今回はウガルルと良ちゃんが、それぞれ登場する短編集2本立てとなります。ウガルルと戦闘シーン擬きがありますが、実際は戦闘と言いにくい場面なので、あまりハードルは上げないでくださいね。
・VSウガルル……?
・大物になりそうな妹達
【VSウガルル……?】
「なんだお前」
「それは此方の台詞なんだが? もしかして迷子か?」
シャミ子の所へと向かうと、ばんだ荘の塀の上に誰かが座っていた。腕から獣のように生えている毛から考えるに、魔族なのだろう。
ばんだ荘に住む誰かに用事があるのか、それともただの迷子なのか。なんにせよ、目の前の魔族に向かって敵感知が反応している。敵意を向けてくる理由は不透明であるが、いつでも逃げれるようにと、警戒を怠らない。
「オレ、迷子違ウ。ミカンを守ル、使い魔!」
「使い魔? ミカンにそんな奴居たっけな」
少なくとも聞いた事がない。それもその筈であり、カズマの目の前にいるのは、ミカンの呪いを引き起こし、現世に再度召喚されたウガルルなのだから。
杏里からウガルルを召喚する事になった経緯や、召喚に成功した事は聞いた。しかし容姿については語っておらず、カズマは目の前の魔族が誰か分からないのだ。
仮に杏里がカズマにウガルルの容姿を語っていたとしても、ウガルルはカズマを知らない。知らない人物からミカンを守るため、結局は敵意を向けていただろう。
「オレ、家守ル。オレ、お前知らなイ、敵カ? あと腹へっタ、肉あるカ」
「肉なんて持ってねぇよ。あとシャミ子に用があるから通らせてくれ」
「ボスに用事? お前、敵だナ!」
「あー待て待て、そうだ。肉ならあるぞ! 『クリエイト・アース』」
シャミ子の事をボスと呼んでいるウガルル。知らない奴がボスに用事がある=ボスを倒しに来たと解釈したウガルルは、鋭い爪をカズマへと向ける。
攻撃体制に入ったウガルルに、手を下げるようにジェスチャーをし、肉を持っていると握り拳を出す。その中にあるクリエイト・アースで生成した土を隠すようにして。
「肉!? お前、早く寄越セ」
「ほら、この中にあるぞ」
肉を貰ってもウガルルはカズマを通す気は無いが、貰えるのなら貰おうと敵意を解いてカズマへと近付く。それがカズマの戦略とも知らずに。
「『ウィンドブレス』」
「目があああああア!」
ウガルルはウィンドブレスで巻き起こされた風で、カズマの握り拳に入っていた、クリエイト・アースで生成された土を目に喰らった。
至近距離で、肉が貰えると油断してたため、目を潰された事に動揺し、地面をゴロゴロと転がり回った。
「ふはは馬鹿め! 肉なんてねぇよ! 『クリエイト・ウォーター』『フリーズ』」
「さ、寒イ……」
そしてそんな隙だらけの行動をこの男が見逃す筈も無く、クリエイト・ウォーターの聖水でウガルルの身体を水浸しにし、フリーズでウガルルを凍らせた。
目潰しを喰らい、身体を凍らされたウガルルであるが、これでも魔族である。力を入れれば氷は割れ、目に入った土も目を擦れば落とせるだろう。
「『潜伏』」
「アレ!? アイツ、何処行っタ」
しかしこの男はウガルルに勝ちに来たわけではない。否、そもそもこの男は戦いに来たわけではなく、シャミ子に会いに来ただけなのだ。
潜伏で気配を消し、ウガルルが魔法に気を取られている内にシャミ子の元へと向かった。漸く氷の拘束から脱出し、土も落とせたウガルルだが、周りにカズマの姿は無かった。
「おーいシャミ子~」
「どうしました? カズマさん」
「なんかミカンの使い魔って奴がばんだ荘の前に居るんだけど」
姿を隠すようにして家の中に入り、ばんだ荘に居たウガルルについて聞く。今回は相手を騙せたため良かったが、シャミ子の元に来る度に毎回敵意を向けられては堪ったものではない。
それどころか、次からは姿を見せた瞬間に攻撃してくるかもしれないのだ。そのため、ウガルルがボスと呼んでいるシャミ子に説得を頼むことにした。
「それはウガルルさんですね。ところでさっきウガルルさんの声が聞こえましたが、何かありました?」
「目潰しして凍らせておいた」
「何してるです!」
ウガルルは本人が勝手に門番を自称しているが、少なくともばんだ荘の住民に喧嘩を売るような物好きは、この街には居ないだろう。
ウガルル自身が現世でやりたいことを見つけるまでの一時的な門番であるが、カズマに何かしたのだろうか。そう心配したシャミ子だったが、カズマがウガルルに何かされたではなく、実際はカズマがウガルルに何かした後であった。
「あぁもう。ウガルルさん、大丈夫ですか?」
「ボス……オレ、守れなかっタ」
シャミ子は急いでウガルルの元へと向かうと、ウガルルは膝から崩れ落ちていた。そしてその視線先にはカズマが居り、門番なのに
「あの人とは戦う事自体が間違いなので、気にしないでくださいウガルルさん」
「なぁシャミ子。その言い方だとまるで、俺が厄災のような類いに聞こえるんだけど」
「なんですか? 卑怯な手段を使ってウガルルさんを落ち込ませた元凶のカスマさん?」
「悪かった。俺が悪かったからイイ笑顔で言うのは止めてくれ。あとカスマじゃなくてカズマだから!」
出会った当初なら有り得ないであろうシャミ子からの毒舌。流石のカズマもいつもと違うシャミ子の雰囲気に圧されたのか、名前を訂正しつつもひきつった顔をしている。
「ボス。オレ、カスマ怖イ」
「カスマじゃなくてカズマだ言ってんだろ! もっかい目潰し喰らうか? あ"あ"!」
「ヒッ!」
名前を間違えられて怒るカズマを見て、ウガルルは怯えてシャミ子の後ろへ隠れてしまった。
どうやらさっきの姑息な戦い方で負けたのがトラウマになって、カズマに恐れてしまっているようであった。
頑張れウガルル、困ったらミカンさんや周りの頼れる人に相談しよう!
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
【大物になりそうな妹達】
「カズマさんカズマさん!」
「はいはいカズマだよ」
落ち込んでいるウガルルを励まそうと、ミカン達を連れて遊びに行ってしまったシャミ子達。カズマも付いていこうと思ったが、ウガルルが怯えてしまうため、シャミ子邸に居た良子と遊ぶことにした。
「良、カズマさんの異世界の話気になる!」
「異世界話かぁ……ならアレを話すか。俺のパーティーメンバーの妹に良子と歳の近いこめっこって子どもが居るんだ」
頭のおかしい集団こと、紅魔族の一員であるこめっこ。こめっこはまだ7歳ほどであり、9歳の良子よりも年下である。
良子と同じように姉を慕っており、その歳には見合わないほどに図太く、攻撃的な性格をしている。
「ちょっと家が貧しい家庭で、俺がお土産に持っていた饅頭を夕飯しようとするほどなんだ」
「良の家も貧乏だからちょっと似てるね」
シャミ子一家は大昔に受けた呪いの影響で貧乏な生活を送っており、めぐみん一家は父親がポンコツで高額な魔道具で生計を立てているため、貧乏なのである。
前者はリリス時代からの呪いが原因のためシャミ子達に非は無いが、後者は思いっきり本人達が原因である。
「こめっこの姉にめぐみんってのが居るんだが、そいつ曰く、こめっこは拾ってきた猫や、そこら辺のモンスターを食べようとしてたって言ってたな」
「さ、流石の良も猫ちゃんを食べようとはしないかな」
貧乏であるが、清子の節約術のお陰かあまり食べ物に困った事はない。あくまで「あまり無い」のであって、時には米が無い日が存在した。そのせいか、シャミ子は食べられる雑草に詳しかったりする。
しかし猫を拾い食いしようとは考えた事が無かった。この世界にモンスターは居ないが、こちらの世界で例えると、カラスや虫を食べようとする感覚だろうか。自分達以上に貧乏な事と、思わぬ行動力に驚きと動揺を隠せない良子。
「他にも魔王軍が攻めてきた時もぐっすり寝ててな。途中で起きて、魔王軍幹部の止めだけかっさらっていったんだ」
「大物になりそうな子だね。でもおねぇの参謀になるため、良も負けないよ!」
シャミ子は自分以上の大物になりそうな年下の子に負けてられないと、良子は図書館から借りている分厚い本を取り出して読み始める。
「な、なぁ良子。その手に持ってるものってなんだ?」
「三国志。これで戦略や武器の勉強してる」
分厚い本とその題名に目を疑いながら、良子に尋ねると見た通りの情報が口頭で伝えられた。見間違えでも、カバーと実際の本が違うわけでも無かった。
了承を得てからパラパラと流し読みをするが、漫画ではなく字がビッシリの小説であった。小学校では習わないような難しい漢字も入っており、少なくとも9歳が読むような本では無いだろう。
「……この子も将来大物なりそうだな」
良子と言い、こめっこと言い、自分の出会う妹と言う存在は大物になりそうな人物しか居ないのだろうか。二人の将来をぼんやりと考えながら、カズマはシャミ子邸でゴロゴロするのであった。
ウガルルとカズマさんを会わせなかったのは、戦わせたかったからです。先にバイト回をすると、二人が会ってしまいますからね。
良ちゃんとの絡みは悩みましたが、こめっこの話題を出しました。二人とも、いつか大物になりそうですからね。元々はシャミ子も絡ませる予定でしたが、ウガルルと出掛けてるので不在です。
ストックが無くなりましたが、次回は原作5巻に内容に入って、ウガルルバイト回の予定です。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬