【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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 昨日サボって書いてなかったので、急ピッチで書き上げました。なんか6000文字になったけど、特に文字数とかきめてないしまぁええかの精神で投稿です。


第二十七話 魔族の求職中! 喫茶店あすらへ訪問!

「お邪魔します! ウガルルさんの雇用先を探しにきました!」

 

「お邪魔するわ」

 

「お邪魔ダ!」

 

 現世へと再召喚されたウガルルの働き先を探すため、あすらへと直接やって来た三人。電話であすらに連絡しようとしたが、最近買ったシャミ子の携帯電話は電池切れ。留守電も繋がらないため、直接やって来たのだ。

 

「よく来たわ~お店は休業中やけどゆっくりしてってな~」

 

「表にも書いてありましたが、どうして休業中なんですか?」

 

 表に臨時休業と書かれていた看板を思い出して、リコに尋ねるシャミ子。電話が通じなかった理由は休業中だったからと納得がいくが、臨時休業とは何があったのだろうか。

 一応はバイトの身であるシャミ子は、バイト先で何か問題が起きたのかと心配になっていた。

 

「実はこの前魔力を仰山籠めたお肉料理作ったやろ? 張り切った結果、ウチの最高傑作が出来たんやけど、そこからスランプになってな~」

 

「あら、大変ね。レモンを食べて肩の力を抜いたらどう?」

 

「遠慮しとくわ~」

 

 以前、ウガルル召喚の際にリコは魔力が籠った肉料理を作った。気合いを入れて作ったためか、リコの人生の中で一番と言っても良いような出来の肉料理が完成した。

 その代償と言うべきなのか。それ以降に作った料理はどれも納得のいかない出来となってしまい、このままでは開店出来ないと判断したマスターが、臨時休業としたのだ。

 

「ボス、こいつがマスターなのカ?」

 

「いえ、この人は店員のリコさんで……あっそうでした! リコさん、マスターさん居ますか?」

 

 ウガルルの呼び掛けに、そういえばとマスターとカズマの姿が店内に見当たらないのに気が付いた。もしかして奥で何か作業してるのかと思い、リコに聞くことにした。

 

「マスターならまた腰やって」

 

「僕を呼んだかね?」

 

「マスター!」

 

 杖を使い、ノソノソと店の奥から出てくるマスター。マスターの腰には湿布が貼っており、仮にリコの言葉が無くとも、腰を痛めていると一目で分かるだろう。

 

「マスター、腰を痛めたってリコさんから聞きましたが、もう大丈夫なんですか?」

 

「あぁ。カズマ君に『ヒール』を使ってもらって痛みは引いたさ」

 

「こいつガ、マスター……? 弱そう」

 

「ぐふっ」

 

「ウガルル!? ごめんなさいねマスター、うちのウガルルが」

 

 ウガルルの言葉に傷付いたマスターは、四つん這いとなり床に崩れ落ちた。最も、元々バクは四本足の生物のため、自然に戻ったと言うのが正しいのかもしれないが。

 

 ウガルルの今の言葉に悪気は無い。ただ、マスターと呼ばれているのだから、どれ程までに強い人物なのかと勘違いしてしまったのだ。

 

「いや、気にしてないさ。それより君がウガルル君ってことは、カズマ君が言っていた通り、無事召喚は成功したんだね」

 

「マスター、取りあえず痛みは取り除いたけど、あまり無茶するな……よ……?」

 

 マスターの後を追うようにして店の奥から出てきたカズマ。カズマは店に来た三人の顔を一人一人見て、最後にウガルルを視界に入れて、いつでも逃げれるように身構えた。

 

 カズマからすれば、遊びに行ったら門番だのなんだの言われて敵意を向けられたのだ。そんなことをされて、もう二度と関わりたくないと思った相手が目の前に居るのだ。逃げたくなるのも無理は無いだろう。

 

「アッ! この前ノ……えっト、ゲスマ!」

 

「カズマだつってんだろ!」

 

「ヒッ!」

 

 現世に慣れていないウガルルはカズマの顔を見て一瞬、誰だったか思い出して名前を間違えた。人の名前を間違えると怒るカズマだったが、この前のトラウマが残っているウガルルは、怯えてミカンの後ろへと隠れてしまった。

 

「カズマさん、あまりウガルルを怯えさせないでもらえるかしら? この子はまだ産まれたばかりなのよ」

 

「うるせぇミカンママ」

 

「ウガルル、ヤりなさい」

 

「おい待てホント待て!」

 

 ウガルルを怯えさせないようにとカズマに釘を刺すミカンだったが、以前杏里から聞いていたミカンママと言うワードを喋ると、手のひらを返してカズマに攻撃しようとした。

 

 シャミ子に続き、カズマに毒されてしまったミカン。いつもとは違うような態度であるが、これを心を許した考えるか、カズマにはこのぐらいキツく言うべきと考えているかは本人のみ知る。

 

「落ち着いてくださいミカンさん! カズマさんをヤるのは後にして、今はウガルルさんの働き先を探すのが先です!」

 

「お、おお。優子助か……あれ、今なんて言った? 冗談だよな、ただの冗談だよな?」

 

「「…………」」

 

 勿論だが冗談である。しかしその内心とは裏腹に、二人はカズマからソッと目を逸らす。あまりカズマを調子に乗らせては、次にどんな事をしてくるか分からない。小さくはあるが、この男には充分な罰だろう。

 

「ところで優子君、働き先って言うのは?」

 

「はい! ウガルルさんは今までミカンを守るために働いてましたが、現世に召喚されて自由なったので、やりたいことをやってもらおうと思いまして」

 

 話を戻し、マスターがウガルルの働き先を探している件について尋ねる。シャミ子曰く、今まではミカンを守る事を「使命」として生きており、その使命が果たせてなかったと知ると、消えそうになるほどにウガルルにとって大切なモノであり、それしか生き甲斐を知らなかったのだ。

 

 呪いとしてミカンの中で生きていた頃は、ミカンの魔力を使って生きながら得ていた。しかし現世で召喚された今ではミカンの魔力無しでも自由に生きれるようになった。そして自由になったウガルルのやりたいことを探そうとして、今に至る。

 

「人生は何事も経験が大事だからね。はいメニュー、まずはこれを覚えようか」

 

「…………? ミカン、これなんダ?」

 

「これはメニューで、ここに書いてあるのはランチね。お店で料理を注文する時に使うのよ」

 

「オレ、これ読めなイ!」

 

「え、ウガルルさん文字読めないんですか!?」

 

「そうなのよね。檸檬や蜜柑は覚えさせたんだけど、平仮名や片仮名はまだ読めないのよ」

 

 まさかの文字が読めなかったウガルル。それもそうであり、呪いとして生きていた頃は外の様子なんて確認出来なかった。そして現世に召喚されてから一週間も経っていない。そんなウガルルが文字を読めるか聞かれたら、正直難しいだろう。

 

 何も知らない状態から檸檬や蜜柑と言った漢字を書けるようになったのは充分な成長と言えるだろう。その字を今後使う機会があるかは兎も角として。

 

「うーん。それじゃあウエイトレスとして働くのは難しいかもね」

 

「じゃあ調理場はどうだ?」

 

「チョーリバ?」

 

「調理場は料理を作る場所だな」

 

 今まで空気だったカズマが調理をするのはどうかと勧める。獣のような毛が生えているウガルルがちょうりばに立つのはと思われそうだが、それを言えばマスターやリコもアウトとなるため、深くは追及しないでおこう。

 

「ロリマ、料理作れるのカ?」

 

「まぁ俺の料理スキルを駆使すれば~って今なんて言った?」

 

「オレ。ロリマ怖いけド、料理頑張ル!」

 

「誰がロリコンだこの野郎!」

 

「カズマさん誰もそこまで言ってないです」

 

「はいはい。カズマさんの事は置いといて、料理をしてみましょうねウガルル」

 

「分かっタ!」

 

 異世界でロリコン扱いされた事のあるカズマ。流石にロリコン扱いは嫌なのか、自分はロリコンでないと反論するが、そもそも誰もカズマをロリコンとは言っていない。墓穴を掘っただけである。

 

 そうして調理場に立ったウガルルであるが、包丁の使い方は知らず、爪の方がやりやすいと試した結果、まな板ごと切ってしまったりと、散々な結果であった。

 

「ウガルルには難しかったかしら」

 

「オレ、仕事出来なイ。用無シ、無職……?」

 

「ウガルルさんは無職でも引きニートでも無いです! 今のウガルルさんは求職者です! 探せばきっと向いてる仕事が見つかりますよ!」

 

「ひひひ引きニートじゃねぇから!」

 

「誰もカズマはんに言ってへんで~」

 

 またしても墓穴を掘ったカズマ。本人は引きニートではないと否定しているが、転生前の日本では学校に行かず四六時中ネット三昧、異世界でも大金が貯まれば冒険すら行かずに自堕落な生活。正直な所、引きニートと言われても否定は難しいだろう。

 

 不幸中の幸いと言うべきか、その事実を知るにはカズマ自身が喋るか、シャミ子が能力を使ってカズマの記憶を見るかの二択しか無いところだろう。

 

「今は見つからずとも、焦ることは無いよ。努力を続けてくれば」

 

 今は職が見つからずとも、探していればきっと見つかるとウガルルを諭そうとするマスター。すると、あすらの中に何か重いモノが動くような音が響いた。

 

「な、何の音!?」

 

「うわあああ! 冷蔵庫が動いてる!?」

 

 全員、音のした方向を見ると、冷蔵庫が手足のような黒い触手を生やしていた。見間違いかと目を擦るが、目の前の現実は変わらない。冷蔵庫が動いているのだ、食べ物を冷やして日持ちさせるあの冷蔵庫である。

 

「……なぁマスター、一応確認したいんだけど」

 

「冷蔵庫が自我を持って動くのは聞いたことがないよ」

 

「じゃあ目の前のアレはなんだよ! 俺の世界から何か迷い込んできたのか!? それとも冷蔵庫にアンデッドが取り憑いているのか!?」

 

 流石のカズマも面をくらい、自分が知らないだけでこの世界の常識かマスターに問い出す。当然ながら冷蔵庫が動く常識なんてモノは存在しない。カズマは思わず、異世界からの刺客かアンデッドが操っているのか疑った。

 

「あっ」

 

「どうしたリコ」

 

「やっぱなんでもないわ~」

 

「じゃあ今の「あっ」はなんだよ、絶対に心当たりあんだろ!」

 

 そんな中、リコは心当たりがあるのか小さく声を漏らした。カズマはリコの声を聞き逃さず、誤魔化そうとするリコに詰め寄る。リコもあまり隠そうとは思っていなかったのか、あっさりとある事を話す。

 

「実はスランプ中に作った料理を冷蔵庫に入れといたんやけど~」

 

「やけど?」

 

「ちっーと魔力を籠めすぎてしもうたようで、料理同士が共食いを起こして、冷蔵庫を乗っ取って暴走してるんや~」

 

「やっぱりお前のせいかあああああ!」

 

 心当たりどころかおもいっきり元凶であった。平和な世界かと思っていたが、思わぬ所にトラブルメーカーが居たことに頭を抱えるカズマ。特に悪気が無い部分がアクアを思い出すようで、最悪だと小言を漏らす。

 

「リコさん、アレを止める方法って無いんですか!?」

 

「恐らくは暴走してる料理を食べれば収まるんやと思うんやけど」

 

「食べろってか、あの暴走してる冷蔵庫もろとも食べろってか!」

 

「このままだとお店が壊されちゃうから、アレを倒すわよ!」

 

「食べ物を粗末にするのはアカンで~それにあれは」

 

「あれは?」

 

 冷蔵庫を弓矢で倒そうとするミカン。意味が分からないかもしれないが、そのままの意味である。しかしリコはそれを制止させる。

 食べ物を粗末にするなと言うのは同意見であるが、その後の言葉を溜めていると何か、それこそ冷蔵庫が自爆でもするのだろつか。

 

「ウチが作ったんや。つまりウチとマスターの子どもなんやー!」

 

「何処から僕の名前が!?」

 

「なるほど。つまりリコママか」

 

「何処に食いついてるんですかッ!?」

 

「ちょっと貴方達、今はふざけてる場合じゃ」

 

 わりとどうでも良かった。それどころか、付き合っている訳でもないのにマスターとの子どもだの、意味不明な事を叫んでいる。

 カズマがミカンママの次はリコママかと悪ノリし、マスターとシャミ子がそれぞれに突っ込む。平常時ならそれで良かっただろうが、今は緊急時である。

 

「マスター!?」

 

「カズマさん、アレの魔力を吸い取る事は出来る!?」

 

「触手が邪魔しなければな!」

 

 ふざけあっていると、マスターが冷蔵庫の触手に捕らわれてしまった。全員が意識を切り替えて、カズマは冷蔵庫の動きを止めようとするが、触手が暴れまわっているため、近付いてドレインタッチが魔力を吸って落ち着かせるのは、容易ではないだろう。

 

 触手を叩き落とせれば簡単かもしれないが、マスターに攻撃が当たるかもしれないし、攻撃するとなれば身内(リコ)が邪魔をする。どうするか作戦を建てていると、ウガルルが一歩前へと進んだ。

 

「オレ、アイツの気持ち分かル」

 

「ウガルルさん……?」

 

「産まれたのニ、食べられないアイツ。ミカン守れなかったオレと似てル。だかラ……オレが食べル!」

 

 ウガルルは爪を立てて姿勢を低くする。それは威嚇する猫のようであり、獲物を狩ろうとする肉食動物のようであった。

 迫り来る触手を避け、マスターに攻撃が当たらないよう繊細に。けれども切れ味はそのままに。冷蔵庫を豆腐のように切り刻み、冷蔵庫を動かなくなった。

 

 そしてウガルルは冷蔵庫に微かに残っている魔力を消滅させようとしてるのか、冷蔵庫を食べ始めた。人間ならば身体に悪いのかもしれないが、ウガルルは特殊な魔族のため平気である。

 

「オレ、爪を使ってモノ切れル! これあれば少し戦えル! 凄いだろボス!」

 

「凄いですねウガルルさん!」

 

「ありがとうウガルル君。助かったよ」

 

「マスターを助けてくれてありがとな~けど」

 

「けど?」

 

「店がボロボロやわ~」

 

 全員が辺りを見渡す。冷蔵庫が暴れた後があるのは勿論の事だが、それ以上にウガルルの爪痕が残っていた。いや、爪痕と言う言葉だけに収めるには、これはあまりにも傷が深いだろう。

 

 床や壁にちょっと傷が付いた程度ではなく、至るところに三本線の「穴」が空いている。ウガルルの爪が鋭いあまり、傷を通り越して爪痕状の穴を空けてしまったのだ。それはまるで虎やライオンが暴れたかのように。

 

「えっト、わざとじゃなくテ……ゴ、ごめン!」

 

「すみませんすみませんすみません!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「大丈夫。僕を助けるためにやってくれた事なんだろう? 怒ったりなんかしないさ。それにウガルル君のやりたいことが見つかったのだろう? それなら店がボロボロになった事なんて些細なことさ」

 

 三人は頭を何度も下げるが、マスターは大したことは無いと笑って流す。マスターからすれば、産まれたばかりの若者が進む道を見つけられた上に、自分を助けてくれたのだ。そんな若者をマスターは怒れるだろうか? 否、人の良いマスターだ。怒るどころか感謝するだろう。

 

「マスターさん……」

 

「それに、リコ君が店に来た時より数十万倍マシだからね」

 

「アクアが街の半壊させて借金背負った時に比べたら、店がボロボロなんて可愛く見えるな」

 

「街を半壊させるなんて何をしたのよ」

 

 マスターは年の功、カズマは問題児だらけの環境で大抵のトラブルには慣れてしまった。ちなみにだが、街を半壊させたのは、魔王軍幹部討伐のために、アクアが洪水レベルの水を召喚したのが原因だったりする。

 

「なんにせよ、これからも頑張りなさいウガルル君」

 

「ボスのボス、ありがとウ」

 

「ボスのボス!? こ、これで勝ったと……いえ。勉強させて頂きました」

 

「何の話!?」

 

 マスターの広い心に感動し、自身を助けてくれたシャミ子以上の感謝と尊敬の念を抱いてボスのボスとマスターを呼ぶウガルル。シャミ子も何も言い返せないようで、素直に頭を下げている。

 

「優子はん、良い話にしてるところ悪いんやけど、お店どうするんや?」

 

『あっ』

 

 しかし尊敬の念を抱こうと、頭を素直に下げようともボロボロになったあすらが直る訳ではない。シャミ子達はどうにかすると述べているが、新学期も始まった学生に無理はさせられないと、マスターはその申し出を断るのであった。




 若干シャミ子やミカンがカズマさんにキツめの発言をしてますが、こうしないとカズマさんがクズに見えるので……

 何処かの反応集で見ましたが、カズマさんが愛されてるのはクズな行動しても「カズマさんスゲー!」ではなくて「うわぁ……」って相応の反応をされてるからだとか。なので、今作でもそう言った反応を入れてます。

 ウガルルは全然出てこなかったカズマさんの渾名を言ってもらう予定です。要は言い間違いですね。いやまぁ、ウガルルに対する態度的に、渾名は合ってそうですが。

 そしてこの話を書いてる途中で、私は重大な事実に気付いてしまいました。シャミ子の危機管理フォーム、一度も出てねぇ!

 あとセミになったリリスさん(語弊)回はやらない可能性が大です。理由としては単純、現状カズマさんが動けないんですよね。
 ボロボロのあすらをほっといて遊びに行けませんし、単純にカズマさんは遠出しないので、山に行こうとはしないでしょうし。

 次回はあすらのその後と、危機管理フォームの二つを題材とした短編の予定です。本来なら誕生日回の予定でしたが、危機管理フォームは取り上げておきたいので。理由は単純にカズマさんの反応を書きたいからですね!

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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