【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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 今回は短編集です。
 短編集と言っても、シーン自体は同じで複数の話題を話すだけの回ですが。三本立てです!

・なんとかの杖で変形……?
・日本人転生者
・魔法の覚え方


第二十三話 佐藤カズマの異世界話! 杖と魔法と転生者!(短編集その3)

【なんとかの杖で変形……?】

 

「なぁ優子。聞き忘れてたんだが、なんとかの杖で世界を渡れるような杖って作れそうか?」

 

「ハッ! そういえば忘れてました!」

 

 カズマはシャミ子の家へと転がり込んで、二人仲良く対戦ゲームをしていた。少し古いゲームであったが、転生する前はゲーマーだったカズマはすぐにコツを掴み、ずっとやりこんでいたシャミ子と互角以上の勝負を繰り広げていた。

 

 画面でYou winとカズマの勝利を知らせる表示が出ると共に、世間話のようになんとかの杖で世界を渡れるようなモノに変形出来たのかと聞いた。

 シャミ子はうっかり忘れていたが、あの時は急いでカズマの安否を確認した後、蘇生魔法や女神アクアと言った濃い話を聞いたのだ。忘れてしまうのも無理はないだろう。

 

「ぐぬ~、うぬ~……」

 

 思い立ったが吉日。ゲームの電源を切り、なんとかの杖を持って変形させようとするシャミ子。しかし杖はうんともすんとも言わず、顔が赤くなるほど握っても、振り回しても杖が変形することは無かった。

 

「駄目です。ビクともしないですね」

 

「まだイメージが足りないのか?」

 

「それはお主の魔力が足りないからだな」

 

 何が原因なのか考えていると、後ろからリリスの声が聞こえた。振り向くと雑誌の重しと化している御先像があった。丁度良い重さだからと、雑誌の上に置かれているのだろう。

 

「あ、リリスさん。居たんだ」

 

「最初から居るわい!」

 

 カズマにはリリスの存在を完全に忘れていたようで、自分は空気のような存在ではないと抗議するが、自分も忘れてたとは言えないと、ソッと目を逸らすシャミ子であむた。

 

「その杖はあくまで『お主の魔力の範囲』で変形だから、30kmの割り箸や炎の杖のような、シャミ子自身が持つ魔力を上回るモノは変形出来ないのだ」

 

「思った以上に不便だな」

 

「すみませんカズマさん」

 

「優子が謝る必要はねぇよ」

 

 よく考えれば分かったことだ。変形するためのエネルギーは何処から摂取しているのか。答えは簡単、シャミ子の魔力からである。魔力を他から補充すればと、試しに『ドレインタッチ』でシャミ子に魔力を送ったが、変形することはなかった。

 

 後にマスターとリコの魔力をシャミ子に送って試してみたが、やはり駄目であった。世界と世界を渡るには、それほどまでに膨大な魔力が必要なのだろう。

 

 もしここにカズマの異世界に存在する、魔力を肩代わりしてくれるアイテム『マナタイト』があれば、なんとかの杖を変形させる魔力を補えただろう。だがそれはIFの話に過ぎない。所詮、無い物ねだりなのだから。

 

「シャミ子、カズマさんが帰れるようになるためにも、今から魔力修行だよ!」

 

「貴様どっから出てきた!」

 

 また振り出しに戻るのかと落ち込んでいると、突然桃が半分近い開いていた窓から侵入してきた。魔力が増えるにつれ、カズマはより早く帰れるようになる。シャミ子は強くなれて、カズマは帰れる。WIN WINの関係であるが、窓から入るのはどうなのだろうか。

 

 

 

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

 

 

【日本人転生者】

 

「カズマさん。この前話してた転生者について聞いても良い?」

 

「別に良いけど……なんだ? 桃から聞いてくるなんて珍しいな」

 

 窓から侵入してきた桃にお茶を入れてから、シャミ子は魔力修行はまた今度にしようと断る。桃もあまり強く勧めるつもりは無かったのか、あっさりと諦めてカズマに話を振った。

 

「魔王軍と戦うほどの人たちだから、どんなトレーニングしてるのかと思って」

 

「そのトレーニングを私に課したりしませんよね?」

 

「シャミ子、魔力は鍛えれば鍛えるほど多くなるんだよ」

 

 前言撤回しよう、諦めていなかった。それどころか、異世界のトレーニング法すらも取り入れようとしていた。シャミ子はそんなトレーニングはしたくないと抗議するが、桃は聞き耳を持たなかった。

 

「トレーニングって言ってもなぁ……チート持ちの連中はその能力だけで魔王軍と戦ってるから、トレーニングなんてしてないんじゃないか?」

 

「してないんじゃないかって、カズマさんは同じ日本からの転生者さんと関わったこと無いんですか?」

 

 カズマのはトレーニングしてないんじゃないかと、あくまで「チート持ちならこうじゃないか」と言った、イメージとしての回答であった。

 異世界に同郷の知り合いが居るものかと思ったが、チート持ちの連中とはあまり関わっていなかったようだ。

 

「チート持ちは基本的に魔王軍との前線に居たからな。始まりの街に居た俺らと関わったチート持ちなんて、ほんの2、3人程度だぞ?」

 

「じゃ、じゃあその人達について教えてください!」

 

 カズマ達の活動範囲は基本的に前線とは離れた場所にある、始まりの街アクセルとなる。そのため、魔王軍幹部との戦いは半分近くアクセルの街周辺で起こったことである。

 

「一人目は魔剣持ちのミツルギだな。イケメンで女を侍らせてるハーレム野郎だ。アクアの事が好きらしくて、突っかかって来たが、不意打ちで持ってた魔剣を『スティール』で奪って勝った。いやぁ、あの時売った魔剣はそこそこの値段がしたな」

 

「姑息すぎませんか?」

 

「ミツルギさん可哀想……」

 

 カズマの私怨が籠った紹介の挙げ句、チートとして貰った魔剣を売り飛ばされたミツルギは中々に可哀想である。突っかかって来た部分に関しては、ミツルギ側に非があるように思えるだろう。

 

 しかしミツルギが見たのは、檻に入って目から正気を失っているアクアである。実はその前に湖の浄化をする依頼を受けており、狂暴なワニにアクアが襲われないようにと、カズマがアクアを湖に入れて放置。

 大量のワニに襲われる事になったが依頼完了。結果、ワニに襲われた恐怖で、アクアが檻から出なくなったのである。そしてその光景をミツルギが見て、突っかかって来た部分に繋がる。

 

「チート持ちの奴と戦わされる俺の気持ちになってみろよ! 此方のチートは駄目神で、あっちは魔剣だぞ? 普通にやっても勝てるわけねぇだろ」

 

 一般人とチートが戦えば、10人中10人がチートが勝つと思うだろう。実際、カズマも真正面から勝てないと思った結果の行動である。

 行動であるが、もう少し良い方法は無かったのかと、シャミ子と桃から引かれるのであった。

 

「それでもう一人が……あー」

 

「どうしました?」

 

 自分の行動で引かれるのは、異世界では日常茶飯事であったカズマ。ゴミを見るような目でもされない限り堪えないこの男は二人の行動をスルーし、もう一人のチート持ちを話そうとして、少し悩んでいた。

 

 コイツについて話すか否か。正直に言うと話したくない。そもそも大昔のチート持ちだから、どんな生活をしてたかなんて知らない。トレーニング法なんてもっての他だ。気が進まないが、一応はチート持ちなのでカズマは話すことにした。

 

「機動要塞デストロイヤーを作った奴なんだが」

 

「この話はここで終わりにしましょうか」

 

「そうだな」

 

「え? 急にどうしたのシャミ子。カズマさんも」

 

 シャミ子は嫌な予感がしたので無理にでも話題を変えることにした。カズマもあまり振れたくない話題のため、シャミ子がそういうならと、話すのを止めた。

 

 桃は息ピッタリな二人の行動を見て、触れたら行けない話題だったのだろうかと、疑問を浮かべるのであった。

 

 

 

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

 

 

【魔法の覚え方】

 

「みんなで話してるなら、私も呼んでほしかったわ」

 

「悪かったよミカン」

 

「壁が薄いので話が聞こえていたんですね」

 

 このアパートは壁が薄い作りとなっているので、隣の部屋に声がよく聞こえるのだ。左から桃、シャミ子一家、ミカンの順で知り合い同士で住んでいるため、騒音でトラブルになる事は無いだろうが。

 

「この廃墟大丈夫か?」

 

「廃墟じゃありません、住める家です!」

 

 築50年以上は経っていそうな見た目に加えて、隣の部屋の声が聞こえる辺り、廃墟と言わないまでも何かの拍子で崩壊しそうである。

 

「それでカズマさん。私やミカンに教えられそうな魔法ってある?」

 

「教えるって言われてもな……俺の世界のスキルや魔法は少し特殊なんだ」

 

「特殊?」

 

 以前、桃はちょっとした偶然でシャミ子に生き血を採られて弱体化してしまった。そのせいで街の結界も弱くなっており、外から悪い魔族や戦闘狂の魔法少女がこの街を襲いに来るかもしれないのだ。

 

 そのためにも力を取り戻すと今まで以上の修行をしていた。もしカズマからスキルや魔法を教えてもらえば、今よりも力を付けられる……そう考えたが、カズマは教えることに否定的であった。正確には、教えられないといった様子である。

 

「俺達の世界だとスキルは、レベルが上がると手に入るスキルポイントを消費して覚えるんだ。スキルを覚えるためにはそのスキルを一度は見る必要があるけどな」

 

「ゲームみたいな世界ですね」

 

 覚えたいスキルを一度見てから、ポイントを使ってスキルを習得する。一見簡単に聞こえるが、珍しいスキルの場合は覚えている人物を探す必要があり、多くのスキルポイントを消費する可能性もあるのだ。そうポンポンと色んなスキルは覚えられない。

 

 逆に言えばスキルさえ習得出来れば、呼吸するかのように簡単に、そして当たり前のように使用出来るのだ。しかしこの世界にはスキルポイントの概念は無く、スキルを見て習得すると言った流れを行えないため、カズマが教えられないのだ。

 

「ゲームと言えば『テレポート』も出来るぞ。何故か元の世界には飛べないがな」

 

 登録した場所に飛べる魔法なのだが、異世界に飛ぶことは叶わなかった。そもそも出来るのならこの世界に来た初日に速攻で帰っているだろう。

 世界を渡れるほどの魔法で無いのか、それともいつも以上に魔力が必要で、カズマの魔力では足りないのか。いずれにせよ原因は不明である。

 

「カズマよ、お主が前に使っていた『ドレインタッチ』とやらも誰かに教わったのか?」

 

「アレは知り合いのリッチーに教えてもらったんだ」

 

 ふと、リリスがカズマと会った時の事を思い出して、邪悪な魔力の気配がした『ドレインタッチ』について聞いてみた。カズマが使う魔法とは一線違う変わった魔法であるため、前から気になっていたのだ。

 

 伝説級アンデットであり、アンデットの王でもあるリッチー。そのリッチーが覚えるスキルから邪悪な魔力がしたと言われても、なんの違和感も無いだろう。

 異世界ではとても珍しく、持ってるだけで魔王軍関係者と疑われるようなモノであるが、この世界には魔王なんて居ない。渋る理由も無いためカズマは正直に答えた。

 

「カズマさん! カズマさんの世界で一番最強な魔法ってなんですか! カズマさんがよく使う『ドレインタッチ』ですか!」

 

「最強と言えばやっぱ『爆裂魔法』だな」

 

 ドレインタッチは効果こそ強力であるが、相手に触れる必要がある。毒を持っていて触れられない相手や、触れる隙が無いような相手には無力に等しい。

 

 そして汎用性も使い勝手も無視して、ひたすらに「威力」のみを最強の指標にした場合、異世界人全員が爆裂魔法を選ぶだろう。アレに威力で優る魔法は探しても見つからないのだから。

 

「爆裂魔法って、確かめぐみんさんが使ってる魔法よね」

 

「魔王軍幹部ですら一発喰らうと致命傷になる魔法で、これを覚えてるのはモンスター含めても四人しか知らないな」

 

「四人しか!? もしかしてスキルポイントを凄く使うんですか!?」

 

 めぐみん含めて、片手で数えられる人数しか使える人物を覚えていないことに驚くシャミ子。カズマが知っている限りで爆裂魔法を覚えているのは、魔王軍に二人、人類側に二人の計四人だけだ。

 

 四人も覚えているなのか、四人しか覚えていないか。どちらとして捉えるかは個人の主観によるものだが、一桁台の人数しか覚えていないのには理由がある。

 

「あぁ。膨大なスキルポイントを使う上に、一発撃てば魔力が尽きて動けなくなるし、周りの仲間を巻き込んで地形すら変える程のオーバーキル気味な威力を持つネタ魔法だな」

 

「ネ、ネタ魔法……」

 

 そう、デメリットだらけなのである。強力な魔法使い、アークウィザードを多く排出している紅魔族の中でもネタ魔法扱いなのだ。

 長生きしていてスキルポイントが有り余っているモンスター(魔王軍サイド)なら兎も角として、人類側でこの魔法を覚えている人物は、それほどまでに爆裂魔法が好きで、欠陥だらけのパーティーで魔王軍と渡り合う大馬鹿なのだろう。

 

「ちなみにその爆裂魔法を俺は覚えてるんだが」

 

 そしてその大馬鹿の一人がカズマである。過去に魔王軍幹部討伐の際にレベルが1にまで戻ってしまったが、覚えたスキルや魔法はそのままなのを利用し、レベルが上がったらリセット、レベルが上がったらリセットと繰り返し、スキルポイントを溜めていた時期があったのだ。

 

 溜まったスキルポイントを使って爆裂魔法を覚えたカズマだが、本来爆裂は高度で複雑な魔法だ。スキルポイントが溜まって覚えられたとしても、一度や二度見た程度の冒険者が使ったら制御しきれずに暴発するだろう。

 しかしカズマは毎日のようにめぐみんの爆裂魔法を見てきたため、爆裂魔法の詠唱や仕草を完璧に覚えているのだ。

 

 そして、その話を聞いた三人は一瞬にして、臨戦態勢を取りながらカズマから距離を取るのであった。

 

「おいコラちょっと待て、どうして俺から距離を取る?」

 

「カ、カズマさん。その魔法って今放ったりしないわよね?」

 

「い、命だけは助けてください……」

 

「動いたら反撃しますよ」

 

 今までめぐみん(爆裂魔法)の活躍は何度も聞いてきた。実際、今さっきも爆裂魔法の詳細を聞いたばかりだ。カズマの性格上、やられたらやり返すと言って爆裂魔法を使うかもしれないのだ。正直、気が気じゃない。

 

「お前らは俺に信頼ってモノがねぇのか! そもそも魔力が足りないから爆裂魔法なんて撃てないからな!」

 

 そう話すカズマであったが、三人から中々信用を得られず、そのやり取りは清子が買い物から帰ってくるまで続くのであった。




 この作品は1話書く→速攻で投稿する→ストック無くなるを繰り返してるので、常時ストックが空です。なので次回の話も当然1文字も書いてないです。

 ちょっとミカンさんの呪い問題を見返したけど、やっぱアレですね。カズマさんが関われる場所殆ど無いですね。
 学校内で事件起こって、シャミ子の能力で解決までの道を繋いで、街のみんなの協力で解決完了。

 カズマさんニートだから学校行かないし、能力に関われない。カズマさんが居ないとわりと原作ママなって規約違反ですしおすし。うーん、呪い問題の回は次回で最初で最後ですね!

 次回はミカンさんの呪いをどうにかする回です。ダイジェスト気味になりますけどね。

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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