見るイベントが色々としたい都合上、動物園回の後になるんですよね。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬