「ご先祖ご先祖! 私、カズマさんの記憶を見たいです!」
「唐突だなシャミ子よ。何かあったのか?」
桃の闇落ち騒動が終わり深夜。シャミ子はご先祖であるリリスの元へと訪れていた。これは決してシャミ子が夜更かしして夜な夜な出掛けている訳ではない。
シャミ子のご先祖、リリスは御先像と呼ばれる像に封印されてるのだ。御先像から外部にアクションを取る方法は喋るのと、御先像に彫られている顔を動かして表情を見えることの二つである。
桃達があすらに突撃した時のように、魂を憑依させられる依り代があれば自由に動けるが……それは一時的なモノであり、完璧な自由とは言いがたい。
そんなリリスは御先像の封印空間の中に住んでいる。時折シャミ子を呼び出しては立派な魔族になるコツを教えたり、雑談をしたりと、寂しさを紛らわしている。しかし今日はシャミ子の方からリリスの元へと来ているのだ。
「カズマさんがこの世界に来たのは、世界を渡る事の出来るある杖が原因のようでして。私のなんとかの杖でそれに変形出来れば良かったのですが、イメージ力が足りなくて……なのでカズマさんの記憶を見てイメージが欲しいんです!」
「確かにその杖を使うにはイメージ力が大事だからな。どうせだから、カズマの記憶にある様々な武器を見てイメージ力を鍛えるのはどうだ?」
異世界で過ごしてきたカズマの記憶だ。今までの話を聞いてると不安しかないが、魔王が居た世界なのだから神話級の武器の一つや二つはあるだろうと。
その武器をカズマの記憶を通じてシャミ子が見れば、イメージ力を鍛えられる。そして一族に伝わる杖でそれに変形出来れば、魔法少女も一撃とまで考えたが、リリスは言葉に出さなかった。表情までは誤魔化せず、悪い顔をしているが。
「それ良いですね、採用です! カズマさんから記憶を見る許可は貰っていますし、後は記憶の中に入るだけです!」
「今から余がカズマの記憶に侵入させるから、心の準備をしておけ!」
「はい! お願いしますご先祖!」
その言葉と共に、シャミ子の意識は暗闇へと落ちていった。
「……うーん」
次に目を覚ましたシャミ子は、多くの道具が置かれているお店であった。ゲームでよく見るようなポーションや、水晶玉などがあり、本当に異世界なのだろうと確信を持った。
「ハッ! ここがカズマさんの記憶ですかね。例の杖は……」
辺りを見渡してカズマは探すとすぐに見つかり、お店に一つだけ置かれている杖を見ていた。多少なりとも装飾はされているが、ゲームで例えると中盤辺りで買えるパッとしない見た目の杖である。
これが本当に世界を渡れる杖なのかと怪しんだが、この記憶は異世界のモノだ、自分の居た世界とは何もかも違うのため見た目で判断するのは止めようと頭を振った。
それに、カズマの世界は見た目で判断してはいけないと
『ん? なんだこれ』
「あ、あの杖ですかね」
『これは説明書か?』
カズマの後ろから顔を出すように形で、一緒に説明書を見るが、異世界語のせいかなんて書いてあるか読めない。
しかし偶然ならがも、カズマが口に出して読んでくれたお陰で「これで貴方も異世界旅行! この杖を持って魔力を込めるだけで異世界に行けます! さぁ、レッツテレポート!」と書いてあるのが判明した。
「こんな簡単に異世界に行けるんですね。わたしもこれを使えば剣と魔法のファンタジー世界に……いや、止めておきましょうか。カズマさんの話を聞いた後ですと、行っても一瞬でグツグツ煮込まれるだけですからね」
書かれている事を素直に信じて従う、シャミ子のような性格なら兎も角として、それ以外の人物なら怪しくて触ろうとすらしないだろう。
『うわぁ、怪しすぎる。相変わらず変なモノしか置いてないな』
実際に記憶の中のカズマもそうだった。杖には一切触れずに離れようとしたため、この杖を使って異世界に来たのではないかと思う。
けれど説明書には異世界旅行と書いてあった。もしかして別の杖を使ったのかと、記憶を見続ける事にした。
『あれ、まだ続きがある。えっと……ただし行ける世界は『日本』限定です、か。よし行こう』
「それで良いんですか!」
一瞬にして手のひらを返したカズマ。日本に興味引かれたのだと結論付けたが、一つ引っ掛かることがあった。
「ってあれ。カズマさんは異世界人ですよね? どうして『日本』を知っているんでしょうか」
そう、異世界人であるカズマが日本と言う言葉を知っていることだ。異世界に日本と呼ばれる地名があるのなら兎も角として、カズマは「自分の世界とは違う、異世界である日本」に興味を引かれていた。
シャミ子達は知らないが、カズマは日本から異世界に来た転生者である。説明がややこしくなるからと、その辺りの事情は話していなかったので、シャミ子は疑問に思ったのである。
『おっしゃあ! 待ってろよ、最新ゲームや漫画の数々よ!』
「あ、景色が変わりました」
カズマが杖に魔力を込めると共に、景色があすらへと変わった。その後は目が覚めたカズマとマスター達の初対面の様子が流れていた。
その様子は背景にシャミ子は考える。杖を使ってからマスター達と話している景色に変わったとなると、さっきの記憶は確実にマスター達と会う直前、つまりは異世界のモノだ。日本と言う名前はいったい何処で聞いたのだろうか。
「これは一度カズマさんに聞いてみる必要がありますね」
考えに考えて、カズマに直接聞くことにした。何処で日本を知ったのか、それぐらいは聞けば簡単に答えてくれるだろうと。
「さて。杖を見ることは出来ましたし、異世界の冒険を見るとしましょう!」
杖は確認した。そのまま再現しても日本から日本に飛ぶため意味は無いだろうが、どんな杖なのかは分かった。後はシャミ子のイメージ力次第である。
そうしてシャミ子は、まるでそっちが本命だったと言わんばかりに目を輝かせて、カズマの冒険の記憶を見ることにした。話には聞いていたが、実際に見るのと話に聞くのとは全く違う。
ジャイアントトードはどのぐらい大きいのか、子どもに人気の機動要塞デストロイヤーは自分の感性に刺さるのか、魔王軍幹部との戦いなど。見たい記憶は片手では数えきれない。
「どんな冒険やクエストをこなしてきたのか楽しみです!」
シャミ子は幾つかの記憶を見た。爆裂魔法を撃ちに散歩するカズマとめぐみんの日課、愛する女性を守るためリッチーになった男の最期、無理矢理結婚させられそうなダクネスを助けるカズマ達、他国に行ってカジノで大儲けするカズマ……まだまだ見たいが時間は有限である。次で最後にしようと、新たな冒険の記憶を見るシャミ子。
「って寒!? 何処ですかここ、雪山?」
実際には寒くないため気のせいではあるが、突然の雪山で驚くシャミ子。今はどんな冒険をしてるのかと辺りを見渡すと、カズマ達とモンスターが居た。
「なんですかあの将軍様は!?」
そのモンスターは高価そうな兜と鎧を身に纏っており、刀を握っていた。表情は分からず、身体は白色一色で構成されていた。将軍のような見た目をしており、記憶越しのシャミ子でもあのモンスターは強いと直感で気付いた。
『おらダクネス! 頭を下げて許してもらえ!』
『カズマ! 早く武器を捨てて謝って!』
何かして将軍を怒らせてしまったのだろう。アクアとめぐみんが武器から手を離して、頭を下げている。未だに武器を持ち頭を下げていないダクネスを、無理矢理沈めて頭を下げさせる。
そうして武器を持っていて、頭を下げていないのはカズマだけとなった。アクアが急いで自分と同じような格好をしろと言い、慌てて武器を持っていたことを思い出した。
「カズマさ」
武器を捨てようとしたカズマだが、その行動は既に遅かった。将軍の刀はカズマの首を的確に捉えて、カズマの顔と身体が二つに別れ━━━その記憶を最後に、シャミ子は目を覚ますのであった。
書いてる途中で「あ、やべ。これ飛べるの日本限定だから、そのまま再現しても帰れねぇじゃねぇか」と気付きました。よし、今後のシナリオ変更しよ。
次回はシャミ子が目を覚ましたシーンからですね。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬